
上だけが開いている場所
見上げると、空が丸く切り取られていた。
壁に囲まれているのに、上だけがぽっかりと開いている。
光はちゃんと届いていて、木もそこに向かって伸びている。
閉じ込められているわけではないのに、自由に出ていける感じもしない。
上を見れば空はある。
でも、そこに触れることはできない。
少しだけ安心して、少しだけ不自由な感じ。
しばらく立ったまま、木のほうを見ていた。
枝は迷いなく上に向かって伸びている。
他に行き場がないみたいに、ただまっすぐに。
ふと、思う。
ここにいるものは、最初から“上に向かうもの”だけが
選ばれているんじゃないかと。
横に広がろうとしたものは、きっとどこかで消えてしまった。
だから、この場所はいつも静かで、迷いがない。
そのかわり、どこにも行けない。
しばらくして、もう一度空を見上げた。
外は、思っていたよりも狭いのかもしれない。
