
高校生の就活事情③
前回のNote「高校生の就活事情②」で書いたとおり、Handy進路指導室のような求人票管理システムの導入は、高校生の就職活動に少なからず影響を与え、生徒が希望する就職先の条件の見える化にも寄与しています。
Handy進路指導室の導入で見えてきたこと
一般的な高校生に言えることですが、特に私の前任校では、就職先の条件として自宅からの距離(通勤時間)を重視する傾向が強く見られました。このシステムでは、自宅の住所を入力することで、距離や通勤時間に基づいてエリアを絞ることができます。生徒たちの検索方法を観察すると、まず距離や時間(10km以内で検索をかける生徒が多い印象です)で会社を絞り、そのエリア内に入った企業の中から職種や業種、待遇を検討していることがわかります。

「ゴルディロックスの原理」(松竹梅の法則)は働かない
就職活動において「ゴルディロックスの原理」(松竹梅の法則)は働かないことが多いです。この原理は、日本のマーケティング業界で使われるもので、松・竹・梅の三種類のグレードの商品が用意されている場合、消費者は真ん中の竹を選ぶとされます。例えば、定食屋で値段の順に松定食、竹定食、梅定食が用意されていると、安いが粗末すぎる梅定食でもなく、豪華だが高すぎる松定食でもなく、ちょうどよい値段でちょうどよい豪華さの竹定食を選ぶのです。

全国展開する企業では、以下のような条件の求人があります。
①勤務地限定採用:19万円(実家から通える)
②県内勤務採用 :21万円
(場合によっては通勤時間が長くなったり、一人暮らしを余儀なくされることも)
③関東地域内勤務採用:23万円(県外への転勤がある)
この場合、初任給は高くても、③は高校生にとって不人気です。企業側は家賃補助や交通費支給、さらには実家に帰省する際の交通費支給など、あの手この手の支援を用意しますが、高校生の食指は動きません。
「ゴルディロックスの原理」では「松2、竹5、梅3」の割合で「竹」を選ぶ人が多いとされています。しかし、高校生の就職活動においてはこの原理は働かず、圧倒的に①を選ぶ生徒が多いのです。私の肌感覚では、約7割の生徒が①を選び、②が3割といったところです。
次に、生徒は給与を重視します。ただし、企業によっては基本給に見なし残業代を含めているところもあるため、生徒には注意喚起が必要です。例えば、キャディの仕事において、ラウンドごとに手当が支給される場合と、ラウンドを何回回っても定額が基本給に含まれている場合があります。基本給で検索をかけると、手当の部分を見逃して企業選びをしてしまうことがあるため、担任の先生は注意を払う必要があります。
次に、夜勤の有無や勤務日数、休日の日数を確認します。年間休日については、業種によって異なりますが、製造業であれば115日を基準にするように生徒に伝えています。この日数に加え、有給休暇なども含まれます。
生徒たちは、これらのフィルターを通過した企業の中から、CMでの認知度や近所の人が働いているかどうかといった情報を基に企業を決定します。
しかし、我々が注意しなければならないのは、企業の職場の雰囲気や働きやすさです。地方都市の中小企業では、毎年採用計画があるわけではなく、年齢構成がいびつで、年齢の近い同僚がいなかったり、男女比に偏りがあったり、研修期間の長短があったりします。これらは検索ワードでは拾えないため、教員のアドバイスが重要です。

また、企業の雰囲気などは生徒の口コミレベルの情報では偏りやバイアスがかかるため、教員の事前指導が必要です。ただし、生徒と保護者は求人票を見た時点で希望順位を固めがちであり、アドバイスをしても希望が変わらないことが多いです。したがって、求人票を受け付ける前(6月まで)にどれだけ求人票の見方を熟知できるか、また生徒が複数の会社見学を面倒がらずに行けるように導けるかが重要です。