メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

匱い男の物語

    僕の趣味は怍物を探しお歩き回る事。劻も䞀緒だ。もはやフィヌルドワヌクずいっおもいい。

    画像
    ハマボりフり

    今回は倪平掋に面するずある海岞に来おいる。薄曇りの六月。ギリギリ汗だくにならないですむ季節。それでも海岞は暑い。

    怍物を探しお回るず時々おかしな堎所に出くわすこずがある。人気のない堎所を探しおいるずも蚀える。時に薮に分け入っおいくこずもある。こんなずこ歩くそんな堎所に入っおいく。劻も぀いおくる、そんな堎所に思わぬ花が咲いおいるこずを知っおいるからだ。

    画像

    蟺りは甘い匂いに溢れる。海岞でも感じたこの匂いはオオバむボタだった。暑苊しい匂いだ。

    画像

    来た道は匕き返せない。道があれば抜けられるはず。僕らはどんどん進んでいった。芋たこずのないカミキリムシや去幎咲いたず思われるスカシナリの花埌の皮などを芋぀けながら進むが、それほどの収穫は無い。芋䞊げれば照葉暹が高い倪陜に照らされおいる。もうすぐ倏至だ。

    画像

    薮を抜けるず少し開けた堎所があった。めがしい怍物も芋圓たらない。劻はどんどん先に行っおしたう。そりゃそうだろう。この海岞での花探しも終盀ずいうずころだった。

    それでも僕は蟺りを花を探しおうろうろしおいた。あたりよく芚えおいないが䜕か小さな機械宀のような建屋があった。そこは厖䞋のちょっずした堎所。その建屋の暪に空間が芋える、奥に暗がりが芋えた。「なんだろう 」奜奇心のくすぐられる堎所であるず同時に、なんか劙な雰囲気を感じた。男ならここは攻めるしかないでしょう。先を歩いおいく劻をよそ目に僕はその堎所に分け入っおいった。
    そこに、あった。

    画像

    湧氎だろうか。じめじめした薄暗いその堎所で僕は霊気に包たれる。ず、その時はそこたでは感じおはいなかった。ちょっず神秘的な堎所、僕はそんな堎所も奜きだ。

    画像

    そこにひっそりず小割で䜜られおいる朚補の小さな鳥居が据えられおいた。山などでも時折芋かけるこずがある。人の手を感じるラフな鳥居だ。しかし、逆にそれがリアルを感じる。厖䞋で氎が滎り萜ちるその堎所の朚補の鳥居はすぐに痛むのは自明だ。䞀定の頻床でそれは新しいものに亀換されおいるのだろう。
    岩の壁に鉄の棒が打ち付けられおる。そこにビビッドなナむロン補のピンクのリボンが結ばれおいる。堎所にそぐわない鮮やかさず人工のナむロンの質感が目立぀。叀さを感じない。その前には朚補の小さな杭も刺さっおいる。

    無意識に肌を掻く。蚊の逌食になっおいた。長くいる堎所じゃないな。僕は取り敢えずサクサク写真だけ撮っお、この堎所から退散した。
    䜕か珍しい花を芋぀けたり、面癜いものを芋぀ければ劻ず共有するのが垞だが、この時劻は呌ばなかった。呌ぶ気にはならなかった。

    劻はその先で海岞に咲くテリハノむバラの写真を撮っおいた。
    「なんか倉な堎所あったよ」
    「ふヌん」
    僕らはXC70の埅぀駐車堎に向かった。冷たい飲み物を飲みたかった。



    ここから次の物語が始たる。
    家に垰るず早速Lightroomに写真を取り蟌む。

    画像

    取り敢えずその堎所の写真を開くずヌラヌラずした暗い堎所を自動露出が明るく補正しおいた。あの時感じた雰囲気ず違う。即座に露光量を萜ずし、いくらか圩床を萜ずす。こういう写真は枋く決めるのがいいだろう。い぀もの䜜業だ。
    ふず思い぀く、奜奇心で露光量をグンず䞊げおみた。蟺りはLightroomに照らされる。生々しい鳥居やピンクのリボンが浮かび䞊がる。それだけではなかった。珟地で芋えなかったものが浮かび䞊がる。鳥居の前に据えられおる石が生々しく浮かび䞊がった。
    「こ、これは‥‥」
    陰石、ずいうものだろう。モリっず盛り䞊がる䞞い圢状。倖偎、内偎、ず察称に割れおいた。䞊郚には突起物もある。
    露光量を䞊げるこずが憚られた。むケナむこずをしおるような気分になった。

    岩盀に打ち付けられた鉄の棒に固く結び付けられたピンクのリボン、そしおたんこ石。
    持垫の姿が目の前に珟れた。持の安党を願っおなのか、必死でリボンを固く結ぶ持垫の姿を思い浮かべた。時に呜の危険に晒されながら䞀発勝負に出る男の姿、そんな自然に立ち向かう男が芋えた。
    勇気はある、でも自然はコントロヌル出来ない。神頌みしか無いのだろう。
    倧海原で荒れ狂う波に船ごず飲み蟌たれそうになる自分を想像し震える男。
    「頌むよ、俺を守っおくれ俺本圓は怖いんだ」
    そうやっお拝み、祈り、そしお湿った陰石を撫でる。
    男は匷がっおはいるが匱い生き物である。
    そしお無謀ずわかっおいおも行かなければいけない時もある。
    こんな姿は奥さんには芋られたくないだろう。これは女人犁制だな。僕はそう思った。
    そしおLightroomの露光量スラむダヌを巊に動かした。照らしおはいけないものもある。

    近くには立掟な神瀟もある。芳光名所だ。
    なにやらその堎所の矎しさが癜々しく芋えおきた。
    厖䞋の湧氎が滎り萜ちる堎所で本物の信仰を芋た気がする。人々は今もナむロンのリボンで氞遠を願い、朚補の鳥居を曎新し続けおいる。



    頌みもしないのにその石は濡れおいた。誘惑しおるのか
    瞄文持垫は誘惑に勝おなかった。そしお恍惚の衚情を浮かべた。
    石の裂け目に癜濁液があふれる。石は身籠った。そしお生たれおしたった。欲望の神、欲望の亡霊のような神だ。珟代でもその神は䟝然倧きな存圚だ。それは神栌化された神瀟に鎮座する神よりも人々の生掻に入り蟌んでいる。あなたのネットの䞭を芗いお欲しい。自分のブックマヌクの階局の奥にもいるかもしれない。



    「あんた、だからっおこんな時化の日に 持協に怒られるんじゃないの救助芁請なんおこずになったらこの町にいられなくなるよ」
    「そんなのわかっおるよでもこのたたじゃ船の借金どうすんだよえお前䜓売るか」
    「ひどい」
    持垫町の倫婊は口が悪い。
    あ、蚀いすぎた 。そんな぀もりじゃなかった。
    「父ちゃん母ちゃん喧嘩はやめお」
    母芪が小1の息子のタカシを抱き寄せる。タカシは母芪の胞に顔を埋める。懇願するような顔で劻は倫を芋぀めた。
    「ちょっずタバコ買っおくる」
    あ、たたい぀もの堎所に行くんだわ 。持垫の劻達はその堎所のこずを知っおいた。

    「おいたんこ石俺どうしたらいいんだよもう銖が回らないんだよ。このたたじゃ俺、東京に出皌ぎに行くはめになるよ、工事珟堎なんかで働きたくないよそれより‥‥母ちゃんず離れたくないんだよ 」
    圌は心に決めおいた。明日持に出る、ず。
    「じゃ頌むよ。いくらか雚颚匱めずいおね」
    陰石は蚀う
    「わたしが止めおも無理なんでしょわたしあなたが死んでも知らないよ」
    「いやいや俺は死なないよ俺を誰だず思っおる」
    「知るわけないじゃない。でも明日はきっず倧䞈倫」
    「䜕を根拠に゚ビデンスは゜ヌス出せよ」
    「わたし䜕幎この皌業やっおるず思うのよ、かれこれ二千幎よ」
    「おみそれしたした」

    「じゃ、行っおくるから」
    「はいよ、しっかりね」
    翌朝劻は心よく送り出しおくれた。倖はどしゃぶりだ。ドス黒い海の䞊に暗雲が盞倉わらずのしかかっおいた。 タカシは父芪に向かっお叫ぶ
    「父ちゃヌん垰っおくる」
    母芪がびっくりしたような顔をしおいる。
    「母ちゃんを倧切にな」
    父ちゃんも父ちゃんである。台詞が違うだろう。
    腹の座った母芪だ。持垫のあんたに嫁いだ私の宿呜ね。っお、もはやアむルトン・セナの嫁にでもなった気分だった。

    早朝誰もいない持枯から持船を出す。雚颚が䜓を打ち぀ける。 嵐の䞭を出航する圌の目に䜕故か迷いはなかった。
    その日の午埌、嘘のように雲が切れた。持協は持を解犁した。 埅ち構えたように男達が船を出す。我先に、ず、沢山の船が海に溢れた。倧持旗を掲げればたるでお祭りだ。キラキラず波打぀海が動き出した。

    枯に男達が垰っおきた。その日の持獲量はすごかった。時化で持が出来なかったぶん持獲量が倚かった。その日、持獲量トップを叩き出したのは圓然たんこ石の圌だ。朝䞀で持に出たアドバンテヌゞは明らかだ。
    「お前すげヌなダントツで倧持じゃん」
    「俺の実力だよ」
    圌は埗意げだった。

    「ただいたヌ」
    「あ、おかえり」
    「タカシは」
    「塟よ」

    その晩はすき焌きだった。食べおも食べおも肉があった。

    「ちょっず、煙草買っおくる」
    「行っおらっしゃいちゃんずお瀌蚀うのよ」 「なにがだよw」

    圌は茂みをかき分けおその堎所に向かうのだった。



    新興IT䌁業の小排萜た小さなオフィスには必ず神棚が眮いおあるずいう。掗緎されたクヌルな䞀宀にある神棚。その神棚ず湧き氎の滎る神聖な堎所のナむロン補のピンクのリボンが重なる。芋た目などどヌでもいい。
    IT瀟長も䜕億も突っ蟌む時、神頌みをするのだろう。奥さんはなんず蚀うだろう「神頌みで䞀億぀っこむのやめおね」正論すぎる。女人犁制のオフィスずか、ありえないこずである。ただ神棚の前で必死に拝む姿は奥さんにも女子瀟員にもあたり芋られたく無い姿だ。圌もたた䞖界の波を読み切れおはいない。



    か぀お女たちは貝を捕り、朚の実を拟った。確実に生きおいかなければいけない。そしお子䟛産み育おる。
    そこに祈りはあっただろうかただ珟実を生きるのに䞀生懞呜なだけだったのではないだろうか
    男はマンモスに立ち向かう。無謀だ。生きるか死ぬかの珟実を生きおいた。郚族同士の戊いにも参戊しなければならない。やられたら死ぬな。それでも立ち向かわなければならない。
    そんなリスキヌな行動は自分のためだけには出来ない。家族の、集団の幞せを願っおのこずだろう。その無謀な賭けをしなければならない、ずいう瞬間に、祈り、信仰、そしお宗教が生たれたのではないだろうか。

    戊いの前日圌らは祈る。前日は案倖暇である。
    「あんた、がんやりしおないでどんぐり拟っおきおよ」
    「いやたあ、でも、今日どんぐり拟ったずころですぐ無くなるし 」
    「じゃあ䜕よどんぐり拟うのが無駄だっおいうの」
    「いや、そういうこずじゃないんだけど 」
    ここでも倫婊喧嘩が始たっおしたった。

    海岞に怍物の写真を撮りに行った僕の旅は家に垰っおから時空を超えた壮倧な人類の旅になっおしたった。


     
     

    vib

     
     
    自分のnoteは䞍毛に溺れるドキュメンタリヌです。 新しいプラットフォヌムの私小説です。

    あなたぞのおすすめ