
[エッセイ]祝福の外側
時間が経つのがいつもより長く感じた二日間だった
日曜日はやることなすことに手がつけられなくなっていた
何かをしようと思っていても
スマホの通知も来ていないのに
何度も画面を開いていた
いつでもビデオ電話ができるようにスタンバイをする
しかし、その時は来なかった。
次の日の月曜日、
天気は曇り、
まるで自分の心を表しているようだ
この日は朝から講義があった
ずっとスマホの通知と時計を気にしていた
もちろん講義に集中しようと頑張ったが、
気になるものは気になるのでどうしても集中はできなかった
一人でいると、スマホばかり見てしまうので
友人を昼食に誘った
そして自分の気持ちを話した
といっても大したことは言っていない
ソワソワして落ち着かない
連絡がないから心配だ
いつでもビデオ通話に出られるように今日は早く帰るつもりだ
という感じのことを繰り返していた
きっと私の落ち着かなさは友人にも伝わったと思う
早く帰ったところでその時が来るのかと問われても
結局、来なかった
いつになっても連絡はない
なのでまず母に連絡してみた
けれど、母も連絡がないらしい
そして私よりソワソワしていて落ち着かなかったので
少し冷静になれた
冷静になって考えたのは
どうして自分は落ち着かないのかだった
自分のことでもないし、
なるようになるしかないので心配していても仕方がない
出てくる時はいつかはやってくるのだから気長に待つしかない
同時にこんな遠いところに来てしまった自分を少し責めた
もう少し近くにいればいつでも現状を知れたのに
もう少し近くにいればこれからの成長を見届けられたのに
しかし、変えられない現状はどうにもできない
自分が選んだのだから
とりあえず今ある現状を受け入れるしかない
時は突然やってきた
夕飯のコロッケの最後の一口を食べようとした瞬間に
電話がかかってきた
母からだった
急いで折り返したところ
「生まれたよ」
そう教えてもらった
やっと生まれた
ずっと待っていた
しかし、姉の安否は伝えられていない
まだ安心はできない
次にメッセージが来た
名前と体重だ
体重を見る限り赤ちゃんは元気そうだ
名前はどこかで聞いたことのある響きだがどこで聞いたのか思い出せない
漢字を見ては
穏やかな子に育ってほしいという願いが込められているのかなと勝手に想像した
テンションが上がった勢いで名前をイメージした画像を作成して
まだ、携帯を見ることは叶わない姉に送った
そしてついに時はきた
ビデオ通話が始まったのだ
姉はしんどそうだけど命に別状はなさそうだと一安心
では、めいいっぱい赤ちゃんを愛でよう
画面越しからは小さくてふにゃふにゃしているのしか伝わらない
可愛い、という言葉しか出てこなかった
画面越しでしか見れないのが惜しい
匂いは?
感触は?
泣き声は?
どんなだろうと想像する
たくさんの人に祝福されているんだよ
たくさんの人に望まれたんだよ
まだ実感は追いついていない
それでも、その言葉だけは浮かんだ
「ありがとう」