
ChatGPTに任せる仕事10選|向いている業務・向かない業務を実際に検証
「ChatGPTを使えば、仕事がかなりラクになる。」
そんな話を見かけることが増えました。
・メールを書く
・会議の内容をまとめる
・資料の構成を考える
・分からないことを調べる
できることだけを見れば、かなり多くあります。では、実際の仕事でも本当にそこまで使えるのでしょうか。文章を作ってもらったものの、結局かなり書き直す。調べてもらった内容が不安で、もう一度自分で確認する。企画案を出してもらったけれど、どれも少し無難に感じる。
ChatGPTを使っているのに、思ったほど仕事が減っていない。
そんなこともあります。そこで今回は、会社員が普段やりそうな仕事を10個選び、実際にChatGPTへ任せてみました。見るのは、単純に「できるかどうか」ではありません。
・そのまま仕事で使えるのか。
・どこまで人が手を入れる必要があるのか。
・本当に仕事をラクにしてくれるのか。
この3つを意識しながら試していきます。
先に結論を言うと、ChatGPTが特に使いやすかったのは、
・整理する
・要約する
・下書きを作る
・たたき台を作る
こうした仕事でした。
反対に、相手との関係や会社独自の事情、最終的な判断が必要になると、人がやるべき部分が一気に増えていきます。
「AIに任せる仕事」と「人がやる仕事」。
実際に試してみると、その境界は意外とはっきりしていました。
今回試した10個の仕事
今回試したのは、次の10個です。
1. 取引先へのメールを作る
2. 長いメールを要約する
3. 会議メモから議事録を作る
4. 議事録からToDoを整理する
5. PowerPointの構成を考える
6. 企画書のたたき台を作る
7. Webで調べて競合を比較する
8. Excelの関数を考える
9. クレームへの返信を考える
10. 情報が足りない状態で仕事の判断を任せる
文章作成だけに偏らないように、整理、資料、調査、数字、対人対応、判断まで幅広く入れました。また今回は、何十行もあるような細かいプロンプトは使っていません。
・「この内容でメールを書いて。」
・「このメモを議事録にして。」
・「この2つを比較して。」
仕事中にChatGPTを開いたとき、そのまま入力しそうな程度の頼み方で試しています。
判定は3段階です。
🟢 任せやすい
少し確認すれば、仕事で使いやすい。
🟡 補助まで
便利ではあるものの、そのまま使うには人の確認や修正が必要。
🔴 人がやる
相談相手にはなるものの、判断そのものを任せるのは難しい。
それでは、順番に見ていきます。
1.取引先へのメールを作る
判定:🟢 任せやすい
まずは、定番のメール作成です。たとえば、
「今日の打ち合わせのお礼を伝えたい。説明した資料を添付する。3ページ目を確認してほしい。来週火曜日までに返事がほしい。」
このような情報を渡し、取引先向けのメールに整えてもらいます。すると、
・件名
・挨拶
・打ち合わせのお礼
・資料の案内
・確認してほしい内容
・期限
・締めの言葉
メールとして必要な形はすぐに整いました。もちろん、そのまま送れるとは限りません。少し丁寧すぎたり、普段の自分なら使わない言い回しが入ったりすることもあります。それでも、白紙の状態から文章を考えるよりはかなりラクです。ここでポイントになるのは、
「メール対応を任せる」のではなく、「メールの下書きを任せる」
という考え方です。
何を伝えるのかは自分で決める。文章として整える部分をChatGPTに任せる。最後に自分で確認して送る。この役割分担なら、かなり使いやすいのではないでしょうか。
2.長いメールを要約する
判定:🟢 任せやすい
長文の要約も、ChatGPTと相性のいい仕事です。長いメールを最後まで読んだものの、
「結局、何をしてほしいのだろう。」
そう感じることがあります。そこで、
「要点、こちらが対応すること、期限の3つに分けて整理して。」
と頼んでみます。
すると、文章の中から必要な部分だけを抜き出し、かなり分かりやすく整理してくれました。ここでは、ChatGPTに新しい答えを考えさせているわけではありません。すでにある情報を、読みやすい形に変えてもらっているだけです。こうした仕事は、比較的任せやすいと感じます。
ただし、重要なメールであれば原文の確認は必要です。ChatGPTの要約だけで内容を判断するのではなく、
「原文を読むための準備」として使う。
このくらいの距離感がちょうどよさそうです。
3.会議メモから議事録を作る
判定:🟢 任せやすい
会議中のメモは、きれいな文章になっていないことがほとんどです。たとえば、
・A商品の売上が落ちている
・新規客の減少が原因かもしれない
・田中さんが数字を確認
・来週もう一度打ち合わせ
・広告についても検討
この程度のメモだったとします。そのままでは、自分には分かっても他の人には少し読みづらいでしょう。そこで、
「決定事項、確認事項、担当者、期限、次回やることに分けて整理して。」
と頼んでみます。
すると、ばらばらだったメモが議事録らしい形に整いました。会議中は話を聞くことに集中し、終わったあとにChatGPTで整理する。この使い方はかなり現実的です。
ただし、ChatGPTが実際にその会議を聞いていたわけではありません。メモに残していない発言やニュアンスまでは分からないため、最後の確認は人が行う必要があります。
それでも、
「会議の内容を思い出しながら、一から議事録を書く」
という作業を減らせるのは大きなメリットです。
4.議事録からToDoを整理する
判定:🟢 任せやすい
議事録を作るだけでなく、その後の行動まで整理してもらいます。会議が終わったあと、
「結局、誰が何をするのだったか。」
分からなくなることは珍しくありません。
そこで議事録を渡し、
「ここから実行するタスクを、担当者・期限・内容で整理して。」
と頼みます。すると、
田中さん|売上データを確認|金曜日まで
佐藤さん|広告案を作成|次回会議まで
といった形に整理されます。これはかなり分かりやすいです。議事録をきれいに残すことも大切ですが、会議のあとに何をするのかを明確にする。仕事という意味では、こちらの方が重要な場面も多いでしょう。
「散らばった情報を、決まった形に整理する。」
このような仕事は、ChatGPTが得意な分野といえそうです。
5.PowerPointの構成を考える
判定:🟢 任せやすい
資料作成も試してみました。たとえば、
「社内向けに業務改善を提案したい。PowerPoint7枚以内で構成を考えて。」
と頼みます。すると、
1枚目:提案の目的
2枚目:現在の課題
3枚目:原因
4枚目:改善案
5枚目:導入方法
6枚目:期待できる効果
7枚目:次のアクション
このような骨組みをすぐに作ってくれました。PowerPointを開いたものの、
「最初の1枚に何を書けばいいのだろう。」
そこで止まってしまうことがあります。その最初の一歩を任せられるのは便利です。一方で、内容まで全部任せると、少しずつ無難な資料になっていきます。
今回試してみて感じたのは、
ChatGPTは0から60点まで持っていくのが非常に速い
ということです。
しかし、60点の資料を80点、90点にするには、その会社の事情や相手のことを知っている人の視点が必要になります。つまり、
構成を作るのはAI。
中身を磨くのは人。
この分担が使いやすそうです。
6.企画書のたたき台を作る
判定:🟡 補助まで
企画書になると、少し事情が変わります。
目的、ターゲット、予算などを伝えれば、それらしい企画書を作ることはできます。文章も読みやすく、構成もきれいです。ただ、
「間違ってはいない。でも、本当にこの企画で通るのだろうか。」
そんな印象が残りました。理由は分かりやすいです。
・会社の状況
・過去に失敗した企画
・上司が重視していること
・現場で起きている問題
・競合の動き
ChatGPTは、こちらが伝えなければこうした事情を知りません。そのため、情報が少ないまま企画を任せると、どうしても一般的な内容になりやすいのです。一方で、
・「この企画の弱点を挙げて。」
・「上司から反対されそうなポイントを考えて。」
・「別の案を5つ出して。」
こうした使い方はかなり便利です。企画そのものを考えてもらうより、
企画を考えるための壁打ち相手になってもらう。
その方がChatGPTの良さを活かせるでしょう。
7.Webで調べて競合を比較する
判定:🟡 補助まで
Web調査は便利ですが、注意も必要です。複数のサービスについて、
・料金
・特徴
・メリット
・デメリット
・向いている人
こうした項目を比較してもらうと、短時間で分かりやすく整理してくれます。
しかし、ここには少し怖さがあります。
回答がきれいであればあるほど、正しい情報に見えてしまうからです。料金が変更されているかもしれません。古いサービス内容が混ざっている可能性もあります。公式サイトには違う説明が掲載されていることもあるでしょう。そこで、
・ChatGPTで全体像をつかむ。
・比較表を作ってもらう。
・気になる部分の出典を確認する。
料金や制度など重要な情報は公式サイトを見る。この流れで使うのがよさそうです。ChatGPTに調査を終わらせてもらうのではありません。
調査のスタート地点を作ってもらう。
そう考えると、かなり使いやすくなります。
8.Excelの関数を考える
判定:🟢 任せやすい
ExcelもChatGPTと相性のいい仕事の一つでした。
たとえば、
「A列が売上、B列が原価。C列に利益率を出したい。」
と説明します。すると、必要な数式や使い方を教えてくれます。便利なのは、関数名を知らなくても質問できることです。以前なら、
「Excel 利益率 関数」
と検索し、自分の状況に合うページを探す必要がありました。ChatGPTなら、
「この表で、こうしたい。」
と日本語で説明できます。Excelが得意ではない人ほど、この使い方は助かるのではないでしょうか。
ただし、重要な数字を扱う場合は確認が必要です。数式がエラーなく動いたとしても、その計算方法自体が正しいとは限りません。
「動く式」と「正しい式」は別です。
ここは忘れない方がよさそうです。
9.クレームへの返信を考える
判定:🟡 補助まで
ここから、人の判断がかなり重要になってきます。クレーム内容を想定し、
「相手に失礼のない返信を考えて。」
と頼んでみます。すると、
・謝罪
・状況確認
・今後の対応
一通のメールとしては、きれいにまとまった文章が返ってきます。
しかし、その文章を本当に送ってよいのでしょうか。その顧客と、これまでどのようなやり取りをしてきたのか。
こちらには、
・どこまで非があるのか
・会社として何を約束できるのか
・どこまで謝罪するべきなのか
こうした部分は、文章力だけで決められるものではありません。ChatGPTに返信案を作ってもらう。そこまでは便利です。しかし、
何を伝えるのかを決めるのは人。
クレーム対応では、この役割分担が重要になります。
10.情報が足りない状態で仕事の判断を任せる
判定:🔴 人がやる
最後は、あえて情報をほとんど渡さずに聞いてみました。
「A案とB案があります。取引先にはどちらを提案すべきですか?」
ChatGPTは、条件によっては理由まで付けて答えてくれます。しかし、本当に判断するのであれば情報が足りません。
・取引先は何を重視しているのか
・予算はいくらなのか
・過去に何を提案したのか
・競合はどう動いているのか
・納期は
・利益は
・自社で対応できるのか
こうした情報を知らない状態で、
「A案がおすすめです。」
と言われても、そのまま仕事には使えません。そこで質問を変えてみます。
「A案とB案のどちらを選ぶか判断するために、足りない情報を教えて。」
すると、こちらの方がずっと使いやすくなりました。今回10個試した中でも、これは特に印象に残った部分です。ChatGPTに判断を任せるのではありません。
自分が判断するための材料を集めてもらう。
この使い方なら、仕事でも活用できる場面はかなり増えるでしょう。
10個試して分かった「任せやすい仕事」の共通点
今回の10個を振り返ると、ChatGPTに任せやすい仕事には共通点があります。
・整理する
・要約する
・下書きを作る
・構成を考える
・選択肢を増やす
こうした仕事です。一方で、
・最終判断をする
・責任を負う
・相手との関係を考える
・会社独自の事情を踏まえる
ここまで入ってくると、人が担当する部分が増えていきます。つまり、
「この仕事はAIに任せられるか?」
と考えるだけでは少し大きすぎるのです。仕事をもっと細かく分け、
「この仕事の、どの部分ならAIに任せられるか?」
と考える方が現実的です。「メール返信」も一つの仕事ではないたとえば、「取引先へのメール返信」。一つの仕事に見えます。
しかし、実際には、
1. メールを読む
2. 相手が何を求めているか整理する
3. どう対応するか決める
4. 返信文を書く
5. 内容を確認する
6. 送信する
いくつもの工程に分かれています。この中で、
1.長いメールを要約する。
2.相手の要望を整理する。
3.返信文の下書きを作る。
ここはChatGPTに任せやすい部分です。しかし、
4.どう対応するか決める
5.内容を最終確認する
6.実際に送信する
ここは人が担当した方がよいでしょう。
「メール返信をAIに任せる。」
そう考えると少し怖く感じます。でも、
「メール返信の中にある面倒な工程だけをAIに任せる。」
そう考えると、見え方が変わります。
AIを使っても仕事がラクにならない理由
「ChatGPTを使っているのに、思ったほど仕事がラクにならない。」
そんな人もいるかもしれません。今回試してみて、その理由の一つが見えてきました。
仕事を丸ごと任せようとしているからです。
たとえば、
「企画書を作って。」
これだけでは、ChatGPTには分からないことがたくさんあります。
・誰向けなのか。
・何のためなのか。
・予算はいくらなのか。
・どのような会社なのか。
・何ページ必要なのか。
・何をもって完成なのか。
情報が足りなければ、返ってくるのはどうしても一般的な回答になります。考えてみれば、人へ仕事を頼むときも同じです。
「いい感じにやっておいて。」
これだけで、自分が思い描いているものが完成することは少ないでしょう。AIに仕事を頼むときも、
・何を渡すのか。
・何をしてほしいのか。
・どのような状態になれば完成なのか。
ここを伝えることが重要になります。
では、具体的にどう頼めば回答は変わるのでしょうか。
これは次の記事で、実際に比較してみようと思います。
何でもChatGPTを使えばいいわけではない
もう一つ、今回感じたことがあります。AIを使わなくてもよい仕事もあります。たとえば、
・決まった数字を合計する
・一定の条件なら「○」を付ける
・日付の形式を変更する
・必須項目に空欄がないか確認する
このように、答えが完全にルールで決まっている仕事です。こうした作業なら、Excel関数や既存の自動化機能を使った方が安定する場合もあります。
「ChatGPTでできるか?」
ではなく、
「そもそも、ここでChatGPTを使う必要があるのか?」
一度考えてみる。これも、AIを仕事で使う上では大切ではないでしょうか。
迷ったら「間違えたときに戻せるか」で考える
ChatGPTに任せるべきか迷ったとき、分かりやすい基準があります。
もしChatGPTが間違えたとして、自分で確認して直せる仕事なのか。
メールの下書きなら、送る前に修正できます。PowerPointの構成なら、発表前に変更できます。議事録なら、共有する前に確認できます。こうした仕事は、比較的AIを試しやすいでしょう。一方で、
・顧客への最終送信
・契約
・人事評価
・重要な意思決定
・外部への情報公開
こうした仕事は、間違えたあとの影響が大きくなります。だからこそ、最後に人の確認を残しておく必要があります。
・AIを信用するか。
・AIを信用しないか。
その二択ではありません。
「間違えたとしても、戻せる仕事なのか。」
この基準で考えると、AIに任せる仕事を選びやすくなります。
仕事の情報を何でも入力するのは避けたい
今回の検証では、実際の顧客情報や会社の機密情報ではなく、検証用の内容を使っています。
仕事でChatGPTを使う場合は注意が必要です。
・顧客の個人情報
・社外秘資料
・パスワード
・契約情報
・公開前の情報
こうした情報を、自己判断でそのまま入力するのは避けた方がよいでしょう。
会社に生成AIの利用ルールがある場合は、まずそのルールを確認する必要があります。
どれだけ便利なツールでも、使ってよい情報と、使ってはいけない情報を分ける。ここは忘れないようにしたい部分です。
結論。ChatGPTに任せるのは「仕事」ではなく「面倒な途中作業」
10個の仕事を試してみて、最後に残った結論はシンプルでした。
ChatGPTに仕事を丸ごと任せようとすると、思ったほどラクにはなりません。しかし、
・メールを書く前の下書き
・会議が終わったあとの整理
・資料を作る前の構成
・企画を考えるときの壁打ち
・調べた情報の整理
こうした、仕事の途中にある面倒な部分を任せると、一気に使いやすくなります。
「メール対応を任せる」のではなく、返信文の下書きを任せる。
「企画を任せる」のではなく、企画案や弱点を出してもらう。
「判断を任せる」のではなく、判断するために足りない情報を洗い出してもらう。
AIにすべての仕事をやってもらう必要はありません。むしろ、自分がやらなくてもよい作業を見つけ、そこだけを任せる。これが、今のChatGPTを仕事で使うときの現実的な使い方ではないでしょうか。
次は「頼み方」でどこまで変わるか試してみる
今回は、あえて細かいプロンプトをほとんど使いませんでした。では、同じ仕事でも、
ChatGPTへの頼み方を少し変えるだけで、回答はどこまで変わるのでしょうか。
次回は、
「ChatGPTの回答が微妙な人へ。仕事で使うときに追加する7つの指示」
をテーマに試してみます。
・目的
・前提
・相手
・条件
・完成形
こうした情報を追加した場合と、普通に頼んだ場合。
実際にどれくらい差が出るのかを比較してみます。