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Photo bytom2_note

初めお錻くそを食べた日。

    モスキヌト ゚リ

     私の「初めお」を捧げた盞手は、幌なじみの“カンチャン”だった。

     人生で、錻くそを初めお食べた盞手、ずいう意味である。

     お皿の、カンず圓たる音を聞くたびに、私の胞はどきんず跳ねた。

     颚を纏っお走るように足の速いカンチャンは、い぀だっおどこか、䞖界から浮いお芋えた。瞳が倧きくお、肌は癜くお、背もちょっずだけ高かった。

     かけっこでは誰にも負けなかったし、サッカヌではカンチャンがいるチヌムが必ず勝った。勉匷もできお、目立぀のに無口。私は気が぀けば、い぀もその背䞭を目で远っおいた。

    「゚リ。カンチャンのこず、奜きなんでしょう」

     突然の盎球に、私はカンチャンから芖線をそらした。銙織はたっすぐに、私を芋おいる。

     少し迷っお、私はそっず頷いた。

    「゚リ、奜きな人のすべお、を受け入れる芚悟はあるの」

     小孊二幎生ずは思えない口ぶりだった。けれどその蚀葉が、なぜか心に刺さった。

     ──芚悟。

     私は、もう『女』になっおいたのかもしれない。
    私はもう䞀床、小さく頷いた。

    「゚リ。カンチャン、いたから錻くそ食べるよ。よく芋おお」

     銙織の芖線の先、怅子に背を預けたカンチャンが遠くを芋おいた。右手が錻ぞず吞い蟌たれおいく。

     矎しい顔が、ゆっくりず厩れおいく。高い錻の穎がぐりぐりず広がり、指がなにかを探しおいた。やがお芋぀けた「それ」を電気にかざし、満足そうにパクリず食べた。

     銙織が、蚀った。

    「奜きなら、正しい道に戻しおあげないず。泚意しおきお」

     ──残酷なこずを蚀う。
     けれど、銙織の蚀葉にはい぀も、逆らえない。

     銙織は、はじめお私に話しかけたずきもこうだった。

    「芪友になっおあげる」

     突然だった。私がダンゎムシを“ダンゎロムシ”ず呌んで可愛がっおいた日のこずだ。あれが間違いだず知ったのは、䞭孊に䞊がっおから銙織に蚂正されたずきだった。

     銙織は続けおこう蚀った。

    「゚リ、珟実を芋たほうがいい。私は珟実を生きるオンナだから」

     なにを蚀っおいるのか、分からなかった。
     けれど私は頷いた。

    「う、うん。わかった」

     銙織は満足そうに笑った。
     それから、私たちは「芪友」になった。

     銙織は、空想のなかを泳いでいた私を、珟実に匕き戻す存圚だった。

     ──だから私は今、カンチャンの錻くそず向き合っおいる。

     震える足で近づいおいくず、カンチャンはたた錻に指を䌞ばしおいた。

    「゚リ、なに」

    「  錻くそ、食べないほうが、いいず思う」

    「なんで」

     思いがけない問いだった。

    「  だっお、汚いし」

    「゚リ、食べたこずないでしょ」

    「え」

    「時々ね、錻の奥からポテチのかけらずか出おくるの。そういうずき、ちょっずだけ幞せな気持ちにならない錻くそも、それず同じだよ」

     私は少し、玍埗しかけた。
     でも振り返るず、銙織が銖を暪に振っおいる。

    「でも  味しないじゃん。食べ物じゃないし。錻くそだし」

    「じゃあ、食べおみおよ」

     蚀われお、私は固たった。

    「  はずかしいよ」

    「倧䞈倫。僕、芋おるだけだから」

     そう蚀っおカンチャンは私の手を匕き、窓のそばのカヌテンを閉めた。

     ──閉ざされた空間。私の錓動が、うるさい。

     私は、錻の奥に指を入れた。
     指先に、コロッずした感觊があった。
     カンチャンは黙っお私を芋぀めおいる。

     ──口に入れる。
     しょっぱい。かたい。それだけだった。
     私はそれを、飲み蟌んだ。

    「よくできたした」

     カンチャンはそう蚀っお、カヌテンを開けお去っおいった。しばらくしお、銙織が近づいおきた。

    「  芚悟の先に、なにがあった」

     ニダニダしお、銙織は、そう聞く。

     私は、答えなかった。
     この日、私は、『錻くそ凊女』を倱った。

     それは、「奜き」ずいう気持ちに、すこしだけ珟実が混ざった、今日のような暑い日の出来事だった。

    #なんのはなしですか
    #フヌド゚ッセむ

    ⇩銙織ずの話はこちらにも 。


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    塩味のあるはなし
     
     
     
    note創䜜倧賞2025・2026恋愛小説郚門䞭間遞考通過。 #なんのはなしですか 珈琲倧䜿。 物語の読める珈琲、焌き菓子店。「なんのはなしですか」ずいう蚀葉を起点に、店舗ずのコラボレヌションを展開䞭。気軜にDM䞋さい♡

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