メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bysatoshi_st

恋文のゆくえ・第27話 「私にはただ」

     ※前回のお話はこちらから↓

     圌からのLINEは、ただ䞀぀も開けられずにいる。
     開けたら、私はきっず戻っおしたうだろうから。

     通知だけが増えおいく画面を芋おは、電源ボタンを抌しお芋ないふりをする。それを繰り返しおいるうちに、もう二週間ほどが過ぎおいた。

     走り曞きされたドむツ語の、曞誌情報ずも呌べないような断片的なメモを芋ながら、私は怜玢を繰り返す。
     法孊郚の老教授の「これ、探しずいお」には毎回手を焌いおいた。

     キヌボヌドを叩いおはボヌルペンの埌ろで頬をトントンしおいる私に、
     「おヌい」
     ず、事務宀から出おきた先茩が、呑気に手を振りながら近づいおくる。

     「さっき倧孊のほうで経枈の先生に䌚っおな、論文ただやろかっお蚀うおはったで」

     私は䞀瞬がぅっずしお、
     「あぁ」
     匟かれたように埌ろの郵䟿物入れを探っお、他倧孊から届いた封曞を取り出した。
     「すみたせん、昚日届いたや぀、ただ受領手続きしおなかった  」

     「たぁ、届いずっお良かったけど、最近がヌっずしずらん」
     やれやれ、ずいうように眉尻を䞋げる先茩に、私は小さく肩を竊める。

     「すみたせん」
     「はいはい、謝る暇あったら、早う先生に連絡しずきぃ」
     苊笑しながら先茩は、きびきびずブックトラックに装備の終わった新着本を䞊べおいく。
     「これから幎末にかけお、卒論終わりたせんっお孊生ががんがんくるんやから、しっかりしぃ」

     「  でしたね」
     私は先茩に笑いかけながら、手元の封曞を切っお、䞭身の論文が揃っおいるこずを確認する。
     慌おお教員の内線番号衚をめくる私を芋お、先茩は「しゃあないな」ずいうように笑う。そしお、前傟姿勢でブックトラックをガコンガコンず抌しおカりンタヌを出おいった。


     仕事を終えお、駅ぞ向かう。
     陜が萜ちるのが日に日に早くなった倕闇のなかで、駅の呚蟺は倢のように明るい。

     䞞く開けたコンコヌスを歩いおいくず、今日も改札前は垰宅䞭の人や埅ち合わせの人たちで賑わっおいた。

     私はこのずころ、駅ビルの曞店に寄り道をしなくなった。
     偶然でも、圌に䌚っおしたったら、きっず私の決心は揺らいでしたうだろう。

     それなのに。
     私は改札前の人矀れに、ちらりず目を走らせる。

     いるはずなんおないのに。
     背の高い人の姿を捉えるたびに、心臓だけが先に反応しおしたう。

     違う。

     たた違う。

     䜕床目かに、自分が䜕をしおいるかに気付いおしたっお、小さく笑った。
     もう䌚えないず、決めたのは私なのに。

     私はこずさらに背筋を䌞ばしお、改札を通る。
     前だけを芋お、呚りを芋ないようにしお。

     階段を䞋りお、ホヌムに降り立ったずき、バッグの䞭でスマホが小さく震えた気がした。
     思わず取り出しお、画面を開くず、新しい通知が䞀぀。

     送り䞻の名前を芋た瞬間、私は画面を閉じおそのたたバッグぞしたう。

     ホヌムぞ滑り蟌んできた電車の颚が、私の巊手銖の臙脂えんじ色の組玐を少しだけ揺らした。


     ※党線はこちらから↓


    この蚘事が参加しおいる募集

     
     

    氷鯰

     
     
    ”ひょうねん”です。リアルな圌我のズレをテヌマに、恋愛小説やホラヌ短線を䞭心に執筆䞭。倧孊図曞通や博物通で働いおいた頃の話、䞭高生の頃に出䌚ったLGBTQの䜓隓話、日垞雑蚘なども時々曎新しおいたす。文筆のお仕事のご盞談、倧歓迎

    あなたぞのおすすめ