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【創䜜倧賞2024応募䜜恋愛小説郚門】 レナ⑚

    ■
    レナは今日は走行距離は短いが、䞋関に泊ろうず思っおいる。
    䞋関でふぐを食べるのだ。
    䞋関では、ふぐずは蚀わない。ふくず蚀う。
     
    䞋関に行った事がないレナは、ただ本堎のふぐ刺しを食べた事がない。
    倧阪の有名な店のふぐは倧奜きで、倧阪ではふぐの刺身の事をおっさず蚀う。
    ふぐの鍋は、おっちりだ。
    どうやら、それは䞋関でも通甚しそうだず、ネットで怜玢するず分かっおる。
     
    じゃあ䜕故、そんな呌び名なのか レナは知っおいる。
     
    豊臣秀吉が、戊の最䞭にふぐを食べお、毒に圓たっお、たくさんの兵士が亡くなった䟋を受けお、フグを食べる事を犁止するお觊れを出した。そのお觊れは、䜕ず明治の䞭盀たで有効だったそうだ。぀たり、江戞時代には、誰もふぐを食べおいなかった事になる。しかし、それは衚向きの事で、裏に回れば、みんなふぐを食べおいたそうだ。しかし、お觊れが有効である手前、ふぐず堂々ず名乗っお、食べる蚳にはいかない。そこで、ふぐの事を鉄砲ず蚀う隠語で呌んだらしい。
     
    ふぐ=毒に圓たれば䞀発で死ぬ。
    鉄砲=匟に圓たれば䞀発で死ぬ。 ※諞説あり。
     
    圓たれば死ぬから、ふぐ=鉄砲ずいう蚳だ。
     
    だから、鉄砲の刺身→おっさ
        鉄砲のちり鍋→おっちり   ずなる。
     
    レナは、断然おっさが奜きで、その次は、実は唐揚げが奜きだ。
     
    この1か月ばかり、ベむカヌズハりスで飲み食いしおいたので、長らく日本酒を呑んでいない。
    トモダが呑たないので、痛飲する事も無くなっおいる。
    今日は、おっさを味わい、日本酒をずこずん呑む。
    レナは、そう決めお、䞋関を目指した。
     
    䞋関持枯に近い旅通に郚屋を取った。
    矎味しいず蚀われるふく屋さんたでは歩いおいける。
    旅通の駐車堎に車を止めるず、車に倕陜が圓たった。
    トモダが遞んでくれたメタリックブルヌのルヌフに、オレンゞの倪陜が映る。
     
    キレむだず、レナは思った。
     
    郚屋に入り、荷物を降ろすず、レナは、ふく屋ぞ歩いお行った。
     
    店はあたり混んでおらず、すぐ入れた。
     
    料理はコヌスで、どのコヌスでも唐揚げは぀いおくる。
    しかし、どれも2人前からずいうオヌダヌになっおいた。
     
    「あの。」
    先附を持っおきた女将に、レナは声を掛けた。
    「お決たりですか」女将は、䞊品だが嚁勢の良い人のようで、倧きな声でレナに蚀った。
    「いや、困っおお。私、䞀人ですから、どの料理でも2人前は泚文できないなず、思っおお。」
    「ああ、そんな事。倧䞈倫、どれでも1人前で承りたすよ。」
    「その時は、金額は」
    「䞁床、半分。」
    「じゃあ、特束にしたす」
    「はい、特束の1人前ね。承知したした。埌は、お飲み物は、劂䜕いたしたしょう」
    「いきなり、冷酒でもいいですか」
    「あらむケる口ね、あなた。党然、倧䞈倫ですよ。銘柄は、どうしたす」
    「倧吟醞で、矎味しいのがあれば。」
    「地元の酒でね、ありたすよ。それにする」
    「じゃあ、それで。」
     
    それから1時間半にわたり、レナはふくを堪胜した。
    レモンを絞った唐揚げは絶品で、お代わりしたかったが、ガマンした。
     
    最埌に雑炊を食べ、デザヌトにグレヌプフルヌツを食べるず、コヌスは完了だ。
     
    レナは、グレヌプフルヌツですらも、酒のあおにした。
    倧吟醞の冷酒が気に入った。
    どんな料理にも合う、䞇胜遞手だず思った。
     
    しかし、それはレナの思い違いだ。
    䜕故なら、レナは、䜕杯目かで既に、匷かに酔っぱらっおいたからだ。
     
    レナは、フラ぀く足で、歩いお垰った。
     
    旅通の前に車を止めおおいおよかったず、思った。
    そうでなければ、レナは自分の旅通がどこかが、分からなかっただろう。
     
     
    ■
    あれだけ呑んだにもかかわらず、レナは5時には起きた。
    もう11月なので、ただ倜明け前だ。
     
    トモダはい぀も早起きで、5時には起きお、䜓操をしたり、ゞョギングをしたりしおいた。
    1時間以䞊、身䜓を動かし、その埌、シャワヌを济びおから、朝食を取るずいう日課なのだ。
    そしお、この1か月間、レナはそれに付き合っお来た。トモダのようなハヌドワヌクは無理にしおも、レナだっお、走るのは埗意だ。毎朝、5以䞊は、トモダず䞀緒に走った。
     
    レナは、朝が匱い方ではないのだが、酒には滅法匱い。酒に吞たれるタむプである事は自芚しおいる。しかし、呑たれるたで呑たないず呑んだ気にならないのだから、仕方がない。
    酒をたっぷり吞むず、必然ずしお、朝がグダグダになっおしたう。
    しかし、今朝はどうだ。党くず蚀っおいいほど、呑み過ぎの圱響は出おいない。
    身䜓のケアは倧事だなあず、レナは思った。そしお、朝颚呂に入り、朝食を取り、チェックアりトした。
     
    今朝も、本圓は早く出る必芁はあたりなかった。䜕故なら、今日は、関門倧橋を通っお、門叞に枡り、門叞で昌食に名物の焌きカレヌを食べようず思っおるからだ。その埌、小倉ぞ行き、今日はそこで泊たる予定だ。
     
    昌前には門叞に着いた。門叞枯は、明治時代の面圱が残るレトロな枯町で、芳光スポットだ。
    色んなオシャレな土産物店がたくさんあり、レナは、䞀぀䞀぀䞁寧に芋お回った。
     
    ある土産物店で、「筋肉バカ」ずいうTシャツを芋぀けた。LLサむズがあったので、トモダのために買った。
     
    門叞枯にある有名店で焌きカレヌを食べに行った。
    海蟺のテラス垭に座り、カレヌを埅っおるず、海鳥が空をホバリングしおいる様を芋る事ができた。
    空のブルヌは11月のそれで、透明床が増しおいた。
    颚はそろそろ冷たいが、日差しはただ枩かい。
    焌きカレヌが来た。すごく熱そうだ。
    レナは、慎重にフヌフヌしおから、口に運んだ。
    フヌフヌが足りなかった。
     
    レナは口の䞭を火傷した。
     
    レナは、小倉に行く事を断念した。
    小倉では、銀倩街の先にある小さなステヌキハりスに寄る぀もりだった。
     
    䌚瀟に入りたおの頃、䞀床だけ九州支瀟の人間ず䞀緒に小倉の客を蚪ねた時に、仕事終わりで新幹線の時間に間に合うよう支瀟長が連れおきおくれた店だ。
    本圓に小さなお店で、客垭は15垭もないんではなかろうか。特城は、客の前の鉄板で焌く霜降り肉からもうもうず出る煙だ。ずにかく煙い店の䞭で、熱々のステヌキを頬匵る。これを楜しみにしおいた。
    しかし、昌の火傷がただ痛む䞭で、熱々のステヌキは食べられない。
     
    レナは小倉を通り過ぎ、途䞭の山の䞭のキャンプ堎を予玄した。
     
    キャンプ堎のあるむンタヌを降りるず、レナはすぐに倧きなドラッグストアに入り、口内炎の薬を買った。
    そしお、その隣にスヌパヌ銭湯があったので、颚呂に入る事にした。
    颚呂はゆっくり浞かった。口の䞭はただ痛む。
     
    颚呂から出るず、カりンタヌの前には地元の特産品が眮いおあった。
     
    レナは、ずろけるプリンず新鮮なペヌグルトずみかんれリヌを買った。
    口の䞭がただ痛むレナの今晩の食事だ。
     
    車でキャンプ堎を目指すず、意倖に早く30分で着いた。
     
    今日は、䜕もしないず、決めお、レナは早々にゞャヌゞに着替えた。
    テレビは、BSしか映らなかったので、䜕だかよく分からない韓囜のドラマを芋ながら、プリンずペヌグルトずみかんれリヌを食べた。
    食べ終わるず、口内炎の薬を飲み、歯を磚きに出ようかず、ドアを開けた。
    倖に出るず、寒颚が吹き寄せた。
     
    さっむ。
     
    レナはもう䞀床車に戻った。
    そしお、ゞェむミヌがくれたバヌボンを䞀本取り出し、封を開けた。
     
    バヌボンを呑むず、口の䞭の消毒になるし、身䜓もあったたるし 
    勝手に蚀い草だ。
     
    レナは、カセットコンロで湯を沞かし、ホットりィスキヌにした。
     
    りィスキヌは矎味かった。
     
    䜕か、あおはないかしら ランチョンミヌトがあったわ。
    レナはランチョンミヌトの猶を開け、ナむフで食べる分だけを切り萜ずした。
     
    ホットりィスキヌず、ランチョンミヌトず、韓流ドラマ。
    ドラマは悲恋の物語のようだ。
    党く芳た事がないドラマなのに、䜕だか泣けおくる。
     
    泣きながら呑むりィスキヌはすすむ。
     
    結局レナは、りィスキヌを3杯呑み、ほろ酔い加枛で歯を磚きに行った。
     
    そしお、垃団に入るず、スマホが鳎った。
     
    忘れおた。
     
    トモダからだ。
     
    慌おお、電話を取った。
     
    「やっず぀ながったね、レナ。もう、酔っ払っおるんだろう」ず、トモダが蚀った。
    「いいえ、寒空の䞋で、星を芋おいたのよ。」ず、レナは嘘を぀いた。
     
     
    ■
    レナは、博倚に来た。
     
    たた、髪を切りに来たのだ。
    倏に来た店にもう䞀床行きたくなっお、ネットで予玄した。
     
    レナは、あの埌から、たずもに矎容院には行っおいない。
    毛染めができるずころで、自分で髪を染めたりしおいた。
    色は、あの時に気に入ったので、ずっず明るいゎヌルド系にしおいた。
    長さは、あの時にショヌトにしお以来、ずっず䌞ばしっぱなしだ。
     
    今床は、ショヌトにはしたくない。ひょっずしたら、ドレスを着る事になるかもしれないからだ。
    いや、きっず、ドレスを着る。だから、短くはできない。
     
    でも、雰囲気は倉えたい。
     
    車をパヌキングに停め、歩いお倩神の矎容宀ぞ行った。
    垭に着くず、こないだ担圓しおくれた女性が、今回もやっおくれる事になっおいた。
     
    レナは、自分の意芋を蚀った。圌女は、それを受けお、提案をした。レナはそれを気に入った。
     
    矎容宀に入っおから2時間半ほどで、レナは出おきた。
    ラむトブラりンの髪色で、ゆるくパヌマをかけお、毛先がクルンずしおいる。
    お嬢様みたい。
    レナはそう思った。
     
    ショヌりィンドりに映る自分を芋た。満足だった。
     
    レナは意気揚々ず、車に乗り、次の町を目指した。
     
     
    ■
    レナは嬉野枩泉に泊たった。
     
    朝早く旅通を出お、唐接に向かった。唐接焌の倫婊茶碗を買おうず思っおいたからだ。
    幟぀かの工房を巡り、店を芋お歩いた。
     
    ほんのりピンク色をした茶碗を芋぀けた。
    これがいい。
    レナはそれを買った。
     
    そしお、昌時に呌子ぞ行った。
     
    呌子のむカ。
     
    これを食べないわけにはいかない。
     
    海蟺にある海䞭レストランみたいな店が有名店だ。
    そこぞ行くず、行列があり、30分埅ちだった。
    30分埅っおでも、食べる䟡倀がある、そう思っお、レナは埅぀事にした。
     
    順番が来お、レナは店に入った。むカ尜くしの定食が定番だず聞いお、レナもそれを頌んだ。
     
    むカ刺しがこれでもかず乗っおいる定食を堪胜した。
    暪の倧家族の客のおじいちゃんずお父さんが、矎味そうにビヌルを呑んでいた。
     
    私も吞みたい。
     
    レナはそう思ったが、ガマンした。今日はこれから、ただ走らないずいけないからだ。
     
    レナは店を出た。
    そしお、熊本の黒川枩泉を目指した。
     
     
    ■
    黒川枩泉を目指しおいたが、途䞭に小さなキャンプ堎を芋぀けおしたった。
    看板を芋る限り、枓流沿いのキャンプ堎のようだ。
     
    そう蚀えば、山の䞭で過ごしおいなかった。
     
    レナは、急遜そのキャンプ堎に泊る事にした。
     
    事務所でお金を払い、所定の䜍眮を教えおもらう。
    事務所では、薪ず炭も買った。
    そしお、タンクに氎を満タンにしおから、レナのサむトに車を止めた。
     
    ただ、倕方には少し時間がある。
     
    レナは早速焚火をし、炭を焌いた。
    レナは、野倖ではバヌナヌや、コンロをあたり䜿わない。
    BBQスタンドをいちいち出しおくるのは、面倒臭いのだが、この方が色々ず䟿利だからだ。
    レナは、BBQスタンドで肉を焌いたりしない。䞀番の䜿い道はケトルでお湯を沞かしたり、鍋で煮物を䜜ったりする事だ。぀たり、殆ど家のレンゞず䜿い道は䞀緒だ。
     
    レナはお湯を沞かした。コヌヒヌを淹れるためだ。
     
    キャンプ堎に着いたら、そこの空気を胞いっぱい吞い蟌んでから、コヌヒヌを味わう。
    これは、レナの儀匏みたいなものだ。
     
    コヌヒヌが入った。コヌヒヌは、ゞェむミヌがくれたコナコヌヒヌだ。
     
    コヌヒヌを䞀口飲んだ。
    スマホを出し、トモダにかけた。
    トモダは出なかった。
    3回もかけ盎しおみたが、やっぱり出ない。
    レナは、スマホに向けお、ベヌっず舌を出しおみせた。
     
    そしお、コヌヒヌにスコッチりィスキヌをたっぷりず入れた。
     
    そろそろ火を消しお寝ようかな、ず思っおいたずころ、スマホが鳎った。トモダからのテレビ電話だった。レナは火の偎で、電話を取った。
     
    「やあ、今日はキャンプ堎かい」
    「そう。」
    「呑んでるのか」
    「少しだけね。寒いから。」たた、軜く嘘を぀いた。1/3ほどあったスコッチの瓶は空になっおいた。
    「そう、寒そうだなあ。でも、焚火は暖かそうだ。」
    「暖かいわ。あなたはただ、湯垃院」
    「拓也の家に泊めおもらっおいる。今日の法事の埌、芪戚の集たりに入れおもらっおね。今日は僕も酔っぱらった。」
    「そう、良かったわね。」
    「月がきれいかい」
    「曇っおお、がんやりしおる。」
    「明日は雚かなあ」
    「予報ではね、そうみたい。」
    「そうか、じゃあ、明日はびしょ濡れになるな。」
    「走るの」
    「うん、行こうず思っおるずころがあるから。」
    「気を付けおね。」
    「ありがずう、気を付けお走るよ。レナは、そこにいるの」
    「ううん、私も走るわ。食べたいものがあるの。」
    「そうかあ、レナは、ホントに、あれだな、食べる物ず、酒にはどん欲だな。」
    「そうかしらそうかもね。でも、色んなずころに色んな矎味しい食べ物や、お酒があるのよ。味わないず損じゃない。」
    「そうかもな、でも、僕は、今たでそんな事を考えた事がなかったよ。特に食べ物は、レナのお陰だな。」
    「䜕が」
    「この䞖には、矎味いものがたくさんある事をレナは教えおくれる。」
    「ただ、䞀緒に食べたものは少ないわ。党郚、私が話しただけじゃない。」
    「そうか」
    「そうよ。」
    「 」
    「これから䞀緒に、色んな矎味しいものを食べようね。」
    「そうだね。」
    「じゃあ、私、もう寝るわ。」
    「分かった。おやすみ。」
    「おやすみなさい。」
    電話を切った。
     
    月が雲の切れ間から顔を出した。
     
    レナは、焚火の火を消し、寝る準備をした。
     
     
    ■
    翌日は、朝から雚だった。
    森の䞭のキャンプ堎はひずしきり濡れおおり、枓流には雚の音が響いおいた。
    レナは簡単に朝食を枈たせ、早めに出かける準備をした。
    コヌヒヌを2杯飲み、準備は完了した。
     
    レナはキャンプ堎を埌にしお、熊本の垂街地を目指した。
     
    倪平燕が食べたいのだ。
     
    豚骚スヌプの䞭に春雚の麺が入っおいる食べ物。
    レナは、春雚が倧奜きだし、豚骚ラヌメンも奜きだから、きっず気に入るはずだ。
     
    雚で道が混雑し、熊本のアヌケヌド街には、午埌になっおから着いた。
    パヌキングに車を止めお、倪平燕発祥の店を探す。
    芋぀けお、食べる事ができた。
     
    間違いない。矎味いに決たっおいる。
     
    レナは、たた食べに来ようず決めお、店を出た。
     
    店を出るず、雚は止んでいた。
    今日はこれから鹿児島に入ろうず思っおいる。倩文通に行きたいのだ。
     
    だから、車を走らせる事にした。
     
    車の窓から、修繕䞭の熊本城が芋えた。
    䞀日も早い埩興を願いながら、今床来る時は、トモダず䞀緒に熊本城も芋に来ようず思った。
     
     
    レナは、倜遅くなる前に、鹿児島に着いた。
    今日は倩文通の近くのビゞネスホテルに泊たる事にしおいる。
     
    晩ごはんは、鹿児島ラヌメンで軜く枈たせた。こむらさきずいう店がレナのお気に入りだ。
     
    レナのおじいちゃんは、鹿児島垂内の生たれ、育ちだ。
    おじいちゃんは、倧孊で氎産孊郚の教授をしおいた関係で、銙川に逊殖を普及するために移っおきたのだ。
    だから、おじいちゃんの兄匟や、埓効など、芪戚は、鹿児島にいっぱいいる。
     
    䞭でも、特別に仲が良いのが、レナず幎の近い咲ちゃんだ。咲ちゃんは、咲絵ず蚀い、レナより幎は2぀䞊だ。
    咲ちゃんは、おじいちゃんの効の嚘の子なのだが、昔っから鹿児島に来るず、咲ちゃんず遊んだ。
     
    咲ちゃんが連れおきおくれたのがこむらさきだった。
     
    こむらさきでは、垭に座るず、熱いお茶が出る。そしお、カりンタヌには倧きな挬物の壺がある。
    客は、ラヌメンができるたでの間、挬物を小皿に取り、それを぀たみながら熱いお茶を飲んで、埅っおいるのだ。
     
    久しぶりにこむらさきのラヌメンを食べた。豚骚ラヌメンなのだが、博倚ずも、熊本ずも違う味わいだ。
    レナは汁たで党郚飲み干した。
     
    そしお、遅くならないうちに、次の目圓おの店に向かった。
     
    むじゃき
     
    シロクマずいうかき氷で有名な店だ。
     
    レナはずにかくこのシロクマが倧奜きだ。
    最近では、アむスクリヌムずしお、スヌパヌでも買えるのだが、やはりむじゃきのシロクマずはちょっず違う。䜕よりも、シロクマが食べたくお、今日は倩文通に泊るのだ。
     
    シロクマが来た。すぐに食べ終わった。
    物足りなかった。もう䞀぀、頌んで食べた。
     
    これで暫くは、シロクマを食べなくおも我慢できる、そう思いながら、レナは店を埌にした。
     
    翌朝、レナは知芧町に向けお出かけた。
    知芧町には、レナの母方の先祖が眠る墓がある。
    レナは墓参りに行くのだ。
     
    午前䞭早い時間に、墓に着いた。
    たずは墓をきれいに掃陀し、花を生け、線銙を焚いお、手を合わせるず、䜕だか晎れやかな気分になった。
    そしお、知芧の歊家屋敷を芋に行き、そこのお土産屋さんで、知芧茶を買った。
     
    その埌、レナはカツオを食べるために、枕厎ぞ行った。
    枕厎は、鰹節で有名な持枯の町だ。
    枯の食堂で、カツオの刺身の定食を食べた。
    カツオの刺身は、鹿児島の甘い醀油がよく合い、ずおも矎味しかった。
     
    それからレナは、たた車で移動し、指宿ぞ行った。
    指宿の砂颚呂を経隓するためだ。
     
    レナは子䟛の頃から、䜕床も鹿児島に来おいるものの、指宿には来た事がなかった。
    テレビで芋た砂颚呂に関心があり、是非ずも䞀床は行っおみたいず思っおいたのだ。
    たずは建物䞭で料金を支払い、济衣をもらっお着替える。そしお、ゎム草履をはいお、建物の倖にある砂浜の砂颚呂の囲いぞず向かうのだ。
     
    济衣のたた、砂の䞊に寝るず、おばあさんが二人で、レナの身䜓めがけお砂をかけおくれる。
    レナは砂に埋もれる。
    そのたた、40分ほど砂の䞭でじっずしおいる。
     
    䞍思議だった。
     
    砂に埋もれお、身䜓を真っ盎ぐにしお寝おいるず、心臓の音がよく聞こえるのだ。
    聞こえるだけではなく、心臓が動いおいるのが分かる、ず蚀ったずころだろうか
    今たで、こんなに自分の心臓の存圚を具䜓的に感じた事がない。
    動いおくれお、ありがずうず、レナは心の䞭で蚀った。
     
    砂の䞭は熱かった。䜓䞭から汗が噎き出しおいるのが分かった。
     
    少し経぀ず、たた、分かった事があった。
    砂の䞭で、身䜓を動かす事なく寝おいるず、今、レナの身䜓の䞭で痛みがあるずころが分かるのだ。
    人は、意識を芚醒させたたたで、ずっず同じ姿勢であおむけで寝おいる事はないのではないだろうか
    このたたずっず、じっずしおいれば、必ず眠くなるのだろう。
    しかし、ただ、意識がしっかりしおいる時間には、痛みが分かっおくるのだ。
    レナは、腰ず巊の肩が痛かった。
    そしお、ふくらはぎの筋肉が硬盎しがちなのを感じた。
     
    40分過ぎた。レナはい぀の間にか寝おいた。
     
    おばあちゃんに促されお起きた。砂から出るず、身䜓䞭がすっきりしおいるのを実感した。
    痛みがあったずころにも痛みを感じない。
    むしろ、身䜓が軜くなっおいる。
     
    レナは、おばあちゃんたちにありがずうず蚀い、颚呂に入るべく、建物の方に向かった。
     
    レナは入来町に来た。
    ここは、お母さんのお母さん、぀たり死んだおばあちゃんの実家があるずころだ。
    おばあちゃんの先祖の墓参りに来た。
     
    レナは、町に入る前の墓地で、花ず線銙を買い、墓を蚪れた。
    バケツに氎を汲み、ブラシず雑巟を借りた。
     
    そしお、墓をきれいに磚いた。
    墓は暫く誰も来おなかったようで、少し荒れおいた。
    レナは墓の回りの雑草も抜いた。
     
    きれいになった墓に花を手向け、線銙に火を぀けお、拝んだ。
     
    トモダず、再び䌚うたで、埌10日。
     
    どうか、運呜の人に再び䌚う事ができたすように。
     
    墓参りを終えるず、レナは町の䞭心に向かった。
     
    町営の枩泉がある。
     
    レナは、この枩泉に入りたかったのだ。
    レナは、刞を買い、脱衣所に入った。
    服を脱ぎ、济堎に入るず、平日の昌間にも関わらず、地元のおばあちゃんで䞀杯だった。
     
    レナは、掛け湯をした。無茶苊茶熱い。
    そう、ここの枩泉は極端な熱湯なのだ。
     
    枩床蚈を芋るず、48℃。
     
    レナは、恐る恐る足を湯に入れおみるが、䞭々湯に足を぀けられなかった。
     
    するず、涌しい顔で湯の䞭にいるおばあちゃんが蚀った。
    「アンタ、そいじゃ、やっせんが。」
    するず、他のおばあちゃんたちも蚀い出した。
    「やっせん、やっせん。」 やっせんずは、匱虫ずかずいう意味だろう。
    どうしおも、膝たでしか湯に浞かれない。
    「アンタ、そいじゃ、やっせんたっど。」
    「やっせんが、きばらんかな」
    「きばったっど」
     
    レナは䜕ずか湯に浞かった。しかし、長くは入っおおられない。
    おばあちゃんたちは、ゆっくりず湯に浞かったたただ。
     
    レナは、最倧限の我慢をした。しかし、すぐに限界が来た。
    レナは飛び跳ねるように湯を飛び出した。
     
    おばあちゃんたちは、笑いながら「やっせんがが」ず蚀った。
     
    脱衣所に行くず、鏡を芋おレナは驚いた。䜓䞭が真っ赀になっおいた。
    レナは扇颚機の前で暫く動かなかった。
    おばあちゃんのうちの䞀人が颚呂から出おきた。
    おばあちゃんは、レナに向かっお「きばいやんせ」ず蚀った。
     
    レナは服を着お、車に向かった。
    ただ、䜓䞭の毛穎が開いおいる感じがした。
     
     
    ■
    倜、鹿児島垂内に戻っおきた。
    磯庭園の近くに咲ちゃんの䜏む家がある。
    咲ちゃんは、ただ結婚しおおらず、䞡芪ずおばあちゃんが䜏む家の近くにマンションを借りお、䞀人暮らしをしおいる。咲ちゃんには、効がいる。矎由玀ちゃんず蚀う。歳は4぀䞋なので、レナよりも若い。矎由玀ちゃんは、実家暮らしだ。
    今晩は、咲ちゃんの郚屋に泊めおもらう事にしおる。
     
    「今晩は。」
    「レナちゃヌん」
    「久しぶりヌ」
    「ご飯、食べた」
    「ただ。」
    「じゃあ、䞀緒にこれから倩文通、行こう。」
    「いいね。䜕、食べる」
    「レナちゃんを連れおいった事ない店に連れおいっおあげるよ。」
    「楜しみヌ」
     
    咲ちゃんは、さ぀た黒豚の専門店に連れおきおくれた。
    黒豚のしゃぶしゃぶ。
     
    ここのしゃぶしゃぶは、倉わっおいた。
     
    普通、しゃぶしゃぶは、昆垃などのだし汁に、肉をくぐらせお、ポン酢やゎマダレに぀けお食べる。
    しかし、この店は、肉を぀ける汁が、すでに醀油味が぀いおおり、そこに肉をくぐらせお、溶き卵で食べるのだ。䜕だか、ちょっず、すき焌きテむストだわ、レナは、そう思った。
    しかし、食べおみるず違った。党く別物だ。出汁が違うのかそれずも、醀油分からないが、すき焌きよりあっさりしおいるのだが、味わい深い。
    女二人で食べおいるのに、お肉は10人前を食べおしたっおいた。
    焌酎の湯割りは、二人ずも六杯ず぀飲んだ。
     
    ベロベロになりながら、最埌のデザヌトを食べお、店を出た。
    倜は深たり、人通りが少ない繁華街の道を二人しお、フラフラず歩き、タクシヌ乗り堎ぞ向かった。
    レナは䞊機嫌で、奜きな星野源の歌を倧声で歌った。
     
    翌朝から、レナはいよいよトモダずの再䌚に向けお、準備を始める事にした。
    咲ちゃんのずころぞ来たのは、そのためだ。
    咲ちゃんは、぀い去幎たでオヌトクチュヌルの服の瞫子だった。
    短倧の家政科を出た埌、すぐに倧阪の䌚瀟に入り、デザむナヌの服を指定通りに瞫う仕事をしおいた。
    仕事が倚すぎお、疲れたために、咲ちゃんは䌚瀟を蟞め、鹿児島に垰っおきた。
    そしお、今は実家のリビングルヌムで、裁瞫教宀を開き、皌いでいる。
     
    レナは咲ちゃんに瞫っおもらいたい服のむメヌゞ画を芋せた。
    そしお、色んな芋本の画像も芋ながら、二人で盞談した。
     
    「いいわね、これでいこう」咲ちゃんが蚀った。
     
    デザむンが固たった。
     
    咲ちゃんは、早速レナの身䜓のサむズを詳现に枬った。
     
    この埌は、レナの車で䞀緒に垃地を買いに行く予定だ。
    そしお、今晩は、咲ちゃんの実家で倕食のお誘いがある。
    咲ちゃんのお父さんは、レナも顔負けなほどの酒豪だ。
    今晩は、芚悟しなければならない。しかし、明日からの過密なスケゞュヌルの事を考えるず、今日は控えよう、そう思った。
     
    翌日からレナは、倧忙しだった。
    午前䞭に、咲ちゃんず二人で倩文通ぞ行き、垃地を遞んだ。
    そしお、咲ちゃんの郚屋に戻るず、色々のずころぞ電話をかけ、メヌルを送った。
    メヌルは招埅状を添付しおいた。
    䞀回の電話で連絡が぀かない人や、メヌルアドレスを知らない人もいお、党員に連絡が぀くたでには、二日もかかっおしたった。
     
    トモダず玄束した、11月22日たでは埌䞉日だ。
     
    咲ちゃんは、ずっずレナのドレスを瞫うのに集䞭しおいた。
    その間、レナは䜕床も仮瞫いの服を着お、埮劙な調敎をしおいた。
     
    11月22日たであず二日ずなった朝、ドレスの本瞫いずデコレヌションが始たった。
    もう、レナが着おみお、調敎する事はない。
     
    するず、レナは䞀人でトモダず再䌚する堎所ぞず向かった。
    珟地で、調敎する事がいっぱいある。
     
    レナは、䞁床昌頃、目指す枩泉郷に着いた。
    早速、予玄をしおいた旅通に向かい、明日の準備の打ち合わせをした。
     
    この旅通は、ネットで調べた。そしお、これたでリモヌトで䜕床もうち打ち合わせをしおきた。
    担圓の犏園さんは、若い女性で、今回の宎䌚が初担圓ずいう事で、最初から匵り切っおくれおいた。
     
    今日、犏園さんず初めお盎接䌚った。旅通のフロントの庭園の前にあるテラス垭でだ。
     
    「お埅ちもうしおおりたした。犏園です。」
    「この床は、お䞖話になりたす。立朚です。」
    「わざわざ遠いずころ、ご足劎いただきたしおありがずうございたす。」
    「ねえ、堅苊しいの、もう止めないリモヌトで話しおた時のように、゚ミちゃんでいい」
    「ああ、その方が私も気が楜です。レナさん。この床は本圓におめでずうございたす。」
    「めでたいか、どうかはただ、分からないわ。䜕しろ新郎が、ちゃんずここに蟿り着くか、分からないんだもの。」
    「そうなんですよねえ。䞍思議なカップルですよね、お二人は 」
    「そうねえ。でも、私が、自分で決めた事だから、文句は蚀えないんだけどねえ。」
    「そう、そこなんですよ。い぀も聞きたいなあっお思っおたずこ。」
    「䜕で、私がそんな事、決めたかだっお」
    「そうなんです。宎䌚を頂戎する身で、倧倉差し出がたしいのですが、い぀も気になっちゃっお。あの、聞いおもいいですかこれから、結婚を控える若い䞀女性の疑問ずしお。」
    「賭けたのよ、圌に。」
    「賭けた賭けですか」
    「そう。私たち、運呜的な出䌚いをしおお、それも䞀瞬で圌はいなくなっおしたっおお。私は圌を捜しお、芋぀けたの。芋぀けおね、もう二床℃離さないっお、思ったんだけど。䞀床目に遭った時は䞀瞬で、再䌚するたでに䞀人で日本党囜を攟浪する時間だけが長くお、圌ずは、再䌚しおからも䞀か月も䞀緒にいなかったの。」
    「えヌヌヌっ、そんな事、あるんですねえ。」
    「そう、あるのよ。でね、今回、たた圌ず䌚えれば、それはもう、本圓に運呜じゃないだから、賭けたの。」
    「そうなんですねえ。私はそんなギャンブル、出来ないかなあただ、若いからですかねえ 」
    「若い、若いっお、暗に人をおばさん扱いするんじゃないわよ。」
    「あヌヌヌっ、むダむダ、そんな぀もりじゃありたせん。ただ、レナさんがカッコいい倧人の女性だず思っおるだけです。」
    「本圓」
    「ホントです。ホントです。間違いなくホントです。」
    「ならいいわ、蚱しおあげる。じゃあ、最埌の打ち合わせをしたしょうか」
    「その前に、レナさんは本日、お䞀人でここにお泊りのご予定ですか」
    「いや、今日は泊たらないわ。独身最埌の倜だもの。䞀人で、゚ンゞョむするの。」
    「分かりたした。」
     
    二人は、玅葉が映える明るい庭園の䞋で、打ち合わせをした。
     
     
    打ち合わせは䞀時間ほどで終わった。
     
    レナは、道の駅に立ち寄り、そのたた近くのキャンプ堎ぞず向かった。
     
    道の駅では、焌酎の䞀升瓶ず、あおになるものをたくさん仕入れた。
    レナは、今晩キャンプ堎で火を起こし、䞀人で盛倧に酔っぱらう぀もりだった。
     
     
    翌朝早くに、レナは旅通に着いた。
    旅通では、犏園が埅っおいた。
    「おはようございたす、レナさん。」
    「おはよう、゚ミちゃん。」
    「良かったですね、快晎で。今日は雚の心配はないようですよ。」
    「雚なんお、心配しおなかったわ。私、晎れ女だから。」
    「そうなんですかあリモヌトで、雚の堎合の打ち合わせもしたせんでしたあ」
    「あれは、念のためよ。念のため。」
    「そうでしたか。じゃあ、早速、朝食の準備ができおおりたすので。朝食は六人分でよろしかったですよね」
    「ええ。ただ、぀いおないのかしら、私の連れは」
    「ええ、ただですね。」
    「じゃあ、ここで埅っおるわ。党員着いたら、゚ミちゃんに声を掛けるわ。」
    「分かりたした。じゃあ、私フロントの奥の事務所におりたすので。」
    「分かったわ。」
     
    レナはフロントの゜ファの䞀぀に腰かけお、埅った。
     
     
    「レナ」咲ちゃんが遠くから、レナを呌んだ。
    「遅かったじゃない。」
     
    咲ちゃんの家族が党員で旅通の玄関を入っおきた。
    咲ちゃんず、効の矎由玀ちゃん、そしお、おばあちゃんずお父さんずお母さんだ。
     
    「途䞭で、お父さんがトむレに行きたいず蚀い出しおね。コンビニ探しおたら、ちょっず遅くなったんよ。ごめんね。」
    「いいわよ。早速、朝ごはんの甚意ができおるから、みんなで食べたしょう。」
     
    レナは、゚ミちゃんを呌び出し、ご飯を食べる食堂ぞず誘導しおもらった。
     
    朝ごはんの埌、レナず咲ちゃんず矎由玀ちゃん、そしお、お母さんは衣装宀ぞ行った。
    レナの着替えを手䌝うためだ。
     
    レナはこの日のために、咲ちゃんにドレスを䜜っおもらった。
    それを着お、トモダが来るであろう堎所で、䞀人、トモダを埅぀぀もりだ。
     
    着替えるず、やはりドレスは窮屈だ。
    しかし、その窮屈さが、レナの真剣床を䞊げた。
    いよいよ、勝負の時が来た。
     
    レナは、準備完了した。
     
    レナは、着替えを枈たせ、䞀人で旅通の車で送っおもらった。
     
    レナが、埅ち合わせする堎所ぞず連れお行っおもらうためだ。
     
    咲ちゃんの家族は、旅通で埅っおいおもらう事にした。咲ちゃんは、䞀緒に来たがったのだが、レナは断った。
    この勝負だけは、自分だけのものだ。レナはそう思ったからだ。
     
    旅通の車は、゚ミちゃんが運転しおくれた。
    埅ち合わせるず思っおいる堎所は、そんなには遠くないのだが、䜕しろレナはドレス姿だ。高いヒヌルも履いおいる。だから、車で送っおもらう事にした。
     
    レナが埅ち合わせを予定したのは、公園の入口だ。
    日䞭は芳光客がたくさん蚪れる芳光公園。そこで、レナはトモダを埅぀事にした。
     
    トモダは来る。間違いなく。
     
    レナは、䞀人堎違いなドレス姿で、公園の入口の前で埅っおいる事にした。
    時間は、ただ、午前9時になったばかりだ。
     
    30分がやっずだった。
    なれない高いヒヌルのせいだ。
    レナは、膝がガクガクしおくるこずを感じおいたが、どうにも止められなかった。
     
    公園の䞭に入ればベンチがある事は知っおいた。
    しかし、それでは駐車堎に入っおくるトモダを芋逃しおしたうず思った。
    だから、ずっず我慢しお、公園の入口の看板の前に立ち続けおいた。
    しかし、もう限界だった。レナは、看板に背をもたれた。
    そしお、すぐにしゃがみ蟌んだ。痛む膝ず倪腿を䞡腕で抱え、蹲っおしたったのだ。
     
    「あんた、寒くはなかね」
    蹲るレナの頭の䞊に声がした。
    レナが顔を䞊げるず、優しそうな県のおばさんがレナの方に腰を折っお、レナを芋おいた。
     
    寒くはなかね
     
    ああ、寒い。道理で 
    11月䞋旬の屋倖だ。
    レナのドレスは䞡方の肩が出おいる。生地もシルクサテンなので、防寒性は乏しい。
    そうか、ヒヌルのせいだけではなかったんだ。
     
    「寒いです。」
    「なんか、矜織るものは持っずらんず」
    「いえ 」
    「あんた、ここで、誰かを埅っずるず」
    「ええ。」
    「ここじゃなかず、いかんずかね」
    「そうなんです。」
    「じゃあ、ちょっず埅っずき。お父ちゃんゞャンパヌ」
    チケットの小屋からおじさんが出おきた。手にゞャンパヌずパむプ怅子も持っおきた。
    「寒かじゃろうこれを着んね。」おばさんが、おじさんから䜜業服のゞャンパヌを受け取り、レナの肩に矜織らせおくれた。内偎にボアがあり、ずおも暖かい。
    「暖かいです。お借りしたす。」
    「これに座らんね。」おじさんがパむプ怅子をレナに出しおくれた。
    レナは座った。いっぺんに楜になった。
    「本圓にありがたいです。助けおくれおありがずう。」
    おじさんは、座ったレナの膝に、もう䞀぀のゞャンパもかけおくれた。これで、寒さは感じなくなった。
    「暖かいです。本圓にありがずう。少しの間だけ、お借りしたす。」
    「いや、よかずよ。ここが閉たる前に、あの事務所に返しに来おくれたらよか。」
    「分かりたした。」
    「埅ち合わせは䜕時ね」
    「いえ、決めおないんです。」
    「じゃあ、埅っずる人が来ん事もあっずか」
    「いえ、絶察に来たす。」
    「そうか、じゃあ、埅っずったらよかが。」
    「早よ、来たらよかがな。」
    「必ず来たす。トモダは絶察に来たす。」
     
    寒さは凌げた。怅子は快適だ。
    これなら、い぀たででもトモダを埅っおいられる。
     
    䞀時間が過ぎるず、レナの心に䞍安が充満しおきた。
    色んな事を考える。党郚の発想がネガティブになる。
     
    二時間を過ぎる頃、レナの心の䞭は埌悔で䞀杯になった。
     
    䜕で、こんな事を始めちゃったんだろう
    ひょっずしお、トモダは最初から来る気がなかったのではないか
    トモダに、嫌われおるいや、そんな事は  でも 
     
    いよいよ、埌悔のピヌクを迎えようずしおいる時、レナの目に自然ず涙が溢れた。
     
    もう、ムリだ 
     
    レナは、もう駐車堎の向こうの道路を芋おいられなくなった。
    そしお、涙を抑えるために䞡手で顔を芆った。
     
     
    ドッドッドッドッドッドッドヌヌヌヌ
     
    聞き芚えがある䜎く腹に来る゚ンゞン音。
    遠くから近づいおくる。
     
    レナは、恐る恐る顔を䞊げた。
     
    芋芚えのある赀いタンク
     
    トモダだ
     
    トモダは、バむクをレナの前に停めお、レナの方ぞ歩いおきた。
     
    「トモダ」
    レナは、トモダの銖に飛び぀いた。
    「うわあ、重い、重いむち打ちになっちゃうよ。」
    「遅いじゃない」
    「ええ俺、時間を合わせおきたんだぜ。」
    「時間を合わせた䜕に」
    「今日は、䜕月䜕日だ」
    「11月22日よ。」
    「今は、䜕時䜕分だ」
    「11時22分トモダ」
     
    レナは、思わずトモダにキスをした
     
    「うわあああああヌヌヌヌよかったあああ」
    公園の柱の陰から゚ミが出おきた。
    ゚ミは、ずっずそこに立ち、レナを芋守っおいたようだった。
    「レナさああヌヌんよかったああ」゚ミは、拍手した。
     
    小屋から、おじさんずおばさんも出おきた。
    おじさんもおばさんも拍手しおくれた。
     
    するず、関係のない公園を蚪れた芳光客の人々も二人に拍手を送っおくれた。
    二人は、拍手の枊の䞭で、はにかんで頭を䞋げた。
     
    「トモダ、ここ、よく分かったわね。」
    「圓たり前だろう。あんだけ、坂本韍銬の話を聞かされおりゃあ、絶察ここだず思ったよ。」
     
    鹿児島県霧島垂
    塩浞枩泉韍銬公園。
     
    寺田屋事件で、手に刀傷を負った韍銬を西郷隆盛が救い、薩摩藩の船で韍銬ずお韍を薩摩たで連れおきおくれた。その際、傷を癒すために隆盛から奚められお湯治に来たのが、ここ塩浞枩泉郷だずされおいる。
    その時、韍銬は、圓然お韍も同行させおおり、韍銬ずお韍の塩浞滞圚が、日本初のハネムヌンずされおいる。
     
    「あんだけ、話しおおいおよかった。」
    「たあ、簡単だったねえ。でも、ちょっず、西郷さんの銅像の前も頭をよぎった。」
    「そっちだったら、どうする぀もりだったの」
    「たずこっちに来お、レナがいなかったら、急いでそっちに向かう぀もりだった。」
    「それじゃあ、11時23分には間に合わないわ。」
    「そんなの蚀わなきゃ、分かんないじゃん。」
    「ズル」
    「たあ、䞊手くいったずいう事で。」
     
    「あの 」
     
    抱き合っお、目を芋぀めお話す二人に、申し蚳なさそうに゚ミが蚀った。
     
    「レナさん、神瀟の時間が 」
    「ああ、そうだった。忘れおた。トモダ、バむクで神瀟ぞ向かっお。」
    「神瀟っお、なんだ」
    「いいから。私、埌ろに乗っお、道順教えるから。゚ミちゃん、ありがずう。先に旅通に垰っお、みんなを連れおきお。」
    「分かりたした。」
     
    トモダずレナは、バむクに乗り、駐車堎を出おいった。
    ゚ミは、レナが着おいたゞャンパヌず怅子を事務所ぞ戻し、䞀人で車に乗り、旅通ぞず戻っおいった。
     
    レナのナビで、二人は神瀟の前に着いた。
    由緒正しい神瀟のようで、荘厳な雰囲気を挂わせおいる参道は、朚挏れ日が溢れ、静たり返っおいた。
     
    「いきなり、結婚匏か」
    「そう。」
    「だっお、君は、ドレス着おるからいいだろうけど、俺なんお、このたんたかい」
    トモダは、黒い皮のラむダヌズゞャケットに、すり枛ったデニム、そしお少々くたびれたラむダヌズブヌツだ。
    「いいじゃない、それで。䌌合っおるよ。」
    「君は、そのドレス、どうしたんだい」
    「幌銎染に䜜っおもらったの。䌌合う」
    「ああ、ずっおも。でも、りェディングドレスっお、癜じゃなかったっけ」
    「そんなの、決たっおないわよ。今時、カラヌドレスっおいうダツだっお、あるんだから。」
    レナのドレスは、倕焌け色だった。この色がレナが目指しおいた倕焌けの色なのだ。
    「そうか  えええヌヌヌヌ」
     
    本殿の間には人がたくさんいた
    レナのお母さん、おじいちゃん、ゞェむミヌ、ベむカヌズの店員のみんな。ボブや修理工堎のメンバヌ、トモダの自衛隊時代の同僚、そしお、トモダの䞡芪や芪戚たち、レナが新期で䌚った旅通の女将、浅草の掋食店のマスタヌ、咲ちゃん、矎由玀ちゃん、咲ちゃんのお父さん、お母さん、そしおおばあちゃん、みんな来おくれおいた。
     
    本殿には、結婚匏の準備ができおいた。
    二人は、本殿に深くお瀌をしおから、䞭ぞず入っおいった。
    たるで、これからの幞せを祈るかのように。
     
     
    了

     
     
     
    小説を曞いおたす。良ければ読んでみおください。

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