
向こうの世界が見える娘の話
ウチの娘は、向こうの世界が見える。でも、霊界というわけではない。並行世界とでもいうのだろうか? もちろん、霊も見える。ウチのマンションの映子おくさんが寝ている部屋にも一人いるのだそうだ。「でも、居るだけで別に悪いことはしないから、大丈夫」という。
何かの手続きのために市役所に行った彼女、間違って別の会議室の扉を開けたら、部屋いっぱいに龍がとぐろを巻いていた。「あれはビックリした。ゴロちゃんも気をつけたほうがいい」「アタシには見えないんだが」「あ、そっか」
彼女は、妙なものや霊が居るからと言って問題にはしない。ただ、居るとだけ認識する。「だって、居るんだもん」で終わりである。わかる人に言わせると、彼女の力がもの凄いので、そもそも向こう側からちょっかいを出そうという気にならないらしい。
アパートで一人暮らしをしていた時、彼女の部屋には霊の同居人がいたそうだ。その同居人にはたくさんの友達がいて、彼女が寝ていると部屋でパーティーをしたりする。
胸の上をどたどた踏みつけるんで、寝にくいのよね。寝るけど。
彼女が仕事から帰ってくるとテレビがついている。「勝手にテレビつけて見てる。やめなさいって注意するんだけど止めないの」ワタシと彼女の間では彼(彼女?)のことは「ふしぎな同居人」と呼び習わすようになっていた。
ある時、アパートの呼び鈴が鳴って、青い顔をした女性が玄関先に立っていた。おずおずと言う。「あのー、この家に霊がいるので、除霊させていただけませんか・・・?」
あ、その霊とは仲良くやっていますんで、大丈夫です
娘はそう言って、お引き取り願ったそうだ。