メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

職人ギルド 第1章秘密は守る。でも、存圚は隠さない

    第1話 倖泚先が消えた日


    「○○さんのずころ、閉めるらしいよ」

    その話を聞いた時、私はすぐには返事ができたせんでした。
    その人は、私がただ駆け出しだったころ、䜕床か仕事の考え方を教えおくれた職人さんでした。

    教科曞のように、手順を䞀から説明しおくれる人ではありたせん。どちらかずいうず、私が困っおいる時に、がそっず䞀蚀だけ蚀うような人でした。

    「そんなもん、そこ芋ずりゃ分かるやらヌ」 「最初から決め぀けたらあかんのだわ」 「音が倉わったら、品物がしゃべっずるんだで」

    䞉河匁䞞出しで、ぶっきらがうで、最初は䜕を蚀っおいるのか分からないこずもありたした。

    あずになっお機械の前で、「ああ、あの時の話はこういうこずだったのか」ず思うこずが䜕床もありたした。

    そういう人は、その䞀人ではありたせんでした。昔から付き合いのある工堎には、䜕人もいたした。

    電話䞀本で盞談できる人。図面を芋せるず、たず黙っおしばらく考える人。できるずも、できないずも、すぐには蚀わない人。
    「たあ䞀回、図面芋せおみやヌ」ず蚀っおくれる人。

    そういう人たちに、私は䜕床も助けられおきたした。

    その人たちの工堎が、少しず぀閉たっおいく。
    最初は䞀瀟でした。その次は二瀟。
    そしお気づけば、䜕幎も前から名前を知っおいた町工堎が、少しず぀消えおいたした。

    寂しい、ずいうだけではありたせん。もったいない、ずいう蚀葉でも足りたせん。

    䜕かが確実に倱われおいる。倖からは芋えないけれど、䜕かが消えおいる。でも、それが䜕なのか、すぐには蚀葉にできたせんでした  



    機械は残るかもしれたせん。図面も残るかもしれたせん。
    過去に䜜った補品も、どこかで䜿われ続けるかもしれたせん。

    あの人たちが図面を芋た時に、頭の䞭で䜕を考えおいたのか。どこで無理だず思い、どこでいけるず思ったのか。䜕を芋お、䜕を聞いお、䜕を感じおいたのか。

    それは、どこにも残りたせん  

    町工堎が䞀぀消えるずいうのは、建物や蚭備がなくなるこずだけではありたせん。

    そこにいた人の「刀断」が消え、その人に盞談すれば䜕ずかなる、ずいう「信甚」が消えるずいうこずです。


    私は珟圹の旋盀士です。今日も、油にたみれながら鉄を削っおいたす。

    別に、業界を倉えようず思っお仕事をしおいる蚳ではありたせん。図面を芋お、段取りを考えお、加工しお、お客さんに玍める。そんな普通の町工堎の仕事を続けおきたした。

    でも最近、同じような話を䜕床も聞くようになりたした。

    「○○さんのずころ、廃業したらしいよ」

    今では党囜で起きおいるこずだず思いたす。でも私には、それをただの時代の流れずは思えたせんでした。

    第2話 なぜ腕の良い工堎ほど芋぀からないのか

    もし今、あなたが加工先を探しおいるずしたす。

    おそらく、倚くの人は怜玢するはずです。

    「旋盀加工 愛知」「短玍期 機械加工」「倧型旋盀 察応」

    私も同じこずをしたす。でも、ここに倧きな問題がありたす。

    本圓に腕の良い工堎が、怜玢に出おくるずは限らないのです。

    私が知っおいる工堎にも、驚くほど高い技術を持っおいる䌚瀟がありたす。

    難しい仕事を頌たれ、他瀟が断った仕事が回っおきお、お客さんから信頌され、長幎地域の補造業を支えおきた。

    でも、ホヌムペヌゞがありたせん。正確に蚀えば、10幎以䞊曎新されおいない叀いサむトしかない。
    蚭備は増え、できる加工も増えおいるのに、ネット䞊では昔のたた止たっおいたす。

    なぜ発信しないのか。理由は単玔で、忙しいからです。

    朝から晩たで加工、芋積もり、段取り、材料手配、怜査、玍品の繰り返し。小さな町工堎なら、採甚も経理も掃陀も、結局自分たちでやっおいたす。 

    そんな毎日の䞭で、「SNSを曎新したしょう」「ブログを曞きたしょう」「YouTube始めたしょう」ず蚀われおも、時間がないのです。

    さらに、䜕を曞けばいいのか分からないずいう問題もありたす。
    職人にずっおは圓たり前の「今日削った材料」「䜿っおいる蚭備」「苊劎したこず」は、本人にずっおは日垞でも、発泚者から芋れば喉から手が出るほど知りたい情報です。

    ここに倧きなズレがありたす。

    発泚者は探しおいる。職人は発信しおいない。結果ずしお、すぐ近くに優秀な工堎があるのに出䌚えない状況が生たれおいたす。

    小さな町工堎にずっお、数十䞇円のHP制䜜費甚は簡単ではありたせんし、䜜ったずしおも曎新が続かず攟眮されおしたいたす。

    もっず簡単でいいはずです。

    スマホで写真を撮り、100文字だけ曞く。月に1回でもいい。
    「こんな加工をしたした」「このくらいのサむズに察応しおいたす」
    それだけで十分に意味がありたす。

    倧切なのは、立掟な宣䌝文ではなく

    「存圚を知っおもらうこず」です。

    この䌚瀟は今も動いおいる。この蚭備がある。その枩床が少し芋えるだけで、盞談のハヌドルは劇的に䞋がりたす。

    お互いの存圚を知るための、もっず小さくお続けやすい仕組み。そこに可胜性があるはずです。

    第3話 町工堎はなぜ発信しないのか

    私は、町工堎に発信する気がないずは思いたせん。

    「発信䞍足」ずいう蚀葉がありたすが、これには少し違和感がありたす。

    たるで町工堎偎が努力を怠っおいるように聞こえるからです。

    珟堎を知る人間からするず、そんな単玔な話ではありたせん。

    私たちの䞀日は、朝出勀しお、工堎のシャッタヌを開け、段取りをし、材料を準備しお加工を始める。電話が鳎り、芋積もり䟝頌が来お、協力䌚瀟ずの調敎や請求曞の䜜成に远われる。気が぀けば、あっずいう間に倕方です。

    やる気がないのではなく、続けられる圢になっおいないのです。

    私は、今日も鉄を削り、段取りをしお、寞法を出しお玍品したした。
    本人にずっおは「それだけ」の日垞ですが、発泚者や他の職人から芋れば、貎重な情報になりえたす。


    私自身、他瀟の珟堎を芋るのが奜きです。

    技術を盗もうずしおいる蚳ではありたせん。
    どうやっお仕事を回し、新人を育お、蚭備投資を刀断し、倀䞊げ亀枉をしおいるのか。

    町工堎経営は孀独です。隣の䌚瀟が䜕を考えおいるのか分からず、同じような悩みを抱えおいおも、盞談する盞手がいないこずも倚い。

    だから思いたす。発信ずは、営業のためだけではありたせん。孊びのため、お互いの知恵を知るため、そしお自分たちの存圚を未来に残すためのものです。

    珟堎の「油の匂いがする事実」には䟡倀がありたす。

    AIがどれだけ進化しおも、䞀生懞呜に珟堎ぞ向き合った人、危なくお冷や汗をかいた人にしか曞けないこずがありたす。 
    無理をせず、背䌞びをせず、珟堎の日垞を少しだけ倖ぞ出す。それだけで十分です。

    第4話 図面には曞けない技術

    私は今日もい぀も通り、図面を芋ながら仕事をしおいたす。

    時々思うこずがありたす。

    「図面には、曞かれおいないこずが倚すぎる」

    もちろん寞法、材質、公差、衚面粗さなどは曞かれおいたす。
    加工する人間からするず、図面はゎヌルではなくスタヌト地点です。


    䟋えば、材質SS400、M12、党長1000ミリ、ねじ長さ250ミリ。
    L/D長さず盎埄の比が20を超える。旋盀屋からするず、なかなか嫌な现長さです。  

    そのような図面が来たこずがありたす。

    M12ねじ長さ250mmの旋盀加工
    M12ねじ長さ250mm


    䞀般の人が芋ればただの長いねじですが、旋盀屋が芋るず違いたす。
    頭の䞭は旋盀のように高速回転「现い。長い。たわむ。ビビる。むしれるかもしれない」

    珟堎で本圓に䟡倀がある技術は、地味なものです。

    異音に気づくこず、振動の倉化を感じるこず、切粉の出方を芋るこず。加工䞭の違和感を察知するこず。
    そういう数字にならない感芚、蚀葉にしにくい経隓が、品質を支えおいたす。

    長幎付き合いのある職人さんが匕退するたびに寂しくなるのは、その人が持っおいる知識が誰にも芋えないからです。

    資栌にも数倀にも決算曞にも茉らず、匕退ずずもに消えおしたう。

    もちろん、すべおを蚀語化するこずはできたせん。守秘矩務もありたす。

    それでも、倱敗談や工倫、考え方は残せたす。
    「こういう加工で苊劎した」ずいう蚘録は残せたす。

    今たでは工堎の䞭だけで消えおいた知識が、少しだけ未来ぞ残る。それだけでも、十分意味があるはずです。

    第5話 職人ギルドずいう実隓

    秘密を守りながら、存圚だけを䌝えるこずはできないのか。

    これたで曞いおきた町工堎を取り巻く珟実に察し、私にも正解は分かりたせん。

    倧きな組織を䜜る぀もりも、誰かを管理したいわけでもありたせん。
    ただ、もっずお互いを知る機䌚があっおもいいのではないかず思うのです。

    町工堎には、難しい加工を圓たり前のようにこなす人や、独自の工倫で仕事を回しおいる面癜い人がたくさんいたす。

    物理的な図面を超えた知恵が、そこには確かにありたす。でも、その倚くは工堎の䞭だけで終わっおいたす。

    もったいないず思いたす。

    だから、䞀぀の実隓を始めたい。それが「職人ギルド」です。

    ギルドずいっおも、䌚費も、難しいルヌルも、立掟な文章もいりたせん。
    ただ、珟堎の「生きた情報」を少しだけ倖ぞ出す。私は、そういう町工堎の蚀葉を知りたいのです。 

    ただし、ここで倧切なこずがありたす。
    私は、町工堎に察しお「技術を党郚公開したしょう」ず蚀いたいわけではありたせん。

    加工屋には守秘矩務があり、取匕先の図面や、補品を特定されるような写真を勝手に芋せるこずはできたせん。苊劎しお身に぀けたノりハりを、簡単に衚ぞ出したくない気持ちもよく分かりたす。

    職人ギルドは、秘䌝やノりハりをさらけ出す堎所ではありたせん。

    「こういう仕事に向き合っおいる工堎がある」「この地域に、ただ頌れる町工堎がある」 それが䌝わるだけでいいのです。

    材質や具䜓的な図面は出せなくおも、䟋えば、noteに、こんな颚にスマホから盎感的に発信するだけで十分です。


    
    【町工堎のリアルな発信䟋】

    「長尺物の図面を芋お芋積もりした。サクッず終わらせる぀もりが、実物を芋お驚愕。オッ想定以䞊に長くおデカい芋積もりやらかした(Žω`) 」


    「薄肉の品物で少し苊劎した。材料のひずみなんお、想定できるや぀いないだろヌヌヌ、、、、内郚応力🀔💡䜕ずか補品に出来たした✌('ω'✌ )」


    「焌き入れ前の荒加工したした。そこから研磚です。結果、焌き入れしたら、想定以䞊に瞮んで、、、、( Д`) 」


    


    はたから芋るず、リアル「ちょっず䜕蚀っおるか分からない」状態かもしれたせん。
    しかし、同業者が芋れば、现かい数倀が曞かれおいなくおも

    「ああ、あい぀今、あの修矅堎にいるんだな」「分かるわ、そのひずみ」ず手に取るように䌝わりたす。

    党郚を曞かなくおも、考える䜙癜は枡せる。

    もし信頌を築けたら、そこにこそ、町工堎同士が぀ながるヒントがあるず思っおいたす。 


    私は以前、町工堎に必芁なのは営業力だず思っおいたしたが、本圓に必芁なのは「ネット䞊に、自瀟の看板を少しず぀立おおいくこず」なのではないでしょうか。

    AIや自動芋積もりも進化しおいたす。実際、この文章もAIの力を借りお曞いおいたす。
    矎しい文章を毎日曞いおいる人から芋たら怒られるかもしれたせんが、珟堎を止めるわけにいかない、1分1秒が惜しい職人だからこそ、絵文字混じりの䞀蚀でも参加できる、極限たでシンプルな仕組みが必芁なのです。


    成功するかは分かりたせん。䜕もしなければ、知っおいる工堎の名前がたた䞀぀消えおいくだけです。
    私は特別な人間ではありたせん。ただ、珟堎を芋おきた䞀人ずしお、このたた黙っお芋おいるだけでは嫌でした。だから始めたす。

    もしこの蚘事を読んで、少しでも同じこずを感じた人がいたら。 たずは、あなたの䌚瀟の話を、守れる範囲で少しだけ教えおください。 それが、職人ギルドの最初の䞀歩になりたす。

    第1ç«  完

    続きはこちらです。

    職人ギルド 第2章なぜ町工堎にnoteが必芁なのか
    ここから、職人ギルドをnoteでどう始めるのかを曞いおいたす。


     
     
    個人経営の珟圹旋盀士。旋盀奜きに向けた技術ブログを運営䞭。noteでは町工堎の発信ず職人ギルド構想を曞いおいきたす。 旋盀ブログhttps://info-lathe1000.com/

    あなたぞのおすすめ