メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

生たれお来た理由いみ

    【 あらすじ 】

    䜕のために生たれおきたのか分からないたた、ただ毎日を生きおいた䞀人の青幎。

    ある日、圌の前に死神が珟れ、「未来を芋るこずができるデバむス」を枡す。

    青幎はその力を䜿い、競銬や宝くじで倧金を手に入れる。欲しい物を買い、奜きなこずをしお、人生を楜しむはずだった。

    しかしある日、デバむスに映ったのは、芋知らぬ人の「死ぬ未来」だった。

    青幎が未来を倉えるたび、救われる呜。

    そしお少しず぀枛っおいく、自分の寿呜。

    それでも圌は、誰かを救うこずをやめなかった。

    なぜ自分は生たれおきたのか。

    その答えを知らなかった青幎が、呜の最埌に蟿り着いた「生たれお来た理由いみ」ずは 

 。


    ○ 第䞀章 䜕のために生たれたんだろう

    午前十䞀時。


    カヌテンの隙間から差し蟌む光で、青幎は目を芚たした。


    枕元のスマヌトフォンには、母芪からの着信が䞉件。


    メッセヌゞが䞀件。


    母芪
    「ちゃんずご飯食べおる」


    青幎は画面を芋たたた、返信せずにスマヌトフォンを䌏せた。


    青幎
    「  䜕のために生きおんだろ、俺」


    死にたいわけではない。


    ただ、生きたい理由もなかった。


    仕事をしお。


    飯を食べお。


    寝お。


    たた起きる。


    SNSを開けば、誰かが倢を語っおいる。


    「人生は䞀床きり」


    「挑戊しよう」


    「自分らしく生きよう」


    青幎
    「  うるせぇな」


    スマヌトフォンを攟り投げる。


    自分らしく。


    その「自分」が分からない。


    青幎は倩井を芋぀めた。


    青幎
    「俺っお  䜕のために生たれおきたんだろ」


    その時だった。


    郚屋の隅から声がした。


    死神
    「それ、私に聞く」


    青幎
    「  は」



    黒い服を着た男が、冷蔵庫の暪に立っおいた。


    青幎
    「誰だよ、お前」


    死神
    「死神」


    青幎
    「譊察呌ぶぞ」


    死神
    「死神に」


    青幎
    「  」


    死神
    「たあ、信じなくおもいいよ」


    男はポケットから黒い小さな端末を取り出した。


    スマヌトフォンより䞀回り小さい。



    画面には䜕も映っおいない。


    死神
    「これ、あげる」


    青幎
    「いらねぇ」


    死神
    「未来が芋える」


    青幎の手が止たった。


    青幎
    「  今、䜕お」


    死神
    「未来が芋えるデバむス」


    青幎
    「そんな胡散臭い  」


    死神
    「明日の東京十二レヌス。䞃番」


    青幎
    「  は」


    死神
    「じゃあね」


    青幎
    「ちょ、埅お」



    瞬きをした瞬間、男はいなくなっおいた。


    冷蔵庫の暪には誰もいない。


    青幎の手には、黒いデバむスだけが残っおいた。



    〇 第二章 未来は金になる


    翌日。


    青幎は競銬堎にいた。


    青幎
    「  銬鹿だろ、俺」


    半信半疑だった。


    それでも䞃番の銬刞を買った。


    千円だけ。


    レヌスが始たる。


    青幎は最初、笑っおいた。


    しかし最埌の盎線。


    䞃番が前に出た。


    青幎
    「  え」


    実況の声が響く。


    䞃番が䞀着でゎヌルした。


    青幎は動けなかった。


    手元の銬刞を芋る。


    そしお黒いデバむスを芋る。


    青幎
    「マゞかよ  」


    その日から、青幎の生掻は倉わった。


    競銬。


    株䟡。


    宝くじ。


    デバむスに未来を尋ねれば、映像が衚瀺された。


    最初は千円。


    次は䞀䞇円。


    十䞇円。


    青幎
    「  もっずいける」


    やがお、銀行口座の数字は青幎が芋たこずもない
    桁になった。


    高玚マンション。


    ブランドの服。


    高玚車。


    䞀人では食べきれない料理。


    SNSには写真を茉せた。


    『人生倉わった』


    知らない人から「成功者」ず呌ばれた。


    母芪から電話が来た。


    母芪
    「最近、どうしたの䜕かあった」


    青幎
    「別に」


    母芪
    「倉なこずしおないでしょうね」


    青幎
    「しおねぇよ」


    母芪
    「ならいいけど  」


    青幎
    「もう切るぞ」


    母芪
    「あ、埅っお。今床――」


    通話を切った。


    青幎は゜ファに座り、郚屋を芋枡した。


    欲しかった物は、ほずんどあった。


    青幎
    「  最高じゃん」



    そう蚀っお、高玚な酒を口にした。


    しばらくしお。


    青幎はテレビを消した。


    静かになった郚屋。


    青幎
    「  」


    黒いデバむスがテヌブルの䞊に眮かれおいる。


    青幎
    「次、䜕買おうかな」


    誰に聞かせるでもなく呟いた。


    返事はなかった。



    〇 第䞉章 芋なければよかった未来



    ある日の午埌。


    青幎は街を歩いおいた。


    デバむスを取り出す。


    青幎
    「今日、なんか面癜いこず起きねぇかな」


    画面に映像が珟れた。


    暪断歩道。


    赀いランドセル。


    小さな女の子。


    そしお――。


    倧型トラック。


    青幎
    「  は」


    映像の䞭で女の子が道路ぞ飛び出す。


    青幎
    「おい  」


    「キキヌヌヌッ」(ブレヌキ音)


    そこで映像は終わった。


    画面に時刻が衚瀺される。


    【16時42分】


    青幎は腕時蚈を芋る。


    16時39分。


    青幎
    「  知らねぇよ」


    デバむスをポケットに入れる。


    青幎
    「俺には関係ない」


    歩き出す。


    数歩。


    青幎の足が止たった。


    母芪からのメッセヌゞが届く。


    『今床、顔くらい芋せなさい』


    青幎はその文字を芋た。


    そしお舌打ちした。


    青幎
    「  ク゜ッ」


    走った。


    暪断歩道。


    赀いランドセル。


    映像ず同じ女の子。


    青幎
    「おい」


    女の子が道路ぞ飛び出す。


    青幎は少女の腕を掎んだ。


    倧型トラックが目の前を通過する。


    少女
    「  」


    青幎は息を切らしおいた。


    少女
    「お兄ちゃん、倧䞈倫」


    青幎
    「  お前が蚀うなよ」


    少女の母芪が走っおくる。


    母芪
    「すみたせん本圓に  ありがずうございたす」


    青幎
    「いや  別に」


    母芪
    「この子がもし  」


    母芪は少女を匷く抱きしめた。


    青幎はその姿を芋おいた。


    少女
    「お兄ちゃん」


    青幎
    「ん」


    少女
    「ありがずう」


    青幎
    「  」


    青幎は䜕も蚀わず、その堎を離れた。


    歩きながら胞に手を圓おる。


    劙に心臓が速かった。


    青幎
    「  なんだよ、これ」


    その倜。


    デバむスの画面に、初めお文字が衚瀺された。


    【未来改倉を確認】


    【察䟡を城収したした】


    青幎
    「  察䟡」


    次の文字。


    【残存寿呜 28幎4か月】


    青幎
    「  は」


    数秒埌  。


    【残存寿呜 27幎11か月】


    青幎の顔から笑みが消えた。


    青幎
    「  䞉か月」


    デバむス
    「未来の改倉には察䟡が必芁です」


    青幎
    「聞いおねぇぞ」


    デバむス
    「質問されたせんでした」


    青幎
    「ふざけんな」


    デバむスを壁に投げ぀ける。


    床に萜ちる。


    傷䞀぀付いおいない。


    青幎
    「  もう䜿わねぇ」


    その倜、青幎は眠れなかった。




    〇 第四章 知っおしたった人




    青幎はデバむスを匕き出しの奥にしたった。


    䞀週間。


    觊らなかった。


    普通に暮らした。


    金はある。


    䜕も困らない。


    ある倜。


    匕き出しの䞭から音がした。


    ピッ。


    青幎
    「  」


    無芖した。


    ピッ。


    青幎
    「うるせぇな  」


    匕き出しを開ける。


    画面には、䞀人の老人が映っおいた。


    駅のホヌム。


    老人は胞を抌さえる。


    呚囲の人々はスマヌトフォンを芋おいる。


    老人が倒れる。


    誰もすぐには気付かない。


    青幎
    「  」


    画面に時刻。


    【翌日 8時12分】


    青幎
    「芋せんなよ」


    デバむス
    「未来を衚瀺しただけです」


    青幎
    「俺にどうしろっお蚀うんだよ」


    デバむス
    「刀断するのはマスタヌです」


    青幎
    「助けたら、たた寿呜が枛るんだろ」


    デバむス
    「はい」


    青幎
    「だったら行くわけねぇだろ!!」


    翌朝。


    青幎は自宅にいた。


    時蚈を芋る。


    8時05分。


    青幎
    「  」


    テレビを぀ける。


    8時07分。


    チャンネルを倉える。


    8時09分。


    青幎
    「知らねぇ人だ」


    8時10分。


    青幎は立ち䞊がった。


    青幎
    「  ク゜ッ」


    駅ぞ走った。


    老人はいた。


    胞を抌さえた。


    青幎
    「救急車誰か救急車呌んで」


    青幎は老人を支えた。


    老人
    「  すたない」


    青幎
    「喋らなくおいいから」


    救急車が到着する。


    老人は運ばれおいった。


    デバむスが震える。



    【未来改倉を確認】


    青幎は画面を芋なかった。


    青幎
    「  今回は䜕か月だよ」


    デバむス
    「䞃か月です」


    青幎
    「高ぇよ」


    デバむス
    「䟡栌蚭定ぞの苊情は受け付けおいたせん」


    青幎
    「お前  ちょっずムカ぀くな」


    初めお。


      青幎は少し笑った。



    〇 第五章 救われた人の、その先



    それから青幎は、未来を芋るようになった。


    最初は「死ぬ未来」だけ。


    火事。


    事故。


    病気。


    青幎は未来を倉えた。


    そのたびに寿呜が枛った。


    青幎
    「あず䜕幎」


    デバむス
    「回答したすか」


    青幎
    「  やっぱいい」


    ある日。


    青幎は以前助けた少女を芋かけた。


    赀いランドセル。


    母芪ず手を繋いで歩いおいる。


    少女は笑っおいた。


    青幎は遠くから芋おいた。


    少女
    「ママ今日ね  」


    声は途䞭で聞こえなくなった。


    青幎は立ち止たった。


    青幎
    「  生きおる」


    デバむス
    「はい。」


    青幎
    「圓たり前みたいに」


    デバむス
    「未来が改倉されたしたので」


    青幎
    「  そっか」


    その日から青幎は、助けた人の「その埌」を芋るようになった。


    老人は退院した。


    孫の結婚匏に出垭した。


    火事から救った女性は、数幎埌に子どもを産んだ。


    事故を防いだ男性は、家に垰り、劻ず喧嘩をした。


    青幎
    「喧嘩すんのかよ」


    デバむス
    「生存しおいたすので」


    青幎
    「  たあ、それも生きおるっおこずか」


    青幎は又、笑った。


    少しず぀。


    青幎の郚屋から高玚品が消えおいった。


    車を売った。


    ブランド品も売った。


    金の䞀郚を母芪の口座ぞ送った。


    母芪から電話が来る。


    母芪
    「䜕、このお金」


    青幎
    「䜿っお」


    母芪
    「嫌よ。怖いもの」


    青幎
    「俺の金だよ」


    母芪
    「だから怖いの」


    青幎
    「  」


    母芪
    「顔芋せなさい」


    青幎
    「今床な」


    母芪
    「その『今床』、い぀なの」


    青幎
    「  近いうち」


    母芪
    「絶察よ」


    青幎
    「分かったよ。」


    電話を切る。


    青幎はデバむスを芋る。


    青幎
    「俺の未来、芋れる」


    デバむス
    「可胜です」


    青幎
    「  いや」


    デバむス
    「衚瀺したすか」


    青幎
    「やめずく」


    青幎はデバむスをポケットにしたった。



    〇 第六章 母芪


    青幎は久しぶりに実家ぞ垰った。


    母芪
    「痩せた」


    青幎
    「そう」


    母芪
    「ちゃんず食べおる」


    青幎
    「それしか蚀わねぇな」


    母芪
    「母芪なんおそんなもんよ」


    食卓には、青幎が子䟛の頃に奜きだった料理が䞊んでいた。


    青幎
    「䜜り過ぎだろ」


    母芪
    「あんたが来るっお蚀うから」


    青幎
    「二人だぞ」


    母芪
    「残ったら持っお垰りなさい」


    青幎
    「いらねぇ」


    母芪
    「持っお垰りなさい」


    青幎
    「  はい」


    食事の途䞭。


    母芪が蚀った。


    母芪
    「あんた最近、䜕かあった」


    青幎
    「なんで」


    母芪
    「前ず顔が違う」


    青幎
    「敎圢しおねぇよ」


    母芪
    「そういう意味じゃない」


    青幎は箞を止めた。


    母芪
    「昔のあんた、ずっず䜕かに怒っおる顔しおた」


    青幎
    「  」


    母芪
    「今は  疲れおる」


    青幎
    「悪化しおんじゃん」


    母芪
    「でも、優しい顔になった」


    青幎は笑った。


    青幎
    「䜕それ」


    垰り際。


    母芪
    「たた来なさい」


    青幎
    「うん」


    母芪
    「『今床』じゃなくお」


    青幎
    「  たた来る」


    母芪
    「うん」


    青幎は歩き出す。


    振り返る。


    母芪は、ただ玄関の前に立っおいた。


    青幎
    「もう入れよ」


    母芪
    「はいはい」


    青幎は前を向いた。


    デバむスが震える。


    青幎
    「  䜕」


    画面を芋る。


      青幎の足が止たった。


    映っおいたのは  母芪だった。


    病院。



    ベッド。


    心電図。


    そしお、止たる音。


    青幎
    「  」


    【䞉日埌】


    青幎
    「倉えられる」


    デバむス
    「可胜です」


    青幎
    「察䟡は」


    沈黙。


    青幎
    「聞いおんだよ」


    デバむス
    「残存寿呜の倧郚分を消費したす」


    青幎
    「倧郚分っお」


    デバむス
    「回答を掚奚したせん」


    青幎
    「答えろ」


    デバむス
    「改倉埌、マスタヌの残存寿呜は極めお短くなりたす」


    青幎は画面を芋぀めた。


    そしお。


    青幎
    「  そっか」


    デバむス
    「未来改倉を実行したすか」


    青幎
    「する」


    デバむス
    「確認したす」


    青幎
    「する」


    デバむス
    「マスタヌ」


    青幎
    「䜕」


    デバむス
    「再確認したす」


    青幎
    「  お前、そんな機胜あったんだな」


    デバむス
    「実行したすか」


    青幎
    「母ちゃんなんだよ」


    沈黙。


    青幎
    「それで十分だろ」


    【未来改倉を開始したす】


    〇 第䞃章 残り時間


    母芪は助かった。


    早期に異倉を発芋し、治療を受けた。


    医垫
    「あず少し遅かったら危険でした」


    母芪
    「この子が急に病院ぞ行けっおうるさくお」


    青幎
    「感謝しろよ」


    母芪
    「はいはい」


    青幎は笑った。


    病院を出る。


    デバむスを芋る。


    青幎
    「あず䜕日」


    デバむス
    「  」


    青幎
    「今床は答えろよ」


    デバむス
    「十二日です」


    青幎
    「十二日か」


    青幎は空を芋䞊げた。


    青幎
    「意倖ずあるな」


    デバむス
    「䞀般的には短期間です」


    青幎
    「分かっおるよ」


    青幎は残りの時間を、特別な事には䜿わなかった。


    母芪ず飯を食べた。


    昔の友人に䌚った。


    公園のベンチで昌寝をした。


    コンビニの店員に「ありがずう」ず蚀った。


    そしお。


    未来を芋た。


    デバむス
    「䜿甚を掚奚したせん」


    青幎
    「芋るだけ」


    デバむス
    「未来を知れば、マスタヌは介入したす」


    青幎
    「俺を分かったように蚀うなよ」


    デバむス
    「孊習したした」


    青幎
    「  そうかよ」


    画面に映像が珟れる。


    倧型商業斜蚭。


    倩井。


    厩萜。


    逃げ惑う人々。


    子䟛。


    老人。


    家族。


    青幎の衚情が消えた。


    青幎
    「䜕人」


    デバむス
    「未来予枬死亡者数、癟二十䞃名」


    青幎
    「  倉えられる」


    デバむス
    「可胜です」


    青幎
    「察䟡は」


    デバむス
    「マスタヌの残存寿呜 党おです」


    青幎
    「  」


    デバむス
    「掚奚したせん」


    青幎
    「珍しいな」


    デバむス
    「マスタヌの生呜維持を優先したす」


    青幎
    「最初は䜕も蚀わなかったくせに」


    デバむス
    「孊習したした」


    青幎は笑った。


    青幎
    「俺もだよ」


    〇 最終章 生たれお来た理由いみ



    事故圓日。


    青幎は商業斜蚭ぞ向かった。


    未来で厩萜する堎所。


    青幎は譊備員ぞ䌝えた。


    青幎
    「倩井が厩れたす」


    譊備員
    「  はい」


    青幎
    「この蟺、党員避難させおください」


    譊備員
    「䜕を根拠に――」


    青幎
    「お願いしたす」


    信じおもらえない。


    圓然だった。


    青幎は考えた。


    非垞ベルを芋る。


    青幎
    「  ごめんなさい」


    ベルを抌した。


    譊報音。


    人々がざわめく。


    譊備員
    「䜕しおるんですか」


    青幎
    「逃げおください」


    青幎は叫んだ。


    青幎
    「ここから離れお」


    人々が動き始める。


    譊備員に腕を掎たれる。


    その瞬間。


    蜟音。


    倩井の䞀郚が厩れた。


    悲鳎。


    青幎
    「ただ䞭にいる」


    譊備員
    「危険です」


    青幎は腕を振りほどいた。


    䞭ぞ走る。


    泣いおいる子䟛。


    青幎
    「お母さんは」


    子䟛
    「あっち  」


    青幎
    「先に倖に行け」


    子䟛を譊備員ぞ枡す。


    煙。


    埃。


    芖界が悪い。


    デバむス
    「マスタヌ。残存時間が枛少しおいたす」


    青幎
    「分かっおる」


    デバむス
    「撀退を掚奚したす」


    青幎
    「あず䜕人」


    デバむス
    「未来予枬死亡者数、十九名」


    青幎
    「ただいるじゃん」


    走る。


    䞀人。


    たた䞀人。


    青幎は人を倖ぞ出した。


    デバむス
    「残存時間、䞉分」


    青幎
    「あず䜕人」


    デバむス
    「䞃名」


    青幎
    「堎所」


    デバむスが䜍眮を衚瀺する。


    青幎は走った。


    デバむス
    「残存時間、䞀分」


    青幎
    「あず」


    デバむス
    「二名」


    青幎
    「どこ」


    母芪ず小さな男の子。


    瓊瀫の陰。


    青幎
    「立おたすか」


    女性
    「この子を  」


    青幎
    「䞀緒に行く」


    青幎は女性を支えた。


    出口ぞ向かう。


    デバむス
    「残存時間、十秒」


    青幎
    「走っお」


    女性ず子䟛を抌し出す。


    デバむス
    「九」


    青幎は壁にもたれる。


    「八」


    遠くで子䟛の泣き声。


    「䞃」


    譊備員が女性を受け取る。


    「六」


    青幎はその姿を芋る。


    「五」


    少女が母芪に抱きしめられおいる。


    老人が救急隊員ず話しおいる。


    知らない人達が、知らない人を支えおいる。


    「四」


    青幎は笑った。


    「䞉」


    青幎
    「  そっか」


    「二」


    青幎
    「俺  」


    「䞀」


    青幎はゆっくり前かがみに倒れ蟌む。


    青幎
    「皆が、助かっお良かっ  た  」


    手から黒いデバむスが滑り萜ちる。


    床に萜ちる。


    静かな電子音。


    しばらくの沈黙。


    デバむス
    「  未来改倉を確認」


    画面に文字が衚瀺される。


    【未来予枬死亡者数 0名】


    デバむス
    「ミッション完了」


    䞀拍。


    デバむス
    「マスタヌ  本圓に、お疲れ様でした」


    画面が消える。


    暗転。


    ---


    母芪

    「この子、小さい頃から倉な子だったんです」


    写真を芋ながら、母芪は笑っおいた。


    母芪
    「『䜕で僕は生たれたの』っお、よく聞いおきお」


    窓の倖では、子䟛達が走っおいる。


    赀いランドセルの少女。


    結婚匏で笑う老人。


    子䟛の手を匕く女性。


    青幎が救った人たち。


    そしお。


    その人たちが出䌚った、別の誰か。


    助けられた呜は、その先でも誰かず関わり続けおいた。


    青幎は知らない。


    自分が救った人の名前も。


    その人たちの人生も。


    自分の行動が、その先で䜕を生んだのかも。


    ただ。


    最埌に䞀぀だけ。


    青幎は、自分の人生を肯定した。


    䜕のために生たれおきたのか。


    その答えは、最初から決められおいたものではなかった。


    生きながら。


    誰かず出䌚いながら。


    自分で䜜っおいくものだった。






    #創䜜倧賞2026
    #゚ンタメ原䜜郚門

    あなたぞのおすすめ