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【毎週ショートショートnote裏】抹殺みかん

    朝の教室に今日もひとつ、みかんがある。

    それが抹殺みかんだと、誰もが知っている。
    名前を書いて食べると、書かれた相手は消える。記録も記憶も、すべて失われる。
    誰が消えたかは誰にもわからない。ぽかりと空いた席に、新しいみかんが置かれるだけ。

    教室には気に食わない奴が多い。
    机を蹴るやつ。笑い声がうるさいやつ。目が合っただけで不快なやつ。
    俺は毎朝いちばんに登校して、みかんを見つけては食べた。誰の名前を書いたのかはもちろん思い出せない。
    ただ、日に日に親指が黄色くなっていく。それがすべてだ。

    今朝もひとつ、教室の隅にぽつんとみかんがあった。
    俺は通りすがりに目をやって、そのまま通り過ぎた。なんだか今日は気分がよくて、ムカつく奴が思いつかなかったから。

    ……ふと瞬きした次の瞬間、景色が変わっていた。
    動けない。声も出せない。教室の机の上。

    目の前に誰かの顔がある。
    「今日も誰か消えたらしいぞ」
    なにかが触れる感触があった。

    高く持ち上げられた視界の端に窓が映る。
    そこにいるのは、つややかなオレンジ色をしたひとつのーーーみかんだった。

    (454文字)

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    *この記事は下記企画に参加しています*

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