
人口ピラミッドの中に隠れている、4つの世代の話
VACANCE VIETNAMの野崎です。
前回、ベトナム消費者に共通する3つの気質について書きましたが、今回はその"背景"にある部分、つまり世代によってどれだけ価値観が違うのか、という話をしてみようと思います。以前紹介した人口ピラミッドの中身を、もう少し細かく覗いてみるイメージです。
マーケティング調査会社マクロミルの調査では、ベトナムの世代を大きく4つに分類しています。
Gen1:ベトナム戦争世代(リタイヤ層)、〜1975年生まれ
Gen2:ドイモイ世代(ジェネレーションX)、1976〜89年生まれ
Gen3:ミレニアル世代(フリートレード世代)、1990〜99年生まれ
Gen4:ポスト・ミレニアル世代(ジェネレーションZ)、2000年〜生まれ
面白いのが、以前の記事で書いた「1976年の日本に似ている」という話と、Gen2の生まれ年がぴったり重なることです。Gen2は、ベトナムが計画経済から市場経済へ舵を切った「ドイモイ政策」とともに育った世代で、まさに国全体が成長へ向かって走り出す空気の中で育ってきた人たちだと言えます。
年齢としては日本の団塊世代よりかなり若いですが、「自分の国が貧しさから急成長へ転換する瞬間を、人格形成期にリアルタイムで経験した」という意味では、まさに日本の団塊世代と同じポジションにいる世代だと言えます。
旅行の楽しみ方一つとっても、こんなに違う
世代間の違いが一番分かりやすく出るのが、海外旅行の楽しみ方です。Gen1・Gen2は、従来型の観光地巡りやショッピングを楽しむ人が多いのに対して、Gen3・Gen4は、お祭りやスポーツ・アウトドア、コンサートといった体験型の楽しみ方が目立ちます。以前書いた「モノより経験」という気質は、実は世代が下がるほど強くなる傾向がある、ということです。
将来への見方にも、はっきりとした差があります。20〜30年後のベトナム経済が「とても有望」と答えた割合は、苦労を知らないGen3・Gen4のほうが高くなっています。ある有識者は「親の世代が経験した困難の時代は、Gen3・Gen4にとっては、もはや映画の中の世界」とコメントしていて、この感覚の差は、思っている以上に大きいのかもしれません。逆に環境問題については、Gen1・Gen2が楽観的な見方をする一方、Gen4はよりシビアに現実を見ている、という逆転現象も起きています。
情報との付き合い方も、世代でまったく違う
Gen1は、親戚や旧友と連絡を取るためにテクノロジーを取り入れていて、Facebookの所有率は90%にのぼります。ただしECサイトは「使いこなすのが難しい」と感じていて、リスクを避けるために安価な商品しか買わず、金融関連の取引は今でも実店舗の窓口で行うことを好みます。
一方Gen2・Gen3は、同僚や友人、世界のトレンド、KOL(インフルエンサー)に影響されながら、FacebookやZalo(ベトナム版LINE)のSNSグループで製品情報を交換します。様々な国のブランドを好む一方、輸入品以外の新しいブランドには慎重で、友人からの口コミがない国内新興ブランドは避ける傾向があります。高額な商品を買うときは、Gen3でも家族に相談するというのも興味深いところです。Gen4はさらにKOLと西洋文化の影響を強く受けていて、高学歴で英語が堪能な層が多いのも特徴です。
「核家族化」と言われながらも、根強く残る同居文化
もう一つ意外だったのが、家族との同居率です。ベトナムでも核家族化が進んでいると言われますが、実際にはGen2・Gen3(20代から50代)の半数前後が、今も親と同居しています。以前書いた「1976年の日本」も、当時はまだ三世代同居が珍しくありませんでした。ベトナムは経済成長のスピードこそ速いものの、家族という単位の強さは、日本の高度成長期以上に色濃く残っているのかもしれません。
日本企業にとって、これは何を意味するのか
「ベトナム人は」という主語で語ってしまうと、この世代間の差はすべて見えなくなります。Gen1に響くメッセージと、Gen4に響くメッセージは、そもそも土台にしている価値観が違います。同じ商品・サービスでも、ターゲットにする世代によって、伝え方も届ける場所もまったく変える必要がある、ということです。
次回は、この世代・価値観の話を踏まえたうえで、「中間層」「富裕層」という括り自体が、実はもっと細かく分解して考える必要がある、という話をしてから、具体的なペルソナの紹介に入っていこうと思います。
ベトナム市場について、より詳しいデータや分析にご興味がある企業様は、ぜひVACANCE VIETNAMまでお気軽にご連絡ください!
では、また次回!Hẹn gặp lại