



雨音だけが響く廃竜仔舎。
言葉を交わさなくても、そこには確かな時間が流れていた。
白竜レシックは何も語らない。
それでも、少しだけ身体をずらしてルナの居場所を作る。
その静かな優しさに、ルナもまた静かに応える。
「……私は昔、この雨の音が嫌いでした。」
雨は、忘れたい記憶を連れてくる。
そして、その記憶の中にいる一人の仲間の名前を、ルナは初めて口にする。
「綺雪。」
その名前が語られた瞬間から、止まっていた過去の時間がゆっくりと動き始める。
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