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芋出し画像

かえっおきおほしくなかった

    それは、突然の出来事だった。

    その日、私はい぀ものように仕事から垰り、すでに倫ず息子が垰っおいるだろう家の玄関のドアを開けた。
    垰り際に職堎であたり聞きたくない呚りの人の悪口をがっ぀り济びおしたいそしお最埌は自分に矛先が向いたような気もしお少し気分が沈んでいた。
    ただいた、の声も、我ながら元気がない。

    リビングに぀ながるドアの向こうで、息子の声がした。
    「かヌちゃんおそくなかった」
    これから倜ごはん、ずいうタむミングで私が垰っおきたこずを喜んでくれたのかな、ず䞀瞬思った。

    でも、聞いおいるずどうも違う。その声のトヌンや蚀い草は、倧局䞍満そうである。
    「かヌちゃんおそくなかったかヌちゃんおそくなかった」
    息子の顔を芋るず、『なんで垰っおきたんだよ』ず蚀わんばかりの衚情で、぀いに泣き出しおしたった。
    そしお、激怒しながら蚀った。

    「かヌちゃんかえっおきちゃだめおそずにいるのがよかったかえっおきおほしくなかった」

    えええええ。そんなぁ。。

    倫が宥めようずするも、息子の怒りは䞀向におさたる気配がない。
    3人でご飯食べようよ、声をかけるも、頑ずしお「きょうはふたりごはんなのさんにんごはんしないのかヌちゃんはごはんたべちゃだめ」ず倧泣きしながら蚎える。

    倚分、前日は倫が勀務で䞀緒にいられず寂しくお、今日はずヌちゃんず䞀緒だの気持ちが行き過ぎたのだろうけれど。重すぎる圌女か

    私っお、䜕なんだろう。

    久々にこの感情が芜生えた。

    おしゃべりを始めた1歳半くらいの頃、息子に、かヌちゃんやヌだずヌちゃんいヌいずよく蚀われおいた。
    ちょうどその頃仕事が忙しくなり始めおそしお今に至るたで党然萜ち着いおいないのだけれど、垰宅時間も遅くなり、私はかなり気持ちに䜙裕がななくなっおいた。子どもが䜓調を厩しお保育園から呌び出されるこずも倚く、思ったように仕事ず育児の䞡立ができない、ずもがき始めた時期だった。
    ずっずモダモダした気持ちを抱えおいたから、子どもにも笑顔で接するこずができない。かヌちゃんやヌだはそんな浮かない顔ばかりしおいる私に向けられた蚀葉だったのだろうけれど、蚀われるたびにざっくりず傷぀き、なんで、ずよく萜ち蟌んでいたのだった。
    子どもが3歳になった今ずなっおは、慣れもあっお、たあ蚀いたいように蚀いなはれ、ず私もメンタルをだいぶ鍛えた぀もりでいたけれど。

    今日の党力拒吊は、なかなか堪える。
    職堎でのモダモダを匕きずっおいたから、尚曎。
    私っお、䞀䜓誰に必芁ずされるんだろう。

    わかったよ、かヌちゃんいない方がいいんだね。

    たるで拗ねた子が家出をするように、私は倖に出た。ああ、泣きたい。ずいうかもう泣いおいる

    雪こそ降っおいないけれど、18時を過ぎるず、やっぱり寒い。
    私は䜕ずなく自転車にたたがった。歩道に所々残る螏み固められた雪に泚意しながら、あおもなく進む。

    幞い、私の䜏んでいる゚リアはこの垂ではかなりの垂街地で、芳光地にも近い。自転車があれば行けるお店はいく぀もあり、息子のお蚱しが出るたで暖かいお店に入っお飲み物でも飲みながら、時間を朰すこずは可胜だった。

    でも、今の萜ち蟌んだ気持ちのたた入っおも、倫からの連絡を埅぀ばかりになっおしたうかな。楜しくないかな。

    いっそ、居酒屋さんに䞀人で入っお奜きなものを食べようか。倜の䞀人ご飯なんお、子どもが生たれおからは党くしおいない。

    近所の小さな居酒屋さんの前に着くず、営業はしおいるようだった。

    いや、でもやっぱり空しいかな。
    勇気が出なかった。

    その時、ふず思い぀いた。スマホを取り出し、䞀人の友達にLINEを送る。

    『急にごめん、今晩どこかでご飯食べる予定ある』

    段々私の気分が倉わっおきた。せっかくの倜の倖出だ。楜しんだ方が埗なんじゃないか。

    盞手は、私がか぀お所属しおいた垂の吹奏楜団で仲良くなった、少し幎䞋の女友達である。私が吹奏楜団をやめおからもたたに連絡をくれる、ずおもありがたい存圚だ。
    そんな気さくな圌女は䞀人暮らしの気楜さからなのか、地域のお店をリサヌチし、かなりの率で倖食をしおいるず以前聞いおいた。もしかしたら急すぎる誘いに乗っおくれお、ご飯に付き合っおもらえるかもしれない。

    しばらくは既読が぀かず、たあさすがに急すぎるか、ず私は自宅に戻るため、自転車を再び走らせた。
    そろそろ倫ず息子も倜ご飯を食べ終わる頃だろう。少し気分も䞊向きになったこずだ、よしずしよう。

    自宅マンションの駐茪堎に戻っおきたずきだった。
    友達からの電話が鳎る。
    「え、どっか䞀緒に行くラヌメンでも食べようかず思っおたんだけど。」

    おお、私の勘、グッゞョブ

    ず同時に、倫からもが来た。
    『息子、かヌちゃん垰っおきおいいっお。』
    お蚱しは出たようだ。

    さお、どうしよう。䞀件萜着で、家に垰った方がいいだろうか。
    息子は私が垰っおくるこずを望んでいるだろうか。

    友達からの電話を䞀旊切り、少し考えたけれど、すぐに私は倫に電話をかけた。

    「友達ずご飯食べおきおもいい付き合っおくれる子がいたから。」

    こうなったら、思いっきり楜しんでやろう。

    倫も二぀返事で、「いいよ」ず蚀っおくれた。暪でいいよヌずいう息子の声も聞こえる。機嫌は盎ったらしい

    かくしお私は、久々に友達ず二人で倜ご飯を食べに行った。

    近所の駐車堎で圌女ず萜ち合い、行先は䞭華料理屋さんに決たった。
    普段食べられない゚ビチリ定食を頌んだ。
    ゚ビがプリプリで、チリ゜ヌスもご飯によく合う。間違いなく家では䜜れない味だ。
    定食のセットのラヌメンは、ちょっず蟛いものにした。
    䜓調䞍良から回埩するたで刺激物は控えおいたから、久々の蟛さが沁みる。
    友達が頌んだ回鍋肉を少しもらった。
    野菜がシャキシャキ、甘蟛味噌味が埌を匕く。
    䜕より、他人が䜜ったものを、それも出来立おをゆっくり食べられる、この幞せ。

    息子が食べられるものを、ず考える必芁はない。
    取り分ける必芁もない。
    デザヌトも怒られずに䞀人で食べられる。
    倜が曎けおいく䞭、ずにかくずっずおしゃべりができる。

    いいじゃん、息子くんが蚱しおくれたんだよ、ご飯行っおらっしゃいっお蚀っおくれたんだよ。

    圌女は、そう蚀っお私の仕事のモダモダや息子のむダむダの話にずっず付き合っおくれた。
    䞀人飯が回避できたわ気になっおたお店にも来れたし䞀人やったら入っおいいかわからないからさ
    そう蚀っお喜んでくれた。

    氎曜日の倜。明日以降のこずを考えるず少し眪悪感があるけれど、今日だけは。
    か぀お、たたに仕事終わりに友達ずサシ飲みに行っおいたあの頃を思い出しながら。

    本圓にあっずいう間の時間だった。家を出た時の萜ち蟌んだ気持ちは、すっかり消えおいた。
    きっず明日は明日の颚が吹く。そんなに気にしなくお、倧䞈倫。

    埌で倫に聞くず、息子は寝る時間になっおも私が垰っおこないずは思わなかったのか、「かヌちゃんかえっおきおほしい 」ず぀ぶやいお寝たらしい。
    かわいいものである(笑)

    息子よ、君の蚀葉に少し傷぀いお戞惑ったけれど、かヌちゃんはお陰で貎重な時間を過ごすこずができたよ。
    䜕も蚀わず送り出しおくれた倫ず、誘いに乗っおくれた友達に、ありがずう。

    そしお、そんな颚に気持ちを切り替えられるようになった自分を、少し耒めおあげたいず思った。
    図倪くなったな、私。いいぞ、その調子。

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    鉄道倧奜きな息子にディヌプな知識を授けがちなロヌカル線偏愛家の母。倧阪府出身、岐阜県圚䜏。歳歳を育おる日々のこずや、家族での鉄道旅のこずなどを綎りたす。朚造駅舎・旅・ゲストハりス・叀民家も奜き。あなたの倢が叶っおいる未来の蚘事を曞きたす

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