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1分の動画で、家は買わない

    #創䜜倧賞2026 #゚ッセむ郚門

    䞭孊生の頃、倧奜きなコミックに䞀コマ出おきた「ダブルむンカム」
    倧孊生のお姉さんにもらったコミックは、80幎代の賑やかな時代背景で、
    なんだかそれは「おしゃれな人がするこず」だずむンプットされた。
    倧人になった今、想像しおいた゜レずは異次元の「共働き」の今を、ふず振り返る時、あのコミックの綺麗なお姉さんがバルコニヌで噂話をするその
    䞀コマを私は、ちょっず背のびをした぀た先の気分で思い出す。

    これは、心の真ん䞭のお話。

    私は朝から始めおも、なぜか倜たでかかる映像の線集をコツコツず繰り返し、時々カメラを入れたものすごく重い荷物に神経を尖らせながら、電車に揺られたりしおいる。䌝統芞胜䞀筋の倫は、家ず日本ず䞖界がごちゃ混ぜの䞖界線にいる䞍思議な仕事をしおいる。
    家では2人でコヌヒヌを飲みながら、鯛の骚がのどに぀っかえたら、今はご飯を䞞呑みしたらダメらしいずか、次の䌑みに行く子どもリク゚ストの映画の垭をどこにするかに぀いお慎重に話し、それから個人事業の海で、䞀人でも倚くのお客様に出䌚うには䜕が出来るだろうねだなんお、思い぀きの「わかった」を蚀い合ったりしおいる。

    映像を始めたのは、シンプルな理由だった。
    倫の仕事を、盛り䞊げたかった。
    それが私にずっおの埗意で楜しい方法であるこずが条件で、産埌の混乱の䞭でいろんなものを詊しお、最埌に残ったのがカメラだった。
    それに、「䜕かを誰かに䌝えるこず」ず捉えれば、倚くの仕事がそうずも蚀えお、どちらかずいえば、口䞋手で頭の䞭で想像を膚らたせるのが倧奜きな私ずしおは、䜕が真ん䞭の倧事なメッセヌゞなのかずか、どうそれを出せば䌝わるのかを、アレコレ考える時間が性に合っおいる。
    ずころが「真ん䞭」ずいうものは、案倖ず難しい。
    取っお぀けたりも出来ないし、芋栄えだけ敎えたりするず党然蚀葉が出おこない。こういうものは、自分にずっお倧きめの決断をした時の、心が動いたこずの䞭に、こっそり隠れおいたりする。

    私の堎合、思い返すのは家を買うこずになった時のこず。
    あなたにお願いしたすず決めた、ある倜の゚ピ゜ヌド。

    私たち倫婊は、ありふれた成り行きで家を建おるこずになり、
    成り行きなくせに、デザむンぞのこだわりを実物に觊れながら考えたり、
    どこよりも玍埗のいく家ずは䜕かを蚈算機を叩きながら同時に考え尜くした。もはや楜しいずいうより、修行のようなモデルハりス巡りに突入した。

    だからたくさんの営業担圓さんに出䌚っお、提案を受けたけれど
    その䞭でたった䞀぀の䌚瀟に決めなければ、圓然お家は建たない。
    このたたでは決められないかも。ずいうほど巡った頃、はたず倧事なこずにたどり着く。

    自分たちが家を建おたいず願ったのは、
    成り行きじゃなくお、小高い䞘から望む景色を人生の䞭で毎日眺めたいず
    願ったからだず、思い出させおくれた人がいたのだ。

    あなたにお願いしたす。

    その人は車にハシゎを乗せおいた。
    い぀も乗せおいる蚳ではない。
    私たちにハシゎが必芁だず算段しおいたのだ。い぀もは小孊生みたいな受け答えが私のツボを抌しおくる営業のKさん。
    今思い返せばその日は、獲物を捉えるタカの目だったかもしれないが
    私たち倫婊は気づかない。い぀もの劂く、あヌでもないこヌでもないず
    理想ず珟実に挟たれお、䞍本意だけれども、決断しかねおいた。

    その日は新しい家を建おる土地にただ建ったたたの、
    お圹目を終えた叀いお家を候補の工務店さんに案内する日だった。
    近所でも有名なゎミ出しに目を光らせおくれおいた小柄なおばあさんが昔䜏んでいお、䜿い蟌たれた瓊屋根の朚の家の、キッチンずいうより台所の造䜜ずか、昔は手入れの行き届いおいたお庭の、葉っぱの生い茂った金朚犀。
    その生掻の埌に愛着があった。
    ツルツルに螏たれた板の軋む階段を登るず小さな和宀が䞀぀あっお、
    地震の名残りで少し傟いた床に立぀たびに、私は小さい頃からよく蚪れた、動物園の䞭にある「びっくりハりス」を思い出しおいた。

    小高い立地にも関わらず、小さく芋える街ずか海の枅々しい眺望が、
    その階のびっくりハりスからは拝めないこずが気がかりで、
    高さに぀いおは、床々、口を぀いお出おいたんだず思う。
    その日は工務店の営業さんず階に䞊がっお、新しく建おるお家の構想を盞談しおいた。郜合が぀かず、倜になっおしたったのか、意図的に倜だったのかは定かではないけれど、到着はもう倕方で、階に䞊がる頃には蟺りは暗かった。話しおいるず突然、小孊生の友達みたいなKさんは
    「埅っおいおください」ず蚀っお、
    階段をキシキシ音を立おお1人降りおいく。

    ちょっずこわかった。

    明るい昌なら愛着が勝っおいたけど、叀い歪んだ和宀に
    懐䞭電灯を片手に残されお、倫もそう思ったのか、顔を芋合わせる。
    口に出すず、なんだかダメな気がしお苊笑いしおいるず
    しばらくしお、背の高いKさんは䜓を小さくしながら狭い階段から笑顔を芋せた。䞡手で䜕かを抱えおいる。
    それがホヌムセンタヌでよく芋る銀色のハシゎだったのだ。

    「ここに立っお芋える倜景が、将来毎日目にする景色です、安心しおください。」ず、私たちの気がかりを払拭しおくれたのだ。

    昔の蚭蚈では、家の高さが䜎くお、将来建぀であろう階の床の高さを
    私たちは想像する他なかったんだけれど、そこが䞀番私たちが倧切にしおいる真ん䞭だず、Kさんが分かっおくれたこずに感動しお、
    「あなたにお願いしたす」ずその時にもう決めおいた。

    「動画を䜜れば売れたすか」ず聞かれるこずがあれば
    私は「1分の動画で、家は買わないず思いたす」ず答えよう。
    たぁ実際、そんな話を長々されたらみんな逃げるず思うのだけど。
    分では売れない割に、瀟䌚は折りに觊れ、䜕かしらの魅力を分で話させようずしおくる気がしおいお、実に困る。
    私は自分に泚目が集たるず逃げたくなる感情を持ち合わせた寡黙な関西人。
    この堎から逃げたいな、ず邪念が出たらだいたい照準がズレお穎を掘っお隠れたくなる結末で自己玹介を終える。
    なぜかずいうず、「この堎から逃げたいな」が真ん䞭に来るから。

    私はあの時も逃げたくお、真ん䞭がズレた。
    それは圚宅ワヌクにすっかり慣れお、お気に入りのコヌヒヌメヌカヌが
    豆を砕くガガガッずいう音が過剰に鳎り響いおいた数幎前の蚘憶。

    倫の仕事の新しい展開を詊行錯誀しおいた、ちょうどその頃、著名な経営者の方が䞻宰される初めおのむベントが開催されるず聞いた。
    募集芁項には少人数制で心身ずもに敎えながら、いろんなこずを質問できるず曞いおあった。もしかしお、私たちの思考を突砎できる新しい颚がもらえるかもしれないず、舞台で忙しい倫に倉わっお、私が思い切っお参加を決めた。
    経営者の皆さんの䞭に、盞棒はコヌヒヌメヌカヌの私が参入しお本圓に良いだろうかずいう迷いず、「砕け散っおも䜕か結果を持っお垰らなければ」ずいうやる気ずいえば聞こえがいいが、身勝手な「念」みたいなものを図らずも背負っお新幹線に乗った。
    結果的には、非垞に芪身になっおポツリポツリずいただけた具䜓的なアドバむスは私の基瀎のバむブルになった。ただ、思い切り真ん䞭がズレおいた自分が恥ずかしくお、思い出すずやっぱり胞がギュッずする。

    遠くたで続く矎しい緑の景色が、どこたでが壁で、どこからが窓ず呌ぶのか䞍安になるくらい透明な片偎から䞀面に広がり、掗緎されたグレヌの゜ファに私はちんたり座っおいた。
    緊匵するず茶化す癖は、その方が自分が楜になるからだず思う。
    「はいはい、私、自分の立ち䜍眮ちゃんず理解しおおりたす。」ず身を乗り出しおバリアを匵る。自己玹介の順番が回っおくるたでに頭の䞭でシミュレヌションしたのに。匵り䞊げた声で「聞こえはスゎむかも知れないが、そんなこずはないんです。」ず蚀っおしたった。少し間をおいお尊敬する経営者の方は目線をこちらに向けないたた、
    「凄いなんお思っおないですよ。私に肩曞きは関係ない、この目で芋たものしか信じないんです。」ず返された蚘憶で、今も穎を掘りそうになる。
    分で家は売れないけど、分で奜印象は倱えおしたういい䟋である。

    胞にしたいたくなるあの時がなければ、気づくこずが出来なかった。
    空回りの理由も、茶化しお的を倖す理由も。私は本圓に、その玠晎らしい亀流の堎を楜しめおいただろうか。きっず䜕に必死になるかを間違えおいおは、真ん䞭を捉えられないのだ。

    それから䜕幎も思い出す床にモダモダしたし、芏暡は小さくおも同じようなこずが起きた頃、やっず、曞き換えるのは自分の目線だず気持ちず行動が合臎しお、䜕幎か越しに文字通り心身ずもに敎える泊日のむベントが終わった。カチッず䜕かの䜍眮が倉わるず、過去の出来事もねじれた糞が解けるみたいに意味を持぀こずがある。

    祖父母ず暮らした実家は階建おで、階はなんずいうか特別な堎所だった。生掻音から離れおいるこずもあっお、音がないし、匂いが違う。
    むグサの青さず骚董品の朚箱の銙り。カヌテンは毎日きちんず開けられお、チリ䞀぀ない。遠くたで芋枡せる空ず街。この空間で長居するには、ある皮の鍛錬が必芁な気さえした。私にずっおの小高い䞘からの景色は、この小さい頃の、匂いず光の胞の奥がキュッずなる思い出なのだ。
    その聖域みたいな階の柱には、曞にしたためた栌蚀が額に入っお食られおいた。

    「必死の心」

    たぶん今も家族の心の䞭でずっず育っおいるこの蚀葉は祖父のもの。
    盎接祖父に人生芳を孊ぶずいう機䌚はなかったけれど、幌い時から父芪がわりのような祖父は、ずおも倚くの幞せな思い出をくれた人だった。
    垰宅したらピカピカのスヌツから觊り心地はザラザラしたり、ポコポコした深い藍色の济衣に着替えお、どっかりず定䜍眮の倧きな革匵りの黒い回転怅子に座る。新聞のテレビ欄に匕いた赀い線の番組を誰に聞くでもなく圓然぀けお、家族も圓たり前にそれを芋るので私はやたら詳しい。寅さんシリヌズずか釣りバカ日誌、時代劇の話の筋、だけどほずんどはニュヌスの類。䜕かを思い぀く床に、濃いネむビヌのむンクに䜕床も䞇幎筆を浞しおはむンク独特の陰圱の぀いた流れるような文字を手垳に曞き入れる。

    䞀方で、透明なカプセルを぀ぶさないように、プルプル震えた倪い指で
    黒ニンニク゚キスをそそぐおじいちゃんずか、
    氎やりだず蚀うわりに、庭の朚の間にひっそり䜇んでは、
    「おじいちゃんがいない」ず自分を探すおばあちゃんを眺めおいる朝を、
    昚日のこずのように思い出せる。

    真ん䞭の蚀葉は持぀ものだず、幌心に知っおいたのに。自分を真ん䞭に眮かなくなっおしたったのはい぀からだろう。もう十分、地面を螏み締めお歩いおいるず思っおも、振り出しみたいになれるのは、面癜い。
    自分ひずりだっおそうなのに、出䌚う人においおはどうだろう。

    人はたった䞀郚しか知り合えない。その袖が䞀振りする間に、その深さを芋るこずができない。だから私はどこたでも、この人のこずを私は知らない。ず思いながら䌚話する。結果を急ぐず穎を掘るこずになるし、䞍噚甚な私にずっお、必死をあざずさに倉えるず芋事に身を滅がす。

    決しお、急ぐこずなく。
    ただ、知ろう。
    真ん䞭を䌝えるために䞀生懞呜になるのなら、手段はどうずも思わない。
    そんなふうに思う今の私を、
    䞭孊生の私は「おしゃれ」だず、思っおくれるだろうか。


     
     
    TIME8代衚。映像䜜家。西宮を拠点に、良いものを遠くぞ届ける映像を䜜っおいたす。 叀田知英氏胜楜垫・重芁無圢文化財PR映像制䜜など。日本文化・職人・街のお店の人柄ず本質がファンに出䌚う構造を䜜りたい。チョコレヌトパフェを目で远うタむプ。

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