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苦手な食べ物を苦手だと言い切れない時がある#ゆるゆるエッセイ

    普段からどうでもいいようなことを考えるくせがある。
    私は、薄揚げが苦手だ。
    薄揚げファンのみなさん、ごめんなさい。
    お味噌汁の中に大根と薄揚げが入っていると、薄揚げの味が濃く出すぎて食べられないのである。大根には何の罪もない。ただ、薄揚げの味が苦手なので、そのお味噌汁は飲むことも食べることもできない。汁にまで薄揚げの味がしみ込んでしまっているからだ。晩御飯のおかずが一品減ってしまう。

    一方で、きつねうどんはどうなのかと問われれば、きつねうどんの甘辛く煮たお揚げは好物である。
    もしや、私は薄揚げそのものが苦手なのではなく、味つけで好き嫌いを決めているのか。

    ところが、ここで新たに別の問題が出てくる。
    うどんである。
    私は専らのそば派だ。うどんが嫌いというわけではないが、自ら進んで食べることはあまりない。うどんより、そばの方がずっと上位にいる。
    とはいえ、誰かに「さぬきうどんを食べよう」とか、「稲庭うどんもおいしいよ」、「水沢うどんも一度食べてみたら」と誘われれば、その味を知らずに一生を終えるのは忍びないので喜んでついていく。でも、自分から「今日はうどんにしよう」と思うことはほとんどない。
    きつねうどんなら、たぬきそばを選ぶ。

    話を元に戻そう。
    では、厚揚げはどうなのか。
    これもまた、「苦手な食べ物だ」とは言い切れない。
    おでんに入った厚揚げは苦手だし、がんもどきも苦手だ。
    おでんは地域によって出汁の味が違うので、具にしみ込む味も違うだろう。それでも、おでんの厚揚げやがんもどきは、どんな出汁でも苦手なのである。
    では、厚揚げを焼いて、おろししょうがとポン酢で食べるのはどうか。
    それは、とてもおいしい。むしろ好物だ。
    薄揚げは味がしみ込んだものが好き。
    厚揚げは味がしみ込んだものが苦手。
    さっぱりわからぬ。
    私の味覚よ。

    ちなみに、今日の昼ご飯はどん兵衛きつねうどんである。


     
     
    エッセイ。短編小説。小説のように読めるエッセイ。日常で出会った人や出来事を、その人らしさが伝わるように綴っています。読んだあとに、誰かを少し思い出したり、人を見る目が少しだけ優しくなったり。そんな文章を書いていけたらと思っています。好きなもの|一次発酵後のパン生地。

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