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オドヒメサマ

     それは、よくある孊校のふざけた怪談話だった。
     
    「ねえ、『オドヒメさた』っお知っおる」
     
    「なにそれ。乙姫様じゃなくおオドヒメさたなの
     どうせたた、先茩から聞いたんでしょ。」
     
     掃陀の時間だずいうのに、女子達ずきたらい぀もこの調子だ。なんの身にもならないどうでもいい話を始める。僕は心の䞭で、い぀も嘲笑しおいるんだ。
     䞀人せっせずモップを走らせ、䜓育通の朚目の床が、狐色に光っおいく。足跡や擊れた線が消えおいく様をみおいる方が、僕にずっおは楜しいくらいどうでもいい。
     くだらない話に耳を傟けたくはないが、甲高く無駄にでかい女子の声は、勝手に聞こえおくるので仕方がない。話をふられるず面倒だから、僕は䞀人黙々ず掃陀を続けた。
     
    「実はさ、それ トむレにある『音姫』ず関係あるのっ氎の音が流れるや぀っ
     屋䞊に行く階段の近くにさ、誰も䜿わないトむレ、䞀ヶ所あるじゃない」
     
    「あヌ なんであんな、ずころにあるのかわからない男女共甚のや぀
     屋䞊っお立ち入り犁止だし、近くにもっず綺麗なトむレあるから芁らないよね。」
     
    「十幎前は屋䞊に入れたらしいの。合唱郚が、よく緎習しおいたんだっお。その時代には、皀に䜿われおたらしいよ。」
     
    「そうなんだヌ。 で、それずトむレず 音姫に オドヒメ
      っお、なんの぀ながりがあるわけ」
     
    「昔ね 『乙姫』っお名前の女子がいたんだっお。ほら、キラキラネヌムっおや぀
     だけどね ちょヌブサむクで、名前負けしおおたらしくお。
     おたけに声も小さくおオドオドしおお、自信もないからい぀も先茩に怒られお。
     トむレでよく泣いおいたんだっお。圓然、悪目立ちするじゃん
     トむレの音姫さ〜ん♪ から、さらにオドオドしおるずころを混ぜおオドヒメっおあだ名を぀けられお、銬鹿にされおたの。」
     
     ヌあぁ、たたこういう話の流れね。
     
     僕は心の䞭で軜く呆れおいた。倧䜓こんな話の末路は決たっおいる。いじめを苊に自殺か、殺されお祟りが ずか。そんなずころだろう。
     背䞭越しに聞こえる䌚話は、もう聎くのも飜きたずいうのに続く。
     
    「その日もいじめられおお、あの屋䞊近くのトむレに閉じ蟌められちゃったんだっお。
     運悪く、倏䌑み前の最埌の日にね。
     そしたら 閉じ蟌めたこず、忘れられちゃったみたいで 」
     
    「それで死んじゃったっおオチ
     でもさヌ、そんなの譊備員ずかが芋぀けるっしょ。」
     
    「乙姫さん、オドオドしお声が小さいから 譊備員さんも芋萜ずしちゃったんだっおさヌ。
     倏䌑みの間、屋䞊は閉鎖されおお誰も䜿う人がいないトむレはスルヌされちゃっお。
     合唱郚も倏合宿は別棟を䜿っおいお、芪もネグレクトで、乙姫さんが居ないこずに気づかなかったみたい。
     だから 倏䌑み明けに発芋されたの。圓然、死䜓でね。
     壁やドアは、䜕床も匕っ掻いた傷ず割れた爪から出た血で真っ赀になっおいお。
     それからずいうもの そのトむレで音姫を䜿うずね 生き地獄を味わった乙姫ちゃんのコロシテ コロシテ っお声が  」
     
    「あヌもヌっ分かった分かったから‌ほんっずあんた、私が怖い話嫌いなの知っおるくせにっ
     さヌ、早く掃陀終わらせちゃお っお、あれもう終わっおる。
     笠井くんがやっおくれたの⁈
     ありがずヌ♪やっさしヌ‌」
     
     甲高い瀌を蚀われ、僕はにこやかに答えた。
     
    「 いや、いいよ。僕、掃陀奜きだから。」
     
    ヌそうだよお前らが話し蟌んでる間に終わらせおやったんだよ  。

    なんおこずは、蚀わない。僕は、心優しい優等生だからね。さらっず笑顔で返しおやるさ。
    僕ずお前らずじゃ、レベルが違うんだ。バカを盞手にするだけ、時間の無駄っおもんだろう。同玚生のや぀らなんか、知胜が䜎い猿ずしか思っおいない。
     䜕がオドヒメだよ。トむレの花子さんのパクリじゃないか。面癜がっお話すようなこずでもなければ、その皋床で怖がる奎も同レベルだ。

    それに、その堎所は ヌヌ。
     
     
     ヌヌヌヌ
     
    「ふぅ 今日も疲れたな。」
     
     就業のベルを皮切りに、慌ただしく孊生達が垰宅や郚掻に向かう喧隒が聞こえる。
     僕は、孊生達が嫌いだ。特に、昌䌑みず終業埌のこの時間は煩くおたたらない。䞀緒に扱われるのは䞍愉快だった。䜕が楜しくおあんなに隒ぐのか、わからない。
     どうでもいい噂や恋バナではしゃぐ女子達。どうせ数幎が華の郚掻に専念する奎ら。授業から解攟されお隒ぐパリピ集団。
    そんな奎らが枛っお静かになるたで、僕はい぀もここにいる。掃陀の時間に聞いた、䟋のヌヌオドヒメがいるトむレだ。
     
    「䜕がオドヒメだよ。
     あんな噂立おられちゃ、面癜がった他の奎らがきちたうだろ 」
     
     䞀人がやきながら、僕はトむレの個宀で䟿座に腰を䞋ろし項垂れおいた。こういう、静かで狭い空間は、萜ち着くんだ。
     フヌ ず、ため息を぀きながら自分ず同じ制服を着た奎らが遠く感じるのは、なんずも気持ちが良い。早く、倧人になりたい。こんな箱庭で収たる人間じゃないんだよ、僕は。
     
     ヌそういえば、ここの流氎音䜿ったこずないな 
     
     そもそも、甚を足すために来おいるわけではない僕は音姫を䜿ったこずがない。あるこずすら、気づいおいなかったくらいだ。
     それが、先皋の女子達の䌚話で存圚感を増しおくる。こんなくだらないこずに、思考を奪われたくはない。ならば、早々に詊しおみようか。そんな、興味本䜍だった。
     
     ヌた、抌しおみるか。
     
     党くもっおこの手の怪談を信じおいない僕は、迷いなくその壁に぀いた癜いボタンを抌しおみた。他の堎所でも聞いたこずがある、銎染みのある流氎音がする。
     
    「 ほら、䜕ずもな  っ  ⁉」
     
     どうも、劙だ。流れおいるのは確かに氎の音。しかしながら 埮劙に音が倖れおいる。䜕か、䞍協和音に近い䞍快感があった。
     
     『〜、〜、〜、〜、♪』
     
     ヌあヌ、なるほど。 音階だ。
     
     流石、壁に取り付け型の旧匏ずいったずころか。音が途切れ途切れずいうか、劙なリズムが぀いおいるのだ。それが、「コロシテ」の発音ず䌌おいる。
     確かにこれは、少々気味が悪い。音が流れおいる間、延々「コロシテ」ず、蚀われおいる気になっおくる。
    信じおはいなかったものの、自分の隠れ家にこんな欠陥があったずは。あたり知りたくはなかった。
     
    「あヌ、くそっあの女、いっ぀も五月蝿いんだよな。声でかいし、噂奜きだし。
    掃陀の時くらい、黙っおやれよ。あヌたじ腹立぀
    あんな奎   

    ヌヌ『死ねば、いいのに。』
     
     誰も聞いおいないのをいい事に、僕に芁らぬ情報を聞かせた女子ぞの鬱憀を口に出し、想像を巡らせ頭の䞭で散々な目に遭わせおやった。
     
     ヌ コロスペ、コロスペ
     
    「   は」
     
     䞀瞬、そう聞こえた気がした。だが、怯える間もなく思い盎した。そんなの、取るに足らない事だ。
    同じ四文字で、倧しお発音も倉わらない。たたたたそう聞こえただけだ。
     
    「じゃヌ、お願いするよ。」
     
     少しおどけながら、吐いた蚀葉。䜕をやっおいるんだかず、すぐに恥ずかしくなった。
    それより、今に限っお個宀の近くを歩いおいる奎がいなかったかずよぎった思考の方が、よっぜど怖い。
     あんな噂、聞いたのは今日が初めおだ。面癜がっお生埒が立ち寄るのは、あったずしおももう少し先の話だろう。そうでなくおも、ふざけお吐き捚おた蚀葉は、流氎音にかき消されおきっず倖には聞こえおいない。
     やっず音が鳎り止むず、ひず気がなくなった校舎は䞍気味なほど静かになった。ある皋床時間が経過しお、校舎内に残っおいる生埒が少なくなったんだろう。遠くの方で、野球郚のバッティング緎習が聞こえた。
    郚掻に粟を出す奎らが垰り支床をし出す前に、僕は退散するずしよう。
     そろそろこんな甚があるはずのない堎所にいお、先生に出くわすず厄介だ。くだらない噂話のせいで少し茝きを倱った、自分の隠れ家を埌にした。
     翌日 䟋のうるさい女子は、孊校に来なかった。
     
     ヌヌヌヌヌ

    教宀にたどり着くず、い぀も以䞊にクラスメむト達がざわ぀いおいた。ただ、い぀ものけたたたしさは圱を朜めお、䜕凊か怯えおいる。加えお泣き声や、錻を啜る音もした。
    芏則正しく䞊ぶ机の䞭で、䞀぀だけ目を匕く堎所ができおいた。茶色い朚目に映える、癜や黄色の花達。それが生けられた陶噚の花瓶は、職員宀で芋かけたこずがある。それを芋぀けた瞬間、僕の胃は急にひっ掻き回されたような感じになった。早くお匷い心臓の錓動が、身䜓を揺らす。䜕か、冷たいものが䜓内の䞭心を支配しおいた。
     
    「たさか あんな死に方するなんお 」
     
    「トラックの荷台から萜ちた鉄骚で、䞡目䞀突きだっおよ。䞡目に真っ盎ぐっお、無くね」
     
    「やめおよっ思い出させないで 
     私、隣にいたんだよ笑っおたのに 
     普通に、笑っお、話 しおたのに っ 
     暪、芋たら 笑った顔のたた っ 目、だけ 
     ゔっ うぅ   」
     
     朝のニュヌスで、出かける間際にこの孊校の名前が聞こえたのは、気のせいではなかった。
    ゆっくり芋おいる暇がなくお、そのたた家を出た。通孊路ですれ違う奎らが話しおいた内容ず、今教宀で持ちきりの䌚話だけで、䜕が起こったのか倧䜓把握できた。
    前日の、垰宅途䞭で起こった䞍幞な事故 察するに、僕が少々毒の効いた蚀葉を口にしお、脳内で党く同じ事を考えおいたくらいの時間だろう。
     
     ヌいや たさか、な 
     
     少しだけ、眪悪感のようなものが胞に広がる。別に、ただ調子に乗っおはキンキンずした声が煩わしく、くだらない噂話が奜きなずころが気に食わなかっただけだ。「死んで欲しい」なんお、本心ではない。
    きっず、想像しおいたこずがそのたた起こっおいるのは、ただの偶然だ。
     
    「これっおさ 䟋の、オドヒメの 祟りか
     あい぀、䞁床昚日、その話蚀いふらしおたし。」
     
     ヌオド ヒメ  
     
     䜕か、ヒダッずした嫌な感芚が背筋を䌝う。ちょうど、前の垭にいる男子が話しおいた。
     
    「なぁ。オドヒメの祟りっお、䜕」
     
     ぀い、口を぀いお出おしたった。僕は、コロシテの声が聞こえるずころたでしかその噂を知らない。祟りがどうずかは、昚日の䌚話に出おこなかった。
     
    「珍しいな。
     笠井が勉匷以倖に興味瀺すなんお。
     オドヒメっお、本名は乙姫でさ ヌヌ
     
    「あ、そのあたりは知っおるんだ。流氎音が声に聞こえるっお、ずころたで 
     その埌っお、䜕かあるの」
     
    「コロシテが、『コロスペ』に倉わっお、䞍现工な顔を芋られたくないから、目を぀ぶすんだっおよ。
    それか、気に入られるず 行方䞍明になるらしい。」
     
    「ヌヌヌヌっ⁉」
     
     ニダけた顔で話す盞手に反し、僕の顔の筋肉は、ピクピクず匕き攣っおいくのが分かる。
     
     ヌいや、違うだろ。 それならば、目を぀ぶされるのは僕のはずだ。
    仮に気に入られたずしおも、今こうしお僕はここにいる。
     だから、これはきっず そうだきっず偶然だ。
     
     噂話なんお、信じない。でも䜕ずなく、もうあの堎所ぞいくのは止めよう。そう心に決めた。
     
     
     ヌヌヌヌヌ
     
     倕暮れ時、窓から赀い光が差し蟌んでくる。い぀もの暖かさずは違い、劙に血の色に近いような そんな䞍気味な感じがした。
     それはきっず、今朝の話のせいだ。そしお今、僕がいる堎所が悪い。
     
     ヌ䜕で、ここに来た䜕を気にしおいるんだよ、僕はっ
     
     結局、朝からどうも調子が出ずに、胃が気持ちが悪い。先生に呌ばれおも気づかないなんお、完璧䞻矩の僕にずっおはかなりの汚点だ。このたたすっきりしないくらいならば、いっそ確かめおやろう。
     苛立ちを露わに、い぀もの個宀に足を螏み入れた。昚日の今頃は安らぎの堎だったそこは、同じ堎所のはずなのに䞍気味な暗さを湛えた奈萜に芋える。
     ずりあえず、い぀も通り座っおみた。䟿座を閉じたたた座るず、ミシッず音がする。そんなのはい぀ものこずだが、今日はその音でビク぀いおしたい、自分が恥ずかしくなった。
     
     ヌこれで、終わりだ。
     䞀床このボタンを抌しお、䜕も起こらなくお、党おが元通りだ。絶察に䜕も起こるはずがない
     だっお、聞いた話ずも埮劙に違うだろ
     
     少し震える指で、癜いボタンを抌す。幎季が入り少し硬いプラスチックの軋む音が、䟿座の音ずよく䌌おいた。最埌たで抌し切った時、昚日聞いたのず同じ流氎音が流れる。
     
     『〜、〜、〜、〜、♪』
     
     やはり、ただの䞍協和音。劙に狂った耳障りな音階が耳を痛くさせる。
     
     ヌほら、よく聞いたら コロシテなんお聞こえないじゃないか。倉な話聞いたから、きっず耳が錯芚を起こしたんだ。
     
     そう、思いたかった。
    実際は、昚日よりはっきりず聞こえおいた。どうしおも匷く、コロシテず聞こえる。
     それでも、断固吊定しなくおはいけない。これを最埌たで聎き終えお、倖に出れば い぀もず同じ日垞に戻れるはずだ。
     
    「ほら、コロシテでも、
     コロスペ でも、ない。」
     
     よし、吊定出来た。やっずこれで、肩の荷が降りる。そう、思った時だった。
     
     ヌダッタペ、ダッタペ 
     
    「    え」
     
     ヌシンダペ、シンダペ 
     
    「や、やめ っ いや気のせいだっ
     ただ、発音が䌌おる四文字なだけ  」
     
     ヌホメテペ、ホメテペ 
     
     ここたで来るず、いくら珟実䞻矩者な僕でも認めざるをえなかった。
    本圓は、気づいおる。いくら同じ四文字だずいえ、ここたで聞こえ方が倉わるはずがない。
     この音 いや、この声は 僕の頭の真埌ろから聞こえおいる。ボ゜ボ゜ずはっきりしないが、明らかに女の声が 流氎音に混じっおいる。
     
    「 っ 倢だこんなのありえないっ‌」
     
     ヌゲンゞツ、ゲンゞツ 
     
     身䜓が、勝手に震えだした。䞍芚にも、腰が抜けお立おそうもない。
     倧䜓こういう怪談話は、䞊を芋䞊げたら䜕かいるか もしくは䞋の隙間から手が䌞びるずかがよくあるパタヌンだろう。
    そしお、気を倱っお翌日あたりに誰かが助けおくれる。そんなシナリオが、頭をよぎる。
     でも、僕は芋る前に退散したい。きっず、そんなものを芋たら 䞀生忘れられなくなるだろう。
     
     ヌどうにか 逃げられ、ないか
     
    「あ、あの き、君 おず、ひめ さん」
     
     ヌ゜りダペ、゜りダペ 
     
    「き、キレむな声 しおるね」
     
     䜕を思ったのか、自分でもよく分からなかった。オドヒメの声は、高校生にしおは少女のようであり、機械音のようである以倖は、幌さが残る印象的な声をしおいた。それが、䜙蚈に気味悪さを掻き立おおもいる。
     
     ヌホントニ ホントニ 
     
    「   あ、ああっほんずだよ⁈
     き、きっず、成仏したら 来䞖は歌手に、なれ、るよ  」
     
     声が、より近くなった気がする。耳に吐息がかかるような、嫌な感芚が広がる。
    僕は絶察に目を開けるものかず、ぎゅっず瞌を閉じおいた。
     ひんやりずした、生臭いものが頬を䌝う。恐らくこれは、髪の毛だ。それを感じるほど、圌女はもう僕の近くにいる。
     
     ヌりレシむ、りレシむ 
     
    「  よ、よか よかった、ね 
     じゃ、じゃあ  成仏、しよ な」
     
     ヌスキダペ、スキダペ 
     
    「   あれ」
     
     䜕かが、瞌の䞊を這う。冷たい氷のような 䜕かが。
     
     ヌスキダペ、スキダペ 
     
    「ちょっ な、なんだよっ」
     
     ヌスキダペ、スキダペ 
     
    「ゔっ いお  や、やめ  っ 」
     
     ヌスキダペ、スキダペ、スキダペ、スキダペ、スキダペ   
     
     埐々に匷くなる、瞌の䞊の圧迫感。尖った爪が、僕の柔らかな瞌の皮膚に食い蟌んでいく。
     壊れた機械のように、同じ蚀葉を繰り返す声は、流氎音が消えおも消えるどころか、益々はっきりずしおきた。
     
     ヌスキダペ、スキダペ、スキダペ  
     
    『  デモ、ネ』
     
    「はっ   」
     
     初めお聞こえた、四文字ではない蚀葉。僕は぀い、目を開けおしたったんだ。
     
     『カオハ、ミナむデネ』
     
    「うわああああぁぁぁぁぁっヌヌヌ‌」
     
     僕が最埌に芋たのは、醜く笑った女の口元だけだった。党おを芋る前に、鋭く硬いものが県球に食い蟌んでいく。こうしお、僕自身の真っ赀な血が、倕焌けを黒に沈めた。
     
     
     ヌヌヌヌ
     
    「ねぇねぇ、知っおる
     あの、屋䞊に行く階段の近くに、誰も䜿っおないトむレあるじゃない」

    「あヌ、どうせあれでしょ
     オドヒメだっけ。
     その噂、お母さんから聞いたよ
     友達がそれで死んだっお。
     だから、絶察に行くなっおさ。倧袈裟〜。」
     
    「それじゃないのっ
     倕暮れのね、䞀際赀い日差しの時にしか出ないらしいんだけどぉ〜  
    オドヒメには、圌氏がいるんだっお
     その名も、『悲溢し様』っ」
     
    「はぁっ⁈ なぁにそれ〜⁉
     オドヒメにっ 悲溢しっお っ 」
     
    「目が朰れおお〜、血の涙を流しおる男子生埒らしいよヌ
     倕暮れが真っ赀に窓から差し蟌む頃に、そのトむレに行くず 
    ゎメンペ、ゎメンペっお、耳元で囁くんだっお」

    「䜕それ。倧䜓、䜕に察しお謝っおんのよ 」

    「元々ね、悲溢し様も被害者だったらしいの。
    垰りたくお、謝りながらずっず泣いおるんだっお。」

    チガり。ボクハ、ヒコボシサマナンカゞャナむ。

    ココカラ、デラレル。キミガ、目ヲクレタナラ。

    目、トルペ。   ゎメンネ♪

    #創䜜倧賞2026
    #ホラヌ小説郚門
    #孊校の怪談
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