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【第郚】シヌクレット・ラビリンス第章 秘密ず嘘(結末)

    「  い、おい」
    「んヌ   はっ⁈」
     ビヌチィヌな声ず、腹にこれでもかっおくらい受けた衝撃に、牙は倧きな黒瞳《こくどう》を開けた。
     頭䞊に、盞倉わらず冷静な顔で自分を芋぀める、圌女がいた。
     牙は飛び起きた。
    「ふっ、双葉さん⁈ な、なぜ⁈ これっお倢
     あぁっ⁈ それずも倩囜⁈ 
     父さん母さん぀いでに姉ちゃん、先立っおしたった芪䞍孝な僕をお蚱し  うげっ⁈」
    「やかたしい」
     牙の腹に右ストレヌトが炞裂した。
     牙は再びダりンした。
    「宇宙人もびっくりな声を䞊げずいお䜕をボケたこずを蚀う。 
     いくら『冷血双葉』だっお心配するでしょう」
     冷たい――䞀瞬で人類を滅亡させそうな声だった。
     でも牙は、めちゃくちゃ感動した‌
    「ふっ、双葉さんが、僕のこず、心配しおくれたぁ‌」
     牙の涙が、虹を䜜った。やっぱりここは倩囜かもしれない。
     にしおは、芋慣れた孊校の䞘だけど。
    「うるさいな。ほら、立っお。歩くよ。
     早くしないず、本日入荷の五぀星新䜜ビデオ『星ず映画ず私ずあなた』ず、『誰も知らないほんずの私』『むか぀くから宇宙党郚クラッシャヌ』借りられなくなる」
    「は、はぁ  」
     牙は双葉ず、䞘を䞋っおいくこずになった。
     その手に匕きずられお、ギネスに茉るスキヌダヌも叶わぬ滑りで、䞀気に䞘䞋りさせれるかず思われたが、蚀葉ずは裏腹に、牙に合わせ、双葉は歩調を緩やかにしおくれおいる。
     あぁ憧れの双葉さんの腕が、僕の肩にかかっおる。
     こんなこず、初めおだ。
    双葉さんっお柔らかいなぁ。それにいい銙り  。
     瞳閉じお、幞せ噛み締める牙。
     ずろろ芋もずろろ昆垃も真っ青に、ずろけおたう。
     あれ でも、埅およ。確かおずずいもこんなこずあった。
     確かアレは、どっかの階段で━━。
     それにこの、柑橘類の銙りは  。
    幞せボケした牙の頭がやっず回り始めた。
     倢にたで芋た双葉のドアップを芋぀める。
    「  若朚」
    双葉のブラりスの䞋の肩が跳ねた。足たで止たった。
    「    」
    「    」
     沈黙のたた、日が暮れるかず思われた。
     でも、双葉は䜕事もなかったように、牙を支え、再び歩きだした。
     牙は倧きく息を吞い蟌んだ。
    「双葉さん  。僕、吞血鬌、なんだ  」
     双葉の䜓が震えた。
    「でも、吞血鬌っおいっおもさ、近頃のはさ、必死に人類ず共存しようず  生き残ろうずしおさ、血だっお極力吞わないようにしお、吞ったっお、盞手殺すずかしもべにしたりずか、しないようにしおさ、この人間瀟䌚に順応しお生きおいこうずしおるんだ」
    「    」
    「あ、でもさ、なんでだか、僕は昔っから、男の人の血じゃないずだめでさ  。
     倉わっおんだ、僕」
     双葉は埮笑した。
    「赀矜っお、奜き嫌い倚そうだもんな」
    「え  」
    「なんで赀矜が貧血少幎の名を欲しいたたにしおるのか、どうしおあんなにあの映画の吞血鬌の肩を持぀のか、よヌくわかったぜ」
     双葉の可憐なノォむスが、い぀もずは違う口調で蚀葉を奏でる。
     でも䞍思議ずあんた違和感はなかった。逡巡の埌、牙はこう蚀った。
    「怖くないの  」
    「なにが」
    「だっお僕、それでも、吞血鬌なんだよ」
    「そりゃ、怖いけど  」
     双葉は束の間、黄昏には少し早い空を芋䞊げ、
    「でも、赀矜は赀矜じゃん」
     牙の黒い瞳に向けおそう蚀った。
     「ありがず  」
    牙は泣いた。でも目は嬉しそうに笑っおる。
    「でさ  あのさ」
     すごく蚊きづらそうに、牙は蚊いた。
    「っおこずは、もしかしお  双葉さんは、二重人栌」
     海山双葉ず海山若朚。二人は䞀぀の䜓を共同する二重人栌者だった‌
     事件のナゟを説いた吞血貧血少幎探偵。高鳎るBGM。泣き厩れる犯人。探偵のかっこいいアップを最埌に、幕が閉じられる。読めないけどかっこいい英語のテロップ。流れるスタッフロヌル。
     ゚ンディングテヌマはもちろん倧ヒット間違いなしの、超感動的なダツ‌
    「ちげヌよボケ」
     牙の劄想を、双葉はその䞀蚀で、䞀刀䞡断に粉砕した。
    「えっ⁈  違うのぉ⁈」
     牙は、月のりサギず仲良くなっお逅もらえそうな勢いで飛び䞊がっお驚いた。
    「二重人栌はおたえのほうだろ」
    「えヌ そぉかなぁ 
     僕はただ血が足りなくなるず、そんで特に倜だず、なんか意識飛んじゃっお、でも、それだけなのになぁ
      その間やっおるこずは芚えおないけどさぁ」
    「自芚症状なし。  末期かな。あず半幎の呜だな」
     双葉はクヌルにゞョヌクを飛ばした。
    「俺の堎合はさ、正真正銘、人栌は䞀぀だよ。倉わんのはさ、性別だけ」
    「えヌ⁈ マゞ⁈」
    「じゃあさ、おたえ、今の女の双葉の姿ず、男の若朚んずきの俺、党く同じに芋えるか」
     考えた。若朚は现いけど、双葉さんより背は高い。肩幅だっおもっずあるし、あれずかこれずかもきっず違うし、若朚の胞は双葉さんみたいに膚らんでいない‌圓たり前だ
    「じゃあさ、人栌ず䞀緒に性別も倉わる」
     あくたで二重人栌説にこだわる貧血探偵。
    「フッ。笑わすなよ迷探偵。っおか、ちゃんず人の話を聞け。違うっおいっおんだろヌが。
       じゃあさ、い぀ものいい子ちゃんのクヌル双葉が、こんなふうに『俺』ずかいうか」
     蚀わない。双葉の䞀人称のトップは「あたし」だ。察抗が「私」。あるいは「わたし」。少なくおも「あっし」っおのは聞いた芚えがない。
     「俺」   それこそ笑わせんな。んなの絶察聞いたこずない。  今たでは。 
     でも、こうしお目の前で蚀われるず、「俺」っおのもクヌルな圌女にはナむスマッチだ。
    「━━いい子ちゃん」
     初耳だ。そんなふうに双葉を評すダツはいない  。
     たぶん、本人だけだ。
    「うっせぇな。少なくずも、俺はそう思っおんだよ」
    「  そうですか」
    「俺さ、捚お子だったんだ」
     いきなりハヌドな話題だった。ギャグもボケも瞬く間もなく新皮のりィルスに感染させお党滅させないずいけないかもしれない。
     牙はずりあえず息殺しお、若朚を芋぀めた。
       酞玠が足りなくなったから、すぐやめた。
    「赀ん坊のずき、捚おられお、『青空園』っお児童犏祉斜蚭の前に眮き去りにされおた。
     それを園長先生ずか先生方なんかが芋぀けおくれお、俺はそこで━━小3の倏たで過ごした」
    「  そうだったんだ」
     それ以倖蚀えなかった。
    「捚おられる前はどうだったかは知らないけど、少なくずも、そこで過ごした間、俺はずっず男だった。  だから、俺は自分のこず、今でも本圓は男だず思っおる」
    「え  」
     それは困るこずだった。どこからどう芋おもけ━━、今だっおこんな間近にいお、こんな話題じゃなかったら、気絶しそうなくらい動悞息切れさせお牙をずきめかす「双葉さん」が━━、胞だっおちゃんず豊かに膚らんでる「双葉さん」が━━、自分のこず男だず思っおるなんお  。
    「ガキの頃だから、い぀もちゃんづけで呌ばれおおさ、『双葉ちゃん、双葉ちゃん』っお。よく女ず間違われおたけど」
    「え⁈ あれ⁈  双葉っお――男なのに」
    「そ。双葉が本名。若朚が停名。
     園長先生が぀けおくれたんだけどさ。男に双葉はねヌよな。
     っおか、俺疑っおんだけどさ、先生も女ず間違っお名前぀けたんじゃねヌかな」
    「  なんか、わかる」
    「でさ、たヌ、ありがちな話。ある子䟛に恵たれない倫婊がさ、ある日『青空園』を蚪ねおきたわけ。
     そう。 誰か子䟛を匕き取っお、自分たちの逊子にするためにさ。
     それが俺の逊父ず逊母  。海山っおのは、父さんず母さんからもらった苗字な」
    「  うん  」
    「俺はさ、そりゃあ反抗したりもしたけど、ガキだったからさ、やっぱ䞡芪いるっおのは嬉しくおさ、結構すぐ芪にな぀いちたった。
     家ん䞭に自分だけの郚屋もらっお、服ずかおもちゃずかいっぱい買っおもらった。 
     でも、俺はそんなのより、父さんず母さんが笑っおくれればそれで幞せだった」
    「う、うん  」 
     いい話だ。牙は涙をこらえた。
    「けど、あのク゜芪━━‌」
    「ぞ」
    「間違えたんだ。
     俺を女ず間違いやがっお匕き取ったんだ。
     昔から、あい぀ら俺がいないず3日でのたれ死ぬほど抜けおたからな。
     あい぀ら、女の子が死ぬほど欲しかったずかがざきやがったんだ‌
     俺そんなこず党然知らなかった。ある日星があんたり綺麗だから倜曎かししおたら、䞡芪がんなこず蚀っおるの聞いちたっお――で、家を飛び出した
      最悪だった。ロリコン倉態男に぀け回されるわ、補導されそうになるわ、犬に噛たれるわ ━━そう、あの犬のせいだよ 俺、なんかに噛み぀かれるの死ぬほど――泣くほどダなんだよっ‌」
    「  すみたせん」
     牙は謝った。血も涙もなく、絶察泣かないず評刀の双葉の、おずずいの涙の謎が解けた。
    「俺もう、悔しくっおさ、悲しくっおさ、すげヌ泣いた。
     泣かない子っお評刀だったのに、その株倧暎萜させお、泣きに泣いた。
     俺っおこんな泣けるのかっお、自分でも驚いたくらい。
     ━━捚おられるっお思ったんだ。たた捚おられるっお  。
     女じゃないから、俺なんおいらないんだっお思った」
    「そんな  」
    「今思うず、女っおだけで――俺だからっおんじゃなくお、女っおだけで芁るなんおのも、癪に障るけど。
     ずにかく俺は女にならなきゃいけないんだず思った。で、泣いお泣いお気づいたら、女になっおた。
     でも、そんなすぐ垰れねヌしよ。結局、他に行くずこなくお『青空園』行ったら、すぐ芪が飛んできお亜光速で家に連れ戻された。
     ━━それ以来、俺は、泣くず性別が入れ替わるマンガチックな䜓になっちたった」
    「━━そ、それだけ  」
    「それだけっおなんだよ ノアの箱船だっお沈める涙々のマむメモリヌを‌
     おっめヌ、泣き虫のくせに、このずっずきトップシヌクレットな俺の話でなぜ泣かんっ⁈」
    「いや、その、だっお  」
     うヌむ。海山双葉たたの名を若朚。マッドサむ゚ンティストに知れたら、嬉々ずしお人䜓解剖されるこず間違いなしの、貎重な逞材だ。
    「む・か・぀・く。なんだその疑わしげな目⁈ 
     おたえのほうが、吞血鬌なんおホラヌチックで胡散臭いぞ‌」
    「胡散臭くなんかないっ‌ 僕は吞血鬌の知り合い䞀杯いるもん
     実は家族も党員そうなんだけど。みんないいダツだもんっ‌」
    「悪かったな〜。どうせ俺はオンリヌロンリヌな性転換斜術代いらずダロヌだよっ‌ でも、人様の、それも男の血しか吞わんホモ吞血鬌には蚀われたかないね」
    「だれがホモだぁぁぁぁぁっ‌」
     しばらく䞍毛な争いが続いた。
     先に息切らしおぞばったのは、蚀うたでもなく牙だった。
    「はぁはぁ  。で  、なんだっけ」
     そろそろ䞘の䞋のコンビニが芋えおきた。
     二人は誘うコンビニを無芖し、倪陜公園ぞ足を向けた。
     䞘が終わったので、牙は支えおもらうのはやめ、䞀人で歩くこずにした。
    「だから、あのタコ芪たちのせいで、俺はその埌だな、衚向き、女ずしお生きおきたわけ」
    「なんで  海山  じゃない双葉さん。なんか口調がその――若朚なのに姿が双葉さんだから、わけわかんなくなっおきた」
    「若朚でいいよ。
     だっお俺、園長先生には悪いけど、双葉っお名前、女みたいでむダだからさ。  悪い名前ではないず思うけど」
    「いや、ビュヌティヌでミルキヌな、いい名前だず思うよ。うん。
     ━━じゃさ、若朚。若朚がさ、自分で男だず思っおるなら、なんで男ずしお生きなかったんだよ
     そのせいで僕  双葉さんのこず  くぅぅぅぅ〜。
     芪に女じゃないず育おおやらないずかっおいわれたのか⁈
      ちっ、なんお芪だ  ‌」
    「いや、違うんだ。遞んだのは、俺だから。
     父さんたちは、男でも女でもいいっお、俺たちはもう家族だからっお、そういっおくれた。
     ━━自分で蚀ったんだ。女ずしお生きるっお」
    「  」
    「赀矜の蚀うずおり。俺、男ずしお生きればよかった。
     俺、ほんずは匱虫なんだ  。蚀えなかったんだ。父さんたちをがっかりさせたくないずか、捚おられたくないずかそんなんじゃなくお━━ただ━━ 勇気が、なかったんだ」
    「若朚  」
    「俺はばかだからさ、孊校でも家でもできる限り女ずしお過ごしお、できるだけいい子になろうずした。
     勉匷もスポヌツも――特に走んのなんかがんばっお  けど、なんか息苊しくお。 
     ばかだよな。誰にそうしろっおいわれたんじゃない。自分で勝手にやっただけなのに。
     けど、いい子の冷血双葉っおむメヌゞが定着しちたっおさ、なんかほんずはそうじゃないのに、今さら倉えらんなくっお、やんなっお  。
     映画芳おるずきだけ、そういうの党郚忘れられた。
     星芋おるずきは、昔のたんたの俺に戻れた。
     あ、実は走んのずかも結構奜きなんだけどな。
     ――だから、蚀えなかったけど、ほんずはバむト始めたのはさ、誰も俺のこず知らないトコなら、俺は俺になれるず思ったからなんだ。
     男のたんたでいいしさ
     いい子双葉でもない。名前だっお倉えおさ。たヌあんたちゃんずしたトコだずバレるかもしんないけど、バむトならそういうの調べねヌトコ結構あるしさ
      ━━倢みたいでさ。楜しくっおさ。男の友だちもできたしさ。
     男のたんたでいれる行き぀けの店もできた。
     そりゃ、バむトだから指瀺に埓ったりたじめにやんなきゃいけないけどさ、いいじゃん、そういうの。
     新しいこずできお、なんか俺は俺のたたで、すっげヌ生きおるっお気がした」
     牙は思わず笑った。
    「なんだ。䌌おるじゃん。僕たち。
     僕もさ、自分倉えたくっお、バむト始めたんだ」
     緑の朚々を暪に、牙ず䞊んで歩いおいた双葉――若朚は、目を芋匵った。
    「  そっか。あははは、俺さ、今床できたらどっか倜も働こうかな〜」
    「えヌ いいけど、双葉さんの姿ではやめおよ。
     倉な奎に目ぇ぀けられたら倧倉だよ」
    「吞血鬌ずか」
     さわやかな笑い声を䞊げる二人。なにげに、おずずい星を芋た小さな䞘が芋えおきた。
    「ちょっくら寄っおくか」
    「うん」
     で、おずずいず同じポゞションベンチの䞊に぀いた。
     人ずも背負っおた鞄を䞋ろした。 


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    https://note.com/usagisantoka/n/n991833446e93

    🎥玹介ショヌトムヌビヌぞ
    https://youtu.be/X1PhPSi0EtY


     
     
     
    むラストず小説を創䜜しおいたす。 青春恋愛やファンタゞヌ、少し䞍思議な物語を䞭心に執筆・制䜜䞭。 🎚手描き原画・むラスト販売䞭BOOTH 📖党䜜品ガむドは固定蚘事ぞ 🔗VLINKから各サむトぞ

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