
【映画感想文】欲望の塊と孤独な群衆
先日、テレビでスタジオジブリの映画「君たちはどう生きるか」が放映された。
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※ネタバレは、ほぼないつもりだけど、まだ見ていない方のために、ネタバレタグをつけました。
あくまで私の感想なので、映画本筋の感想とは少し違うかもしれません。
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今までのジブリで、一番ファンタジックで、謎めいていて、(あまり読んだことはないけども)村上春樹さんの小説のような、夢と現実が入り混じったような世界観の作品だった。
何がどんな形をしていても、どこまでも人間の本質からは逃れられないような、怖い映画だと思った。
哲学的というのかな。
印象的だったのは、映画のインコたちが肉食であること。
セキセイインコって、肉食なの?
不安になって調べたら、現実のインコは普通に草食だった。よかった。
巨大なインコが、巨大な包丁をせっせと研ぐ。
やってきた侵入者を、殺して食べるために。
キュートな色味と、絵柄のために不気味さがいや増す。
インコで溢れかえった世界。
インコのシーンは、食べ物の描写ばかり続く。それはもう、しつこいと思うほど。
いつも料理をしたり、食べ物を得ようとしている。
何に飢えているんだろう。
ペリカンは、魂の源と呼ばれている、ワラワラを食べる。まるで魚を丸のみするみたいに。
高く高く天空を目指して飛んでみたけど、行き着くのは、必ずこの島。
そう、死にかけたペリカンは言う。
飛ぶのを諦めてしまった若いペリカンもいる。今はもう飛べないペリカンも。
と。
先を争うように、インコは殺戮と食欲に燃え、ペリカンもまた、理性を忘れてワラワラを飲み込んでいたように見える。
もうそれしかないのだと。
これでしか、生きることができないのだと。
欲望は体から膨れ上がって、その貪欲さは溢れんばかりなのに、キャラクターたちはどこかうつろな目をしていて、群れをなして、欲望のままに押し寄せてくる様子は恐ろしいのに、俯瞰する画面では、なぜか滑稽でもある。みんな同じ方向を向いて、同じことを求め、同じように失敗し、自我を崩壊させている。
世界の姿を決めたのは、この映画では創造主(大おじ)だろうけども、世界がうまくいかないなら、それごと壊してしまえという短絡的な思考は、現実世界でもどこかで見たことがあるような。
この映画の誰もが、どこか空虚さを抱えていて、誰かに「おいで」と呼んでもらえるのを待っているように見えた。
「おいで」
もういいから。もう安心していいから、ここにいらっしゃい。
おいでなさい。
ここは、もう大丈夫よ。と言ってほしいのかな。
あなたはこれで良いのだという承認と、他者による自己肯定を求め続けている。ほかでもない、自分の答えや正解や安心を、他者に依存している。
欲望の塊の存在(キャラクター)たち。
迎え入れてくれる存在を、自分の外に探している。
どんなに行動しても、欲望は満たされない。何をしても、創造主や世界にはかなわない。
諦めた。
だから、安心できる「おいで」を待っている。
本当は、諦めたくない。
でも方法が分からない。
欲望と、激烈な悪意と敵意だけが、むき出しになる。
破滅する、と思った。
「未来少年コナン」というアニメが宮崎駿監督の作品の中にあって、「君たちはどう生きるか」は、その作品と地続きのような錯覚を何度も覚えた。
タバコとか、空から塔がとか、海のシーンとか、大おじのいるところへ行く光る回廊の様子は、インダストリアの無機質な迷路のようだったし、インコの地下王国は、「コナン」の囚われた人々が逃げ住んでいる、地下の世界そのもののようだった。
「おいで」を待つばかりじゃ、だめなんだよ。
呼んでもらえないからって、世界を壊していいことにもならない。
巨大化した大衆の意思が、暴走している。
君たちはどう生きるか。
「おいで」を待ち続け、いつか自分で飛ぶことも忘れるのか。
欲望のままに生き、そして自らを正当化するのか。「やることはやった。でも世界がどうにもならないのなら、壊すしかない」と。
こんなふうに色々書いたけど、宮崎駿監督が、何を思って映画を作ったのか、私には分からない。
一度見た映画は、普段レコーダーから消すようにしているのに、この映画は消せそうになかった。
【今日の英作文】
もう退職してしまったのだから、何をすべきかなんて言う権利はない。でも、健康でいてほしいと思う。
I've qiut the job, so I don't have a say in what you should do. But I hope you stay in good health.
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