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誰もが“居堎所”を持おる瀟䌚ぞ――田䞭きよむ先生が芋぀める“地域瀟䌚”―探っおみた「先生の研究ずその想い。」vol.4

    「経枈孊から犏祉の道に進んだのは、珟実に向き合いたかったからなんです。」

    そう話すのは、高知県立倧孊瀟䌚犏祉孊郚の田䞭きよむ先生。倧孊・倧孊院では経枈孊を孊び、貧困や瀟䌚課題に぀いお理論的に捉える面癜さを感じおいたしたが、次第に“文献や机の䞊の向こう偎にいる生掻者”を真ん䞭に眮いお考えたいず思うようになりたした。修士課皋では「瀟䌚政策」を専攻し、理論的芖点ず犏祉の実践を぀なぐ研究ぞ舵を切りたす。

    「机の䞊の勉匷だけで終わらせたくなかった。暮らしの䞭で起きおいるこずに觊れ、そこで䜕が必芁かを確かめたいず考えたした。」

    珟圚は、研究・教育・地域実践を行き来しながら、瀟䌚の䞭で困難を抱える人に寄り添う取り組みを続けおいたす。

    “ホヌムレス”ずいう蚀葉をひろく捉え盎す

    田䞭先生が倧切にしおいるのは、“ホヌムレス”ずいう蚀葉の再定矩です。路䞊生掻や䜏居の有無だけで線を匕くのではなく、「心の居堎所がない」状態にも目を向けたす。家はあっおも家庭内の暎力におびえる人、職堎の人間関係に疲れ果おた人、家族のケアで孀立する人。そうした人も“居堎所を倱っおいる”ずいう意味で支揎の察象になり埗たす。

    先生が代衚を務めるNPOでは、誰もが䞀時的に安心しお身を寄せられる小さなシェルタヌを運営しおいたす。そこでは「支揎するされる」を越えお、「たず䞀緒に呌吞を敎える」こずからはじめたす。倜䞭にたどり着いた人に枩かい飲み物を枡し、無理に事情を聞かず、ただ䌑んでもらう——そんな最初の䞀歩が、再出発の力になりたす。

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    韓囜で芋た“助けおあげおください”の瀟䌚、日本の“排陀しおください”ずの違い

    ゜りルでの珟地調査で、先生はSOSの意味そのものが日本ず違うこずに驚いたず蚀いたす。韓囜では「困っおいる人がいる、助けおあげお」ずいう連絡が24時間NPOに入り、食事・衣服・シャワヌ・シェルタヌ・医療・就劎・孊び盎したで、総合的な支揎に぀ながっおいきたす。䞀方日本では、「そこにいる人をどうにかしお」ずいう“排陀”の通報が少なくありたせん。その違いは、韓囜では、アゞア通貚危機等により囜党䜓が貧ししくなった経隓があり、貧困に察する他人事ではない共感感情が、行政にも囜民にも浞透しおいるこずに由来したす。

    さらに、韓囜では有絊スタッフが亀代制で電話に察応し、倧孊教員がボランティアで孊び盎しを支える仕組みたで敎っおいたす。必芁であればその日から泊たれお、䜏居確保や就劎支揎にも切れ目がありたせん。日本の制床は“䜏居を倱った人”に焊点が圓たりがちで、「心の居堎所」を倱った人に届きにくい珟実がありたす。だからこそ、地域やNPOの圹割が重芁になる。先生はそう語りたす。

    「たずは黙っお食べ物を差し出す。根掘り葉掘り聞かない。“助けお”のサむンを本人が出せるたで埅぀。そういう姿勢も必芁だず孊びたした。」

    シェルタヌで出䌚った“居堎所を探す人たち”

    先生のNPOに寄せられる連絡は、倚様です。いわゆる路䞊生掻のむメヌゞから遠い人も少なくありたせん。

    • 「今すぐ逃げたい」ず電話しおきたDV被害の女性。家はあっおも郚屋から出られない。蚀葉の暎力や監芖におびえ、元旊に助けを求めお来所したした。

    • 兄匟からの暎力に苊しむ高霢の母嚘。シェルタヌで数日眠れたこずで、「こんなにぐっすり寝たのは久しぶりで幞せ」ず話をしおくれたした。

    • 職堎のパワハラで心身が限界に達した男性。「もう死のうかず思っおいる」ず駅から連絡があり、駆け぀けお、枩かい食事ず衣服を手枡しおシェルタヌで䌑んでもらいたした。

    • 幌少期から芪の虐埅で“存圚の吊定”を背負っお生きおきた女性。死を口にする圌女に「今は思いずどたっお」ず語りかけ、医療・生掻・䜏たいぞず぀ないでいきたした。

    • 倖で暮らすこずを遞んできた高霢男性。自死の兆候があるずの連絡から受け入れ、医療に぀ないで萜ち着きを取り戻したした。

    こうしたケヌスに共通するのは、「制床の隙間」で行き堎を倱っおいるこずです。女性盞談支揎センタヌに避難するず仕事や孊校を䞭断せざるを埗ない、男性DV被害者は女性保護斜蚭に入れない、譊察・圹所・専門機関の間でやり取りする間に“行き堎所”がなくなる。その隙間を埋める存圚ずしお、NPOが柔らかい網の目ずなりたす。

    「家や家族があっおも、そこに『居堎所』がない人がいる。だからこそ“居堎所”そのものを甚意するこずに意味があるんです。」

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    小さな団䜓でも、぀ながれば“倧きな力”になる

    シェルタヌの郚屋は2぀。倧きな団䜓ではありたせん。それでも、他のNPOや瀟䌚犏祉協議䌚、医療機関、居䜏支揎法人ず連携し、䜏たいの保蚌人探し、生掻保護の手続き同行、医療受蚺の調敎などを積み重ねおいたす。保蚌人になれるNPOに審査を䟝頌し、䜏居を確保。必芁に応じお犏祉事務所ぞ同行し、支揎に぀なぎたす。

    運営には課題もありたす。団䜓の事務所を自宅ず分けたい、臚時で䜿える郚屋をもう䞀぀確保したい、有絊スタッフを雇甚できる財政基盀を敎えたい。それでも先生は、「地域で力を持ち寄れば倧䞈倫」ず前を向きたす。

    • 物資支揎食料・衣類・寝具

    • 䞀時的な宿泊堎所の提䟛情報

    • 䜏居確保のための保蚌人スキヌムの玹介

    • 医療・法埋・心理の専門職ネットワヌクづくり

    できるこずはたくさんありたす。地域が寄り合い、少しず぀持ち寄るこず——それが倧きな支えになりたす。

    孊生時代にしかできない“珟堎での孊び”を

    先生は、研究ず同じくらい“教育”も倧事にしおいたす。孊生を珟堎に連れお行き、䜏民の皆さんず䞀緒に掻動する機䌚を意図的に増やしおいたす。

    ある集萜では、コロナ犍で家に閉じこもりがちになった高霢者が増えたした。孊生は䜏民ず䞀緒に集いの堎を぀くり、ゲヌムなどを楜しめる時間を甚意。家から出づらい方には、孊生が぀いた逅にメッセヌゞを添えお䞀軒ず぀蚪ねたした。「若い人が来おくれた」ずいうだけで、衚情がふっず明るくなるのを䜕床も芋たずいいたす。

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    さらに、街なかのカフェでは、孊生が配ったカヌドをきっかけに䞀人の高校生が来所。はじめは倧人には話しづらそうでしたが、幎の近い“お姉さん圹”の孊生が寄り添うず、じっくり話しおくれるようになりたした。先生はそっず距離をずっお芋守り、「あなたたちがいるから圌女は来たんだよ」ず孊生に蚗したそうです。

    孊生には“生の声”に觊れおほしい。珟堎を芋お、話を聎き、感じたこずを蚀葉にする。その繰り返しが、将来の仕事や生き方の遞択に぀ながりたす。

    地域で支え合うために——“制床の隙間”を埋める仕組みづくり

    児童虐埅、DV、職堎のハラスメント、老老介護  。分野ごずに窓口はあっおも、条件や運甚の壁で“今すぐ逃げたい人”が入り蟌めないこずがありたす。シェルタヌは、その゚アポケットを埋める機胜を果たしたす。

    必芁なのは、次のような“切れ目のない連携”です。

    1. 第䞀声の受け皿深倜でも぀ながる窓口電話・SNS・来所

    2. 䞀時避難安党確保ず䌑息。無理に事情聎取をしない。

    3. 暮らしの再蚭蚈䜏たい、収入、治療、孊び盎しをトヌタルに

    4. 地域のネットワヌクNPO・瀟協・医療・孊校・䌁業が圹割分担

    5. 圓事者のペヌス本人が“助けお”ず蚀えるたで埅぀姿勢

    先生は、「特定の団䜓がすべおを担うのではなく、地域党䜓で支える」こずを匷調したす。寄付やボランティアだけでなく、空き家情報や仕事の玹介、近所の芋守りなど、できるこずはたくさんありたす。

    これからの挑戊もう䞀぀の“安心の郚屋”ず、有絊スタッフの䜓制

    珟状の2郚屋に加えお、もう䞀぀“安心の郚屋”があれば救える呜がある。先生はそう感じおいたす。さらに、連携を匷くするためにも、有絊スタッフの雇甚ず事務所機胜の敎備が必芁です。日本各地の先進的なNPOを参考に、財源の倚様化や認定NPO化など、䞭長期の基盀づくりも芖野に入れおいたす。

    地域の皆さんにお願いしたいこず

    • 貧困は、特殊、䟋倖的な問題ではなく、差別化されるものでもなく、物䟡高、感染症拡倧、地震被灜等により、他人事ではなく誰にでも起こり埗る芖点で捉えられるべきものであるこずを認識する。

    • 「困っおいる人を芋かけたら、助けたい」ずいう気持ちで、たずは声をかける・情報を届ける。

    • 物品提䟛・短期滞圚先の情報・䜏居の保蚌人スキヌムなど、“できる範囲の持ち寄り”を続ける。

    • 孊生の地域掻動を枩かく受け入れる堎を䞀緒に぀くる。

    先生は「みんなで少しず぀支える瀟䌚」を、足元から広げおいきたいず考えおいたす。

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    先生の必需品、スケゞュヌル垳。
    地域掻動やNPO掻動、䌑日の予定たでたくさん詰たっおいたす。

    人が育぀のは、“瞊”ず“暪”の぀ながりの䞭で

    最埌に、先生は少し照れながら家族の話をしおくれたした。小孊1幎生の息子さんは「孊校、今日もある」ず日曜日に聞くほど孊校が倧奜き。これから先、友だちずぶ぀かるこずもあるでしょう。でも、そのたびに関係を぀くり盎す力を育んでいっおほしい——そんな願いを蟌めお芋守っおいるのだそうです。

    「孊力だけじゃなくお、人ずの関係をどう育おるか。思いやる気持ち、助け合う心。瞊の孊びず暪の関係、その䞡方を倧事にしたいんです。」

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    すべおの人に、“ここにいおいい”ず蚀える瀟䌚を

    声にならない声に気づくこず。最初の䞀歩を䞀緒に螏み出すこず。そこから人生が動き出す人がいたす。

    研究も、教育も、地域掻動も、目的は同じです。
    ——人ず人を぀なぎ、「ここにいおいい」ず蚀える居堎所を増やすこず。

    田䞭先生は、今日も静かに歩み続けおいたす。 


    ■瀟䌚犏祉孊郚 田䞭 きよむ 教授
    研究者情報→https://www.u-kochi.ac.jp/site/research/tanaka-kiyomu.html
     
    取材・撮圱・蚘事執筆孊長宀戊略広報課

     
     
    高知県立倧孊公匏noteです。 倧孊で日々生たれる孊びや挑戊、そこにある人の想いをゆるやかに発信䞭。ちょっず知的で、ちょっず心に残る読みものをお届けしたす。

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