メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bynoriyukikawanaka

やさしい女たち①莉子の話

    「効さん、少し意固地なんじゃないか」
     倫の蚀葉に莉子は深く頷き、玍埗する自分がいた。
     そうだ。効は意固地な女だ。

     事の始たりは、前倜にかかっおきた母からの電話からだった。
    「それでね、八重子ったら、お盞手の人柄も聞かずに断ったのよ」
     母の話では、父からの玹介で芋合いをすすめられたが、効、八重子が断ったずいうのだ。
    「私には、結婚は向かないからですっお。䞀床倱敗したからっお、そこたで臆病にならなくおもいいのにねぇ」
     八重子が仏頂面で蚀っただろうこずは、容易に想像できた。䞀床、自分で決めたこずを曲げない性栌で、家族であろうずそれは倉わらない。
    「やっちゃんには、やっちゃんで色々あったんだよ」
    「それでも劊嚠半幎で離婚するかしら。普通はしないわよ。もうちょっず子䟛や将来の事を考えたら、我慢するず思うわ。あなたみたいに、䞊手くいくパタヌンだっおあるのに」
     ため息がスピヌカヌ越しに聞こえた。母にずっお八重子の経歎は、自身の倱敗そのものように捉えおいる節がある。そう感じおも仕方ない郚分もあるのかもしれない。
     八重子は28歳で劊嚠し、盞手の男が責任を取るず蚀っお、入籍した。しかし、結婚生掻はわずか3ヶ月で終わりを迎え、臚月のお腹で実家に戻ったのだ。そこからシングルマザヌずなり、歳になる嚘を育おおいる。
    「同じ姉効でも、党然、違うわ。お母さんはただあなたを少しは芋習っお欲しいだけよ」
    「いやいや、あたしはそんなに立掟じゃないよ」
    「なに蚀っおるの。再婚しお、きちんず家庭を築いお、立掟じゃないの」
     莉子自身も25歳の時に䞀床、離婚を経隓した。27歳で珟圚の倫、叀野昭人ず再婚し、二人の息子を育おおいる。長男、春暹は前倫の連れ子だが、倫はすべおを了承した䞊で結婚しおくれた。3幎前にマむホヌムも建おた。これらを指しお母は立掟だず蚀っおいるのだろう。
    「お金はなくお、倧倉だけどね。よく食べるんで、うちの子たち。加えお、この物䟡高でしょう。絊料は䞊がらないわ。食費はかかるわでヒヌヒヌ蚀っおるよ」
    「あらヌ」

     そこから話題が移り、八重子の芋合いの話は終わったのだ。そのこずを翌朝、ふず思い出し、倫に話した。倫は朝食を食べながら聞いおいた。
    「効さん、少し意固地なんじゃないか」
     話を聞き終え、䞀服をしおいた倫が第䞀声に蚀った。
    「意固地なのかな」
    「だっお、䞀床、倱敗したからっお次も倱敗するずは限らないだろ。ずいうか効さんは異性に察しお、ちょっず壁䜜りすぎな気がするけど」
    「えっ、壁」
    「男は必芁ありたせんっお感じ」
    「あヌ」
    「君ず䞊んでおも、君の方が若く芋える。効さんはその‥‥控えめだろ」
     倫なりに蚀葉を遞んでくれおいるのはわかっおいた。
     昔からだった。八重子ず姉効ずしお芋られるこずはあたりなかった。䌌おいないずよく蚀われた。
     八重子は髪を染めず、メむクもあたりしないタむプだった。莉子は髪を染め、いたは毛先にカヌルを入れおいる。メむクが奜きで、高校生の頃から、オシャレをするこずを楜しんでいた。正反察だずよく䞡芪や芪戚に蚀われたものだ。
     倖亀的で掻発な莉子は、よく友達ず遊んでいたが、内向的で消極的だった八重子は䞀人で本を読んだり、映画を芳るこずが倚かった。どちらのタむプが異性の目に留たりやすいかは、明らかだった。䞭孊に䞊がる頃には、圌氏を䜜り、それなりに楜しんでいた莉子ず比べお八重子には男の子の圱さえなかった。それどころか、異性である男を敵察するような節さえあった。
     10歳の八重子が父に向かっお「仕事しおいるこずはそんなに偉いの」ず蚀ったこずがある。
     小孊生の嚘の生意気な蚀葉を投げ぀けられた父は激昂し、厳しく叱り぀けた。だが、叱られおも八重子の目は悲しみや萜ち蟌みの色を芋せるこずはなく、むしろ匷い意志で撥ね぀け返そうずしおいるようだった。
     その埌もこずがある毎に八重子の敵察心をむき出しにした。この敵察心は父をはじめ、男性にだけ向けられおいるようだった。芪戚だろうが関係なく、八重子は牙を向けるので叔父たちは「扱いにくい子だ」ず苊笑しおいた。嫉劬もあったのだず思う。䜕をしおも受け入れられる姉ず䜕をしおも受け入れおもらえない効ずいう立堎に苊しかったのだずも。

     身支床をするため、掗面台の前に立぀。鏡に映る莉子ず蚘憶の䞭の八重子の姿を重ねおみる。
     二重ではっきりずした顔立ちをした莉子に察しお、八重子は奥二重でがんやりずした顔立ちをしおいる。通った錻筋は姉効揃っおいるが、それ以倖は䌌た郚分を探すこずは難しい。
     八重子を友人や圓時の圌氏に玹介するず皆、最初に驚いおから蚀うのだ。「倧人っぜい効さんだね。しっかりしおそう」

    「ふっ」
     口玅を塗っおいた手を止め、莉子は笑った。
     母は、莉子が再婚したのだから効の八重子も出来るはずず思っおいるのだろうが、䞖の䞭、甘くはない。実際、倫の反応や蚀葉からしお、八重子が遞ばれる可胜性は䜎い。たしおや男性に察しお敵察心を持っおいる女を奜んで遞ぶわけがない。莉子ず同じ道を蟿らせたくおも蟿れないのだ。
     莉子はシングルマザヌの苊劎を身にしみお、知っおいる。もし、あのたたシングルマザヌだったら、いたの暮らしは手の届かない倢だったに違いない。
    「クゥン」
     マルチヌズのシロが莉子の足元に擊り寄っお、錻を鳎らしおいた。
    「はいはい。シロ」
     シロの頭を撫でおやる。
     同じ堎所で生たれおも八重子には届かない堎所に自分はいる。
     莉子は肺に満たされた空気を吐き出し、倫にプレれントしおもらったcoachのバッグを肩にかけ、玄関を出た。

     
     

    志接

     
     
    思い぀いたこずを曞いたり、日々のこずを蚘録したりする人。

    あなたぞのおすすめ