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花屋からITエンジニアへ、夫婦で仕事をしながら世界一周

    むかしむかし、ある村に、旅知(たびち)という若者が住んでいました。旅知は、世界中のすべての国を巡る大きな旅を終えたばかりでした。
    村人たちが「旅をして、よかったですか?」と尋ねると、旅知は深い満足の表情で、こう答えるのでした。
    「本当によかった。それは、想像していた以上の価値がありました」
    様々な国で出会った優しさを思い出しては、
    「人の温かさは、どこでも同じなんだ」と語り、
    見たことのない景色を思い出しては、
    「世界はこんなにも広く、美しいんだ」と微笑み、
    困難を乗り越えた経験を振り返っては、
    「あの時の苦労も、今は大切な思い出」と懐かしみました。
    後に旅知はこう語りました。
    「世界を巡ることで、私の中の世界も広がりました。それは、お金では買えない宝物です」
    そして「旅の実りは、心に咲く」ということわざが、この村から広まっていったとさ。
    めでたし、めでたし。
    と思う2025年1月30日12時27分に書く無名人インタビュー1007回目のまえがきでした!!!!!

    【まえがき:qbc・栗林康弘(作家・無名人インタビュー主宰)】

    今回ご参加いただいたのは うえすと さんです!

    年齢:30代前半
    性別:男性
    職業:フリーランスエンジニア


    現在:世界一周した中で、自分が好きな空間っていうのがわかったかなと思います。

    さあや:
    うえすとさんは今何をしてる人ですか?

    うえすと:
    今はIT系のフリーランスエンジニアをしておりまして、具体的には、インフラと言われるITの基盤となる部分のコンサルティング、設計、構築、運用をしています。大きい企業さんから相談されるところから仕事が始まる感じです。
    今は、フルリモートで業務をしていますので、箱根の別荘地あたりに住んで、出社せずに仕事をしています。

    さあや:
    あ、そうなんですか。フルリモートっていうと、会社員ですか?

    うえすと:
    いえ、個人事業主です。

    さあや:
    では、受注した仕事をリモートで行なっているっていうことですよね。

    うえすと:
    そうですね。厳密に言うと、作業を請け負っているわけではなく、業務委託という形式で働いています。

    さあや:
    いつからそういうスタイルの仕事をされているんですか?

    うえすと:
    フリーランスとして、3年半程前に副業から始めました。最初は小さく始めたかったので、正社員で週5勤務しつつ、副業として仕事をもらい、土日にお仕事するっていう形でした。
    なので、正社員で4年弱やっていた内の最後の1年半は、移行期間として副業でフリーランスを並行して行い、その後フリーランスとして完全に独立したという状況です。

    さあや:
    というと2023年くらいですか?

    うえすと:
    そうですね、2023年の7月ですね。

    さあや:
    その前に、移行期間が1年半ぐらいあって、その前に4年間正社員をされてたと。

    うえすと:
    そうですね。時系列で言うと、元々は花屋で働いてたんですけど、大変すぎて転職しました。2019年10月にITエンジニアになり、そこから、2年ぐらいは正社員として週5で勤務していました。
    その後、2021年11月に、エンジニアとして2社目に転職したタイミングで、副業を始めました。
    その1年半後に、副業もある程度軌道に乗ってきたので、正社員の方を完全に辞めて個人事業主として週5フルタイムで働き出し、今に至るっていう感じです。週5で働くのに疲れたので、今は仕事を減らして、時短で働いています。

    さあや:
    そうなんですね。元々はお花屋さんだったところから今、ITエンジニアをされてるっていうのは、ご自分としてはどんな気持ちですか?

    うえすと:
    仕事自体は楽しいです。お花屋さんという仕事の見えている部分だけを言うと、お客さんが来て、ブーケ作成とかを頼まれて、お花買ってもらってそれを渡すって感じなんですけど。
    そうすると1人のお客さんしか喜ばせられないっていうか、ブーケを作った人にしか喜びを届けられないっていうのが、自分の性にはあまり合ってなくて。せっかく1個作ったら、いろんな人に使ってほしいとか、いろんな人を幸せにしたりとか、いろんな人に便利だって感じてほしいなって思って。
    そうなってくると、ソフトウェア開発とか研究みたいなことをやる方が自分には向いてるんじゃないかなって思って。ソフトウェアなら一つ作れば、いろんな人に利用してもらえると思ったんですよね。なので、1個作ったらたくさんの人が便利だって感じてくれるものを作り続けることができてるので、それはすごい自分の性には合ってるかなって思ってます。

    さあや:
    うんうん、そうなんですね。

    うえすと:
    あとは、IT技術を使ってやりたいことがありまして、元々大学院まで農業を専門にしていて、植物とかお花とかが好きだったので、農業分野の社会課題をIT技術を使って解決できたらなって思っています。
    今までは、金融、小売、美容、転職とかのマーケットでお仕事をしてきたんですけど、そのスキルを農業のような私が元々興味あった部分にも応用できるのではないかと考えています。色んな仕事をして、自分のITとしての基礎力を高めることが、将来やりたいことに繋がるんじゃないかなって思ってます。

    さあや:
    そうすると、ちょっと人生を長いスパンで見たときに、今はどういう位置づけですか?

    うえすと:
    ITエンジニアになった動機の一つが、一つ作ったら多くの人の課題を解決できるというソフトウェアの特徴が魅力的に感じていたことでした。もう一つが働き方の面で、このフルリモートができるとか、働き方を柔軟に変えるとかそういったところで選んでいます。
    ITエンジニアは需要が高くキャリアの少ない人でも割と稼げるので、自由に一日をスケジュールして、人生を送ることができています。
    なので、位置づけでいうと、割とお金をもらいつつ、自由に働きながら、将来のやりたいことに向けて修行をしているって感じですかね。

    さあや:
    そうなんですね。最近、あった楽しかったことって何ですか?

    うえすと:
    仕事ですか?

    さあや:
    何でも大丈夫です。

    うえすと:
    楽しかったこと…。世界一周だと思います。世界一周した中で、自分が好きな空間っていうのがわかったかなと思います。今は箱根という人と離れた場所に夫婦で住んでるんですけど、そういうところに住んでみて、やっぱり静かな場所は好きだなと思いました。これは1年間世界一周して気づくことができました。
    刺激的なことではないんですけど、静かな場所で暮らすっていうことが、楽しいことになってる気がします。

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    アイルランドの静かな家から景色

    さあや:
    そうなんですね。人から性格についてなんて言われることが多いですか?

    うえすと:
    性格について…あんまり直接的には言われたことがないのですが、よく言われるのは、真面目か誠実って言われます。

    さあや:
    どんなところがそう言われる理由だと思いますか?

    うえすと:
    私はやりたい、楽しいと思うことと、やるべきことを分けて考える性格で、楽しいことの優先度よりもやるべきことの優先度が高いんですよね。やるべきことが終わってから、楽しいことをやろうって思うタイプなんですかね。やるべきことと思っているものが、周りから見ると、やってほしいと一致しているので、周りから見ると、ちゃんとやってるように見えるのかなって思ってます。それが誠実だと思われる理由かもしれません。

    さあや:
    そうなんですね。自分では性格についてどう思ってますか?

    うえすと:
    やるべきことが終わってないとそれを楽しめないっていう性格だなと自覚しています。本当は楽しいこととか好奇心の赴くままに動けたらいいのかなって思いつつ、今はやるべきことをできるだけ減らそうと努力してます。
    多分、多くの方は楽しいことを優先しちゃうから、やらなくてはいけないことを棚に上げて、楽しいことをやっちゃうのかなと思います。なので、みんな飽き性とか三日坊主とかで悩んでいるのかなと思います。私はその逆で、やるべきことが終わってないと楽しいことができないので、今はやるべきことっていうのをできるだけ減らそうかなって思ってます。

    さあや:
    それだけ聞くと、楽しい事をやり切れてるのかなっていう心配がありそうだと思うんですけど、やり切れてる実感はありますか?

    うえすと:
    やり切れてないのかもしれないですね。とは言いつつ、やるべきことに落とし込まないと達成できない楽しいことってあるじゃないですか。私が達成した世界一周を例にすると、その楽しいことを実現するため、目標を細分化する必要があります。例えば200万円貯金するとか、家を退去するとか、海外転出するとか、仕事を退職するとか。世界一周というやりたいことを実現するためにはいろんなやらなきゃいけないことっていうのがあると思っています。
    楽しいこととやるべきことの境目が実は曖昧だと思うんですよね。なので楽しいことができてないかって言われるとそんなことはなくって、その目標のためにやるべきことを楽しんでやっているっていう状況です。

    さあや:
    うんうんうん。

    うえすと:
    なので、多分、半々ぐらい。もしかしたら本当に今思いついて今やりたいってことを、あんまりできてないのかもしれないが、立てた目標を着実に達成することを楽しんでいるのかもしれません。

    さあや:
    そういうことですね。うえすとさんは、最近はどんな1日を過ごしてますか?時間軸とかで24時間を分けてみると。

    うえすと:
    最近の仕事は、週4日稼働を5日で分けている時短みたいな働き方をしています。箱根に引っ越してまだ1週間ぐらいなのでリズムを作っているところなんですが、朝は目覚ましをかけず8時ぐらいに起きて、日の光を浴びています。仕事がフレックスなので、朝ご飯を妻と一緒に食べて、9、10時ぐらいに仕事を始めて、12時ころにお昼ご飯食べて、夕方5時ぐらいまでまた仕事をしています。

    さあや:
    仕事の後はどうですか?

    うえすと:
    のんびり過ごしたり、調べものをしたりしています。仕事に必要な情報収集とか資格勉強とかブログを書いたりすることにも時間を使うこともありますね。
    最近、今やりたいことは何かを改めて整理してるのと、寝る前やお風呂の時間を内省に使っています。

    さあや:
    箱根には結構長く住む予定なんですか?

    うえすと:
    いえ、半年くらいかなと思っていて、それ以降はまだ決めてないっていう状況です。 

    さあや:
    じゃあ1年っていうスパンで見ると、どういう過ごし方をされてますか?

    うえすと:
    実は、1年間かけて27ヶ国を旅した世界一周に行っていて、終わったのが今月です。日本から仕事を受けながら生活していたので、去年は時差との戦いでした。日本と近いタイムゾーンにいる時、例えばオーストラリアとかアジアのタイとかニュージーランドとかにいる時は、割と日本みたいな生活をしてて、土日はどっか観光に行くっていう生活でしたね。ちなみに大体1週間に1回家を移動していました。

    さあや:
    えミ

    うえすと:
    はい。1週間に1回、飛行機に乗ってどこか違う町に行って、そこでAirbnbっていう民泊サービスで現地の家を借りて近くのスーパーとかバーに行ったりという生活でした。アメリカのタイムゾーンのときは日本との時差が大きかったので、夕方の6時ぐらいから仕事をし始めて、深夜の1時ぐらいに終業し、寝る生活でした。朝から昼まではずっと観光ですね。自由の女神を見に行ったり、ナイアガラを見に行ったり。メキシコに行って、タコスとか食べに行ったり、という生活でした。
    ヨーロッパは逆で、朝起きたらすぐ仕事をしないといけなかったので、朝5時半ぐらいに起きて、6時ぐらいからミーティングに参加して、朝10時ぐらいまで働いていました。午後は観光して、夜の隙間時間に働く日々でした。
    まとめると、オセアニア州に3ヶ月、アメリカ大陸に3ヶ月、ヨーロッパに6ヶ月いて、それぞれの国で日本との時差に合わせた仕事をして、その合間に、海外の観光地を楽しむという生活でした。

    さあや:
    時差とかで大変だったと思うんですけど、その中でどういった工夫をされてたんですか?

    うえすと:
    仕事面だと、日本のメンバーはみんな同期的にコミュニケーションとれている中で、私だけ時差があってミーティングに参加できないことが多かったので、観光の合間もチャットを見るようにしていました。仕事とプライベートが分かれていないことを、多くの方が嫌だって思ったりするのかなって思うんですけど、私は仕事とプライベートがごっちゃになってるっていう状態で生活がそんなに苦ではなかったです。切り替えて観光も楽しめていたんじゃないかなと思います。
    仕事のことを考えていると、せっかく海外にいるのに観光を楽しめないと思ったので、遊んでいる時は意識的に仕事のことをあまり考えないようにしていました。

    さあや:
    その仕事とプライベートを明確に分けなくても大丈夫というのは、いつからですか?昔からですか?

    うえすと:
    エンジニアになってからな気がします。今の仕事が性格的に向いてるというか。日常的にやってることとそんなに変わらない気がしてるんですよね。私の仕事って、ある機能を作ってほしいみたいな依頼が来るところから始まるんですよね。その仕事ってちっちゃく1個1個のタスクに分けることができて、それが全部終わったら完了になる感じです。それって日常生活も似たようなものかなって思っています。
    例えば、観光に行くっていうタスクじゃないですけど、そういう楽しむことがあったとしたら、それに必要なのは、バスや電車に乗って移動すること、ご飯を食べるとこを探すことだし、帰りの時間の終電は何時かって調べることだと思うので。仕事もプライベートも関わるメンバーが違うだけでほとんど一緒で、タスクを細分化してあとは楽しむだけと捉えています

    さあや:
    そうなんですね。ちなみに世界一周された経験を踏まえて、今、もう一度行きたい場所ってありますか?

    うえすと:
    もう1回行きたい場所…結構あるんですけど、2ヶ所あげるなら、オーストラリアと、フィンランドに行きたいですね。
    オーストラリアが、何で楽しかったのか説明できないんですけど、太陽が眩しくって、ローカルの人たちも陽気で、みんな昼からテラスでお酒を飲んでるみたいな雰囲気が自由な国だなと感じました。世界一周の1カ国目だったので、印象に残っているのかもしれません。もう1回その空気を味わいたいなと思っています。

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    オーストラリア ビールで乾杯
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    オーストラリア コッテスロー・ビーチ

    フィンランドは『かもめ食堂』という映画が好きで、世界一周に行く5年前にもフィンランドに行ったことがあったんです。私はフィンランドのヘルシンキという街が特に好きです。
    オーストラリアとは逆で、日本に似ていて暗い雰囲気があるんですけど、独特な雰囲気と、人が少ないのと、寒々しい感じが好きですね。サウナとか、ライトとか、温かい空間に人が集まっているところも、人間らしくて好きです。
    ヘルシンキは、トラムが街中を走っていて、街全体が綺麗で、風が気持ちよくて海があるのもいいですね。コンパクトにまとまってる街なので、歩いているだけで楽しいんですよね。

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    映画「かもめ食堂」の舞台「ラヴィントラ かもめ」

    過去:海外とか全然行ったことなかったので、ちょっと怖いながらも行ってみたいと思っていました。妻が言ってくれたことで、世界一周とか海外に向き合えたのかもしれません。

    さあや:
    子供のときは、うえすとさんはどんな子でしたか?10代とか20代とか、その前も振り返っていただいて。

    うえすと:
    どんな子だったんでしょう。あんまり振り返ったことないですね。
    小さい頃のビデオを見ると、「これ何?」とずっと言っていました。いろんなことに興味、関心があって、これが何かっていうのを知りたがってたのかなって思います。
    今でもその傾向はあって。何か知らないことに対する興味とか、よくわからない人とか、そういうものと出会うとすごく楽しいなって思います。今でも「これ何?」と聞きたい時はよくあって、多分それはちっちゃい頃からなのかなと思います。

    さあや:
    うんうん。

    うえすと:
    あとは、親にこの前言われたのを思い出したのですが、友達と遊ぶのがすごく好きで、友達が何曜日に予定があいているのか連絡帳で表にしていました。その表を元に今日空いてるかを電話で確認して、遊ぶみたいな生活をしてたらしいです。
    こちらに関しても今と一緒で、XとかLINEとかで、気軽に連絡して遊んでいます。
    あといろんな人と出会うのが好きなので、Xとかで飲み会を開催したり、DMで「会いませんか?」と声をかけて、友達を作ったりしています。

    さあや:
    え~!そうなんですね。

    うえすと:
    はい。友達と一緒にいること自体が好きな性格ではないんですけど、リアルな情報が好きなのかなって思います。ネットとかに転がってる情報ってマーケティングされたりとか、上辺だけだったりするので。例えば、釣りに行ったら船がめちゃくちゃ揺れて全然魚釣れなかったんだよとか、そういうリアルな話を聞いて、自分が体験してないけど知ったような気になれるっていうのが好きなんだと思います。

    さあや:
    そうなんですね。うえすとさんにとって、その何かを知るとか情報を把握するっていうのは、どういう意義があるんですかね?

    うえすと:
    自分に自信があんまりなかったので、たくさん情報を集めて、その中で自分ができそうなことを意思決定するっていう戦略で生きてたんですよね。例えば、ディズニーが好きっていう友達とかに会って、ディズニーはこういうとこが楽しいんだよっていうのを力説を聞いて、それを自分の性格と当てはめて、「私はディズニーには向かないな。なぜかって言うと人混みが嫌いだからな。」みたいに、情報を集めて自分の性格と照らし合わせて、自分の行動指針を決めてきたような気がします。今もそういう傾向はあるかなって思います。
    なので、何かに迷った時なんかには、まずは有識者とかに会ったり話を聞いたりするようにしています。何が大変だったかとか何が良かったかっていうのを聞いて、自分の行動に繋げています。

    さあや:
    そうなんですね。自分自身の状態と情報を照らし合わせてらっしゃるように聞こえるんですけど、自分自身の把握って、サービスとしてたくさん出てるぐらい、自己分析とかは難易度が高いっていう人も多いと思うんですね。自分を把握するっていう点では、うえすとさんは昔から先天的にというか、そういうのが得意だったんですか?

    うえすと:
    いや、でもそんなことはない気がします。性格診断系のサービスとかも全然使わないので、もしかすると自分のことはあんまり理解できてないかもしれないですね。

    さあや:
    そうなんですね(笑)

    うえすと:
    はい、ただ、嫌だなって思うことには敏感なので、そこから減点法で絞っているような気がします。嫌なことを除いていくと、半分以上は選択肢から消えています。なので結局、それが自分なんじゃないかって思ってますね。

    さあや:
    今年の1月まで世界一周されてたってことなんですけど、どういうきっかけで世界一周を始めたんでしょうか?

    うえすと:
    元々は5年前ぐらいに、妻から「世界に行ってみたい!」って言われたのがきっかけです。そのときは私がまだ花屋で働いてて、妻が教員だったんですけど。
    この状況から世界に行くってどうやってやるんだろうっていうのが、自分の中に答えがなかったので、大きな目標というふうに考えてみることにしました。目標にしてみたら、世界一周に行ってみるかって気持ちになってきました。
    その実現に向けて何をすべきかっていうのを二人で考えて、世界一周を実現できるところまで持ってったっていう感じですね。
    なので、自分主導ではないのかもしれません。ただ、元々海外とか全然行ったことなかったので、ちょっと怖いながらも行ってみたいと思っていました。妻が言ってくれたことで、世界一周とか海外に向き合えたのかもしれません。

    さあや:
    ご夫婦2人とも正社員というかフルタイムで働いてる状態から世界一周に踏み切るまでって、どれぐらい、何ステップぐらい何をされてたんですかね?

    うえすと:
    そうですね、実は、「世界一周」っていうより「海外に行きたい」っていうのが初めのふわっとした目標でした。その中の選択肢として、ワーホリで行くっていうパターン、海外にいながら日本企業で働くノマドっていうパターン、海外就職するパターン、語学留学するパターンがぱっと思いつきました。
    その中でワーホリって選択肢は現実的だったので、妻は英語の勉強をして、私は海外にいても日本から仕事をもらえるようにリモートで働けるエンジニアという仕事を選んで、2年ぐらい2人で各自勉強したり準備したりしていました。それで、ワーホリにいざ行こうと思ったときにコロナが流行ってしまって、ワーホリビザが発行されなくなったんです。コロナ前にワーホリに行ってる友達からも「仕事があまりないよ」「ある程度、英語喋れないと仕事なんて絶対見つからないよ」みたいなことを聞いたりして。あとワーホリに行った先でやることって、ジャパニーズレストランとかファームとか、今の仕事とは違う肉体勝負の仕事になるのかなと想像してみました。それらを総合的に考えて、ワーホリという選択肢を諦めることにしました。
    コロナの期間を海外に向けた再準備に当てることに決めました。「フルリモートで、一人でどこでも稼げるようになっておけば、コロナが明けたときに海外にいける」と二人で考えて、自分のスキルを伸ばすためにレベルの高い企業に転職したりしていました。

    さあや:
    じゃあ海外に行くぞと決めてから結構長い準備期間があったんですね?

    うえすと:
    ですね。2年はワーホリの準備をしていて、ワーホリをやめた後にまた準備をしたので、結局3年半ぐらい海外に行くために準備していたっていう感じですね。

    さあや:
    海外に行って、すごく自分の人生に影響するような出来事とかってありましたか?

    うえすと:
    うーん、そんなにはなかったですね。自分探しみたいな形で世界一周される方もいると思うんですけど、我々は新婚旅行みたいな感じでした。二人で楽しく過ごしてたら1年経っちゃいました。なのでさっきも言ったんですけど、自分が好きな場所がわかったってことぐらいですかね。
    結局27カ国52都市に泊まりましたが、1年間は約52週なので、大体1週間に1回家を変えていたい計算になるんですよね。その結果、自分たちが快適だなって思う場所や家がわかったのかなって思います。過ごしやすい街の雰囲気に気づくことができたのも収穫かなって思います。
    なので、よく言われている「これを見つけた!」みたいな感覚は正直言うとないかなって思います。青年海外協力隊のようなボランティアに参加した方に比べると、低刺激な旅だったと思います。原体験になるようなものはありませんでした。でも「毎日最高に楽しい」と二人で共感できる旅になったかなと思います。

    さあや:
    逆に難しかったこととか、困ったこととかはありましたか?

    うえすと:
    そうですね。それはいくつかありました。モロッコのような経済的に発展してない国で物乞いをする人に出会い、お金をくれって言って200m以上ついてくる子とか、面と向かって大声で「金くれ!」って言ってくる人には困りました。基本的に私はお金を渡していたんですけど、あまりにも理不尽なときには断ってました。
    言語は通じてるはずなんですけど、自分の意図が正しく伝わらない状況っていうのには戸惑いました。

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    さあや:
    そういうときって感情面でいくと、どういう気持ちになるんですか?

    うえすと:
    私は大きな声で怒鳴るタイプじゃないんですけど、そのときはこの1年で1番大きな声を出したかもしれないですね。

    さあや:
    そうだったんですね。

    うえすと:
    はい、そうですね。私は課題解決をする仕事をしているので、国とか大きな組織が、そういう課題に対してちゃんと向き合ってほしいなっていうふうには思いました。
    ホームレス問題とか麻薬カルテルとか…政府も動きづらい領域の問題もあると思うんですけど、困っている人たちをサポートするような国のシステムっていうのがあってほしいなって思いました。税金はお金がある人から取ればいいと思うので、お金がない人がちゃんと救われるといいなって思いました。

    さあや:
    このあと未来のパートに行きたいと思うんですけど、過去の部分とかでもっと喋りたいこととか、これを言っておきたいっていうことありますか?

    うえすと:
    そうですね。個人的には世界一周をやってよかったなとは思ってるんですけど、こうやって話してみると、別にやらなくてもいいことだったように聞こえるのかなって思われるかもしれないので、何個か補足していいですか?

    さあや:
    はい。ぜひお願いします。

    うえすと:
    世界一周してよかったなと思う理由の一つは、色んな人種や様々な価値観を持つ人が共存する国で生活できたことでした。カナダ、オーストラリア、イギリスとか多種多様な人がいて、いろんな人が生活してて。いろんな考え方を持ってる人が何とか融合して、街に溶け込んでるっていうのを肌で感じることができたのは、日本にいるだけでは絶対に経験できなかったことだなって思ってます。
    私は結構お酒が好きで、去年は毎日のようにお酒を飲んでいたのですが、「郷に入っては郷に従え」ではないですが、イスラム教の国にいる間はお酒をやめていました。そういう「文化的にできないこと」みたいなことに触れると、自分としては普通だと思っていたものが、世界では普通ではないことに気づくことができると思います。
    なので、この1年で、好きな場所っていうものがよくわかったことが一番の収穫ですが、いろんな現地の方と話したり、文化に触れたりして、世界の様々な側面を肌で感じることができたこともまた収穫でした。いろんな理由で世界一周という夢を諦めてしまう人もいると思いますが、もし行けるのであれば、少し無理してでも行ってみた方がいいんじゃないかなとは思います。

    さあや:
    行く前と帰ってきた後で、自分自身はどこが一番違いますか?自分の中身というか、感覚とかで。

    うえすと:
    「不便に慣れたな」っていう感覚が一番大きいです。私は30年日本に住んで、あまり海外に行ったことはありませんでした。日本で当たり前なことが、世界では当たり前ではないことが多かったので、国のルールに従うってことに慣れたかなって思います。

    さあや:
    これは自分としては、何かプラスになりそうですか?

    うえすと:
    プラスですね。自分の限界とか安全地帯を決めつけがちな性格なので、その領域を大きくしてくれたっていう感覚がすごくあります。

    さあや:
    なるほど。他には何かありますか?

    うえすと:
    そうですね。あとはやっぱり1年間フリーランスとして、自分の力だけで旅行費を生み出すことができたことですね。仕事としてのスキル以外にも、税金のことを自分ごととして勉強して、知識がついたと思います。
    1年間1回も帰国せず、無事に世界一周を夫婦で達成できたっていうのが、自分の中では自信になるのかなって思います。


    未来:農業、環境問題、植物といったお金をあまり稼げない領域だけど、個人的に好きという領域で勝負したいなと考えています。

    さあや:
    そしたら未来の質問に移りたいと思うんですけど。
    5年後とか10年後とか、あるいは死ぬときまで想像していただいて、未来についてはどういったイメージをお持ちですか?

    うえすと:
    今年1年、たくさん悩もうと思っています。そのために今年は勤務時間を短くして、1週間に1日ぐらい内省の時間を取りたいと思っています。内省に集中するために、箱根に住んだといってもいいくらいです。
    ただ、現時点ではふわっとした目標がありまして、自分でビジネスを持ちたいなって思ってます。売上1億円とか10億円とかの会社を作るっていうよりは、スモールに、自分の家族だけをちゃんと支えられるようなビジネスっていうのを作っていきたいなと思ってます。
    今のITっていう仕事の延長線上にあるものなのか、もうちょっとずらしたビジネスをするのかはまだわかっていません。
    ただ漠然と自分のビジネスを持ちたいと思っています。

    さあや:
    うんうんうん。

    うえすと:
    今までITエンジニアとして、金融、小売、エステ、転職、自動車あたりの領域で仕事をしていました。お金をたくさん持っている企業からの仕事なので、たくさん稼ぐことができているんですよね。
    ですが、自分が本当に興味のある領域ではない気がするんですよね。先ほど言ったように農業の修士号を持っているので、農業、環境問題、植物といったお金をあまり稼げない領域だけど、個人的に好きという領域で勝負したいなと考えています。
    起業っていう軸とは別に、博士号取ったりとか、研究職に戻ったりするのもありかなと思ったりもしています。

    さあや:
    そうしたら、未来質問なんですけど、もしも世界一周行ってなかったらこの先どういう人生になっていく、いっただろうと思われますか?

    うえすと:
    そうですね。なんだかんだ世界一周に挑戦してると思います、世界一周ができなかったとしたら、何ヶ月か海外に住むという経験をしていたと思います。
    留学をしている友達とかJICAで働いている友達とかを見て、なんかいいなぁってやっぱり思ってた部分があります。
    他にも、英語をたくさん勉強して、現地就職したり、日系の外資系企業を受けたりする選択肢もあったかもしれません。いずれにしても、海外にいくことに挑戦していたと思います。

    さあや:
    そういった選択肢を取らなかったっていうのは、理由が何かあるんですか?

    うえすと:
    そうですね~…。目的が色んな国に住むことだったからかもしれません。
    外貨で稼ぐ事自体はいつかやってみたいと思っていますが、優先度が低い目標なんですよね。日本でそれなりに稼ぐことができていることが、その目標の優先度を下げているんだと思います。日本円で稼いで、現時点で満足をすることができてるうちは、挑戦しなくてもいいってどうしても思っちゃってます。

    さあや:
    外貨で稼ぐっていう目標に向かうとしたら、何が必要ですか?

    うえすと:
    ワーホリしつつ、現地のIT企業に就職を狙っている友達が何人かいます。日本では仕事に困らないくらい技術レベルが高い人でも、英語力が足りなくて採用されないケースがあるみたいです。
    やっぱり現地にいって就活するのは、それなりの英語力が必要なのかなと想像しています。

    さあや:
    わかりました。最後に言い残したこと、読者向けでも自分に対する独り言とか感想とかでもいいんですけど、言い残したことはありますか?

    うえすと:
    そうですね…。何かやりたいことが思いついたら、それを実行して達成するっていうことは、自分の中では何か積み上がるし、自信を持って人生を過ごすことができるようになるのかなと思っています。
    いろんな目標達成に向けた挫折があると思うんですけど、それを一つ一つ自分の中でちゃんとクリアすると、昔よりも自分に自信を持てて、自分らしく生きれてるのかなって思います。
    なので、目標とかがあったら、それに向けて頑張ってみると、1年後はより自分らしく、豊かな人生になっていくんじゃないかなって思います。人生の夢だった世界一周を達成した私からの想いです。

    さあや:
    わかりました。ありがとうございます。


    あとがき

    うえすとさん、インタビューありがとうございました。
    2020年に風の時代が訪れたらしいのですが、あれから早5年目。こうなりたい、と思う未来に向かって行動できる人が増えて、軽やかな価値観が広がっているように感じます。

    世界一周を1年かけて、やってみたくなりました。こういう海外の話を聞くと、バックパッカー魂が呼び覚まされてしまいます。それを目標にして、コツコツがんばりたいです。

    【インタビュー・編集・あとがき:さあや】

    【編集:mii】

    #無名人インタビュー #インタビュー #フリーランスエンジニア #個人事業主


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    有名人だから面白いんじゃない。人は誰でも素晴らしく面白い。 人類の生きた記録を保管したい。2020年設立。メンバー約20名。主催は栗林康弘。1,500人以上をインタビュー。インタビュー応募は固定記事からどうぞ。 公式サイト → https://mumei.me/

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