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切り抜き

    これは、日常の中で選んでいる話。

    路

    05:30

    襷をかける。

    深呼吸。

    走り出す。

    ランナー達と合流。

    ペースが、上がる。

    私は、内に進路を取る。

    「どけどけどけ〜」

    唸り声。

    駆け抜けていく。

    マイペース。

    沿道に、声援はない。

    記録ではない。

    完走を目指す。

    補給所。

    コーヒーを受け取った。

    折り返しに、差し掛かる。

    襷を締め直す。

    祝杯は、まだ遠い。

    家に帰るまでが、私のマラソンだ。

    ⸻

    盆

    ポン。

    この音。

    長女は、知らない。

    私の歴史。

    先日、長女も証を手に入れた。

    6年がかりで、やっと1枚。

    我が家にも、証がある。

    父で終うか。

    私も飾るか。

    長男は…

    誰が為の証か。

    今年も、手を合わす。

    ⸻

    地図

    18:00

    腹を満たす。

    身体を清め、床につく。

    夜半、僕は浮いている。

    大海原。

    渦潮に吸い込まれる。

    水しぶき。

    座席が、一つ。

    白いテープ。

    蓋は、閉じている。

    手を伸ばす。

    06:00

    音が、止まる。

    目を見開き、走り出す。

    戸を開け、しゃがみ込む。

    「ふぅぅ…」

    口元が、ほどける。

    10歳の朝。

    ⸻

    圧力

    「お座り下さい」

    書かれていない。

    言われていない。

    でも、座ってする。

    する側に立つと、よくわかる。

    どれだけ楽か。

    立つか。

    座るか。

    二人に一つ。

    我が家のルール。

    「お座り下さい」

    ⸻

    囁き

    黒い悪魔。

    老若男女。

    誰もが手を伸ばす。

    型は無く、玉虫色。

    私も取り憑かれた。

    夜な夜な、封に手を伸ばす。

    増える罪悪感。

    それでも、手は止まらない。

    子には、自制を促し唾を飲む。

    今日も封をし直し、新たに向かい入れる。

    ⸻

    余白

    「どうですか?」

    「そうですね…」

    息を呑む。

    「ピントも合わないし、メモリーも古いので」

    「…そうですか」

    長い付き合いだ。

    私は、理解している。

    そろそろ潮時。

    名残惜しい。

    あと少し。

    最後の機会。

    どんな顔が、撮れるのか。

     
     
    コールセンター勤務の体験を、少しずつ書いています。 怒鳴られたり、笑われたり。 働く人の距離感を残しています。 たまに短編小説を書いています。

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