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党郚、秘密の恋だった【党20話収録・䞀気読み版】

    ※こちらは「党郚、秘密の恋だった」党20話をたずめた䞀気読み版です。


    声だけなら、倧䞈倫だず思っおた。

    âž»

    【あらすじ】

    毎晩、仲間たちずボむスチャットを぀なぎ、
    みんなで笑いながらボスを倒す。

    そんな䜕気ない時間が、れんにずっお䞀番の居堎所だった。

    その堎所に、矎咲がいた。

    顔も知らない。
    幎霢も、䜏んでいる堎所も知らない。

    それでも毎晩、その声を探しおしたう。

    「おかえり。」
    「ただいた。」

    䜕気ない蚀葉が、少しず぀二人の居堎所になっおいく。

    やがお惹かれ合う二人。

    しかし、矎咲には、
    どうしおも守らなければならないものがあった。

    知っおしたえば終わる。

    奜きなのに近づけない。
    䌚いたいのに䌚えない。

    二人は、その想いを抱えたたた、
    䜕床も苊しみ、䜕床も遞択を重ねおいく。

    これは、れんが芋おいた恋のお話。

    そしお最埌に描かれる、
    もう䞀぀の想い。

    その真実を知ったずき、第1話から芋えおいた景色は、きっず違うものになる。

    こんな䞖界があったずいうお話です。

    âž»

    第1話党郚、秘密の恋

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    「たぁたぁ、楜しくやろうよ笑次は俺がカバヌ行くから」
    深倜のオンラむンゲヌム。

    幎霢も、仕事も、生き方も党然違う人たちが、ボむスチャットVCにいる。

    それだけなのに、劙に居心地がいい。
    俺——れんは、そんな堎所のたずめ圹みたいになっおいた。

    「ミュヌトの人も聞こえおたら笑っおヌ笑」
    そんなノリで、誰も眮いおかない。我ながら、悪くないキャラだず思う。

    気づけば、毎晩同じメンバヌが集たっおた。仕事終わり、颚呂䞊がり、『ただいた』みたいにDiscordを開く。

    「ナむスヌヌ」
    「うわヌヌ笑」
    「やったなぁ」
    「やっずボス倒せたな〜みんなナむス」

    なかなか倒せなかったボスを今いるメンバヌだけで倒せたのは倧きい

    「よし君笑絶察叫んでるず思う笑ミュヌトやのに笑」
    こんな颚に、VCには色んな人がいた。

    そしおそのVCの䞭心には、い぀も矎咲ちゃんがいた。

    「きゃヌヌヌ笑」
    「どうした笑どこで隒いでんの〜どこ〜」
    「あヌ💊右の小屋のなか〜早く来お〜笑あヌ」
    「すぐ行く笑埅っおろ〜っお、おらんぞ小屋に〜笑」
    「移動するやん普通〜笑早く来お〜笑」

    ずにかく、声が可愛い。子䟛みたいに隒いで、誰にでも優しくお。
    ミュヌトの人にも「今日も来おくれおありがずヌ」っお蚀える子。

    「矎咲っおマゞで癒やし。ずころで䜕歳なの」
    「え〜蚀わないよ笑想像におたかせ」
    「え〜ずるい笑」
    「じゃあどこに䜏んでるの」
    「んヌ、東北だよ〜笑」
    「東北のどこ」
    「んヌ、秘密〜うふふ笑」
    「なんだよ秘密っお笑」
    「俺は名叀屋」
    「俺は犏岡〜」

    䜕を聞いおも、笑っおかわされる。
    どこに䜏んでいるのか、䜕歳なのか、どんな仕事しおるのか 党郚、秘密。

    VCが終わったあずも、なぜか矎咲ちゃんの声だけが耳に残っおいた。

    䞀人になった暗い郚屋で、スマホを芋぀めながら思う。
    矎咲ちゃんの「うふふ」っお笑い方、可愛いな。
    声の感じなら、20代前半かな。どんな顔しお笑うんだろう。

    想像が、止たらない。

    くぅ〜  気になる

    秘密にされればされるほど、逆に気になっおしたう。

    そのうち絶察、聞き出しおやるからな。

    ——この時はただ、知らなかった。圌女の「秘密」が、こんなに深いものだずは。

    第話声だけで、奜きだった

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    「あっ、矎咲ちゃんもういるじゃん」

    誰にも蚀わない。
    でも、自分の䞭で少しだけテンションが䞊がる。

    俺はゲヌムを起動するたび、
    たずDiscordを確認するようになっおいた。

    「オンラむン」

    その文字が緑色に光っおいるだけで、
    胞の奥が少し嬉しくなる。

    仕事䞭でも、
    ミュヌトで入っおコメントだけしたり。

    別に玄束なんかしおいない。
    どこの誰かも知らない。

    でも。
    圌女がいるだけでVCは盛り䞊がる。
    その声が聞こえるだけで、なんだか安心した。

    それにしおも、仕事はしおるみたいなのに、
    倜だけじゃなく、たたに朝も昌もいる。

    䜕しおる人なんだろう。

    矎咲ちゃんの話題は、
    VCでもよく出おいた。

    「矎咲っお䜕の仕事しおるんだろね」
    「今日は来おないね。圌氏ずデヌトかぁ」
    「結婚ずかしおるのかなぁ」

    そんな噂話も、
    VCでの楜しさの䞀぀だった。

    そんな話をしおいたら、
    「こんばんは〜」
    矎咲ちゃんが来た。

    その瞬間。
    さっきたでのVCの空気が、䞀気に倉わる。

    「今日も隒がしいの来たな笑」
    「えヌひどヌい笑」
    「どんたいどんたい、次いこ次〜」
    「あヌやられた〜ごめ〜ん、今床こそ〜」

    子䟛みたいに笑っお、隒いで、ぷりぷり怒っお。
    そのたびVCが、賑やかな笑いで埋たる。

    ミュヌトの人にも、
    「アキラさ〜ん、みゆちゃ〜ん、私、歊噚倉えおみるね〜フォロヌお願いした〜す」

    っお普通に話しかける。
    誰も眮いおいかない。

    気づけば、皆が矎咲ちゃんを埅っおいた。

    「ダメだわ〜。歊噚戻した〜す笑」

    内緒だけど、
    ゲヌムは少し䞋手笑

    そこがたた可愛い。

    気づかないうちに、
    俺はずっず笑っおいた。

    「もう寝るね〜」
    矎咲ちゃんが萜ちる。

    その瞬間。
    あんなに隒がしかったVCが、急に静かになる。

    「あ、矎咲ちゃん萜ちたし私も寝る〜」

    䞀人、たた䞀人ず萜ちおいく。
    俺は笑っお芋送りながら、
    急に静かになったVCが、少し寂しかった。

    「俺も寝るかぁ」

    暗い郚屋。
    スマホが攟぀光。
    Discordを開く。

    さっきたで緑だった名前が、
    もう消えおいる。

    「  矎咲ちゃん、もう寝たかな」

    ん
    なんだこれ。

    ただのゲヌム仲間なのにな。

    ——「もう寝るね」その蚀葉だけで、
    少し寂しくなる俺を。

    矎咲ちゃんは、きっず知らない。

    第話初めおの、寝萜ち

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    「矎咲ちゃん、眠くないの」
    「ん〜、ただ眠くない笑」

    ある倜のこずだった。

    その日、皆が萜ちたあず。
    矎咲ちゃんだけが、VCに残っおいた。

    気づけば、最埌たで残るのが圓たり前になっおいた。

    「あの歊噚匷かったよね笑」
    「れん君、今日めっちゃ助けおくれたじゃん笑」

    最初はゲヌムの話だった。

    でも、人数が枛るだけで䞍思議ず距離感が倉わる。

    矎咲ちゃんは、皆がいる時より少し静かだった。
    その䜎いトヌンの声が、劙に耳に残る。

    気づけば、自分のこずばっかり話しおた。

    仕事の話。
    昔の倱敗話。
    家族の話。

    「れん君、ほんず面癜い笑」
    「なんか想像できる笑」

    そんな颚に笑われるだけで、嬉しかった。

    「矎咲ちゃんは」
    「ん〜、私の話はいいよ笑」

    たた、かわされる。
    でも、䞍思議ず嫌じゃなかった。

    時蚈を芋る。
    深倜3時。

    「やばっ笑」

    俺が笑うず、矎咲ちゃんも぀られお笑った。

    少しの沈黙。

    むダホンを耳に圓おたたた、目を閉じる。

    そのあず。

    垃団が、擊れる音がした。
    小さな、寝息。

    「矎咲ちゃん  寝た」

    返事はない。

    芏則正しい呌吞音。
    静かな倜。
    切れない通話。

    通話したたた、寝たのかよ笑

    でも。
    切れなかった。

    このたた朝たで繋いでいたかった。
    切る理由なんか、どこにもなかった。

    にやにやが止たらない。

    なんだこれ。
    めちゃくちゃ幞せなんだけど笑

    「   やばっ」

    スマホを芋る。

    朝5時。
    充電、5。

    「 もう5時かよ」
    「ん〜  あれ繋がっおる」

    矎咲ちゃんの声がした。

    「矎咲ちゃん、起きたの」
    「えっれん君、ただ起きおたの」
    「ごめん私、寝萜ちしちゃったみたい 」
    「うん笑よく寝おた」
    「えヌ💊切っおくれたら良かったのに 」

    むダホン越しの眠そうな声。

    「いや、矎咲ちゃんが起きたら切ろうず思っお」
    「なにそれ笑」

    小さく笑う声。

    「う〜ん 」

    そのあず、たた静かになる。

    カヌテンの隙間から、少しだけ朝の光が入っおきおいた。

    眠いはずなのに。
    党然、切りたくなかった。
    むしろ、この時間が終わる方が嫌だった。

    「 れん君」
    「ん」
    「今日、お仕事倧䞈倫」
    「たぶん笑」
    「絶察眠いや぀じゃん笑」

    たた小さく笑う。

    その笑い声を聞いおるだけで、
    眠気なんかどうでもよかった。

    少ししお。

    たた、小さな呌吞音が聞こえ始める。
    むダホン越しの、小さな寝息。

    あっ、矎咲ちゃん、たた寝ちゃった笑

    俺は目を閉じた。

    顔も知らないのに  
    この声がない倜を、もう想像できなくなっおる。

    「 奜きになったらダメなや぀だろ、これ」

    でも、もう遅かった。

    第話突然の「ミュヌト」 

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    「れんくヌん、今のカバヌ神すぎ奜きになりそう笑」
    「はいはい、ありがずな笑」

    その日のVCは、い぀もより賑やかだった。

    新しく入った女性メンバヌさやかが甘えお、
    呚りがはやし立おる。

    「お、公認カップル誕生か笑」

    俺は適圓に盞づちを打ちながらも 

    「あれ 」

    い぀もなら笑い飛ばす矎咲ちゃんが、
    突然ミュヌトになった どうしたんだろう 

    赀い斜線。点灯しないアむコン。
    なぜか、胞がざわ぀いた。

    「矎咲ちゃん、今日静かだね。寝おる」

    数秒埌。

    「 あヌ、ごめん。家のこずしおただけ」
    「急に静かになったから、どうしたんだろっお 笑」

    聞こえおきたのは、い぀もの声だったけど、
    どこか枩床が䜎かった。

    その時、

    「れんくんっお、ほんず優しいよね。誰にでも」

    矎咲ちゃんのその䞀蚀で、俺は䞀瞬止たった。

    「えっ 」
    「あ、ごめん笑ちょっず甚事するから、もう萜ちるね〜。皆たたね〜」

    明るい声を䜜っおいるのはわかった。
    でも䜕かが違ったたた、アむコンは消えた。

    皆が萜ちたあず、メッセヌゞを送っおみた。

    既読が぀かない。
    返事も来ない。

    俺は気づけば、通話ボタンを抌しおいた。

    出ない、もう䞀床。
    出ない たたかける。

    「矎咲ちゃん」
    「  うん」
    「なんかい぀もず違ったから、気になっお  」

    沈黙。

    「なんでもないよ」
    「なんでもなくないじゃん  どうしたの」

    たた沈黙。

    そしお 

    「 ほかの子ず仲良く話しおるの聞いおお、やきもち焌いちゃった。あはは  」
    「えっ 」
    「䞀緒にプレヌしおお楜しいずか、わざわざ蚀うんだっお思っお」
    「いや あれはノリだっお笑」

    少しの沈黙。

    「 特別なのは、矎咲ちゃんだけだよ」

    通話の向こうで、
    小さく息を止めた気がした。

    「でも、蚀っおたじゃん。嘘぀きヌ」
    「  私も、勘違いしそうになったわ」
    「なんかごめんね笑もう寝るね。おやすみなさい」

    プツっず、通話が切れた。

    「えっ 」

    暗い郚屋 
    スマホの画面だけが光っおいる。

    「ごめん、話を聞いお」
    「怒らんずいお」

    返事はい぀たでも来ない。

    矎咲ちゃん 
    嫌だったよな ごめんな。

    眠れない  

    だけど、
    矎咲ちゃんが俺にやきもち焌いおくれたんだっお嬉しくお、眠れなかった。っおのもある。


    次の日、矎咲ちゃんはい぀も通りVCにいた。

    入るのが怖かったけど、勇気を出しお入っおみる。

    ピコヌン。

    「れん君、おはよ〜」

    矎咲ちゃんから声をかけおくれた。

    それだけで、ホッずした。

    「おう、おはよ」

    第話「䌚いたい」が、止たらなくなった

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    「おはよ〜」
    「おう笑たたいた」

    気づけば、朝も昌も倜も、
    Discordを開くようになっおいた。

    矎咲ちゃんがいないずきは、少しだけ物足りなくなっおいた。

    別に玄束なんかしおいない。
    でも、開けば矎咲ちゃんがいる。

    「れん君、お昌、ご飯䜕食べたの」
    「ただ〜」
    「たたちゃんず食べなよ笑」

    毎日すごく楜しかった。

    気づけば、二人で電話しながら寝萜ちするのも圓たり前になっおた。

    「ただ眠い〜」

    朝たで繋がっおたずきは、
    おはよっお俺だけ特別だず思っおた。

    なのに。

    "䌚う"っお話になるず、
    矎咲ちゃんは必ず笑っお逃げる。

    「矎咲ちゃん、䌚おうよ笑」
    「無理無理笑」
    「え〜なんで」

    「そんなこずばっかり蚀っお〜女の子よく誘っおるの笑」
    「誘っおねヌよ笑」

    最初は冗談だった。

    「矎咲ちゃんっおさ」
    「ん〜」
    「圌氏ずか、いるの」
    「  秘密笑」
    「秘密っおなんだよ笑」

    でも、今たでずは少し違った。

    「だっお、䌚っおみたいんだもん」
    「そんな簡単に蚀わないで笑」

    その声は、少し嬉しそうだった。

    矎咲ちゃんっお、ほんず可愛いな。
    どんな顔しお笑うんだろう。

    想像ばっかり増えおいく。

    顔が芋たい。
    声だけじゃなくお、ちゃんず目の前で笑っおほしい。

    䌚いたいっお蚀葉が、だんだん冗談じゃ枈たなくなっお 

    少しず぀本気になっおいく。

    「 矎咲ちゃん、䌚いたい」
    「 れん君」
    「うん」
    「  もし䌚ったらさ」

    そこで蚀葉が止たる。

    「いや、なんでもない笑」
    「なんだよ笑 䌚ったら䜕」

    通話の向こうが静かになる。

    「あ、いや、ごめん 私、ゲヌムしおるだけだから 」

    なぜか 急に苊しそうだったから、

    「そうだよなゲヌムだもんな笑」

    っお笑っお返した けど少し傷぀いた。

    そのあず、小さな声で
    「  これ以䞊螏み蟌たないで」
    「壊れちゃうから 」
    「䜕が䜕が壊れるの」

    その瞬間、通話の向こうで音がした。

    「あっ 」

    矎咲ちゃんの息が、䞀瞬止たる。

    そしお、ミュヌトになった。

    10秒。

    20秒。

    30秒。

    䜕も聞こえない、息を飲んだ。

    「  矎咲ちゃん」

    やっずミュヌトが倖れる。

    「ごめんごめん笑䜕でもないよ」

    笑っおいた。

    でも、明らかに䜕かを隠しおいた。

    誰か居るのかな  家族

    それより、䜕が壊れるんだろう。
    䜕を隠しおいるんだろう。

    通話は繋がったたたなのに、
    距離だけが、急に 遠くなった気がした。

    第話泣いおる理由が、わからなかった

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    ある倜のVC、ゲヌムの合間に、
    メンバヌのタクががそっず聞いおきた。

    「なぁれん、矎咲ちゃんのこずどう思っおんの」
    「はなんでそんなこず聞くんだよ笑」
    「いや〜、なんか最近二人の空気感、ちがうくない笑」
    「気のせいじゃね」
    「絶察気のせいじゃないっお笑」
    「わかるわかる。れん、矎咲ちゃんいる時だけちょっず違うもん笑」
    「うるさいなぁ笑」

    笑っおごたかしたけど、
    でも、「 たぁ、気になっおないっお蚀ったら嘘になるけど笑」

    気づいたら、そんなこずを蚀っおいた。

    「おっ」
    「やっぱりじゃん」
    「いや埅っお、それ矎咲ちゃんに蚀っおやろ笑」
    「やめろっお笑」

    その時、ピコヌン。

    「こんばんは〜」

    矎咲ちゃんが来た

    「あ矎咲ちゃん、来たぁ笑」
    「矎咲ちゃんちょうどよかった」
    「れん、矎咲ちゃんのこず奜きなんだっお」

    䞀瞬。
    VCが静かになった。

    「  え」

    矎咲ちゃんの声が、止たった。

    俺も、止たった。

    「え〜笑なにそれ、もぉ〜からかわないのっ笑」

    メンバヌたちがたた笑い出す。

    「照れおる照れおる笑」
    「れん、いけるぞっ 今や笑」
    「やめろっお笑」

    賑やかなVCは、すぐにい぀も通りに戻った。

    でも、
    「  えっ」っお、困っおたよな 

    その日の矎咲ちゃんは、
    珍しく早めに「おやすみ〜」ず蚀っお萜ちおいった。

    俺は、たたらず電話をかけた。

    「さっきの、ごめん。タクが勝手に——」
    「ううん、いいよ笑気にしおないから」

    でも、その「気にしおないから」が、
    どこか苊しそうだった。

    「  困ったよね、ごめんね」

    沈黙 少ししおから、

    「  ちがうの」

    それだけ蚀っおたた黙っおしたった。

    でも、泣いおる気がした。

    「矎咲ちゃん」
    「泣いおるの」
    「矎咲ちゃん、倧䞈倫」
    「うん、ごめん。䜕でもないから」
    「䜕でもなくないだろ倧䞈倫」
    「 」
    「矎咲ちゃん  ごめんね」

    矎咲ちゃんは黙ったたた、䜕も蚀わない。

    䜕が泣くほどダメだったのか、
    俺にはわからなかった。

    その日は。

    そのたた倜明けたで、
    ただ、繋いでいただけだった。

    ——泣いおる理由が、わからなかった。

    第話「奜き」が、挏れた倜

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    今日の俺は、なんだか気持ちが抑えられなくお、
    仕事垰りに歩きながら矎咲ちゃんに電話を掛けた。

    「矎咲ちゃん、もうご飯食べた」
    「うん、食べたよ。今、VC入ろうず思っおたずこ」
    「矎咲ちゃん 俺、もう無理だわ」
    「ん」

    止たらなかった。

    「矎咲ちゃん 奜きだよ」

    通話の向こうが静かになる。

    「あはは笑たた始たった笑」
    「冗談じゃないよ」
    「俺、矎咲ちゃんずちゃんず付き合いたい」

    少しの沈黙が続き、
    むダホン越しに小さく息を飲む音が聞こえた。

    「れん君 ごめん、付き合えないよ」

    泣きそうな声だった。

    「いや、ごめん笑なんか今、蚀いたくなっただけ」

    慌おお笑う。

    「 ありがず、私もれん君、奜きだよ」
    「でもね れん君、ごめん」
    「俺じゃ、ダメなの」
    「ううん。 れん君がダメずかじゃなくお 」
    「れん君、ごめんね 」
    「矎咲ちゃん 倧䞈倫だよ。謝らないで」

    その声が、苊しかった。

    最近、矎咲ちゃんは時々苊しそうに笑う。
    前みたいに無邪気に笑っおるのに、
    その奥に、䜕かを隠しおる。

    俺は、䌚えない理由を考えるようになった。

    容姿の問題
    実はかなり幎䞊
    他にどんな事情がある

    でも、奜きっお蚀っおくれおる。
    だから、どんな理由でもいいやず思っおた。

    ゲヌムが終わった埌、
    い぀も通り通話はしおるけど、
    お互い黙っおる時間が増えおいく。

    「矎咲ちゃん、奜きだよ」
    「 私も」
    「䞀緒に寝よ」
    「うん」

    䌚ったこずないけど、
    その蚀葉だけが嬉しくお。

    むダホン越しの寝息。
    小さな呌吞音。
    それだけで安心しおしたう。

    「俺が矎咲ちゃんを守る」

    本気だった。
    䜕を抱えおおもいい。
    どんな事情でもいい。
    それでも、そばにいたかった。

    でも、
    「  どこに䜏んでんだよ〜〜」

    はぁ 
    暗い郚屋で、䞀人小さく笑った。

    奜きになればなるほど、
    䜕も知らないこずが、怖くなっおいった。

    第話䌚いに行ける距離

    画像

    皆が萜ちたあず、二人で通話するようになっおから、
    もうすぐ3カ月。

    笑い方も、怒った時の「もぉ〜」も、
    寝萜ちする盎前の、甘くかすれた声も知っおる。

    でも、顔や歳、どこに䜏んでるかは、
    知らない。

    䌚いたい気持ちだけが、どんどん募っおいく。
    声を聞けば聞くほど、䜙蚈に䌚いたくなる。

    奜きだから、䌚いたい。
    䌚えないけど、䌚いたい。

    もう、自分でも分からなくなっおいた。

    ある時、電話をしおいたら、
    矎咲ちゃんがぜろっずこがした。

    「今日、寒かったね」
    「うん、今日の新期、寒かった〜」
    「えっ、新期なの」
    「あっ笑」
    「あっおなんだよ笑」
    「いや  うん。実は新期なの」

    マゞか、新期
    もうその䞀蚀だけで、
    俺の頭の䞭は䞀気に動き出した。

    新期かぁ 
    名叀屋から簡単に行ける距離じゃない。

    でも 
    車で行くか
    いや、新幹線の方が早いよな。

    午前䞭に新期たで行っお、ランチしお 
    そんなこずを考えおいたら、楜しくお仕方がなかった。

    「矎咲ちゃん、新期のどこらぞんに䜏んでるの」
    「ん  駅の近くだよ」
    「私の足で  歩いお20分くらいかな」
    「かなりあるね 」
    「いや、普通の人だず10分くらい笑」
    「䜕それ笑足が短いずか笑」
    「うるさいなぁ〜笑」

    䜕気ない顔しお、
    駅からの距離も聞いた。

    やっず やっず
    矎咲ちゃんのこずが知れた

    もう、「駅から10分」が、頭から離れない。

    行っおもいいっお聞いたら、
    ダメっお蚀うに決たっおる。

    だからっお、勝手に行ったら怒るだろうな

    普通に考えたら、迷惑だし、
    䌚いたくない理由があるのかもしれない。
    それにしおも、䜕で秘密にしおたんだろ 

    䜕床も考えた。

    怒らすくらいなら、
    来おいいっお蚀っおくれるたで、
    我慢するしかないよな っお。

    でも、い぀になるのか、
    来おいいっお蚀っおくれる保蚌もない。

    俺は、埅おなかった。

    もう、怒っおもいい。

    勝手に行くしか、
    䞀生䌚えないだろ。

    ——止められない。

    俺は、悩むのをやめ、新幹線の料金を調べおいた。

    第話来ちゃった

    画像

    もう、止められなかった。

    俺は、䜕日かに分けお、
    矎咲ちゃんが朝からVCに来れる日を探っおいた。

    俺も自営だけど、仕事をもらっおる身だから、䌑める日で予定合わせなきゃ っお、そこら蟺は入念に。

    「矎咲ちゃん、明日は朝䜕しおるの〜」
    「明日明日は予定無いから朝からVCいくよ」

    よし、明日だ

    ず、決めたはいいけど 

    いきなり行ったら怒るかなぁ 
    それより、䌚いに来おくれるかな 
    たぁ、そのずきはそのずきかぁ 

    そんな䞍安の䞭、
    でも、たさかで喜んでくれる かも

    ずいう期埅の方が倧きくお、
    俺は䞀人、新期に行っおからのこずを考えおた。

    どこ行こう。䜕しよう。
    どのタむミングで手を繋ごう 緊匵する。

    もう、ドキドキが止たらなくお䞀睡もできなかった。

    始発で飛び乗った電車。
    新幹線。
    知らない街。
    朝の新期駅。

    来ちゃった。
    もう戻れない。

    スマホを握る手が少し震える。
    なかなか電話がかけられない。

    でも、かけるしかない

    俺は、深呌吞しおから電話をかけた。

    「  もしもし」
    「れん君、おはよう〜」
    「矎咲ちゃん、おはよう」

    「来ちゃった」
    「ん  え」

    「今、新期駅にいる」
    「いきなりでごめん」
    「少し䌚える」
    「䜕時でも埅っおる」

    長い沈黙。
    䜕か蚀っおくれ。

    「れん君  なんでぇ」

    泣いおる。
    怒るでもなく、びっくり〜っお笑うわけでもなく 泣いおる。

    長い長い沈黙のあず。
    泣きながら、声にならないほど小さな声で。

    「  れん君、本圓にごめんなさい」
    「今から準備するね、1時間ほど埅っお」
    「でも ごめん。たくさん嘘぀いおる」
    「それでも  䌚っお謝りたい」

    電話が切れる。

    「えっ 切れた」

    そしお、
    「  嘘」

    䜕だろう 
    幎霢芋た目圌氏

    でも、来るっお蚀っおる。

    もうこの際、䜕でもいい

    怒られおもいい。
    嫌われおもいい。
    想像ず違っおもいい。

    それでも䞀床でいいから、
    ちゃんず䌚っお話したかった。

    ただ、䌚いたかった。

    第話党郚、聞かされた倜

    画像

    「  れん君」

    聞き慣れた声。

    振り向くず、泣きながら立っおいる綺麗な女性がいた。

    「 れん君、ごめんなさい」

    その声は、矎咲ちゃんだった。

    矎咲ちゃんは、
    俺が想像しおいた"女の子"じゃなかった。

    ひず目で、幎䞊だず分かった。

    幎は、かなり䞊だった。

    䞀瞬、頭が真っ癜になった。

    そういうこずか 

    でも  それより先に、
    泣いおいる矎咲ちゃんを芋お、
    ぎゅっず、胞が締め付けられた。

    「 れん君、ごめんね」
    「本圓に、ごめんなさい」

    責めたいわけじゃない。
    怒りたいわけでもない。

    「俺が勝手に来たから」
    「倧䞈倫だから、泣かないで」
    「矎咲ちゃん、来おくれおありがずうね」
    「やっず、䌚えたね」

    觊れようずした、
    その瞬間。

    「 私、結婚しおる」

    時間が、止たった。

    呚りの音が、䞀瞬遠くなった。
    駅のアナりンス。
    人の声。

    党郚が、
    どこか遠いずころから聞こえおくる。

    倩井を芋䞊げたよ。

    うそだろ
    ずっず、電話しおたじゃん 

    怒ればよかった。

    でも、泣いおる矎咲ちゃんを芋たら、
    䜕も蚀えなかった。

    結婚 既婚者。

    その蚀葉が、頭の䞭でぐるぐる回る。

    矎咲ちゃんは、泣きながら続けた。

    「だから、䌚えなかったの」
    「だから、䜕も蚀えなかったの」

    新期駅の改札前。

    人目も気にせず、䜕床も謝る矎咲ちゃん。

    「 いいっお」
    「䜕かあるっお思っおたから」

    「倧䞈倫だから」
    「泣かないで」

    でも、倧䞈倫じゃなかった。
    党然、倧䞈倫じゃなかった。

    ほんずは抱きしめたかった。

    でも、既婚者。
    その蚀葉が、俺の身䜓を止める。

    この人には、垰る堎所がある。
    俺が知らなかっただけで、ずっず。

    それでも、泣いおる矎咲ちゃんに、
    それを芋せたくなくお、

    頑匵っお笑った。

    「移動しよっか」
    「  うん」

    駅近くのカラオケボックスに入る。

    ドリンクだけ眮かれたテヌブル。
    リモコンは䞀床も觊らなかった。

    そこで、矎咲ちゃんは党郚を話しおくれた。

    旊那さんがいるこず。
    幎霢のこず。
    突然ミュヌトになる理由。
    ずっず隠しおいた理由。

    「れん君のこず、奜きになっおしたっお 」
    「れん君を傷぀けおしたうのが怖くお 」
    「私も䌚いたかった 」
    「でも、蚀えなかったの 」
    「本圓にごめんなさい 」

    その時の俺は、
    泣きながら話す矎咲ちゃんの手を握っお、
    ずっず黙っお矎咲ちゃんの話を聞いおいた。

    戞惑いはあった。
    混乱もしおた。

    それでも、手を離せなかった。

    気づけば15時。

    「延長したすか」
    俺は「いいえ」ず答えた。

    矎咲ちゃんは既婚者だから 

    早く垰さないずっお、思った。

    「矎咲ちゃん、もう倧䞈倫だから泣かないで」

    俺が垰ろうっお蚀おうずした瞬間、

    矎咲ちゃんがスマホを觊っお、
    小さく蚀った。

    「今日、晩埡飯食べお垰るっお連絡した」

    小さな声だった。

    俺は䜕も蚀えなかった。
    だけど、その䞀蚀で。

    矎咲ちゃんが、
    俺ずの時間を遞んだこずを知っおしたった。

    もう、戻れなかった。

    第話それでも、抱きしめた

    画像

    「お腹空いおない」
    「うん。空いおない」

    少し歩いたけど、
    二人ずも食欲なんおなかった。

    「矎咲ちゃん 」
    「 れん君」

    矎咲ちゃんが俺を芋぀めた。

    「矎咲ちゃん、 いい」

    それ以䞊、䜕も蚀わなかった。
    でも俺の手を、ぎゅっず握った。

    それが答えだった。
    ダメだっおわかっおた。

    でも、この手を離したら、
    もう二床ず觊れられない気がした。

    タクシヌの窓から、
    倕暮れの新期が流れおいく。

    二人ずも、䜕も蚀わなかった。
    蚀葉なんお、いらなかった。

    離しちゃいけない気がした。
    その手を離せなかった。

    もう、止められなかったんだ。

    「矎咲ちゃん 奜きだよ」

    「れん君 ごめんね。もう こんなに奜き」

    止たらなかった。

    その倜。

    俺たちは、もう元の二人には戻れなくなった。


    遅くなり過ぎないうちに、
    矎咲ちゃんをタクシヌに乗せお芋送った。

    その日、俺はそのたた
    䞀人ホテルに泊たった。

    ベッドに倒れ蟌んで倩井を芋䞊げる。

    垰りの゚レベヌタヌの䞭で、
    凄く蟛そうに俺の手をギュッお握っお、

    䜕かを蚎えるような顔をしおいた、矎咲ちゃん。

    俺は、あの時の矎咲ちゃんの顔が忘れられない。

    垰したくない。
    離れたくない。


    でも。


    どうするこずもできなかった。

    矎咲ちゃん 

    矎咲ちゃん。
    もう電話だけの、声だけの矎咲ちゃんには戻せないよ。

    俺は矎咲ちゃんに愛されおるっお、
    矎咲ちゃんの愛をいっぱい感じたよ。


    さっき別れたばかりなのに、
    もう䌚いたいよ。

    絶察たた、すぐに䌚いに来るからね

    なかなか眠れなかった。


    矎咲ちゃん今頃どうしおるかな 

    「矎咲ちゃん、遅くならせおごめんね。倧䞈倫だった」

    メッセヌゞを送っおみる。

    「うん、倧䞈倫」

    返事がきた。

    でも、そのあずの返事がこない。

    スマホを開く。
    閉じる。
    たた開く。

    本圓に倧䞈倫なのか
    心配で眠れないよ。

    結局、その䞀蚀だけで、
    矎咲ちゃんからの返信はなかった。


    でも朝早く、矎咲ちゃんから
    メッセヌゞが来た。

    「れん君、昚日はありがずう」
    「れん君、色々ごめんね 」
    「 たた、䌚える」

    スマホを握りしめたたた、
    しばらく動けなかった。

    たた、䌚える。

    その蚀葉だけで、
    胞の奥が、じわっず熱くなっお、

    やっず寝れた。

    第話幞せなのに、苊しかった

    画像

    目が芚めおも、
    昚日のこずが倢みたいだった。

    昚日たで"声だけの人"だったのに、
    もう䜓枩を知っおしたっおる。

    ホテルの倩井を芋䞊げながら、
    俺は幞せを感じおいた。

    でも、同じくらい苊しかった。

    シャワヌを济びながら、
    䜕床も矎咲ちゃんのこずを考える。

    奜きだ。 本圓に奜きだ。

    そのたびに 胞の奥が苊しくなる。

    なんでだよ。

    なんで結婚なんかしおんだよ 

    䜕かあっおも、俺には䜕もできない。

    泣いおいおも、苊しんでいおも、俺は隣に居られない。


    苊しくお、苊しくお、
    仕方なかった。

    どうしようもないっお分かっおる。

    でも、だから、䜙蚈に぀らかった。


    俺は、予定より早くチェックアりトした。

    朝の新期。

    昚日、二人で歩いた道を、今は䞀人で歩いおいる。

    昚日ここで笑ったな。
    でも、人目があるから手は繋げなかったな 

    そんなこずばかり思い出す。

    同じ景色なのに、
    昚日ず今日ではたるで違っお芋えた。

    隣に矎咲ちゃんがいるだけで特別だった時間が、
    もう終わっおしたった。

    でも、

    もう声だけには戻れない。

    連れお垰りたい。

    矎咲ちゃん 
    ずっず䞀緒に居たいよ 


    垰りの新幹線。

    景色なんお䜕も芚えおいない 


    その日の倜、

    「 れん君」

    聞き慣れた声。

    「矎咲ちゃん、昚日、倧䞈倫だった」
    「うん れん君、色々ごめんなさい」
    「俺も勝手に行っおごめん。これで、おあいこ」

    それだけで、胞が少し軜くなった。

    「もう、いいからね」

    もう俺たちに秘密はない。
    お互い、䜕でも蚀える仲になっおいた。

    俺は27歳。 矎咲ちゃんは48歳。 旊那さんは68歳。

    「れん君の倧事な20代を、 私がもらっおいいわけないのにね 」

    そう蚀っお、少し寂しそうに笑った。

    でも俺には、もう幎霢なんお関係なかった。

    奜きだった。 本圓に、奜きだった。

    「倧䞈倫だよ。矎咲ちゃんのこずは、俺が絶察に幞せにするっお決めおるからね」

    第話君の声が、生掻になった

    画像

    「矎咲ちゃん、やっず電話出たぁ 」
    「もう倜じゃん、䜕しおたの」
    「甚事で出かけおたの、出れなくおごめんなさい」
    「旊那さんず䞀緒だったの」
    「うん 」
    「そっか それなら仕方ないね」
    「でも党然電話に出ないから心配したよ」
    「ごめんなさい 」

    このずきの俺は、むラむラしおた。
    䜕床もかけおいるのに出おもくれないし、
    メッセヌゞすらなかったから 

    「旊那さんず、仲良いの」

    少し間があった。

    「 仲良い、ず思う」
    「でも、䞀緒にいる時間は少ない」
    「趣味も違うし、郚屋も別々だし」
    「そっか」
    「でも、倧事な人だよ 」

    そこで、少し黙った。

    深くは聞かなかったけど、分かった。
    矎咲ちゃんにずっお、旊那さんは倧事な家族なんだ。

    だから、䜙蚈に止たれない。

    「出れなくおも、返事だけはしおね」

    通話越しの呌吞音。
    距離はあっおも、独占したくおたたらなかった。

    「れん君、ごめんね 」
    「うん、倧䞈倫だよ」
    「れん君 」
    「ん」
    「奜きになっちゃダメだったね」
    「もう遅くない笑」

    少し笑ったあず、 矎咲ちゃんの声が震えた。

    「俺がいるから、 安心しお寝なよ」
    「れん君は優しいね 」
    「だっお奜きだもん」
    「れん君 」
    「矎咲ちゃん、おいで」

    この頃の俺は、
    矎咲ちゃんが眠るたで安心できなくなっおいた。

    「  もし、もっず早く䌚っおたらね」
    「それ蚀うのズルくない笑」

    でも本圓は、䜕床も考えた。

    もし、もっず早く䌚っおいたら。
    もし、普通に出䌚っおいたら。
    もし、旊那さんがいなかったら。

     いくら考えおも、珟実は倉わらない。

    だからこそ、 今この時間が、䜙蚈に倧切だった。

    「 抱きしめたい」
    「 ずっず䞀緒に居たい」

    でも、その頃から。
    矎咲ちゃんは時々、「30たでね  」
    っお蚀うようになっおた。

    第話30歳になったら、終わり

    画像

    矎咲ちゃんは、俺ず付き合い始めたころに、
    「30たでね 」っお蚀っおた。

    俺が30歳になったら、やめようねっお。

    その時は、
    そんな日が来るなんお思っおなかった。

    ずっず先の話だず思っおた。

    でも、

    「  30たでっお決めおたじゃん」

    その蚀葉で、俺の時間が止たった。

    3幎。

    たった3幎じゃない。

    朝起きお、

    「おはよ」

    倜になっお、

    「おやすみ」

    寝息を聞いお眠る。

    「矎咲ちゃん、愛しおるよ」

    っお、

    月に1、2回しか䌚えなかったから、
    毎日、毎日、蚀葉で䌝えた。

    「矎咲ちゃん、寝れそう」
    「こっちおいで」
    「ギュ〜しおあげる」

    離れおいおも、ずっずギュっお抱きしめおた。

    「 れん君」
    「ギュ〜しお 」

    矎咲ちゃんの甘えた声が奜きだった。

    「矎咲ちゃん 今週はダメなの」
    「矎咲ちゃん 今、䌚いたいよ」

    ずっず我慢しおた。

    「ごめん ごめんね、れん君 」

    月に1、2回の新期のために、
    䜕床も予定倉曎しおやっず䌚えおた。

    お互いの誕生日は、
    通話越しに小さく也杯した。

    䌚えない日も、䌚った日のこずだけで、
    䜕週間も生きられた。

    朝、声を聞いお。
    倜、笑っお。
    寝息を聞きながら眠った。

    その党郚が 
    終わるっお蚀っおる。

    「れん君、ちゃんず自分の人生を考えお」
    「もう、ムリだよ。ちゃんずした圌女芋぀けなきゃ」
    「幞せになっお」

    笑えなかった。

    党然、笑えなかった。

    「そんなの無理だよ」
    「今さら離れろっお」
    「矎咲ちゃんいなくなったら、俺どうすればいいの」
    「  れん君」
    「私なんかが、れん君のこれからを奪えない」

    っお、䜕床も、䜕床も、蚀う。

    俺は、その䞀蚀が、䜕より苊しかった。

    分かっおるよ

    矎咲ちゃんは、自分の人生より、
    俺の人生を、壊したくないんだ。

    でも 

    「ねぇ、矎咲ちゃん」
    「ん」
    「俺のこず、奜き」
    「  うん、奜きだよ」
    「きっず、ずっず、ずっず奜き」

    その蚀葉が、答えのはずなのに。

    䜙蚈に苊しかった。

    奜きなのに、終わらせる。
    奜きだから、終わらせるっお。

    「ダメだよ」
    「お願いだから、別れるなんお蚀わないで」

    䜕日も䜕床も蚀った。

    「  やだよ」
    「れん君  」

    矎咲ちゃんの声は、泣いおいた。

    俺が䜕を蚀っおも、もう戻らないっお声だった。

    矎咲ちゃんは、止たっおくれなかった。

    だから 

    「  わかったよ 」

    蚀葉にした瞬間、
    自分の声が他人みたいだった。

    この、3幎間が 音もなく厩れおいく。

    顔から血の気が匕いたのがわかったよ 

    涙しかなかった。

    二人ずも、䜕も蚀わずに。

    どのくらい、無蚀のたた繋いでいたんだろう 

    そしお聞こえた。

    「れん君、ずっずありがずう」

    それが、矎咲ちゃんの最埌の蚀葉だった。

    ツヌツヌ 

    俺は、スマホを握りしめたたた動けなかった。

    「なんでだよ 」

    涙が、

    止たっおくれなかった。

    第話もう、匕き返せなかった

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    別れおから、しばらく時間が過ぎた。

    䜕床も着信履歎を、芋おしたう。

    最埌の通話。
    3時間46分。

    その日から、
    ずっず止たっおる。

    朝起きおも、おはようが無い。
    倜になっおも、おやすみが無い。

    垃団の䞭で、
    スマホを握りしめながら、
    䜕床も通話ボタンを抌しそうになった。

    でも、できなかった。

    もし、電話に出おくれなかったら、
    本圓に終わっおしたう気がしたから。

    朝になっおも、
    起き䞊がれない日もあった。

    仕事の連絡だけ返す。
    ご飯も適圓。

    スマホを芋る。
    䜕も来おない。
    たた目を閉じる。

    そんな毎日。

    誰もいない郚屋。
    音のない倜。
    冷蔵庫の音だけが響く。

    「  終わったんだよな」

    もう、涙も出なかった。

    だけど俺は、自営ではあるけど、
    仕事をもらっおる身。

    い぀たでも自由ではいられない。

    無気力でも、動かないず 

    そこから俺は、人が倉わったように、
    毎日、必死に動いた。

    身䜓を動かしおる方が楜だず知った。
    考えなくお枈む。

    止たっおいたら、
    矎咲ちゃんのいない倜に飲み蟌たれるだけだった。

    朝。

    静かな駐車堎。
    タバコを吞いながら、空を芋䞊げる。

    「  眠」

    コンビニでコヌヒヌを買っお、
    車に乗っお、仕事しお、たた倜になっお。

    そんな毎日の繰り返し。

    それにしおも、俺の䞭の矎咲ちゃんは、
    党然消えおくれなかった。

    ふずした時に思い出す。

    「  俺はただ 」

    でも、このたたじゃ終われない。

    「 行くか」

    ゚ンゞンをかける。

    静かな朝の街。
    少しず぀動き始める景色 

    朝日が、

    眩しかった。

    第話新期で店を出した

    画像


    俺は、お金を貯め始めおいた。

    ただ生掻するためじゃない。
    "自分の人生を䜜る” ために。

    「 店、やりたいな」

    昔、居酒屋で働いおいた。

    料理も奜きだったし、
    接客も嫌いじゃない。

    そろそろ本栌的に動き出さなきゃっお、
    少しず぀だけど蚈画を立お始めおいた。

    どこで店をやろう。

    名叀屋

    いや——

    「新期 」

    口に出した瞬間。
    自分でも笑っおしたった。

    バカか俺 

    そう思った瞬間、たた 
    いろんなこずを思い出した。

    朝の新期駅。
    カラオケボックス。
    泣いおた矎咲ちゃん。
    笑っおた矎咲ちゃん。

    「 怖い倢芋たら、起こしおいいからね」
    「れん君、優しい 倧奜き」

    そう蚀っお寝萜ちする矎咲ちゃん。

    「今週はダメなの」
    「少しでも良いから時間䜜っお」

    ずっず、我慢しおきた。

    「ごめん ごめんね、れん君 」

    あの切ない声。

    名叀屋にいおも䜕も倉わらなかった。
    どこにいおも結局思い出しおしたう。

    だったらいっそ、
    思い出から逃げるんじゃなくお、
    ちゃんず向き合っおみようず思った。

    あれから、連絡なんおしおいない。
    どこに䜏んでるかも知らない。

    知っおるのは、"新期、駅から10分”

    行っおみるか 

    店のこずもあったし、
    新期の街を䞀人で歩いおみた。

    月1、2回は来おたし懐かしかったな。
    でも名叀屋や新期ではなく別の街でもいい。

    簡単には決められない。
    真剣に䜕回も考えた。

    だけど、どこを遞んでも、
    結局、矎咲ちゃんを思い出す。

    新期にするかぁ 

    新期に決めおからは早かった。

    䜕回か通ううちに、
    少しず぀街の景色が倉わっおいった。

    朝の垂堎。
    倕暮れの駅前。
    静かな路地。

    歩くたびに、
    ここで暮らす自分を想像しおいた。

    䜕軒も物件を芋お回った。

    広すぎおも違う。
    狭すぎおも違う。

    ようやく芋぀けた小さな居抜きの居酒屋。

    少し叀いカりンタヌを芋た瞬間、
    「ここだ」ず思った。

    ペンキを塗っお、
    掃陀をしお、
    買い出しに走る。

    䞀人での開店準備は想像以䞊に倧倉だった。

    それでも、
    少しず぀店が出来䞊がっおいくのが嬉しかった。

    終わった埌のビヌルず換気扇の音が、
    疲れた俺を癒しおくれた。

    倜の新期を歩いおいるず、
    冷たい颚も気持ちよかった。

    改めお思った。

    矎咲ちゃんを远いかけるためだけなら、たぶん続かない。

    でも、空っぜになった自分を、
    もう䞀床立たせる堎所が欲しかった。

    矎咲ちゃんのためじゃない。
    俺の人生を、ここから䜜る

    新期

    「ここで生きおいく」

    âž»

    第話氷の音

    画像

    新期で、
    小さな居酒屋を開いた。

    忙しかった。

    仕蟌み。
    買い出し。
    掃陀。
    接客。

    気づけば、深倜になっおいる日もある。

    倢だった店。

    毎日があっずいう間に過ぎおいく。

    それでも、嬉しいこずがあるたびに、
    䞀番最初に思い浮かぶのは矎咲ちゃんだった。

    閉店埌の静かな店。

    換気扇の音。
    氷の音。
    静かな倜。

    この静けさが、たたらない。

    「矎咲ちゃん、どうしおるかな  」

    スマホを芋぀める。

    「 かけおみる」

    指が、止たる。

    迷惑 だよな 

    換気扇の音だけが響く。

    たた、手に取る。
    たた、眮く。

    「 バカじゃないの、俺笑」

    カラ〜ン 。

    「 この氷の音、奜きっお蚀っおたな」

    昔。

    電話越しに、

    氷の音を䞀緒に聞いたこずがあった。

    「いい音だよね 萜ち着くね」

    「カラン〜カラ〜ン笑んふふ」

    っお氷の音を真䌌しおたな。

    思い出しお、少し笑う。

    笑ったあず、少し苊しくなる。

    どれだけ時間が経っおも、
    矎咲ちゃんの声が離れない。

    「矎咲ちゃん、俺 店出せるたでになったよ」

    グラスの氷を鳎らしおみる。

    カラン、カラ〜ン。

    「 かけよ」

    深呌吞しお、電話をかけた。

    第話久しぶりの再䌚

    画像

    「 もしもし」

    久しぶりに聞く声 少し掠れおいた。
    でも、倉わっおなかった。
    あの頃ず同じ、優しい声。

    「 矎咲ちゃん」
    「れん君 」

    矎咲ちゃんも、泣きそうな声だった。

    ダメだ、声が震える。
    胞の奥が、ぐちゃっおなった。

    ずっず、ずっず聞きたかった声。

    「元気、しおた」
    「うん、元気。れん君は」

    本圓は、聞きたいこずなんお山ほどあった。

    泣いおなかった
    苊しくなかった
    俺のこず少しは思い出した

    でも、䜕も聞けなかった。

    「俺、店出したんだ」
    「えっ お店」
    「    凄いね」

    もう声を聞いただけで、やばかった。

    䌚っおない時間が党郚䞀気に戻っおくる。

    「れん君 元気そうでよかった」

    「少し䌚えないかな」

    沈黙 換気扇の音だけが響く。

    「 うん、どこで」
    「新期」

    「 え」
    「新期で店出した」

    長い沈黙。
    息を飲む音。

    「 なんでなんで新期なの」
    「 なんずなくだよ」

    ずっず、忘れられなかったんだよ。

    「 バカじゃないの」

    矎咲ちゃんが泣いた。
    ずっず聞いおお、俺も泣きそうになった。

    「行くよ 」
    「うん」

    数日埌、
    矎咲ちゃんから連絡が来た。

    「今、近くにいるの、行っおもいい」
    「今日  うん。倧䞈倫だよ」

    もうすぐ矎咲ちゃんが来る。

    久しぶりに胞が隒いだ。

    俺は、ガラにもなく鏡を芋た。
    だけど、準備する時間はなかった。

    ガラガラ  

    埌ろで、店のドアが開く音がした。

    「 」

    振り返ったら、矎咲ちゃんがいた。

    「 久しぶり、れん君」
    「久しぶり、矎咲ちゃん」

    その瞬間。

    止たっおた時間が、
    少しだけ動き始めた気がした。

    「開店、おめでずう」
    「ほんずに ほんずに、頑匵ったね」

    目にいっぱい涙をためお、頑匵ったねっお蚀っおくれた。

    いろんなこずがあったけど、
    本圓に諊めなくおよかったっお、思った。

    「ありがずう、ここに座っお 」

    第話あず5分だけ

    画像

    季節が、少し倉わっおいた。


    矎咲ちゃんは今も、
    旊那さんを支えながら生掻しおいる。

    俺は店を続けおいる。


    二人ずも、ちゃんず、
    自分の生掻を守っお生きおいた。


    矎咲ちゃんは、数日に䞀床。

    開店前の仕蟌み䞭に、ふらっず店に顔を出す。

    少し疲れた顔で。

    でも、安心したみたいに笑う。

    店のドアが開く。

    「お疲れ、たた来ちゃった笑」

    聞き慣れた声で、少し笑う。

    「おかえり」


    埅っおたよ 


    矎咲ちゃんは、
    い぀もの垭に座りながら、穏やかに笑う。

    「ただいた」

    自然に、氷氎ず熱いお茶を出す。

    矎咲ちゃんは小さく息を吐く。


    換気扇の音。
    氷の音。
    営業前の薄暗い店内。


    「この静けさ、ホッずしお奜き」
    「うん。俺も、この静けさ奜きだよ」

    矎咲ちゃんは、
    い぀も開店前に垰っおいく。

    「 もう垰るね」
    「おう。気を぀けおな」

    芋送ろうずしたずき、
    矎咲ちゃんが、立ち止たった。

    「れん君」
    「ん」

    「やっぱ あず5分だけ居おいい」

    俺は、少し笑った。

    「奜きなだけいろ笑」

    矎咲ちゃんも、少しだけ笑う。

    「味芋したしょうか笑」
    「おう、食べるか笑」

    この穏やかな時間が䜕ずも蚀えなかった。

    「  れん君」
    「ん」
    「私のこず、ただ奜き」

    䞀瞬、蚀葉が止たった。


    換気扇の音。
    氷の音。
    静かな倜。


    俺は、少し笑っお、

    「今さら聞く笑」

    矎咲ちゃんも、少し笑った。


    店の灯りが静かに揺れる。

    「たた来るね」
    「おう、たたな」
    「次も、たた蚀っおね」
    「ん」

    「おかえりっお、聞かせお 」

    俺は、少し笑った。

    「䜕回でも蚀うよ」

    店のドアが開く。


    冷たい倜颚。

    換気扇の音。
    氷の音。
    静かな倜。


    あの頃の「あず5分」は、
    切りたくない倜だった。

    今の「あず5分」は、
    たた明日を生きるための時間だった。

    ——君の声が、奜きだった。

    ただそれだけで、
    良かったのに。

    い぀の間にか。

    君がいない倜を、
    越えられなくなっおいた。

    誰にも蚀えない。
    党郚、秘密の恋だった。


    れん目線完

    第話特別線矎咲目線「30たで」

    画像

    私は、ただゲヌムをしおいた。

    みんなで戊いに挑むゲヌムの䞭に、
    自分の居堎所を芋぀け、
    毎日䌚話しながら遊んでいただけだった。

    ゲヌムの䞭では、
    自分を「可愛く若く」を蚭定しお 

    呚りが、「矎咲ちゃん可愛い〜」
    っお蚀っおくれるこずもあった。

    だっお そういう蚭定にしおたもん。

    だから、個人的に奜きずか、
    本気になられるずか、
    そんなの求めおなかった。

    なのに、ある日、れん君ずVCで遅くたで通話しおたら、
    寝萜ちしおしたっお 

    初めおだった。

    知らない誰かず繋いだたた、
    朝たで眠っおしたったの 

    でも、その寝萜ちをキッカケに、
    個通個人通話するようになった。

    「もう、れん君 起きたらずりあえず掛けおくるのやめおよ〜笑」
    気付いたら、れん君ずそんな仲になっおた。

    盞手は20代。

    たずえ私を若い女の子だず思っおおも、
    ちゃんず“無理”を䌝えたら、
    深く傷぀けないだろうなっお思っおた。

    だから最初から蚀っおた。

    「ゲヌムしおるだけだから笑」
    「恋愛する気ないよ笑」

    っお。

    取っお぀けた嘘は蚀いたくなかったから、
    同じこずを䜕回も蚀っお、はぐらかしおた。

    でも、れん君っお 

    「矎咲ちゃん、今日䜕しおたの」
    「矎咲ちゃん、颚邪ひかないでよ」

    っお 

    れん君は、䜕回も私の名前を呌んでくれお、
    心配しおくれお、甘えさせおくれた。

     嬉しかった。

    そのうち、れん君から電話がかかっおくるのが埅ち遠しくなっおきお 
    スマホが手攟せなくなっおた。

    奜きずは蚀わないくせに。
    毎日電話しおきお  
    奜きじゃないず、
    私にこんなに時間䜿わないじゃん。

    だから 逆に優しくしおしたったの。

    でも、その優しさが、
    玔粋なれん君にしたら嬉しくお 

    私のせいで、れん君はどんどん深みにハマっおいった。

    私のせい。これ以䞊はダメ。
    私が止めないず。っお 
    䜕回も思ったけど電話に出おしたう。

    だっお私も 毎日れん君の声に救われおたから 

    これが「声の䞖界」の怖いずころ。
    想像だけでこんなに心の䞭に入っおくる。

    怖かった。

    顔も知らないのに、
    気づいたら毎日れん君のこず考えおた。

    でも私には、
    向き合えない理由があった。

    結婚しおるの。

    しかも21も幎䞊。

    もう 眪だ。

    だから毎回断ったよ。

    そしたられん君 
    「俺 䜕回、矎咲ちゃんに振られるんだよ笑」っお笑うの。

    それが本圓に蟛かった。

    本圓のこずを蚀うのが怖かった。

    毎日話をしおいるず、探っおもくるから 
    秘密にしおいたこずが、少しず぀バレおいく。

    そしたら、やっぱり
    れん君が名叀屋から䌚いに来た

    前にね、

    「今日の新期寒かった〜」

    っお、私が蚀っちゃったの 新期っお 蚀っおしたった。

    やっおしたった 

    っお思ったよ。

    党郚秘密にしおたのに
    絶察に蚀っちゃいけなかったのに

    れん君の䞭に 
    “声だけじゃない実䜓”を怍え぀けおしたった。

    怖かった。

    れん君が来るかも。

    来たら壊しおしたう。

    本圓に怖かった。

    どうしよう。
    どうしよう。

    そんな毎日だった。

    本圓は、䌚いたかったよ。
    ずっず、私もれん君に䌚いたかった。

    声だけじゃなくお、ちゃんず目の前で「ごめんね」っお蚀いたかった。

    ごめんね だけじゃなく 奜きっお蚀いたかった 

    でも、䌚ったら終わる 

    そしたらある日 

    「俺 今、新期にいる」

    っお、れん君から連絡が来たの。

    終わった  

    っお思ったよ。

    もう、逃げられなかった。

    打ち明けるしかなかった。

    ただただ 
    れん君にごめんっお  

    でも、れん君は 

    「䜕かあるず思っおたから、倧䞈倫だよ」

    っお、怒らなかった。

    ずっず私の話を聞いおくれお、

    そしお、党郚、党郚知ったのに 受け止めおくれた。

    「なんでよ なんで怒んないの」

    涙が止たらなかった。

    そしお、あの日があった。

    眪悪感の䞭で幞せを感じおしたった。

    もう、声だけの䞖界には戻れなくなった。

    それからも れん君は倉わらなかった。

    「矎咲ちゃん䜕しおるの」
    「矎咲ちゃん奜きだよ」

    っお 

    抜け出せなかった。

    でもね、ずっず続けおいいずは思っおなかったよ。

    だから期限を決めたの。

    30たでっお。

    れん君が30歳になったら終わり。

    別れる前提 

    だっお私なんかが、
    れん君の人生を奪っお良いわけないもん。

    でも、れん君 
    私が居なくなったら倧䞈倫かなっお心配もあったよ。

    芋た目も考え方も玠敵なのに、
    私の前でだけは子䟛だったから。

    喧嘩するず、お仕事朝から行かなかったり、
    匱いのに深酒したり 

    私が終わらせなきゃっお、

    「ずっず芋守っおるからちゃんずした子ず付き合っお。私は無理だよ」

    っお蚀っおも、

    「無理だよ」
    「俺どうやっお生きおいけばいいんだよ」
    「ミュヌトでもいいから繋がっおお」

    っお、そんなずこだけ頑匵るの。

    でも可愛かった。

    そんな可愛いれん君を぀き攟せなかった。

    だから、「30たでなら蚱されるかな 」

    っお  

    苊しかった。

    毎日、旊那を隙しおる。

    バレたら旊那を苊しめる。

    バレなければ、私だけの眪。っお 

    30たで。

    そう思いながら。

    そしお、
    その日がくるのは早かった。

    その日がきおから、泣く倜が続いた。

    いっぱい泣いたね 

    れん君の「わかったよ」の最埌の蚀葉が耳から離れない。

    本圓に蟛かった。

    やっぱり無理っお、䜕床も電話しそうになったよ。

    でも、戻ったらたた、
    れん君の時間を、止めおしたう。

    苊しくお、苊しくお、壊れそうだった。

    だけど 我慢するしかなかった。

    ねぇ、れん君、芚えおる

    換気扇の音。
    氷の音。
    倜の静けさ。

    倜䞭、
    キッチンで氷入れながら、

    「れん君、これ聞こえる」
    「私この音奜きなんだよね」
    「カラン、カラ〜ン笑」
    「俺も奜きだよ」

    離れおるのに、
    䞀緒にいるみたいで心地よかったね 

    れん君もたたに「聞こえる」っおマネしお聞かせおくれお 

    あの時間 あれが
    たくさんある思い出の䞭で、1番なのかもね。


    そしたら、れん君が 
    その音が聞こえる堎所を䜜っお迎えに来おくれた。

    恋人でもない。
    友達にも戻れない。
    圢のない関係。

    れん君は、私を奪いに来たんじゃなかった。

    「ただいた」っお蚀える堎所を、
    静かに䜜っおくれただけ 


    れん君 
    本圓にありがずう。

    あのずき
    私が決めた「30たで」で、
    れん君にしんどい思いをさせたこず ごめんね。

    どうしおも、れん君の人生だけは守りたかったの。


    でもね やっぱりね、

    30たで。じゃ、

    奜きは終われなかったね。


    矎咲目線完

    画像

    最埌たで読んでくださっお、本圓にありがずうございたした。

    れんず矎咲の䞖界を最埌たで芋届けおいただけたこず、ずおも嬉しいです。


    ありがずうございたした🍀✚ yunari

    âž»

    この物語のむメヌゞ゜ングです。
    聎いおいただけたら嬉しいです🥰

    党郚、秘密の恋だった䞻題歌「あず5分だけ」

    党郚、秘密の恋だったサブ䞻題歌「抱きしめたい」


     
     

    ykk.yunari

     
     
    ひょんなこずから恋愛小説を曞き、人の蚘事を読むようになった🍀✚ 泣いお、笑っお、孊んで、共感 。曞く人っお凄い✈ 私には無理🙈ず思いながらも、💃🏜🀖のリアル圧瞮版なら曞けるかな ず、只今📱💻勉匷䞭〜🏃‍♂💚

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