
火を囲む理由
火を囲む理由を、ずっと言葉にできませんでした。
これは、その答えを探し続けた私の記録です。
私は今、
火を囲む場所をつくろうとしている。
なぜそんな場所をつくるのかと聞かれると、
うまく説明できない。
でも、心の奥ではずっとわかっている。
私はずっと、
どこかで孤独だった。
人と一緒にいても、
本当の自分を出せていなかった。
いい人でいようとして、
嫌われないようにして、
その場に合わせて生きてきた。
そうすれば、
うまくいくと思っていたから。
でも、どこかでずっと苦しかった。
誰かといるのに、
ひとりぼっちな感覚が消えなかった。
本当は、ただ——
何も気を使わずにいられる場所がほしかった。
言葉にしなくても、
そのままでいられる場所がほしかった。
火には、不思議な力がある。
見ているだけで、
心がゆるんでいく。
何も話さなくても、
なぜか一緒にいられる。
正解もいらない。
うまく話す必要もない。
ただそこにいて、
火を囲むだけでいい。
私は、そんな時間に何度も救われてきた。
だから今度は、
私がその場所をつくりたいと思った。
誰かが、少し疲れたとき。
何もしたくなくなったとき。
自分がわからなくなったとき。
ここに来れば、
少しだけ呼吸ができる。
そんな場所をつくりたい。
料理も、同じだと思っている。
特別なものじゃなくていい。
体にやさしくて、
ちゃんとつくられたものを、
一緒に食べるだけでいい。
それだけで、
人は少し元気になれる。
私は、
何かを与えたいわけじゃない。
何かを教えたいわけでもない。
ただ——
「ここにいていい」と思える場所を
つくりたいだけなのだと思う。
火を囲むと、
人は少しだけ、本当の自分に戻る。
だから私は、
火を囲む場所をつくる。
それはきっと、
誰かのためでありながら、
同時に——
あの頃の自分を、救うためでもある。