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スネイクダンス


     爬虫類は卵から孵る状態は、ほぼ成体と同じということだ。
    哺乳類はベビーシェマがあって幼体は非常に可愛く思え
    親は幼体を慈しみ育てるなんて言われてる。
    ただ
    捕食系肉食獣は狩りの時に好んで幼体を狙うようだ。
    そりゃそうだ。
    素早い成体を追うよりたどたどしい動けぬ幼体は
    よい標的になるだろう。
    カワイイと思えるのとよい標的として牙を立てるのは
    案外近いものがあるのかもしれない。
    だがそれはまた別の話だ。

     話を戻そう。

    爬虫類は成体とほぼ同じ様な構造で生まれてくるし
    幼体でも案外素早いようだ。
    ベビーシェマも実はあまり感じられないだけで
    けっこうよく見ると可愛いのかもしれない。
    あ、いや
    爬虫類は好きではないのだが、
    動きなど蛇でもチビっぽくてたどたどしい
    と思った。

    長い前振りで申し訳ない。

     田舎である。
    中学校は坂の上にあり、下校時に
    ゆっくり下ると信号交差点であり
    周りは秋色の田圃が拡がっていたと思う
    昔の話なので曖昧な色合いだ。
    そこで何か騒ぎがあった。
    学生服は取巻き、セーラー服は興味なく通り過ぎる。
    幼さの残る少年が騒いでいる。
    近づいてよく見ると、手には小さな蛇を掴んでいた。
    首根っこを掴まれていたが
    胴体をくねらせ虚空を掴まえようとしていた。
    ヤマカガシかアオダイショウか知らないが、区別などつくはずもない。
    あとから考えるとマムシという毒蛇の可能性もあったが、その時には
    及ばない。

    そこで初めて蛇の幼体を見たので
    前述のチビっぽくてカワイイ…のかな?

     少年は蛇を捕まえて興奮していた。
    親か先輩たちの真似をして蛇の首根っこを摑み
    噛まれずにコントロールする
    子どもから大人への階段を上る誇らしげな
    体験なのだろう。

     ちいさな蛇が蠢いた。
    かわいく言えば、鉄棒にかじり付いた子どもが逆上がりをするように
    その身をくねらせながら
    その少年の前腕の辺りに絡みつく
    得意の絶頂にいた少年は驚いて
    蛇の首を離してしまった。

    少年の思うように
    私の思うように
    蛇はボトリと
    落下

    しなかった。

    巻き付いた身で耐え
    そして鎌首をあげて
    少年の袖口辺りに噛みついた。

    少年は慌てて振り払おうと腕を振った。
    離れない。
    学生服なので皮膚までは牙は通っていないだろうが
    少年はパニックになった。

    叫んだ。
    言葉にならない叫びだった。
    腕を振っても離れない。
    牙が外れない。
    少年は、その場で片足を軸に回った。
    叫びながら
    くるり、くるりと回った。

    あっ
    …まるで、白鳥の湖みたいだ

    少年は、絶叫をあげながら
    回り続けた。



    終わり




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