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小説『新ヴァルキーザ』7章(1)

     低い天井を柱のように立つ火が嘗めつくし、木の床にかなり拡がっていた炎の叢を避けつつ、煙が漂う船倉の中をエルターは歩いた。
    意外にも火の回りは予想していたよりは遅かった。

     頑丈で燃えにくい木材で造られた船はよく火に耐えていたが、積み荷に引火したものが船体を内側からも焼き、火勢は激しくなかったが、中はあと五分と経たないうちに炎に覆いつくされて全焼する気配だった。

     細い通路の奥の辺りまで行ったエルターは、そこで人の小さく咳き込む声を聞き付け、声の主を求めて周りを見やると、通路の突き当りにある大きな木箱の陰に、一人のひどく見すぼらしく粗末な身なりをした少女がうずくまっているのを見つけた。

     少女は痩せた体で、栗色の長い髪と澄んだ藍色の瞳を持っており、顔はやや煤で汚れ、細い足には鎖のついた鉄輪がはめられ、その鎖は床に打ち込まれた鉤に固定されていた。火が彼女のすぐそこにまで迫っている。

    「待ってろ。今、助けてやる!」

     
     
     
    語学系大学で外国文学を専攻後、Webで小説等を発表してきました。代表作『ヴァルキーザ』(長編ファンタジー小説)。マガジン「ヴァルキーザ(本文)」にまとめましたので、よろしければご覧下さい。プロフ→ https://note.com/unagibun/n/n1a5bddce279d

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