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続・夕日が見たくて-第八話:Don’t Think, Feel

    09に乗ると自分の下手さを痛感する。

    総合的に加速がメチャクチャよく、伸びもある。アクセルひとひねりで飛び出して行く。俺にはとても危険な乗り物だ。

    「ジャジャ馬という雑誌のインプレ通りだな。奴は普段からこれに乗っているのか。スゲーな。」と正直に思った。

    人馴れしている猛獣をあやしているような気さえする。おとなしいときはいいが野性味が出た時には扱えない感じだ。

    アクセルを開けると、生き物の様な感じが更に増す。俺の思った通りにはならないと言う意志があるのではないかと感じる。

    特にAモードは、自分の腕では、ツーリングにも向かないし、峠でも気を使うし、どこで使えばいいの?と思ってしまった。完全に上級者向きの設定だ。

    07に乗ると安心感がある。
    これは、自分のマシンだから感じるだけで慣れの問題なのかも知れない。突っ込みは09より奥まで行ける気がする。

    とにかく加速に関しては、09と一緒に走るには、いつもの倍開けるつもりじゃないと走れない感じだ。今まで開け方が足りなかったようだ。09の後に乗った07は全開にできる気にになれる。

    あらためて感じる。本当は09と走っていた時には、奴にかなり手を抜かれていたんだな・・・とわかった。またムカつく。

    しかし、こうやって、09と07を交互に乗り比べられるとは、なんて幸せな時間なんだろう。こんな機会を与えてくれた奴に感謝だ。

    こうやって交互に乗ってみると、同じシリーズとは言え、全く味付けが異なる事がよくわかる。
    07の上位機種が09と言う構図ではない。全く違うバイクの種類だと言える。

    「奴の好きそうなバイクだ」と笑いたくなった。いつまでもバカは治らないらしい。現代のバイクでこんな乗り手を選ぶバイクは、そうあるもんじゃない。

    確実に面白いのだが、これを何時間も乗り続けるのはツラい。

    俺もあと10年若かったら間違いなく09を選んだんじゃないだろうか。
    しかし、これ以上のパワーを使いこなせるとは到底思えない。今は07で必要十分。

    預かっている間、約300kmくらい自由に走らせてもらった。
    総評として、09は面白かったが、乗ってると気を使って疲れる感じだった。
    ものすごいパワー感があるだけに、なんか危なっかしいマシンだった。

    奴はこれを普段乗っているのだから驚きだ。

    09は危険なくらい速いが圧倒的に面白い。
    これに関しては、すでに忘れられてしまった、他の現代のバイクにない魅力だ。
    いい経験をさせてもらった\(^^)/

    奴から09を預かってから、かれこれ3ヶ月くらいになる。

    2020年6月27日

    奴から退院したと連絡が来た。
    待ち合わせをして09を渡す事になった。

    奴の駐車場まで09で行くと、首にコルセットを巻いた奴が家から出てきた。

    「おうっ、もう大丈夫なのか?」と聞く。
    「いや、まだいてーんだよ」と奴。
    「まあ、首をやってたらヘルメットも無理だわな」と俺。
    「いろいろ、やってくれたみたいだな」と奴に言われる。
    「いや?別に何もしてねーよ」ととぼける。
    「ハハハ、また走ろうぜ」あまり気にはしていないようだ。
    「おめーの09スゲーな」と俺。
    「だろ、バカっぱやだっただろう」と自慢の息子の様に言う。
    「09がなw、また走ろうぜ」と言って別れた。

    奴の首が治ったら、また奴とあの峠を走りに行こう。

    今日の夕日は、とても力強く、希望に満ちた赤だった。雲の赤から青へのグラデーションがとてもキレイだ。


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