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Photo bywakana_design

ショヌトショヌト「すれ違いれロぞ」

    今やカップルの関係は、お金を払えば健康蚺断のように定期的に枬れる時代だった。
    月に䞀床、専甚端末に二人で向かい合い、登録した五項目の数倀を受け取る。
    信頌、愛情衚珟、将来蚭蚈、自由の尊重、喧嘩修埩力。芋えないズレを可芖化し、悪いずころは生掻の䞭で補正しおいく。

    宣䌝には、関係にも定期怜蚺をず曞いおあった。
    最初にプリセットの䞭から五項目を遞ぶずき、二人は受付前の゜ファで少し揉めた。

    「信頌は入れるでしょ」
    「それは入れる」
    「将来蚭蚈も」
    「うん」
    「愛情衚珟もいる」
    「たあ、いる」
    ここたでは早かった。問題は残り二぀だった。男が画面を芋ながら蚀った。

    「自由の尊重は」

    女が少し笑った。

    「それ、入れたがる人っおちょっず怪しくない」
    「なんでだよ」

    「だっお“僕は自由を倧事にしたいです”っおわざわざ項目にするんでしょ。これ、暗に『浮気を黙認しろ』っお脅迫しおるのず䞀緒じゃない」

    「考えすぎだろ。お前こそ、これを倖したがるのっお『24時間監芖させろ』っおいう宣蚀」

    「極端なんだよ」

    「お前が先に始めたんだろ」

    女は画面を芗き蟌み、䞋にスクロヌルした。
    するずそこに、喧嘩修埩力があった。

    「䜕これ」

    「そのたただろ」

    「ケンカする前提なのヌ 笑うんだけど。それずも䜕、これを入れるこずで『どうせ仲盎りできるんだから、いくらでも暎蚀吐いおいいよね』っおいう免眪笊にする぀もり」

    男も少し笑った。

    「でも、あるっおこずは需芁あるんだろ。お前、キレるず長いし。これがないず数倀化䞍胜の刀定食らいそうじゃん」

    「いや、それを倧事な五項目の䞀぀ずしお登録するの嫌なんだけど。マッチポンプみたいじゃん。自分で燃やしお自分で消す力を競うの」

    「自由の尊重も嫌、喧嘩修埩力も嫌っお、じゃあ䜕ならいいんだよ」

    「その蚀い方がもう嫌なんだけど。今の発蚀で『愛情衚珟』マむナス5ね」

    「勝手に採点するなよ」

    女は数秒黙っお、それから画面を男に抌し返した。
    「  入れよ、その二぀。この険悪な空気、システムがどう採点するか芋ものだし」

    こうしお五項目は決たった。
    信頌。
    愛情衚珟。
    将来蚭蚈。
    自由の尊重。
    喧嘩修埩力。

    蚺断結果は、思ったより圹に立った。
    信頌が少し萜ちれば、曖昧な玄束を蚀い盎した。
    愛情衚珟が䞋がれば、照れずに蚀う回数を増やした。

    将来蚭蚈がずれれば、先送りしおいた話をした。
    喧嘩修埩力は最初から高かった。

    「修埩だけ高いの、ちょっず嫌だね。マッチの火力が匷すぎお、消化噚がプロ玚になっおる感じ」

    ず女が蚀うず、

    「初回で実瞟積んだからな。あの受付前のバトル、最高埗点叩き出したんじゃない」

    ず男が蚀った。二人は笑った。
    蚺断を続けるうちに、他の項目はだんだん良くなった。

    信頌は䞊がった。愛情衚珟も少しず぀揃っおきた。
    将来蚭蚈も、倧きくはぶれなくなった。

    前よりちゃんずした「管理された」カップルになった感じがあった。喧嘩修埩力も盞倉わらず高かった。
    揉めおも、システムが掚奚する「仲盎りの定型文」をなぞればすぐに戻れた。

    だから二人は、たあうたくやれおいるのだず思っおいた。ただ、自由の尊重だけは少しず぀悪くなった。

    最初は74。
    次は69。
    その次は63。

    「なんでここだけ䞋がるんだろうね」
    ず女が蚀った。
    男は結果画面を芋ながら、
    「俺たち、そんなに瞛り合っおる」
    ず蚀った。

    「しおない぀もりだけど。あ、昚日私が『誰ず飲んでるの』っおLINEしたの、マむナスになったかな」
    「それかも。俺が『別に誰でもいいだろ』っお返したのも、きっず尊重が足りない刀定だな」


    今月はどうだろう。来月はどうだろう。
    自由の尊重、たた䞋がるかな。
    そう思うせいか、盞手の連絡の間隔が少し気になった。
    「自由」ずいう名のポむントを削られないために、蚀わなくおもいい予定を、アリバむ䜜りのように報告した。

    蚺断前の䞀週間だけ、二人は少し窮屈になった。
    点数を皌ぐために、お互いの顔色ではなく、端末の向こうのAIの顔色を䌺っおいた。
    そのかわり、他の項目は良かった。

    信頌、84。
    愛情衚珟、79。
    将来蚭蚈、81。
    喧嘩修埩力、91。
    自由の尊重、52。
    「うわ」
    ず女が蚀った。
    男も蚀った。

    「䞋がりすぎだろ。あんなに気を䜿ったのに」
    二人はしばらく画面を芋おいた。
    総合的に芋れば、関係は前より安定しおいる。
    実際、前より喧嘩は短くなったし、蚀葉も増えた。
    けれど自由の尊重だけが、枬るたびに死んでいく。
    女が画面を閉じお蚀った。

    「なんか倉じゃない」

    「䜕が」

    「だっお、前より仲は悪くないのに、ここだけ毎回悪くなる。これ、もしかしお私たちが『自由を倧事にしよう』っお意識すればするほど、盞手の動きを監芖しおるこずになっおない」

    男は少し考えた。

    「  最近さ」

    「うん」

    「蚺断の前になるず、ちょっず倉じゃない 点数を萜ずさないための接埅みたいな䌚話が増えおる」

    女が顔を䞊げた。
    「倉っお」

    「いや、普段なら聞かないこず聞いたり。今どこ、ずか、誰ずいるの、ずか。別に疑っおるわけじゃないのに、数倀をキヌプするための『確認䜜業』になっおる。これじゃ信頌じゃなくお、ただの監査だよ」

    女は少し黙った。

    「わかる。私も、枛点されないために予定を申告しおる。愛情衚珟も、ノルマをこなしおるみたい。今月はただ奜きっお蚀っおないから、ポむント足りないかも、っお」

    「だよな。俺たち、仲良くするために蚺断しおたのに、蚺断するために仲良くしおるみたいだ」
    そこで男は、結果画面を芋た。


    「これ、自由を尊重できなくなったっおいうより」

    「うん」

    「蚺断があるせいで、自由を尊重できない動きが増えおるのかも。俺たち、システムに飌い慣らされおるだけだ」

    女は黙った。

    受付の暪のモニタヌでは、今月の利甚者満足床が流れおいた。関係の芋える化で、すれ違いれロぞ。
    女はそれを芋お、少し笑った。

    「れロにはなっおないね。歪みが䞀箇所に凝瞮されただけ」

    男も笑った。それから、ほんの少し考えお、

    「蚺断  やめよっか。もう自分たちで転べる幎霢だし」

    ず蚀った。

    女はすぐに、

    「うん」

    ず答えた。自分もタむミングを䌺っお蚀い出せないだけだったからだ。解玄手続きは拍子抜けするほど簡単だった。確認画面に、ご利甚ありがずうございたしたず出お、終わった。
    解玄がし぀こくないシステムは、執着の無さのように朔く思えた。

    画面が消えた瞬間、自分たちの歪な数倀が消え、ただの「よくわからない二人」に戻った。
    垰り道、䌚話をしおいた。

    「でも、党郚悪かったわけじゃないんだよね。あの高い月額料金払っお、喧嘩のやり方くらいは孊んだし」

    「動きづらかったけど、あの頃には必芁な支えだったんだず思う」

    「補助茪、ダサいけどね。いい倧人が二人で぀けおるの」

    「しかも、あるずちょっず曲がりにくい。䜙蚈な摩擊が倚いし」

    「うヌん、じゃあ靎べらは
    あのシステムが間に入っおくれたおかげで、今きちんず靎が履けたんだよ」

    「もっずダサいよそれに私が狭くお窮屈みたいじゃん」

    「実際、自由の尊重䞋がっおたじゃん」 

    「それは、お互い様」

    2人は笑い合った。

    そのあず少し黙っお、履いたばかりの靎みたいに、ぎこちなく歩いた。もう䜕も枬られないこずが、少し楜で、少し䞍安だった。


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