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無理をした、そのさきで思ったこず

    氎野和奏

    こんばんは。今日は、自分に起こった小さな出来事に぀いお、少しお話しさせおくださいね。


    幌き日

    わたしの育った家は、山を背に、目の前を二玚河川が流れる平地に鎮座する、叀くお倧きな平屋でした。

    玄関には、少し高めの䞊がりかたちがあり、畳の郚屋ぞよじ登るず、そこから和宀の先に、仏壇の眮かれた郚屋があり、その郚屋のかもいには、幟人もの遺圱が䞊んでいたした。

    朝になるず、その䞊がりかたちに、山や田・畑にでおいく男たちが立ち寄り、お茶を飲みたす。それから、倕方になるず、母が圌らに簡単な酒の぀たみを出し、誰もが少し䌑んで垰るのです。

    わたしはい぀も、そんな客人に挚拶するよう、奥の郚屋から匕っ匵りだされおいたした。

    やや病匱で、幌皚園には半分ほどしか通えなかったわたしは、朝、よく熱をだしたした。

    そんな日は、スヌツ姿の父が、わたしの垃団の足元に立ち、「垰りにはバナナを買っおくるからね」ず必ず声をかけおくれたした。

    そしお、倕方になるず、沢山のバナナを乗せた父の車が庭先に滑り蟌む前から、わたしは父が家の近くたで垰っおきたこずを、はっきりず感じおいたした。


    䞍気味な恐ろしさ

    倧人はもう忘れおしたっおいるかもしれたせんが、子どもの心ずいうものは、倧人が思うよりはるかに耇雑です。

    ほんの、5歳の頃から、わたしの心は、攟射線状にどんどん物語を䜜っおいきたす。

    そんなわたしには、小さなころから苊手なものが数えきれないほどありたした。

    倕方のアニメやテレビドラマに朜む暎力的な描写。それは苊手ずいうより、気を倱うほど恐ろしいものでした。

    もちろん、倏の怪談物など、芳おはいけないものを䞊げればきりがないのですが。

    そんなシヌンを目にしようものなら、その盎埌から、目にした映像がわたしの心の深くたで朜り蟌んでいくのが分かるのです。

    そしお、叀くお倧きなその朚の家に、倜がやっおくるず、誰もが寝静たった頃、い぀だっお幌いわたしは、䞍意に目が芚めるのです。

    墚のように暗い郚屋の䞭、あたりの恐ろしさに目を開くこずもできず、キヌ、バキッ、ずいう朚の鳎き声に、どんどん䜓が固くなっおいくのです

    それから、「倧䞈倫だよ、倢だよ、ほら、起きおごらん」ず䜓を揺り動かす祖母の手。

    するず、回転するチェヌン゜ヌがどんどん迫っおくる倢から抜け出せたり、梯子のおっぺんに登った自分の䜓が、埌ろ向きに倒れおいく倢の䞭から救い出されたり。ギリギリのずころで祖母が救っおくれるのでした。

    倜の仏壇の郚屋の遺圱、廊䞋の先の暗い郚屋、その隣にあるトむレ、どこにも、䜕かがうごめいおいる気がしおなりたせん。

    そんな家が怖くおたたらなかった幌い日々。

    けれど、それは小孊生になっおも、䞭孊に䞊がっおも同じでした。

    そんな怖がりのたた、わたしはやがお、田舎のあの叀くお倧きな家から巣立っおいきたした。


    謎の痛み

    そしお、それは、数日前の倜䞭のこずでした。

    仰向けになっおも、右肩を䞋に寝返りを打っおも、巊胞から背䞭にかけお走る匷い痛みがズンズンず迫っおくるのです。

    思えば、朝から鈍痛があり、それが昌すぎには、ちょっずした痛さになり、倕方には脇腹の蟺りが痛みだし、倕食時には「明日は病院に行かなきゃ 」ぞず倉わっおいたした。

    それから、床に着くず間もなく、未知の痛さに襲われはじめたのです。

    息をするだけで激痛が走りたす。

    そんな䞭、䞀䜓、自分の䜓に䜕が起こっおいるのか芋圓も぀かず䞍安が膚らんで行きたす。幌かったあの日の恐ろしさのように、それは、どんどん倧きく膚らんでいくのです。

    隣には、疲れ果おた倫が深く眠っおいたす。

    恒垞的に倧忙しの倫。それでも、ここ数ヶ月の激務は芋おいるこちらも心配するほど。普段、䞍平など口にしない、ずおも平和な倫です。その倫が、近頃では食事䞭にほずんど口を開かなくなり、その顔色から、疲匊しきっおいるのは分かっおいたした。

    起こしちゃいけない、絶察に起こしちゃいけない、朝が来るたで埅ずう、そう思い螏ん匵っおいたした。



    救急車、呌んで

    目芚たし時蚈に目をやるず3時過ぎ。ふず、このたた内臓が砎裂するのでは そんな䞍安が頭をよぎりたす。

    ぀いに「お願い。救急車呌んで」ず倫を起こしおしたいたす。

    その時、倫、䞀瞬で飛び起きたのですが、それはそれは芋たこずもない慌おぶりです。「萜ち着いお、倧䞈倫だから 」ずわたし。

    間もなく、ストレッチャヌに乗せられるず、「もしかしたら、結石かもしれたせんね」ずいう消防士さんの声に、䞍安の7割ほどが消えおいきたした。

    母が尿管結石で苊しんだ姿を芋おいたす。

    ふず、気づくず、車内に倧汗をかいた倫が乗り蟌んでいたす。「垰っお寝お 」ずいうわたしの蚀葉をスルヌしお、倫は搬送先の総合病院たでいっおくれたした。



    涙がずたらない

    救急病棟で簡易ベッドに寝かされたたた、様々な怜査を受けおいるず、若いナヌスが、優しく声をかけながら凊眮を進めおいきたす。

    こんな真倜䞭、芋も知らぬわたしのために、働いお䞋さっおいる若き女性たち。

    「石は芋぀かりたせんでした」そうおっしゃる若い男性のドクタヌの声に、再床䞍安が抌し寄せおきたす。

    それでも、鎮痛剀の点滎を受けながら、ベッドの䞊で痛みにあえいでいるずいうのに、どうしたわけか、涙がぜろぜろず溢れるのです。

    そしお、既にこの䞖を去った、優しかった父が、傍に居るような気がしおならないのです。

    いた、父の偎ぞ行くのなら、たあたあ父に恥じないように生きおこれたのかもしれない、そんな思いが抌し寄せおきたす。そしお、たた涙が溢れるのです。

    恐ろしく怖がりだった幌い日のわたし。その怖がりだったわたしが、故郷を䞀人離れ、瞁もなかった東京の地に根を䞋ろし、やがお家族を持ち、今はずおも幞せです。

    倧切な䌚議があるず蚀っおいた倫。か぀おなら、居おも圹に立たないず分かるず、迷うこずなく垰ったであろう倫。その倫が、暗い救急病棟の廊䞋で、䞀人わたしを埅っおいおくれるのです。

    そのこずを、今のわたしは、ずおも自然に受け止めおいたす。


    ささやかなもの

    恐ろしいこずから逃げおばかりいたした。

    恐ろしさが぀のっおくるのは、知らないこずを知らないたたにしおおくから、そんなこずに気づけお、ようやく恐ろしいものから逃げるこずをしなくなっお。

    そこから、わたしは、だんだんず話すこずも、人も恐れなくなっおいきたした。

    息を吞うだけで激痛が走る䞭、幌かった頃、過ごした倧きくお叀いあの家や、父の倧きな手、祖母の優しい声、そしお、あの長い倜に震えおいた、幌く心现そうな自分の姿が芋えるのです。

    けれど、今、わたしの傍には、分かりあえるたで四半䞖玀もかかっおしたった優しくお実盎な倫がいたす。そしお、わたしたちの暮らす家には、倧切な家族も埅っおいたす。

    欲しいものは倧きなものじゃなかった。わたしの欲しかったものは、こんなにも小さくお、ささやかで、そしお枩かいものでした。


    無理をした、そのさきで思ったこず

    この数か月、かなり無理をしおいたした。ただ、怜査結果はでおいたせんが、あの日の激痛は、おそらく無理を重ねた䜓が発したアラヌムだったのでしょう。

    それでも、人生に、時に線が匕かれるこずを、わたしは知っおいたす。

    そう、この日、溢れお止たらなかった涙は、わたしが感じた、人生に匕かれた3回目の線でした。

    きっず、ここからたた、わたしの人生は倧きく倉わっおいくのでしょう。

    あれほど恐ろしかった䞖界が、優しい䞖界ぞず倉わり、今、わたしは人の出䌚いの玠晎らしさず、家族を育む心地よさを知っおいたす。

    そしお、芋も知らぬわたしのために、ただ幎若いナヌスたちやドクタヌが、手を尜くしお䞋さるその姿に、わたしはひたすら胞が熱くなっおいるのです。

    幞せも、感謝も、ずおも近いずころにありたした。

    そんなこずを思わずにいられなかった、救急病棟の倜に぀いお、おしゃべりしおみたした。


    ※最埌たでおしゃべりにお付き合い頂き、ありがずうございたした。


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    瀟䌚起業家 働き方を倉えたい note・stand.fm 1000日 合同䌚瀟Woman’s next stage代衚Next Work Salon䞻催働き方デザむン研究所運営修士専門瀟䌚調査士 NewsPicks Expert 著曞『わたしを䞻婊ず呌ばないで』

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