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02|AIを使ったゲームの作り方 Vol.2 7つの手段と最初の1本

前回は、この連載の全体像と、まだ何も作っていない人の最初の一歩を書きました。まだ読んでいない方は、先にこちらをどうぞ。

01回目|AIを使ったゲームの作り方(予告編)
https://note.com/ukyousan/n/n8856d2f1d7f8

今回は、一番簡単にリリースまでたどり着く方法を提案します。
なお、本記事は今後メンバーシップ限定の記事になります。

先に私の考えを書いておきます。本当のことを言えば、ゲームを本格的に作りたいなら、最初からUnityやUnreal Engineのようなゲームエンジンを触るのが理想です。

実際に、ゲーム会社の現場では、Unreal Engine、Unity、そして会社ごとの独自のエンジンがメインです。ゲーム会社に入って即戦力になるには、そこまでを使いこなせる必要があります。少なくとも、使いこなせるだけの基礎力を鍛えておく必要があります。

ただ、この記事を読んでくださっている方は、それはいったんさておき、まずは自分で作ってみたい、経験を積んでみたい、個人で収益を上げてみたい、という方が多いと思います。そして、ゲームエンジンは覚えることが多く、最初の1本を完成させるまでの道のりが長いです。完全な初心者が一番やりがちな失敗は、完成する前に止まってしまうことです。何も動かないまま数週間たつと、作ること自体が嫌になってしまいます。

なので、この連載では、個人で完成させやすい方法をお伝えしていきます。

今回は、遠回りに見えても、まず1本を作って、人に遊んでもらえる状態まで持っていくことを優先します。そのための一番の近道が、ブラウザで動くゲームです。

この記事のターゲット
・初心者だけど個人でゲームを作ってみたい人
・就活のため、経験を積む目的でゲームを作ろうとしている人
・いずれ収益化することをイメージしながら、個人制作の経験を積みたい人

この連載で書くこと
・AIを使いながら、1本のゲームを完成させて世に出すまでの段取り
・工程ごとの、AIに任せていいことと、任せてはいけないこと

この連載で約束しないこと
・読めば儲かる、という話ではありません
・組織向けではありません

今回(vol.2)で持ち帰ってほしいこと
・完成されたゲームを再現して、面白くして、公開するまでの手順
・次に何を作りたいかで、道具をどう選ぶか


7つの作り方の早見表

先に、答えを一覧にしておきます。何を作りたいかで、最初に選ぶ作り方はだいたい決まります。

  • まず1本公開してみたい、小さな2Dゲームを作りたい → ブラウザゲーム(今回のおすすめの出発点)

  • RPGを作りたい → RPGツクール、ウディタ(戦闘やメニューを一から作らなくていい)

  • ノベルゲームを作りたい → ティラノスクリプトなど(お話と演出に集中できる)

  • 3Dや本格的なアクションを作りたい、ゲーム会社に就職したい → Unity、Unreal Engine、Godot(覚えることは多いが、目的には一番近い)

  • 多くの人に遊んでもらいたい → Roblox、UEFN(そのプラットフォームの中で公開する)

  • プログラムの文字がどうしてもつらい → GDevelop、Constructなどのノーコードツール(画面で部品を組み合わせる)

  • ルールそのものの面白さを試したい → アナログゲーム(紙とカードですぐ試せる)

何を作りたいかがまだ決まっていない人の最初の1本には、ブラウザゲームをおすすめします。 ただし、「RPGを作りたい」「ノベルゲームを作りたい」「就活でゲームエンジンの経験を見せたい」と決まっている人は、最初からその作り方を選んでください。それぞれの作り方は、Ⅲでくわしく書きます。

Ⅰ|一番簡単にリリースまでたどり着けるのは、ブラウザゲーム

ブラウザゲームというのは、ChromeやSafariのようなブラウザでそのまま遊べるゲームのことです。HTMLとJavaScriptという、Webページを作るときと同じ言葉で書かれています。

小さく見えるかもしれませんが、実績のある作り方です。数字のタイルを合わせていく『2048』や、5文字の英単語を当てる『Wordle』は、ブラウザで動くゲームとして世界中に広がりました。ヴァンパイアを倒し続ける『Vampire Survivors』も、最初はブラウザ向けの仕組み(Phaserというゲーム用の道具)で作られていて、あとからUnityに作り直されています。

ブラウザゲームが初心者の1本目に一番向いている理由は、4つあります。

1つ目は、何もインストールしなくていいこと。 必要なのは、パソコンとブラウザと、ClaudeやCodexのようなAIだけです。ゲームエンジンのように、何ギガもある道具を入れて、設定に半日かかる、ということがありません。

2つ目は、AIがプログラムを丸ごと書けること。 ブラウザゲームは、プログラムが全部文字で、小さいものなら1つのファイルに収まります。AIが最初から最後まで書けるので、完全な初心者でも、数分で動くものが手に入ります。

3つ目は、公開がそのままリリースになること。 ファイルをインターネット上に置けば、URLを送るだけで誰でも遊べます。ストアの審査も、登録料もいりません。

ちなみに、この記事では、URLや投稿サイトで誰かが遊べる状態にすることを「リリース(公開)」と呼びます。ストアの審査を通して売ることは、vol.5で扱います。

4つ目は、感想をもらうまでが一番速いこと。 友達にリンクを送れば、その日のうちに「ここが難しい」「これ面白い」と返ってきます。作って、遊んでもらって、直す。この一周を何度も回せるのが、経験を積むうえで一番大きいです。

Ⅱ|ブラウザゲームを作って、公開するまでの段取り

ここからは、実際に1本作って公開するまでを、順番に書きます。

その前に、今の時代の前提を書いておきます。今は、どの道具を使っても、チュートリアルなどで超簡単なゲームのルールを再現できます。 それをいじって、自分なりに変えてみることもできます。なぜそう動くのかは理解できなくても、AIを使えば、とりあえず動くものが出せる。それが今の時代です。

AIが一度に書いた小さなゲームのプログラムは、機能を足していくうちに、どこで何をしているのか分かりにくくなりがちです。プロが見たら、直したくなるところもたくさんあると思います。でも、最初はそれも込みで大丈夫です。 今回は、きれいな作りを覚えることより、小さく完成させて公開することを優先します。大きくしたくなったら、次の段階で作り直せばいいのです。 まず動くものを作り上げて、ミニゲームを1本完成させる。今回のゴールはそこです。

そのうえで今回は、参考として、ClaudeかCodex(ChatGPTの中で使える、OpenAIのプログラミング向けのAI)を使ってゲームを作ってみる前提で話を進めます。ほかの道具や、別のやり方で作っている人もいると思います。「このパターンだとどうなるの?」という質問があれば、そのつどコメント欄に書いてください。

もう一つ、今回の制作対象についてです。ゴリゴリの3Dアクションゲームを作りたいという人は、今回は一旦対象外とさせてください。 3Dは覚えることが一気に増えるので、この回では2Dのゲームを前提にします。それでも、どうしても3Dをやりたいという人は、RobloxやUEFN(フォートナイトの中でゲームを作る道具)を使って、試しに1本作ってみることをおすすめします。くわしくはⅢで書きます。

画面の細かい操作は、ツールが変わるとすぐ古くなるので書きません。その代わり、何を決めて、AIに何を頼んで、どこで自分の手を入れるかを書きます。

全体の流れを、先に1枚にまとめておきます。

0. 作る前に、記録を置く場所を一つ作る

作り始める前に、一つだけやっておいてほしいことがあります。制作の記録を置く場所を、一つ作ってください。 Xでもnoteでも、使いやすい方で構いません。すでに持っているアカウントがあれば、それで大丈夫です。

ここで大事なのは、たくさんの人に見てもらうことではありません。自分が何を作って、どう進めたかを残すことです。書くのは、こんな程度で十分です。

  • 今日からゲームを作ってみる。最初はブロック崩し

  • AIに作ってもらったら動いた。次はボールの速さを変えてみる

  • 友達に遊んでもらったら、操作が分かりにくいと言われた

  • 直して公開した。次はシューティングを作ってみたい

1回に数行と、画面のスクリーンショットが1枚あれば十分です。毎日書く必要もありません。

完成してから「ゲームを公開しました」とだけ書くより、作っている途中の記録が残っているほうが、どんなものを作ろうとしていたのかが伝わります。就活のために作る人にとっては、自分が経験したことを説明する材料になります。いつか売ったり知ってもらったりしたい人にとっては、そのまま宣伝の材料になります。そして何より、AIに任せて作ったものでも、記録があれば、自分が何を判断して、どこで詰まって、どう直したかが手元に残ります。

本名や顔を出す必要はありません。ゲームを作るための名前を一つ決めて、無理のない範囲で始めてください。記録の残し方や発信のしかたは、vol.10でくわしく書きます。

1. まずは、完成されたゲームのルールを再現する

本当に初心者の中の初心者なら、最初の1本は、自分のアイデアではなく、すでに完成されたゲームのルールを再現することをおすすめします。

たとえば、こういうゲームです。

  • ブロック崩し:画面の下のバーを左右に動かして、ボールを跳ね返してブロックを全部壊す

  • シューティング:自分の機体を動かして弾を撃ち、上から来る敵を倒す

  • 脱出ゲーム:部屋の中をクリックして調べて、アイテムを見つけて組み合わせ、鍵を開けて外に出る

どれも、何十年も遊ばれてきたルールです。ルールがもう完成しているので、「これは面白いのか?」で迷う必要がありません。 作る側は、決まったルールを動く形にすることだけに集中できます。AIもこういう定番のゲームは得意なので、狙ったものが出てきやすいです。

ただし、ここで再現するのは、ブロック崩しのような基本のルールです。特定のゲームのタイトル、キャラクター、画像、音楽、ステージをそのまま使って公開するのはやめてください。公開するなら、見た目と名前は自分のものにします。

脱出ゲームは、日本のフリーゲームでも定番のジャンルです。素早い操作がいらず、「このアイテムを持っていたら、この扉が開く」という仕組みを作るだけなので、アクションが苦手な人にも向いています。

ここでも、小さすぎるくらいにすることを守ってください。画面は1枚だけ。3分以内に終わる。脱出ゲームなら部屋は1つ、アイテムは3つまで。「RPGを作りたい」「オープンワールドを作りたい」という気持ちは、いったん横に置いておきます。

2. AIに、遊び方・操作・終わり方を伝えて頼む

作るものが決まったら、ClaudeかCodexに頼みます。前回は「ブロック崩しを、1つのHTMLファイルで作ってください」という一番短い頼み方を紹介しました。もう少しだけ情報を足すと、狙ったものが出てきやすくなります。

シューティングゲームを、1つのHTMLファイルで作ってください。
・自分の機体は画面の下にいて、左右の矢印キーで動き、スペースキーで弾を撃つ
・敵は上から現れて、少しずつ下りてくる
・敵に当たるか、敵が画面の下まで来たらゲームオーバー。倒した数を点数として表示する
・Enterキーでもう一度遊べる

伝えているのは、遊び方、操作、終わり方、もう一度遊ぶ方法の4つだけです。これが決まっていれば、ゲームとして成り立つものが出てきます。逆に、ここがあいまいだと、AIが勝手に決めてしまいます。

3. 保存して、ブラウザで開いて遊ぶ

AIがプログラムを出してくれたら、それをファイルとして保存します。ファイル名は「game.html」のように、最後が「.html」になっていれば大丈夫です。保存したファイルをダブルクリックするか、ブラウザにドラッグすると、ゲームが始まります。

保存のしかたや開き方が分からなければ、そのままAIに「これはどうやって動かすの?」と聞いてください。使っているパソコンがWindowsかMacかを伝えると、順番に教えてくれます。

自分の指示で、画面の中のものが動いた。 最初はこの感覚をつかめれば十分です。

4. 「どこで何をしているか」を説明してもらう

動いたら、ここが一番大事なところです。AIに、こう聞いてください。

このプログラムは、どこで何をしているのか、初心者向けに説明してください。

敵がどこで出てきているのか。弾が当たったかどうかを、どこで確かめているのか。点数はどこで数えているのか。全部を理解できなくても大丈夫です。 前に書いたとおり、今はなぜ動くのか分からなくても、動くものが作れる時代です。

そして、説明された中から数字を1つ選んで、自分の手で書き換えてみてください。 敵の下りてくる速さの数字を2倍にする。自分の機体の大きさを半分にする。保存して、もう一度開くと、ゲームが変わっています。

この連載で何度も書いていくことになりますが、AIに任せて動かしただけで終わると、手元には何も残りません。 説明を聞いて、自分で1つ変えてみる。それだけで、「なぜ動いているのか」が少しだけ自分のものになります。これが経験です。

5. どうやったらもっと面白くなるかを考えて、自分で足してみる

再現したゲームが動いたら、ここからが本番です。このシンプルなゲームを、どうやったらもっと面白くできるかを考えて、自分なりに形にしてみてください。

ブロック崩しなら、ボールが途中で2つに分かれる。何回か当てないと壊れない硬いブロックがある。時間がたつとバーが短くなる。シューティングなら、敵を倒すと弾が強くなるアイテムが落ちる。脱出ゲームなら、アイテムを2つ組み合わせると別のアイテムになる。

大事なのは、AIに「面白くするアイデアを出して」と頼む前に、自分で考えることです。自分で遊んでみて、「ここが退屈だな」「ここでもう少しドキドキしたい」と感じたところから考えます。AIに聞くのは、自分のアイデアを3つくらい出してからで十分です。そして、考えたアイデアを、次の段取りのとおり1つずつAIに頼んで実装します。

足してみたら、たいていは思ったほど面白くなりません。それで大丈夫です。どこが思ったのと違ったのかを考えて、また直す。これが、ゲームを作るということの中身です。

ちなみに、どうやったらゲームが面白くなるのかは、ものすごく奥が深い話で、やることもとても多いです。ここで全部は書ききれないので、開発の回(vol.6〜9)でくわしく書きます。今回は、自分で考えて、1つ足してみるところまでで十分です。

6. 直したいところを、一度に1つずつ頼む

遊んでいると、直したいところや、足したいものが出てきます。「敵が速すぎる」「プレイヤーが見えにくい」「効果音がほしい」。これをAIに頼んで直していきます。

コツは、一度に1つずつ頼むことです。5つまとめて頼むと、どこが変わったのか分からなくなりますし、直したはずのところが別の場所で壊れていても気づけません。1つ頼んだら、遊んで確かめる。また1つ頼む。遠回りに見えて、これが一番速いです。

もう一つ、うまく動いた版は、別の名前で保存しておいてください。 「game_v1.html」「game_v2.html」のように番号を付けておけば、直している途中で壊れても、動いていた版に戻れます。AIに直してもらうと、ときどき前より悪くなることがあるので、これは必ずやっておいてください。

7. 公開する前に、人に遊んでもらう

ある程度遊べるようになったら、公開する前に、一度だれかに遊んでもらいます。家族でも友達でも構いません。

このとき、遊び方を口で説明しないでください。 黙って渡して、どこで迷うか、どこで笑うか、何回遊び直すかを横で見ます。説明しないと分からないところは、画面の中で伝わるように直す必要があります。これは、ゲーム作りの現場でも、ずっと大事にされてきたことです。

8. インターネットに公開する

いよいよ公開です。ブラウザゲームの公開先として、初心者にも使いやすいものを2つ紹介します。

一つ目は、itch.ioという、インディーゲームの投稿サイトです。世界中の個人の作り手が使っていて、ブラウザで遊べるゲームをそのまま公開できます。作ったファイルを「index.html」という名前にして、ZIPにまとめてアップロードすると、そのページの中で遊べるようになります。無料で公開でき、ゲームの紹介文や画像も載せられるので、「リリースした」という形が一番はっきり残ります。

二つ目は、Netlify Dropというサービスです。ファイルの入ったフォルダを、ページにドラッグするだけで、数秒で公開用のURLができます。アカウントを作らなくても試せるので、とにかく早く友達にURLを送りたいときに便利です。ただし、アカウントに登録して自分のものにしない限り、公開したページは期限が来ると消えてしまいます。残したい場合は登録してください。

どちらも、やり方が分からなくなったら、画面のスクリーンショットをAIに見せて「ここからどうすればいい?」と聞けば、教えてくれます。

公開するときに、一つだけ気をつけてください。画像や音楽を入れた場合、それを使っていいものかどうかです。ネットで拾った画像や、好きなゲームの音楽をそのまま入れて公開すると、権利の問題になります。最初は、AIがプログラムで描いた四角や丸だけのゲームで十分です。素材の話は、vol.8でくわしく書きます。

9. 公開したら、感想をもらって小さく直す

公開したら、URLを友達やSNSで共有して、感想をもらいます。反応がなくても、落ち込む必要はありません。最初の1本の目的は、ヒットさせることではなく、作ってから公開するまでを一度通して経験することです。

感想がもらえたら、それをもとに小さく直して、もう一度公開します。この「作って、出して、直す」を一度でも回せたら、それはもう立派なリリースの経験です。

最初は、面白くないものを大量に作ることになる

先に言っておきたいことがあります。ゲームは、作り慣れるまで、まったく面白くないものを大量に作ることになります。

これは才能の問題ではありません。どれだけ遊ぶのが好きな人でも、最初に作るゲームはだいたい面白くないです。遊ぶのと作るのとでは、使う力がまったく違うからです。

だから、慣れるまでは、コンセプトを練ったり、デザインの資料を作り込んだりする前に、いろいろなものを作っては捨てるを繰り返してください。ブロック崩しを作って、少し変えて、捨てる。シューティングを作って、捨てる。脱出ゲームを作って、捨てる。AIがあれば、1本作るのに何日もかかりません。捨てることを怖がらなくていいのです。

そうやって作っては捨てているうちに、「この形なら、自分のやりたいことが表現できそうかも」という手ごたえが、どこかでつかめてきます。それをつかむことが、最初の段階では一番大事です。

作る前にしっかり決めておくことについては、vol.7でくわしく書きます。ただそれは、作り慣れて、この手ごたえをつかんでからの話です。

やってはいけないのは、いきなりコンセプトやデザインの資料を作ること

逆に、超初心者がやってはいけないことも書いておきます。いきなりコンセプトを考え込んだり、デザインの資料を作り込んだりすることです。

ゲームを作ろうと思うと、世界観の設定を何ページも書いたり、キャラクターの設定画を描いたり、画面のデザインを作り込んだりしたくなります。やっていると、ゲームを作っている気分になれるからです。

でも、作り慣れていないうちに作った資料は、実際に作り始めると、ほとんどが使えません。作ってみたら思っていたのと違った、ということが必ず起きるからです。そして何より、資料を作ること自体が目的になってしまうと、ゲームの開発がまったく進まなくなります。 設定だけは立派なのに、動くものが1つもない。これは、本当によくある止まり方です。

何度も繰り返しになりますが、最初に大事なのは、1つの小さな完成品を作って、公開することです。資料は、それができてからで十分です。

つまずきやすいところ

最後に、ブラウザゲームでよくあるつまずきを書いておきます。

ゲームが大きくなると、1つのファイルに収まらなくなります。 プログラムが長くなりすぎて、AIに直してもらうたびに別の場所が壊れる、ということが起き始めます。これは失敗ではなく、次の段階に進む合図です。

AIが、前と違う作りで書き直してしまうことがあります。 「さっきのプログラムの、この部分だけを直して」と、直してほしい範囲をはっきり伝えると防げます。

チャットにプログラムを貼ったりコピーしたりするのが大変になってきたら、 Claude CodeやCodexを、自分のパソコンの中のファイルを直接扱える形(パソコンに入れるアプリや、ターミナルで動かす版など)で使うタイミングです。使うには、それぞれのインストールやログイン、設定が必要になります。そこから先の使い方は、開発の回で書きます。

Ⅲ|次は、何を作りたいかで道具を選ぶ

ブラウザで1本公開できた人は、次に「本当に作りたいもの」に向かいます。早見表を見て、最初から専用の道具を選んだ人は、ここから先を自分の道具の説明として読んでください。

これはあくまで参考例。今となってはclaudeやcodexでもRPG、ノベルゲーム系もツール不要で作れてしまう。

選ぶときの手がかりは2つあります。何を作りたいかと、どこで公開したいかです。まずは、何を作りたいかから見ていきます。

おすすめは、道具の名前から選ぶのではなく、何を作りたいかから選ぶことです。作りたいものが決まれば、向いている道具はだいたい決まります。

画面1枚で遊べる小さなゲームを、もっと作りたい

そのまま、ブラウザで作り続けてください。 慣れてきたら、Phaserのようなブラウザゲーム用の道具を使うと、一段大きなゲームが作れるようになります。『Vampire Survivors』が最初に使っていたのも、この道具です。AIに「Phaserを使って作って」と頼めば、そのまま書いてくれます。

RPGやノベルゲームを作りたい

RPGツクール、ウディタ(WOLF RPGエディター)、ティラノスクリプトが向いています。
過去ヒットした作品例では、ホラーゲームの『青鬼』はRPGツクールXPで、美術館を舞台にした『Ib』はRPGツクール2000で、ウディタの作者本人が作った『片道勇者』はウディタで作られました。どれも個人作品です。
戦闘やメニューの仕組みが最初から入っているので、お話とマップ作りに集中できます。

最初の1本は、村1つ、ダンジョン1つ、ボス1体。ノベルなら、登場人物2人で結末が1つ。10分で終わるゲームを目標にしてください。ウディタとティラノスクリプトは無料で使えます。

AIは、セリフや村人の会話、アイテムの説明文を考えるのに向いています。一方で、マップを描く、イベントを置く、画面の上で動きを確かめるといった作業は、AIに手順を聞くことはできても、最終的には自分で画面を触って確かめる部分が多く残ります。

3Dのゲームや本格的なアクションを作りたい。就活でゲーム会社を受けたい

Unity、Unreal Engine、Godotのようなゲームエンジンの出番です。『原神』『ウマ娘 プリティーダービー』『Hollow Knight』はUnityで、『ドラゴンクエストXI』『Stray』はUnreal Engineで、『Brotato』『Buckshot Roulette』はGodotで作られています。

3Dのゲームを作りたいなら、ブラウザで2Dのゲームを作るのとは別の道になります。どうしても3Dをやりたい人には、いきなりゲームエンジンを入れるより、RobloxやUEFNで試しに1本作ってみることをおすすめします。どちらも、最初から3Dの世界が用意されていて、そこに足場や仕掛けを置いていく作り方なので、3Dの入り口としては一番やさしい部類です。キャラクターの動きやカメラも最初から入っているので、一から作る必要がありません。公開すれば、そのまま誰かに遊んでもらえるのも大きいです。

就活でゲーム会社を受けるなら、UnityかUnreal Engineで1本作った経験は、そのまま「入社してから使う道具を触ったことがある」という証明になります。冒頭に書いたとおり、ここが本来の理想のスタート地点です。

ブラウザで1本作ったあとなら、ゲームのプログラムがどう動いているかが少し分かっているので、エンジンの入門もぐっと進めやすくなります。まずは公式の入門教材を、1本だけ最後までやり切ってください。 UnityならRoll-a-Ballという、玉を転がしてアイテムを集める教材が定番です。つまずいたら、エラーの文章をそのままAIに貼るか、画面のスクリーンショットを見せて聞いてください。

たくさんの人に遊んでもらいたい

Roblox、フォートナイトのクリエイティブ(UEFN)のような、すでに多くの人が遊んでいる場所の中で作る方法があります。公開したその日から、誰かに遊ばれる可能性があります。どこで何人がやめたか、数字で見られるのも大きいです。

ただし、ルールを決めるのはプラットフォーム側です。規約や分配の仕組みが変われば従うしかなく、そのプラットフォームの外で遊んでもらうこともできません。そして、まずは遊ぶ側として、そのプラットフォームの人気ゲームを十分に遊んでいることが前提です。

プログラムの文字が、どうしてもつらい

GDevelopやConstructのようなノーコードツールがあります。プログラムを書く代わりに、「このボタンを押したら」「ジャンプする」のように、用意された部品を組み合わせてゲームを作ります。

ただ、今はAIがプログラムを書いてくれるので、プログラムを自分で書く必要はほとんどありません。ブラウザゲームでAIに書いてもらうのがつらかった場合の、次の選択肢と考えてください。

ルールそのものを作ってみたい

アナログゲームという選択肢もあります。紙やカードで遊ぶゲームです。デジタルの連載で意外に思うかもしれませんが、ルールそのものが面白いかどうかが、遊んだ人の顔ですぐに分かります。ゲームの面白さの根っこを作る経験としては、これ以上のものはないと私は思っています。

始め方は簡単です。トランプを出して、知っているゲームのルールを1つだけ変えて、家族か友達と3回遊んでみてください。AIに「このルールで、必ず勝てる手順はある?」と聞けば、穴も探してくれます。形にして売りたくなったら、国内最大のアナログゲームのイベント「ゲームマーケット」があります。2026年秋は10月17日と18日に幕張メッセで開かれます。

どれにするか決められない

もう1本、ブラウザで作ってください。 2本目を作っているうちに、「次はこういうものが作りたい」「この作り方では足りない」が自分で分かってきます。比較記事を10本読むより、そのほうがずっと早く決まります。

今は、ClaudeやCodexを使えば、小さなゲームならサクッと作れてしまいます。これを使わない手はない、というのが私の考えです。道具選びで迷っている時間があるなら、その間にAIと一緒にもう1本作ってしまったほうが、ずっと多くのことが分かります。

Ⅳ|どこで公開したいかでも、道具は変わる

もう一つ、道具選びに関わるのが、作ったゲームをどこで公開したいかです。

ゲームを出せる場所は、実はたくさんあります。ただ、知らないと選択肢として思いつきもしません。そして、場所によって、使える道具が決まっていることがあります。たとえば、ブラウザゲームのまま家庭用ゲーム機に出すことはできませんし、RobloxのゲームとしてRobloxに公開したら、遊ぶ場所はRobloxの中だけです。

ここでは、無料で公開できる場所から、売る場所まで、大きく6つに分けて並べておきます。

無料で公開する(まずはここから)

とりあえず最初は気にしないでWebに誰もがアクセスできる状態にしておけば、プラットフォームは使わなくてもいい。ただ、体裁的に公開した達成感を味わうためにプラットフォームを利用するっていうのは経験としてやっておくことがオススメです。

  • itch.io:世界中の個人の作り手が使うインディーゲームの投稿サイトです。ブラウザゲームならページの中でそのまま遊べて、ダウンロード形式のゲームも置けます[9]。

  • ふりーむ!、フリーゲーム夢現、PLiCy:日本のフリーゲームの投稿サイトです。どれも無料で公開でき、日本語で感想やレビューがもらえます。ブラウザで遊べる形に対応しているサイトもあります。

  • unityroom:Unityで作ったゲームを、ブラウザで遊べる形で公開できる投稿サイトです。Unity専用です[17]。

  • ノベルゲームコレクション:ノベルゲーム専門の投稿サイトです。ティラノスクリプトなどで作ったノベルゲームを公開できます。

  • Netlify Drop などで自分で公開する:ファイルを置いてURLを作る方法です。投稿サイトのように人が集まる場所ではありませんが、URLを送った相手にはすぐ遊んでもらえます。

  • CrazyGamesのようなブラウザゲームのポータルサイト:無料で遊ばれて、表示された広告の収益の一部が作った人に入る仕組みのサイトです。無料で公開しながら、少しだけお金の流れを経験できます。サイトごとに審査や組み込む仕組みがあるので、2本目以降の選択肢です。

PCで売る

  • Steam:
    PCゲームの一番大きなストアです。1本ごとに100ドルの登録料がかかりますが、売上が一定額に届くと戻ってくる仕組み。

  • Epic Games Store:
    こちらも1本ごとに100ドルの登録料がかかり、最初の売上100ドルで回収される仕組みです。1本あたり年間100万ドルまでは、売上の100%が作った人に入ります[12]。

  • itch.io:
    無料公開と同じサイトで、値段を付けて売ることもできます。ただし、ブラウザでそのまま遊ぶ形のゲームは、今のところ寄付(投げ銭)でしかお金を受け取れません[9]。売るならダウンロード形式にする必要があります。サイトに払う取り分を、作った人が自分で決められるのが特徴です。

  • DLsite、DMM GAMES:
    日本の同人ゲームやインディーゲームを扱うストアです。DLsiteはサークルとして登録すれば個人でも出せますが、手数料は高めで、成人向けの作品が中心の場です。DMM GAMESは、開発元から申請して審査を受ける形です。

  • BOOTH:
    pixivが運営する通販のサイトで、ゲームのダウンロード販売もできます。販売手数料は売上の5.6%+45円です[13]。

スマホのストアで出す

  • Google Play:
    最初に25ドルを1回払うと、Androidのアプリを出すための登録ができます。ただし、2023年11月以降に作った個人のアカウントは、公開する前に、12人以上に14日間続けて試してもらうテストが必要です[18]。

  • App Store:
    iPhoneのアプリを出すには、年に99ドルを払ってAppleの開発者プログラムに入る必要があります。

どちらも審査があります。ブラウザゲームのままでも、スマホのブラウザで遊んでもらうことはできます。ストアに並べたいときは、ブラウザゲームをアプリの形に包んで出す方法と、スマホ向けに書き出せる道具(UnityやGodotなど)で作る方法があります。RPGツクールMZのように、スマホ向けにするには追加の手順が要る道具もあります。くわしくは、次のⅤで書きます。

家庭用ゲーム機で出す

Nintendo Switch、PlayStation、Xboxにも、個人や小さなチームのゲームは出ています。任天堂の開発者向けのサイトは、成人なら個人でも無料で登録できます。ただし、Switch向けに作って出すには、別に申請して許可をもらう必要があります[14]。PlayStationとXboxも、それぞれ開発者として申請して審査を受ける仕組みです。

作るのはUnityやUnreal Engineのようなゲームエンジンが一般的です。初心者にとっては一番遠い場所なので、いつか目指す場所として覚えておいてください。自分で申請する代わりに、インディーゲームを扱う会社(パブリッシャー)と組んで出す人も多いです。

プラットフォームの中で出す

Roblox、フォートナイト(UEFN)、マインクラフトは、そのプラットフォームの中で公開します。RobloxとフォートナイトはRoblox Studioやフォートナイトの制作ツールで無料で作って公開できて、中での課金や遊ばれた時間に応じて、作った人にお金が入る仕組みがあります。ただし、お金を受け取るには、年齢などの条件を満たして申し込む必要があります。マインクラフトの公式マーケットプレイスは、審査を通ったパートナーが出す場所です。

アナログゲームを出す

紙やカードのゲームなら、ゲームマーケットのようなイベントに出展するか、BOOTHで通販する形が一般的です。

最初の1本は、無料で公開すれば十分

こうして並べると、どこに出すかで選べる道具が変わるのが分かると思います。

  • ブラウザゲーム → itch.io、ふりーむ!などの投稿サイト、ポータルサイト

  • RPGツクールなど → フリーゲームの投稿サイト、Steam、DLsite、スマホのストア

  • Unity、Unreal Engine、Godot → ほとんどの場所(家庭用ゲーム機は、各社の許可と、エンジン側の対応が別に必要)

  • Roblox、フォートナイト → その中だけ

ただ、最初の1本から売る場所を目指す必要はありません。まずは無料で公開して、遊んでもらう経験を先に積んでください。 売ることを考えるのは、「この作り方で、次はもっと大きいものを作りたい」と思ったときで十分です。売り方の種類とそれぞれのメリット・デメリットは、vol.5でくわしく書きます。

Ⅴ|初心者からよく出る4つの質問

ここまで読んで、疑問が出てきた人も多いと思います。初心者からよく出そうな質問に、先に答えておきます。

Q1. ClaudeやCodexで作ったゲームは、どのプラットフォームやOSで動くの?

最初は気にしなくていいですが、最終的に自分はこのプラットフォームでリリースしたいと思った時は、本開発時点でデータの作り方含めて検討すべきことが出てきます。(移植とか作り替え)
なおAIで作る場合、ClaudeやCodex自体には、「このOS向け」という決まりはありません。何で作ってと頼むかで決まります。
AIは、頼まれた言葉と道具でプログラムを書くだけだからです。

  • 「1つのHTMLファイルで作って」と頼む → ブラウザゲーム。ブラウザがあれば、Windowsでも、Macでも、iPhoneでも、Androidでも動きます

  • 「Unityで作って」と頼む → Unityのプロジェクト。書き出すときに、Windows、Mac、スマホなどを選べます

  • 「Godotで作って」と頼む → Godotのプロジェクト。Windows、Mac、スマホ、ブラウザなどに書き出せます

  • 「Pythonで作って」と頼む → 主にパソコン用。遊ぶ人のパソコンにもPythonが必要なので、人に配るのは少し手間です

今回の前提のように、HTMLで頼めば、できあがるのはブラウザで動くゲームです。どのOSで動くかを気にしなくていいのも、ブラウザゲームを1本目に勧める理由の一つです。

作る側のパソコンのOSが関係するのは、iPhone向けのアプリを作るときです。Appleの開発ツールはMacでしか動かないので、iPhoneのアプリとして書き出すにはMacが必要になります。

Q2. ブラウザゲームをスマホで出したくなったら、Swiftに書き直さないといけないの?

これも実際に制作した後に出る質問でもよくありますが、内容次第では書き直す必要はありません。 方法は大きく3つあります。

一つ目は、ブラウザゲームのまま、スマホのブラウザで遊んでもらうことです。URLを送れば、そのまま遊べます。やることは、スマホで操作できるようにすることだけです。キーボードで動かす作りだと、スマホでは操作できません。AIに「スマホでも遊べるように、タップやスワイプで操作できるようにして」と頼めば直してくれます。

二つ目は、ブラウザゲームを、アプリの形に包んでストアに出すことです。中身はHTMLとJavaScriptのまま、外側だけをスマホのアプリにします。Capacitor(キャパシター)のような道具を使うと、iPhoneやAndroidのアプリとして書き出せます[15]。ファイルを入れればすぐ終わるわけではなく、アプリ用の準備や設定の手間はかかります。AIに手順を聞けば教えてくれます。ただし、iPhone向けにはMacが必要なこと、ストアの登録料がかかること、審査があることは同じです。Appleの審査では、ただのWebページにしか見えないアプリは通りにくいとされているので、ゲームとしてちゃんと遊べる形にしておく必要があります[16]。

三つ目は、UnityやGodotのようなゲームエンジンで作り直すことです。これはQ4で書きます。

SwiftはiPhone専用のアプリを作るための言語で、iPhoneだけで作り込みたい場合の選択肢です。個人の小さなゲームでは、あまり選ばれません。

Q3. 最初から専用のツールを使う必要はないの?

何を作りたいか、どこに出したいかが決まっていないうちは、ブラウザで始めて大丈夫です。 ブラウザで作っておけば、スマホのブラウザでも遊べますし、あとからアプリの形に包むこともできます。「出す場所が決まっていないから、道具を選べない」と止まる必要はありません。

ただし、次の4つに当てはまる人は、最初から専用のツールを選んだほうが近道です。

  • 家庭用ゲーム機に出したい:
    Switch、PS5、Xboxには、ブラウザゲームのままでは出せません。UnityやUnreal Engineなどで作る必要があります

  • 3Dや動きの重いゲームを作りたい:
    ブラウザでも作れなくはありませんが、途中で限界が来ます

  • 就活で、ゲームエンジンを使った経験を見せたい:
    ゲーム会社は、UnityやUnreal Engineを触ったことがあるかを見ます。ブラウザゲームだけでは、その証明になりません

  • RPGやノベルを作りたい:
    ブラウザでも作れますが、戦闘やメニューを一から作ることになります。ツクールやティラノなら最初から入っています

Q4. あとからUnityやUnreal Engine、Godotに移すのは簡単?

そのまま変換、という意味では簡単ではありません。移すというより、作り直しになります。 使う言葉が違いますし(UnityはC#、GodotはGDScript、Unreal EngineはC++やブループリント)、エンジンにはシーンや部品を組み合わせる独自の作法があります。エンジンの画面での作業も、AIにはできないので自分でやることになります。

一方で、そのまま持っていけるものもあります。ルールと数値、画像や音の素材、そして「何が面白かったか」という経験です。

作り直すときは、ブラウザゲームのファイルをAIに渡して、「このゲームを、Godotで作り直したい。手順とプログラムを教えて」と頼めば、エンジン用のプログラムと、画面でやる手順を出してくれます。画面1枚のミニゲームなら、慣れていれば数時間から数日で作り直せます。

ここで、前に書いた「最初は中身の作りが分かりにくくても大丈夫」が効いてきます。どうせ作り直すので、元のプログラムがぐちゃぐちゃでも、あまり問題になりません。 それより大事なのは、ルールと数値を短いメモに書いておくことです。AIは、ぐちゃぐちゃのプログラムを読むより、「このゲームはこういうルールで、敵の速さはこれくらい」というメモから作るほうが、きれいに作り直せます。

エンジンごとの難しさでいうと、2Dのミニゲームを移すなら、Godotが一番近い感覚で作れます。 Unityは覚える作法が多いぶん、情報とAIの知識が一番そろっています。Unreal Engineは3Dの大作向けなので、2Dのミニゲームを移すには大げさなので個人レベルでやることはほぼないです。

Ⅵ|AIに任せやすいのは、文字で書ける道具

道具を選ぶときに、もう一つ知っておいてほしいことがあります。道具によって、AIに任せられる量が大きく違うということです。

AIが得意なのは、文字を読んで、文字を書くことです。なので、ゲームの中身が文字で書かれている道具ほど、AIにそのまま作業を任せられます。ブラウザゲーム、Phaser、GodotやUnityのプログラム、RobloxのLuau、ティラノスクリプトのシナリオ、アナログゲームのルール。これらは全部、文字です。

一方で、RPGツクールやウディタでマップを描く作業、Unreal Engineのブループリント(線でつないで仕組みを作る機能)、ノーコードツールの部品の組み合わせは、画面の操作です。AIに手順を聞くことはできても、最終的には自分で画面を触って確かめる部分が多く残ります。

これは、どちらが良い悪いという話ではありません。文字で書ける道具はAIに任せやすいぶん、任せすぎて何も残らない危険があります。画面を操作する道具は、AIに聞きながら自分の手で作るので、自然と手が覚えます。

あとゲーム本来の面白さというのもAIでは確認と再現性ができないので、結局、見た目は綺麗に作れていても、本当の面白さはあなたが作る必要があるという前提をお忘れなく。

Ⅶ|かかるお金は、ほとんど0円から始められる

最後に、お金の話です。

今回紹介したブラウザゲームの作り方は、0円でできます。 Claudeには無料のプランがあり、CodexもChatGPTの無料のプランから使えます[8]。itch.ioもNetlify Dropも、無料で公開できます。

ほかの道具も、多くは個人なら無料で始められます。Unityには、直近12か月の収益や資金調達が20万ドル未満など、公式の条件を満たす個人や小さな組織向けの無料プラン(Unity Personal)があります[1]。Unreal Engineは使うだけなら無料で、それで作ったゲームが生んだ売上の累計のうち、100万ドルを超えた部分に5%のロイヤリティがかかる仕組みです。Epic Games Storeで売れた分には、このロイヤリティはかかりません[2]。Godotはオープンソースで、ロイヤリティもありません[3]。RPGツクールMZは定価8,778円の買い切りで[4]、ウディタとティラノスクリプトは無料です[5][6]。

AIをたくさん使うようになると、無料のプランでは使える量が足りなくなってきます。そのときの目安は、どちらも月20ドルのプランです。Claudeは月20ドルのProプランから、Claude Codeが使えるようになります[7]。ChatGPTは月20ドルのPlusプランがあり、その間に月8ドルのGoプランもあります。Codexは無料のプランを含めて使えます[8]。

どちらを選ぶかは、すでに使っている方で構いません。まず無料で始めて、使える量が足りないと感じてから有料にする。 その順番で大丈夫です。

おわりに|次回は、何のために作るかを決める話

今回のまとめです。

  • 理想はUnityやUnreal Engineから始めること。でも最初の1本は、リリースまでたどり着くことを優先する

  • 一番簡単にリリースまでたどり着けるのは、ブラウザゲーム。インストール不要、AIが丸ごと書ける、URLで公開できる

  • 作る前に、制作の記録を置く場所をXかnoteに一つ作る

  • 最初の1本は、ブロック崩し・シューティング・脱出ゲームのような完成されたルールを再現する(見た目と名前は自分のものに)

  • 動いたら、どうやったらもっと面白くなるかを自分で考えて足してみる

  • 慣れるまでは面白くないものを大量に作る。作っては捨てて、「この形なら表現できそう」をつかむ

  • やってはいけないのは、いきなりコンセプトやデザインの資料を作り込むこと。資料作りが目的になると開発が進まない

  • 一度に1つずつ直す → 黙って遊んでもらう → 公開する

  • 次は、道具の名前からではなく、何を作りたいか、どこで公開したいかで道具を選ぶ

  • どのOSで動くかは、AIに何で作ってと頼むかで決まる。ブラウザゲームはスマホでも遊べて、あとからアプリの形に包むことも、エンジンで作り直すこともできる

  • 公開する場所は、無料の投稿サイトから、Steam、スマホのストア、家庭用ゲーム機までたくさんある。最初の1本は無料で公開すれば十分

  • 0円で始められる。AIも、足りなくなってから有料にすればいい

1つの小さな完成品を作って、公開してください。

公開した経験があるかないかで、次の1本の作り方がまったく変わります。

次回は、何のために作るのかを先に決める話です。就活のためなのか、収益化を経験するためなのか。同じAIの使い方でも、目的によって手元に残るものが変わります。

作ったゲームを公開したら、ぜひコメント欄でURLを教えてください。知りたいことや、書いてほしいことも、コメント欄で待っています。


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参考資料

※料金や条件は2026年9月時点のものです。変わることがあるので、使う前に公式サイトで確認してください。
※道具の選び方、初心者の進め方についての整理は筆者の考えです。

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