メインコンテンツへスキップ
見出し画像

映画『国宝』 :【僕の偏愛映画史 第六回】 歌舞伎、役者の業、日本の美を海外の眼で捉えた傑作

    歌舞伎、役者の業、日本の美を海外の眼で捉えた傑作


    1年前、公開されてすぐに劇場で観ることができた映画『国宝』。

    李相日監督による175分の超大作。

    主演は吉沢亮、そして横浜流星が共演している。


    現場が「これだ」と言っていた作品


    公開前から、映画関係者の間では話題になっていた。

    映画好きの間でも「これは観ないといけない」という声が聞こえていた。

    そして何より——

    僕が実際に、APさん、メイクさん、制作さん、現場で会った人たちが皆が口を揃えて、

    「国宝、観た?」

    と話題にするほど、業界内でも広がっていた。

    それほどの期待値が集まっていた作品だったんだ。

    だから、僕自身も心待ちにしていた。


    李相日監督への、ちょっとした不安


    ただ、正直に言うと、少し不安もあった。

    李相日監督の『悪人』『怒り』は全部見てきている。
    素晴らしい作品ばかりだ。

    でも一つ、ずっと感じていた違和感があった。

    クライマックスへの主人公の変化、
    最後に見せたい「到達点」がいつも、どこかスッキリしない。

    「何を見せたかったんだろう?」

    という感想にいつもなってしまっていた。

    映画を観終わっても「いい映画だ」という感想で終わるけど、
    何か心に引っかかるものが残る。

    でも『国宝』は違った。


    撮影監督・ソフィアン・エル・ファニの視点が全てを変えた


    勝手な考察だが、これが全てのポイントだと思う。

    撮影監督のソフィアン・エル・ファニは外国人だ。
    『アデル、ブルーは熱い色』などで知られる、世界的な撮影監督。

    日本文化の最高峰である歌舞伎、
    そしてそれにまつわる日本の文化、役者の業、その全てを——
    海外の撮影監督の視点でカメラに収める。

    これが、本当に素晴らしい効果を生んだと思う。


    日本のカメラマンだったら、また違った印象になっていただろう。

    でも、外国人の眼を通すことで、
    あの幻想的な舞台のシーン、歌舞伎の演技がミスティックに、
    そして新鮮に映った。

    あの美しさは「日本人だけが知っている美学」ではなく、
    「世界に通じる普遍的な美」なんだと、初めて気づかされた気がした。

    「国宝」の最大の見どころは、間違いなくここだと思う。


    吉沢亮の演技——50年の人生を駆け抜ける

    主演の吉沢亮の演技。

    任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られた主人公・喜久雄。

    その50年の人生を、若い頃から年を重ねていく過程を、
    時間をかけて丁寧に演じている。

    ほぼ彼の人生そのものじゃないかと思うほど、
    違和感なく最後のシーンまで駆け抜けていく。

    全身全霊を映画に托し、こんな経験ができるのは、
    役者としても本当に羨ましいと思う。


    原作を読まないからこその「正直さ」


    『国宝』については、原作は読んでいない。

    だから、「ここが描かれていない」とか
    「原作ではこう書いてある」みたいな感想は一切ない。

    映画そのものを、正直に、真正面から受け取ることができた。

    僕のスタイルは「何も考えずに映画の川の流れにそのまま身を浸す」こと。
    どこへ到達するんだろう、という感覚のまま、一緒に流れていく。

    そういうふうに映画を観ないと、
    映画を作った人たちにも失礼だと思っているから。


    175分があっという間に終わる——これが、僕の一番の感想


    僕がこの映画で一番伝えたいこと。

    長い映画でも、あっという間に終わる映画はいい映画だ。


    それはなぜか。

    物語の流れに観客が乗って、そのまま映画の川を一緒に行く。
    そこから見える風景を一緒に見る。

    いろんな感覚が同時に押し寄せてくるから、
    時間の感覚が、消えていく。



    175分という長さ。

    でもあっという間に終わる。

    それはやっぱり、一つ一つのシーンの濃さがあるから。

    長い人生の時間を、テンポよく描いている。

    登場人物たちのキャラクターや役割も、しっかりとした骨格がある。



    そして気づいたら——

    あっという間に、主人公と同じ気持ちになっていた。

    最後の主人公の表情を見ていた時、
    そこに、僕がいた。

    それが、この映画の一番の感想かもしれない。



    日本アカデミー賞10部門受賞へ


    この映画はたくさんの評価を得た。

    第49回日本アカデミー賞で最優秀作品賞、最優秀主演男優賞を含む最多10部門の最優秀賞を獲得した。

    これは、スタッフさんも俳優陣も全員が、
    命を削ってこの作品を高めてくれたからだと思う。

    僕自身も、そういった現場に携われることが夢だ。


    吉沢亮と横浜流星の「みずみずしい演技」


    主人公の喜久雄と、ライバルの大垣俊介(横浜流星)。

    二人のみずみずしい演技と、あの歌舞伎のシーン。
    本当に素晴らしかった。



    歌舞伎は何度か見たことがあるけど、
    特に女形の演技は、極端までに空っぽに見える。

    そぎ落とした中での小さな仕草で、観客を魅了する。

    そういった精密さを、役者が遜色なく演じている。
    シネマティックな距離感で、あれだけ丁寧に歌舞伎を再現できるのは本当にすごい。

    役者目線でごめんなさい。
    歌舞伎は3回ほどしか行ったことないので、素人の感想かも知れません。



    最後に。そして皆さんへ


    『国宝』は2025年6月6日に公開された。

    興行収入200億円を突破し、
    邦画実写映画の歴代興行収入ランキングを22年ぶりに更新した。

    この作品は、「実写映画で」、日本映画史に金字塔を打ち立てた。



    僕がいつも言うことだけど——

    「とにかく観てくれ」。

    それが、僕の感想だ。

    あなたが感じることが全てだから。




    映画館での上映も終わりに近づいているけど、
    もしまだ観ていなかったら、ぜひ劇場で観てほしい。

    それこそが、この映画の価値を全て理解できる唯一の方法だと思う。



    そして、もし読んでくれている皆さんが『国宝』を観たなら、
    ぜひ感想を聞かせて下さい。

    あなたは、この映画の何に心を揺さぶられたのか。
    どこに感動したのか。
    海外の目線で捉えた歌舞伎と役者の業について、どう感じたのか。


    実際に映画を観た皆さんの声を、聞いてみたいです。


    浮雲アクト



    合わせてお読みいただけると幸いです。



    この記事から作品にアクセス

    応援がてら、よろしくお願いします🙇
    (Amazonアフィリエイトを使用しています)

    ▼ Amazon Prime Video で配信中
    映画『国宝』をプライム会員の方はこちらから👇

    ▼ 原作小説『国宝』
    吉田修一による渾身の長編小説。

    スキ・フォロー・コメントをいただけると励みになります🙏
    必ず返します!



     
     
    ”読んだ後に、何か一つ持ち帰れる記事を。” 俳優歴1◯年・CM100本以上|Netflix・ドラマでも活動中 AIに答えを任せるのではなく、考えるため・生活の相棒として使っています。 俳優業、読書、映画、習慣づくり。 できるだけ簡単に、真似してもらえる内容を心がけています。

    あなたへのおすすめ