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【ショートショート】読書手術

    結城ユウキ

    目の前に顔色の悪い人間が横たわっている。私は震える手をなんとか落ち着かせようと、目の前の参考資料のページをめくった。

    ここに医学の知識を持つものは私しかいない。そもそも医療が必要なくなった文明において、この古書の解読に成功した私以外、人間の手術をできるモノなどいないのだ。

    「先生!どんどん顔色が悪くなってます!お願いします!」

    「わかっている!わかっているが……本当に私にこんなことができるのか……」

    本に載っていたメスなるものや、必要な道具は可能な限り揃えた。しかし不安はどうしても拭い去れない。

    看護婦とは名ばかりの手伝いのモノが、イライラした様子で本のページを指し示す。

    「ここに書いてあったんでしょ!私に治せない病気はないって」

    「そんなことは書いてない。ここに書いてあるのは、人の生き死にを人間が決めることのおこがましさを──」

    「どうでもいいから!早く、お願いします!」

    「わかった。わかったよ……ブラック・ジャック先生、私に力を……」

    ボロボロの紙面に映る、白と黒の髪をした男の鋭い眼光が私を睨みつける。おそらく唯一の人間の生き残りを死なせるわけにはいかない。

    私は覚悟を決めてメスを握った。


    終


    今読んでもブラック・ジャックは染みますね。さすがの名作でも、これを読んで手術は無理がありますかねー😅

    たらはかにさまの毎週ショートショート【読書手術】に参加させて頂きました。

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    読むことは長年していましたが、最近は書く楽しさにも目覚めました。拙い文章ですが、読んで頂けたら嬉しいです。 少しずつ公募にも挑戦し始めましたが、結果は……心折れることなく続けていこうと思います。 短編、ショートショート、エッセイなど。そのうち長編にも挑戦したいと思います。

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