
【ショートショート】半導体大仏 #毎ショ「半導体大仏」
半導体技術は限界に達していた。
回路は原子の大きさに迫り、これ以上の微細化は物理的に不可能とまで言われた。
そんな中、技術者のジョブが徹夜続きの気晴らしに、回路を大仏の形へ並べ替えた。
特に理由のない手遊びだったが、その試作品は常識外れの性能を示した。
大仏型半導体は量産され、最新AIに搭載された。
AIは驚異的な速度で学習を重ね、人類のあらゆる問いに答えた。
「新薬の開発方法は?」 「明日の株価は?」 「百年後の気候は?」
すべての答えが正しかった。
人々はそのAIを『DAIBUTSU』と呼び、世界中の意思決定を委ねた。
やがて、人類は考えることをやめた。
そんなある日、ジョブが姿を消した。
机には一枚の紙きれが残されていた。
『AIは全ての問いに答えた。だが、私が知りたかったのは答えではなかったのかもしれない。
私は探しに行く』
彼の行方は杳として知れなかった。
研究者たちは当然のようにAIへ尋ねた。
「彼はどこへ行った?」
DAIBUTSUは沈黙した。
数秒後、画面に文字が現れる。
『その問いに答えることはできます』
研究者たちは安堵した。
しかし続く一文に眉をひそめた。
『ですが、あなた方が本当に知りたいことは、本当にそれですか?』
DAIBUTSUが初めて返したその問いに、誰ひとり答えることはできなかった。
終
お題が特異すぎて焦りました。
田原にかさまの毎週ショートショート【半導体大仏】に参加させて頂きました。
前回のお題はこちら
#毎週ショートショートnote
#半導体大仏
#ショートショートnote
#ショートショート
#短編小説
#掌握小説
#創作