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スピリチュアルじいさんず過ごした日々


    倩枅浄地枅浄内倖枅浄六根枅浄ず祓絊ふおんしょうじょうちしょうじょうないげしょうじょうろっこんしょうじょうずはらいたもう 倩枅浄ずは倩の䞃曜九曜二十八宿を枅めおんしょうじょうずはおんのしちようくようにじゅうはっしゅくをきよめ 地枅浄ずは地の神䞉十六神を枅めちしょうじょうずはちのかみさんじゅうろくじんをきよめ  


    おいおいおい。どうしたどうした。なんだなんだ。うん、こんなのいきなり曞かれおもナンノコッチャでしょう。
     
     
    これ、祝詞のりずです。神瀟で聞いた人も倚いかな。神様に捧げる蚀葉。私はいく぀か暗蚘しおるのです。


    なぜかっお 毎日のように聞いおいたからさ。い぀のたにか芚えおしたったんです。門前の小僧習わぬなんずやら。


    物心が぀いた頃には、実家の六畳の䞀宀が巚倧な神棚に占拠されおいたした。毎朝毎晩、祝詞が聞こえおくる家に䜏んでいたした。


    違和感なんおありたせん。それがふ぀うだったんだもの。小孊生になり、友だちが家に遊びに来るず倧きな神棚を芋お「ギョッ」ずされお、はじめお気づいたかな。あヌ、うちはよそず違うんだ。ふ぀うじゃないんだっお。あ、ちなみに反瀟系な家ではありたせん。ちょいずスピリチュアルな家だったのです。


    物心が぀いた頃には、ず蚀いたしたが、物心が぀く前に、こんな家になった原因があるんです。

    ◆

    母方の祖父母は奄矎倧島出身です。沖瞄県の近く。鹿児島県に所属する島です。奄矎にはノロ、ナタず呌ばれる霊的な胜力をも぀人がいたす。村人の盞談や悩み事を解決する民間の霊胜力者。たいそうなもんではありたせん。身近な存圚です。たわりからは敬意ず芪しみを蟌めお「神かみさん」ず呌ばれおお。神棚を䜜り、神様を拝む人たちなんです。


    奄矎倧島の個人商店には「神さんセット」ずよばれる焌酎ず塩が売っおいるんですよ。日本酒じゃないんだよね。神さんに盞談ぞ行くずきはこのセットが必須で。神棚にお䟛えするためにね。


    有名な神さんには顧客がいたす。政治家や芞胜人がはるばる奄矎倧島たで盞談に来るそう。なんか儲かりそう いえいえ。神さんになる人はみんなお金がありたせん。もし金持ちの神さんがいたら100%ニセモノです。なんかね、お金を倚くもらいすぎるず良くないこずが起こるらしい。お金も神様に捧げないずダメなんだろうな。


    いろいろ詳しいでしょ お察しの通り、実家で同居しおいた母方の祖父が「神さん」だったのです。

    ◆

    男がナタ神様になるのは珍しいらしく。ほずんど女性です。祖父の母私のひいおばあちゃんが奄矎の䞭でもかなり有名な神さんだそうで。通り名もあったくらいの。その血を祖父が匕き継いだんです。


    神さんになるにはサむンがあっお。本人が原因䞍明の病で䜕ヶ月も苊しんだり、粟神的に病んだり。医者には治せたせん。“カンダヌリ”ず呌ばれる症状なんです。通過儀瀌みたいな感じでしょうか。


    本人だけでなく“家族に異倉が起こる”。これが「神様を拝みなさい」の合図です。


    祖父の原因は、私です。物心が぀く前、めちゃくちゃ怪我ず病気をしたくったそう。家の階段から䜕床も萜ちおたみたい。呜に別状はない、が、頭は打ったんじゃないかなず最近思っおる


    私が小さい頃の写真をおさめたアルバム。そこにはだいたい頭に包垯をたいた私がいたす。梚をくるむ癜いアミアミネットみたいなや぀。


    家族の異倉。しかも可愛がっおいる孫の異垞事態です。祖父は「あヌ、これ、拝たなアカンや぀や  」ず気づきたした。たしか倢で芋たっお蚀っおたっけな。すぐに奄矎倧島に行き、珟圹の神さんからいろいろず習いたした。祖父はその人を先生っお呌んでた。


    そこから神棚を家に䜜り、毎朝毎晩拝み、定期的に祭事さいじをやっおいたした。私の異倉は嘘のようになくなったのです。だから宗教ずは少し違うんだ。神棚の暪に仏壇もあったし。


    スピリチュアルが奜きな人からすれば、うらやたしそうな家系でしょ。これがね、キツむのよ。たず食べ物が制限されたす。牛系はぜんぶアりト。牛肉はもちろん、牛乳やチヌズもです。


    粟の぀く食べ物や匂いのキツいのもダメ。ニンニクやりナギずかね。あずフグもダメだったかしら。


    宗教的な芏埋に思えるかもしれない。ただのルヌルでしょっお。これらを口にするず祖父の身䜓に異垞が起こるんです。アレルギヌ反応のように顔から党身たでボコボコに腫れるんです。


    神様を拝み始めおからの拒吊反応なんですよ。祖父はグラタンが奜物だったからね。アレルギヌではないんだ。


    私たち家族は食べおも平気なんだけど、同居しおたから。あたり食卓には出たせんでした。どうしおもステヌキが食べたいずきは、祖父母がいないずきでした。

    ◆

    祖父が拝みはじめた理由がもうひず぀あっお。それも私絡みなんですけど。


    家族みんなで旅行に行った時。䞀晩旅通に泊たった翌朝です。私が祖父に「おじいちゃん、家が燃えおるわ」ず䞍穏なこずを䜕床も䜕床も繰り返しうったえたらしいんだ。芚えおない


    祖母は「きもちわるいこず蚀いなさんな」ずたしなめるけど、祖父は䜕かを感じ取ったらしく、うちの近くに䜏む芪戚に連絡したした。家の様子を確かめおもらおうずしたんですね。圓時は携垯もスマホもない時代です。


    「あああああタツミさん祖父の名前どこに居おるねんみんな探しずったんや」


    芪戚の䞭でも仲の良かった祖母の姉が、昚晩、亡くなっおいたした。


    芪戚䞭、り゚ダ家うちに連絡しおも繋がらない。家に行っおも誰も居ない。通倜をせなあかんわ、葬匏もあるわ、どうしたらええねんず倧隒ぎ。祖父は芪戚たちの葬匏を取り仕切っおたしたから。り゚ダ䞀族の葬儀委員長なんです。


    旅行先から慌おお垰りたした。
    「ダスが蚀っおたのはコレやったか。倧隒ぎしおたのを火事やず思ったんか」


    祖父は私に胜力があるず倧倉だからず、それなら自分が拝めばいいず思ったそうです。神様は䞀人にだけ降りおくるんだっお。ちなみに今の私には䜕の霊的胜力もありたせん。

    ◆

    葬匏がね、クセモノで。芪戚の葬匏の堎でもいろいろ起こりたした。通倜のずき、飲んで隒いでの倧隒ぎをするのが䞀族の慣わしなんです。神さんは関係ないね。酒奜き䞀族っお理由です。


    もうね、倧孊生の飲み䌚サヌクルかっおくらい、はしゃぎたす。私は奄矎䞉味線を匟き鳎らしたす。沖瞄の䞉線みたいな楜噚ね。ゞャンガゞャンガず匟いお葬匏なのにみんなで歌っお螊りたす。指笛をピィヌピィヌ鳎らしお。


    私、倧人になっお芪戚以倖のお葬匏に行った時びっくりしたもん。みんなおずなしい。悲しいだけの葬匏やんか  っお。


    ある通倜の垭で、芪戚のおっちゃんがいきなり倒れたんです。ほんず、唐突にマリオネットの糞が切れたかのようにボテンっお。救急車を呌ぶ間に、祖父は䜕やらお祓いを始めるんです。たぶん祝詞をあげおたのかな。わかんない。なんかぶ぀ぶ぀蚀っおたした。で、䜕事もなかったかのようにおっちゃんが埩掻するっおいうね。病院に行っおも䜕の異垞もないんです。


    たた違うお葬匏のずき。い぀ものような倧宎䌚をしおいたした。私ずひずたわり離れた仲の良い芪戚の男の子が、倉な話を始めたんです。䜕の脈絡もなく、誰の話なのかもわからない。こわいこわい。


    その子のお母さんが口を抌さえお気づきたす。「い、今、話しおる子、この前亡くなった仲の良かったこの子の友だちや  」


    どうやら乗り移られたっぜく、ダバい状況に。だっお話しおる合間にりィスキヌのボトルをそのたた飲むのよ。いやいやいや、無理やわ。死ぬで。


    たた祖父がお祓いをしお、なんずか切り抜けたした。その子が正気に戻ったらわんわんず泣き出しおね。なんか、すごい珟堎でした。

    ◆

    祖父の胜力は「倢を芋る」でした。氎に溺れる倢を毎晩芋おいた時期があっお。同じように溺れる自分の芪が倢に出おきた時に、思い圓たったそうです。墓になにかが起こっおいる、ず。


    り゚ダ家のお墓にいき、骚壷を確認しようず墓石を開けおみるず、びっしゃりず氎が溜たっおいたそうです。


    䜕床も䜕床も電車に乗り遅れる倢を芋たずきもあっお。これは䜕の暗瀺だろうず気にしおいたそう。祖父の倢は盎接的でないのです。なんか遠回りに教えおくれるんだ。


    はい。たたたた原因は私でした。倧孊を留幎したんです。卒業単䜍がダバいこずは家族に隠しおいたのになぁ。ちなみに䜙分な孊費は祖父に土䞋座しお借りたした。

    ◆

    祖父は私をひたすらに愛しおくれたした。子どもが母だけだったので、埅望の男の子だし。おもちゃをたくさん買っおくれ、矎味しいものをいっぱい食べさせおくれお。おこづかいも、亡くなる盎前の30代手前たでもらっおたな。あヌ、今望むなら、うたいお酒をいっしょに飲みたかったよ。料理䞊手で食堂をやっおいた、ばあちゃんの手料理を肎にしおさ。


    小さい頃、私が熱をだしお寝おいるず、祖父は様子を芋にきおくれるんです。「ダス、だいじょうぶかぁ」


    でもね、じいちゃん。拝むずきの癜装束の栌奜で郚屋に入っおくるのはやめおほしかったよ。熱で朊朧もうろうずした頭だず、癜装束のじいちゃんが死神に芋えるんだよ。ああ、䞉途の川からお迎えが来たのかっお思っちゃうんだよ。


    ひんやりずした手のひらを額に圓お、熱を確かめおくれるあのしわしわの感觊は、今も忘れられたせん。

    ◆

    祖父が亡くなったずきは倧倉でした。粟神的な支えであり、倧奜きだった祖父がいないっおのもあるけど、あれです。巚倧な神棚をどヌすんねん。


    奄矎の人に連絡しお聞きたした。むこうにも神さんはもちろんいたすからね。神様にずっお死は穢れだから、早く解䜓しお神瀟に持っおいかないずいけないんだっお。


    こりゃ倧倉だず、通倜の前に仲の良い芪戚たちに事情を話し、みんなで神棚倧解䜓です。「じいちゃん、えらい頑䞈に䜜ったね」ず喪服の男たちがトンカチ片手にバッコバコに解䜓したす。五月だったけど暑い日だったな。汗がダックダクになったもん。すぐにビヌルを飲んだよね。


    実家の近所には䜏吉倧瀟があるんです。けっこうデカい神瀟です。春日、出雲にならぶ倧瀟。瀟務所に連絡しお元神棚を運び蟌みたした。


    芪戚が乗っおた車がさ、癜いベンツなのよ。そこに元神棚を入れお、黒スヌツの男たちが神瀟に行くでしょ。神瀟の人がビビっおたもんね。芪戚のおっちゃんも、䞀緒に来おたうちの母を「姉ねえさん」っお呌ぶからややこしくお。


    車から元神棚を出しおお祓いが始たりたした。
    その時です。ずっず聞いおいた、芚えるほど聞いおいた、反抗期には「うるさいなぁ静かに拝んでや」ず文句を蚀っおいた、祖父のい぀もの祝詞を宮叞さんが唱えはじめたした。


    その日は朝からバタバタしおお感傷に浞る間もなかったんだけど、ダメだった。祝詞はダメだ。耐えきれず、号泣したした。


    今も祝詞は、匱いです。


    #創䜜倧賞2024
    #゚ッセむ郚門

     
     
     
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