
上司からの話「離婚しました」
ちょっとした仕事の合間に上司に休憩室に呼ばれた。異動の話でもあるのかと思ったら
「私ごとだけど、この度離婚が成立して…」
と抑えたトーンで話し始めた。急にそうなったわけじゃないこと、色々話をした結果そうなったので落ち込んだりはしていないことを、少し笑いながら話してくれた。
え…そうなんすね。ま、そうなるのも急にじゃないですもんね。おつかれさまです。仕事頑張りましょう。
何と言って良いのか分からず、上司に向かって頑張りましょうもいかがなものかと思ったが言ってしまったものは仕方がない。上司も苦笑いだったけど、話の内容を思うと晴れやかな表情をしていた。ここに至るまでがきっと大変だったんだろうと思う。お察しします、だ。
それにしても、そんなこと自分のようなペーペーにまで伝えなければならないのか。それも何だかプライバシー的に嫌じゃないのか。何か聞かれたり勘ぐられたり噂されたりする前に自分から言っておいた方がすっきりする、ということか。何となく分かる。最中のメンタルはたまったもんじゃないけど事が済んでしまえば、もうどうでも良いんだ。何もかも終わってる。
他人と何十年一緒に暮らしたって結局は他人だ。空気みたいな存在なんて、そんなひどい話は無い。いてもいなくても同じってことだろ?相手にとって自分が透明人間なら、いない方がマシだよ。空気のように無くてはならない存在ってことだなんて屁理屈を言うなら、もっと大切にしたらいい。当たり前の話だ。離婚して1人に戻るとはいえ、離れてしまうけど子どももいる。そんなに悲観することもないんじゃないかと思う。
ひと様の夫婦関係がどうだったのかなんて、興味も無いから聞きもしなかった。夫婦にはその夫婦にしか分からないことがたくさんある。周りがどうこう言うようなことじゃない。冷えきった2人で終わりを作っていくってかなりのストレスだよ。なんにしろおつかれさまだ。
ちょっと苦手な上司だったけど、その日はそんなに嫌だなと思わなかった。人生何があるか分からないな。そもそも愛が分からない。愛って好きとか大切とかとは違うんだろ?このまま愛なんて分からずに一生終わるかもしれないな。それならそれで別に良いや。知らない方が幸せってことも世の中にはたくさんある。