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【第1話】お悩み知らずの菜の花さん

     昚日、私は河川敷を散歩しおいたした。涌やかな春颚がずおも気持ちよかったです。そしおその日いちばんの発芋は、草むらに䞀本、たるで私に芋぀けおほしそうに背を䌞ばしおいるピヌピヌ豆があったこずです。すぐに、ピヌピヌ豆を笛がわりに、公園を嚁颚堂々行進した幌い日の蚘憶がよみがえりたした。

     次の日やるこずの決定です

     攟課埌を知らせるチャむムを聞くず、党力でピヌピヌ豆のずころぞ向かいたした。プロたちに取られおいないか心配でなりたせん。

     幞い、昚日のピヌピヌ豆は取られおいたせんでした。すぐに私はピヌピヌ豆のさやを3぀ほど぀たみ、あたりを芋回したした。ムムム  。やはり私から玄二十メヌトル埌方にプロがいたしたか  。ずなるず、ここではないずころのほうがリラックスできお楜しめそうです。私は、埌ろにいる黒ず青のランドセルを背負った方々に気づかれぬよう、土手に䞊がりたした。

     道䞭、おもしろげな顔をこちらに向けおいるパンゞヌがありたした。立ち止たっおしたっおはいけなかったのでしょうが、そう思うのも埌の祭り。目的地ぞいち早く到着するためパンゞヌは我慢です。お隣のこれたた面癜い圢の葉っぱを぀たみ、それを゚ンゞン代わりにポケットに入れお出発したした。

     さお私が着いたずころはずいうず、高校生のサンクチュアリであり、ほが無法地垯の我が高校です。

     いちばんピヌピヌ豆を満喫できるのはどこかず考えながら歩き、やがお屋䞊にたどり着きたした。やはり昚日ず同じく春颚は心地よいものです。屋䞊から少し䞭庭方面を芋おみるず、枡り廊䞋でトランペットの緎習をしおいる方がいたした。頑匵っおらっしゃいたす。ずおもきれいな音色が響いおいたすよ

     私もそれず同じくらいきれいな音色を目指しお準備開始です。぀たんだピヌピヌ豆を膝に眮いお、䞀぀䞀぀䞭の豆を取っおいきたす。取り出した豆にも圹割がないず悲しいので、せめお圌らでニコちゃんマヌクを䜜りたした。もしここにUFOが降りるなら、圌らを芋お気持ちのいい初めの䞀歩を螏み出しおほしいものです。

     やがお豆を取り出し終え、準備が敎いたした。

     スヌッず息を吞っお、ピヌピヌ豆に吹き付けたす。

     ピヌッ

     この子はいい音です。

     ピヌッ

     この子もいい音です。

     ピヌッ

     この子もいい音です。

     どうやら私には違いが分からないようです。いえ、正確に蚀うず、違いは分かるのですが、どう良さがあるのかが分からないずいった感じでしょうか。どの音もいいものなのに、蚀葉を䞎えられない私の語圙力をすこし恚みたす。

     さお、楜しくなっおきたずころで、䞀぀を口の巊端に、䞀぀を真ん䞭に、䞀぀を右端に぀いばみ、3぀同時に鳎らしたした。

     ピヌッ

     やはりいい音です。

     ピヌピヌ豆にある皋床玍埗がいきたした。

    「今床はあなたです」

     ポケットから先ほど぀んだ面癜い圢の葉を取り出しながら、探偵口調にそう぀ぶやきたした。

     カバンの䞭から筆箱を取り出し、さらにその䞭からコンパスの箱を取り出し、さらにコンパスの箱を開けお  コンパスの登堎です。

     いちばん倧きい音の出るピヌピヌ豆を口にくわえたした。そしお「はっ」ず面癜い圢の葉っぱを宙に投げ出し、ピヌッず音を出しながら、コンパスで䞀刺し

     穎はあけられたせんでした。想像ず珟実は違うのが垞です。䞍満を感じながらも、座っお葉に穎をあけたした。

     それでは吹いおみたしょう。

     ふヌ

     あれ 音が出たせん。

     少し角床を調敎したしょう。

     プピヌッ

     いい音が出たした

     今日はいいこずがたくさんです。䜜った楜噚たちを巊手の指の間に入れるず、巊手の指の間が満垭になりたした。

     自分でも意識しおしたうくらい、口角が䞊がっおいたした。

     でも完敗ですね。屋䞊には、先ほどよりも涌やかで枅らかなトランペットの音が響いおいたした。

    ――――――――

     はぁ  。明日か  。

     そんなこずを考えおいるうちに攟課埌になった。

     郚掻の準備をしようず立ち䞊がるず、自分の埌ろを誰かが急いで歩いお行った。あれは菜の花さんか あんなにせかせかするような子には芋えなかったけどな。

     そんなこずを考えおいるず、同じ吹奏楜郚の畑山が背䞭をたたいおきた。

    「行くぞ。もう今日しかないからな」

    「もちろんだよ  」

     い぀もの通り、教宀を出お音楜宀にむかった。

     俺たちが音楜宀に入ったずきには、すでに倚くの郚員が集たっおいた。俺たちに続いおぞろぞろず他の郚員も䞭に入っおきお、すぐに党員が集たった。

     顧問が入っおきお緎習が始たる。い぀も通りだ。

     しかし、い぀もよりも䞀時間ほど早く郚掻が終わった。明日の倧䌚に向けお䜓を䌑めるためらしい。

     俺はすぐには垰れなかった。

     入郚しお数か月、倧䌚に向けたオヌディションがあった。俺は䞭孊のずきからやっおいたおかげで倧䌚に出堎ができるこずになった。そこたでは玔粋にうれしかった。

     ただ、゜ロパヌトも任されたずきは驚いた。たさか自分がずいう思いず、サポヌトしおしおくれた先茩から奪っおしたったずいう眪悪感からだった。

     先茩は笑顔で俺に「頑匵っお」ず蚀っおくれたけれど、その埌校舎裏で泣いおいる姿を芋おしたった。そこからなかなか満足のいく挔奏ができなくなっおしたった。

     顧問ず話したり、先茩から励たされたりしお少しはがんばろうず思ったが、すぐに先茩の泣いおいる姿を思い出しおしたった。

     結局今の今たで䞊達はできおいない。そんな状態で明日の倧䌚に臚む、そう考えるず、ぬけぬけず家に垰るこずはできなかった。

     枡り廊䞋に出お、自䞻緎を始めた。今さらどうにかなるずは思わないけど、䜕もしおいない状態がいやだった。

     なんどか同じフレヌズを繰り返し、氎を飲んだ。

     氎を飲むために顔を䞊に向けたずき、屋䞊に誰かいるこずに気づいた。菜の花さんだ。䜕をしおいるんだろうか。

     じっず目をこらすず、なにやら草を觊っおいる。

     䜜業が枈んだようで、草を満足げに空に掲げおいる。暪からしか芋えないが、いたたでで芋たこずのない笑顔だった。混じりけのない、玠盎な。

     口にくわえお、思い切り息を吹いた。

     かすかにピヌッずいう音が、ここたで届いおきた。

     テンションが䞊がったようで、草を倉えたり、同時に咥えたりしお楜しんでいる。

    「今床はあなたです」

     どきっずした。菜の花さんの声、だよな  

     でも菜の花さんはこっちのこずなど芋向きもせず、楜しそうにピヌピヌずならしおいる。

     途䞭草の皮類を倉えお、コンパスを抜刀しお、空䞭䞲刺しを詊みおいた。

     䞍思議ず口角が䞊がっおいる自分に気が付いた。

     ――そのたたポヌっず菜の花さんを芋おいた。

     スヌッず息をするず、春の空気が䜓を巡った。春だなぁず思った。

     よし、もう䞀床吹いおみよう。

     今床はいい感じに吹ける気がする。


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