
構造認知 番外編 #3
AI創作環境を設計する
― フォルダ整理ではなく「認知」を設計するという考え方 ―
最近、ComfyUIを導入し、AIイラストの作成(というか勉強)を始めた。
NovelAIという選択肢もあった。しかし、Checkpointという概念そのものが私の認知と非常に相性がよかったため、ComfyUIを選択した。
最初は「画像を生成するソフト」という認識だったが、使い始めて数日で考え方が変わった。
私が設計したくなったのは、AIではなくAIを使う人間の認知だった。
AIは道具である
ComfyUIは非常によくできたソフトウェアだ。
しかし、毎回
ComfyUIを起動する
Outputを確認する
Workflowを保存する
Checkpointを追加する
LoRAを管理する
この一連の流れを考えると、
「フォルダを開く」
という行為そのものが認知コストになっている。
つまり、
AIより先に、人間が迷っている。
フォルダ整理ではなく操作設計
一般的な構成はこのようになる。
ComfyUI
├─models
├─output
└─workflowsもちろん間違ってはいない。
しかしこれは
データをどこへ置くか
という設計である。
私は少し違う視点で考えた。
人間はどう操作するのか?
ランチャーという発想
例えば
ComfyUI
├─▶ Run ComfyUI
├─📁 Output
├─📁 Workflows
├─📁 Models
└─📁 Characterこれは実体ではない。
すべてショートカットである。
つまり
Storage
↓
Launcher
↓
Operationという構造になる。
私はこれを
操作レイヤー
と呼びたい。
Characterという単位
ここでさらに面白いことに気付いた。
Character Prompt と LoRA は別物である。
Prompt は
「キャラクターの定義」
LoRA は
「キャラクターの実装」
だから
Character
├─Character_A
│ ├─Prompt
│ ├─LoRA
│ ├─Reference
│ └─History
│
└─Character_B
├─Prompt
├─LoRA
├─Reference
└─Historyという構造が自然になる。
あるいは
Character
├─OriginalCharacter01
└─OriginalCharacter02でもよい。
重要なのは名前ではない。
Characterという単位で
Prompt・LoRA・Reference・履歴を一つの概念として管理することである。
これはオブジェクト指向にも似ている。
Characterという概念の中へ
必要なものを集約する。
LoRAは差分である
LoRAは新しいAIではない。
Checkpointへ追加される
「差分データ」
である。
だから私は
LoRAを
「学習モデル」
ではなく
「パッチ」
として認識した。
Windows Updateが変更点だけを配布するように、
LoRAも変更点だけを保持する。
世代管理
すると次に考えたくなるのは
世代である。
例えば
Character_A
├─v1.0
├─v1.1
├─v1.2
└─v2.0こう管理すると
何が改善されたのか
何が退化したのか
履歴が分かる。
これはGitのようでもあり、
ソフトウェア開発にも似ている。
さらに
CHANGELOG
v1.1
・髪型修正
v1.2
・瞳修正
v2.0
・表情改善まで残せば、
Characterそのものの進化を追跡できる。
Promptも資産になる
Promptは一回使って終わりではない。
Character Prompt
Style Prompt
Scene Prompt
Expression Prompt
これらは全て再利用できる。
つまり
Promptもまた
資産(Asset)
になる。
構造認知から見たAI創作
AIイラストを始めると
モデルを探し
LoRAを探し
Promptを書き始める。
しかし私は
先に
構造
を設計した。
それは
AIのためではない。
人間が迷わないためである。
フォルダ命名規則を書いた時もそうだった。
重要なのは
名前ではない。
認知コストを減らす構造である。
※「なぜフォルダ命名ではなく"認知コスト"という考え方になるのか」については、以前まとめた 『構造認知 #10』 に関連します。興味のある方は、先にそちらを読んでいただくと、本記事の意図がより伝わりやすいかもしれません。
AIDEという考え方
プログラマにはIDE(Integrated Development Environment:統合開発環境)がある。
Visual Studio
Eclipse
VSCode
マイナーなものではHEW(High-performance Embedded Workshop)
など。
これらは
「プログラムを書く環境」
である。
ならば
AI創作にも
「AIを創る環境」
があってよい。
私はこれを
AIDE(AI Development Environment)*
と呼ぶことにした。
AIDEとは、
Character
Prompt
LoRA
Workflow
Model
Output
これらを
人間の認知構造に合わせて設計・管理する統合環境
という考え方である。
AIそのものを設計するのではない。
AIを扱う人間の認知を設計するのである。
フォルダは情報ではなく「認知」を設計する
ここで一つ、面白いことに気付いた。
私が設計していたのは
フォルダではなかった。
AIでもなかった。
認知そのものだったのである。
一般的には
ComfyUI
├─models
├─output
└─workflowsという構造で終わる。
しかし私は
ComfyUI
├─▶ Run
├─📁 Output
├─📁 Models
├─📁 Workflows
└─📁 Charactersという
操作の入口
を設計したくなった。
つまり
ファイルを整理したいのではない。
人間が
「何をしたいのか」
という行動を整理したかったのである。
これはフォルダ設計ではなく、
認知設計
と言った方が近い。
最後に
私は珍しいAIの使い方をしているつもりはない。
珍しい認知はしているとは思う。
だから
フォルダを見ても
「データ」
とは認識しない。
「人間がどう操作するか」
を考える。
それが結果として
ランチャーになり、
Character管理になり、
LoRA管理になり、
AIDEという考え方へ繋がった。
AIはこれからも進化する。
Checkpointも変わる。
LoRAも増える。
Workflowも複雑になる。
だからこそ、
管理する対象はAIではなく、
人間の認知である。
私はこれからも
構造認知という視点で
AI創作環境そのものを設計していきたいと思う。
* AIDE(AI Development Environment)
AI創作に必要なキャラクター、プロンプト、LoRA、モデル、ワークフロー、出力を、人間の認知構造に基づいて設計・管理するための統合環境。
AIDEという名前は、AIとIDE(Integrated Development Environment:統合開発環境)を掛け合わせて生まれた造語である。
しかし私にとって重要なのは名前ではない。
AIを設計するのではなく、AIを扱う人間の認知を設計する。
その思想そのものを、私はAIDEと呼びたい。