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Photo bycosmopolitan0527

構造デザインの講義【トピック3:古代の石と木による構造】第1講:ローマ時代のアーチ・ドーム

    東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です



    高い技術力と豊富な知識で築かれたローマ帝国

    建造技術の宝庫、ローマ時代のアーチ

    古代ローマでは、都市生活のために必要不可欠な水を得るため、遠く離れた山の湧水を導くため、水道橋が整備されました。
    それは、飲料水、公共浴場、清掃などに利用されました。
    ローマには、全部で10本の水道が整備され、その長さは数十キロにもおよびます。

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    セゴビアの水道橋は、アーチのスパン6m。今日の町に溶け込んでいる。
    (写真:PhotoAC , https://www.photo-ac.com)

    紀元前15世紀に水道建設がスタートしました。
    まっすぐ、適切な斜度を持つ水道橋の建設には、様々な科学技術、建設技術などが要求されます。
    特に、高度な測量技術と建設技術は必須です。
    これらの技術力の高さが、ローマ帝国の繁栄を支えたことは、容易に想像されます。

    川を渡るため、アーチ橋は三層アーチとなり、その最高高さは49mにもなります。
    405年まで使用され、803年のゲルマン人の侵略により破壊されました。
    その後、1884年、フランスの橋梁技術者により発見されました。

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    ポン・デュ・ガールの水道橋は、切石によるアーチ橋。三層のアーチ橋で、長さは273m。幅1.2mの水路には、防水のためのコンクリートが使用されている。
    (写真:PhotoAC , https://www.photo-ac.com)

    古代のエジプトやメソポタミア、ギリシャ、南米などでは、持ち送りのアーチの遺跡がみられます。
    古代ローマのアーチは、迫持ちアーチによって構成されています。

    迫持ちアーチの建造には、高度な建設技術が必要でした。
    持ち送りのアーチに比べて、石やレンガの強度を十分にいかせる迫持ちアーチは、力学的に合理性のある構造体です。
    構造体あるいは防水のために、コンクリートが用いられました。

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    構造技術の革新と結晶・パンテオン

    パンテオンは、古代ローマ時代、統治力、科学力、技術力など、そして、高い国力の象徴でした。
    なお、パンテオンは、ギリシャ語の“すべての神々の神殿”(万神殿)を意味します。

    パンテオンは118-128年に建造され、直径43.2mの大空間構造です。
    この記録は、1700年後の鉄骨ドームの時代が来るまで、世界最大規模の空間構造でした。

    ドーム内側は、5段、28列の格子面で装飾され、正確な半球面状になっています。
    これは、宇宙を象徴する球形が表現されたものです。
    ドーム頂部には、直径8.9mの天窓(オクルス)が設けられ、太陽の光と影がドーム内面に映り、季節や時間の変化を感じさせる演出となっています。
    なお、天窓から降り注ぐ雨は、地上に達するまでに霧に変わり、幻想的な空間を演出します。

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    パンテオンのワッフル状の殻には、リブ補強という構造的役割を担うとともに、グリッドの関係から、上部ほど枠が小さくなり、遠近効果で天井をより高く見せる視覚的役割もある。
    (写真、PhotoAC , https://www.photo-ac.com)

    パンテオンの建造には、建築学の英知、すなわち、材料、力学、構造、そして、意匠、生産、採光計画などが、高いレベルで融合しています。
    具体的には、いくつもの革新的な構造技術によって建造されています。

    第1に、材料の発展と実用化、すなわち、ローマン・コンクリートと骨材の利用です。材料の均質化をはかり、適切な構造体として利用されました。

    第2に、力学の理解と構造的工夫です。具体的には、ドームの脚部のスラスト(水平推力)に対し、壁厚9mの構造体を設けています。

    第3に、材料によるドームの軽量化です。そのための2つの工夫があります。
    1つ目は、使用材料を使い分けています。コンクリートに混ぜる骨材は、下部では砕いたレンガ、中間部では軽量の凝灰岩、そして頂部では軽石が使用されています。
    2つ目は、ドームの壁厚は、脚部では耐スラストのため重厚で、上部に向かって薄くなり、頂部では約14cmの厚みとなっています。

    第4に、ドームの格子状のリブは、剛性と強度を向上させます。
    上部に向かって枠が小さくなることで、視覚的な効果、すなわち、遠近法により、天井をより高く見せる効果もあります。

    ドームは、公共浴場の発達と普及に貢献しました。円形は温熱環境が保持されます。
    なお、古代ローマ市内には、外径53mの大浴場の熱浴室が存在したとも言われています。

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    東京理科大学工学部建築学科・伊藤研究室です。建築構造デザインなどの講義テキストを公開します。 主宰者は、建築構造学者、大学教授、株式会社preArch・取締役、株式会社コイシ・顧問、BCJと日本ERIの評価員です。 鉄骨、木、合成、耐震、制振の研究・設計・施工、IoTが専門です。

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