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『探偵と助手の事件簿~街の通り魔と消えた教師』第六話

     啓志たちが薪条南に帰ってきたのは、夕方六時を回った頃。途中で三島から宮越に運転手が代わっていたことを知ったのは、薪条南警察署の前で起こされた時だった。そういう細かい所で気を遣えるのが、宮越の良いところなのかもしれない。もっとも、それは二つの立場を持つ者の処世術の一つなのかもしれないが。
     ともあれ、為さぬ善より為す偽善である。正しいと思うことを続けていけば、気持ちなんて意外と後からついてくるものだ。

    「おぉ、探偵。よく寝てたな。携帯が何回か鳴っていたぞ。チェックしておいた方がいい」
    「あ、ありがとうございます」
    「お疲れさまでした」

     三島の言葉に会釈で応えた啓志は、言われた通り携帯を確認する。そこには、小鳥遊からの着信と、その後にメール二件の通知が来ていた。
     そういえば挨拶もせずに帰ってしまった、ということを思い起こし、そのことを返信で最初に謝らないといけないと考えながらメールを開く。宮越と三島は車の右フロント近くで何やら話をしているが、その声がはっきりと耳に入ってくることはなかった。

    「えっ!?」

     その声に二人は振り返り、啓志の近くに来た。一通目のメールは現場の写真。そこに写っていたのは、啓志も見た黒い小箱、裏庭と思われる場所に干されている青いツナギ。それだけでも目を充分に惹くものではあったが、

    「父さん……」

     三枚目の写真に写っているのは、啓志の父親である啓一の姿だった。

    「なんでここに……?」

     当然の疑問である。啓一は今、どこかに泊まりで仕事に行っていたはず。ここがその現場の近くだったということも絶対にあり得ないという話ではないが、宮越と啓一が同じ日に、同じ時間に、同じ田舎にいて仕事をしていたということになる。
     そんな偶然が重なることはあるのかと問われると、偶然という言葉で片付けられる物ではないだろう。そこに必然性があったと考える方が納得できる。そこで辿り着いた一つの結論。啓志は、珍しく自信無さげに二人に尋ねる。

    「もしかして、監視対象って……」
    「寝起きなのにもうそこに辿り着いたのか。さすがだな探偵」

     関心する部分が少しずれている気もするが、きっとそこに悪気はないだろう。宮越は深く頷き、三島も『流石ですね』と言って息を呑む。

    「隠していても仕方がない。そうだ。我々の監視対象は君の父親。若竹啓一だよ。ただ、このことは君のパートナー含め誰にも言わないこと、いいな」
    「やっぱり、そうですよね。えぇ、言われなくてもそれはわかってますよ」

     公安の監視が定期的に付くということは、何か大きな疑惑を持たれているということだ。詳細については尋ねないが、啓一の探偵としての能力が善用されていないということは確からしい。

    「ただ、我々が見ていた限り、今日の火災と啓一氏は関係がないように見えた。救いになるかは知らんが、それだけは伝えておくぞ」

     見えた、はあくまでも視覚情報にすぎない。啓一が監視されていることを承知しているのかは分からないが、職業柄、簡単に尻尾を出すとも考えにくい。啓志もそれくらいのことはわかっていた。ただ、その宮越の心遣いを無碍にしようとも思わなかったようだ。

    「ありがとうございます。でも……」

     啓志は携帯の画面を二人に見せる。問題は二通目に送られてきていた文面だった。
     そこには、啓一氏が現場に訪れたこと。そして自分で火を点けたという方向で話を進めていて、地元の警察も、啓一の話に納得している雰囲気であることが記されていた。
     そこで、その異様なスピード感に疑問を持った小鳥遊としては啓志の考えを知りたいということでメールした、ということだった。

    「彼は何を焦っているんでしょうね」
    「本人が極端に燃えているのはガソリンのせいだろうとか、放火であるとすればもっと遅い時間にするだろうなんて……根拠が乏しいな」
    「そうですね。全国に名を馳せた探偵とはとても思えません」
    「こういう事件は火の知識を持った消防士の意見も十分吸い上げてから推理しないと間違ってしまうことが多いのは、誰でもわかりそうなことだけどな」
    「ね! やっぱり、結論を急いで何かを隠したいんでしょうか?」

     口々に異論を放り出す公安の二人。あまりに直球な大批判大会を子息の前で開催してしまっていた。三島に至っては興奮しすぎて、宮越に『ね!』なんて返事をしてしまっている。

    「やはりあの黒い箱。中身が気になりますね」

     啓志は父親の推理に批判が集まっていることは意に介していないようで、急いで収束に向かわせようとしている理由を考えていた。三島は、啓志の言葉に同調して言う。

    「きっとそうですよ。事件ではないということになれば、遺留品を敢えて破壊して中身をあらためるなんてことはしませんからね」
    「小鳥遊さん、地元の消防士の方なんですけど、調査してもらいますか?」
    「そうだな。それができれば一番良いんだが、彼に捜査権があるわけじゃないし難しいんじゃないだろうか」

     確かに、消防士に与えられているのは、あくまでも調査する権利であって、捜査する権利ではない。とはいえ、意見をさせてもらえず調査も中途半端に終わらされそうになっている彼らの気持ちを無視したいとも思えない。疑問を残したまま憶測で処理して、はい次、ということは道義的に許されないだろう。
     亡くなった人にとっては、それが人生の結末。曖昧なままで終わらせるなんて、冗談じゃない。自分に置き換えて考えれば、誰もがそう感じるだろう。勿論、十分に力を尽くしてもわからないということもある。しかし、今回に関しては力を尽くしたとは到底言えない。

    「どうにかなりませんか。宮越さん、三島さん。綺麗事だってのはわかってます。どんな謎も解けるというのは創作の世界だけのものだってことも、理解しているつもりです。でも、こんな終わらせ方はあまりにも……」

     それぞれの目を見つめ、深々と頭を下げる。そんな啓志を見て三島は宮越に、良いですよね? と小声で確認を取る。宮越は頷き、三島に発言するよう促した。

    「若竹くん、私たちに任せてください。公安の名に。いや、私たちの存在意義をかけて、この事件を簡単には終わらせませんから」

     三島の力強い宣言に、宮越は少し笑みを溢す。彼女の正義感や真実を追求する姿勢が見えたのは、組んだばかりの宮越にとっては喜ばしいことだったようだ。頭を上げて宮越の方も見る啓志に、サムズアップで応えてみせた。

    「ありがとうございます。よろしくお願いします」

     この際、どうやるかは聞かない。信頼している大人が任せてくれ、というのだから任せることにしたらしい。
     任された側としては、調査によって新たな情報が出なければどうするのかと考えている暇はない。書類上で処理されてしまう前に何とかしなければならない。
     今はとにかく、目の前の少年の正義感に応えたい一心で、二人は行動を起こすことにした。

    「それで、探偵はこれからどうする?」
    「あ、そうですね。家は難しいんじゃないですか?」

     啓一が公安の調査対象であることを知ってしまった上に、今回の件で父親を疑わざるを得ない状況になった啓志。二人が言うように調査した情報を持ち帰り、安全に保管できる場所が欲しいところ。考えられる場所は、

    「よし。三島。どうにかしてやってくれ」
    「わ、私ですか!? いやいやいやいやいや、こういう時は同性でないと……」
    「ばか。俺の家にはたまに啓一が来るんだ。連れて帰れないだろうが」
    「ば!? 知りませんよそんなこと!」

     完成度の高い漫談を特等席で聞いていた啓志は、思わず笑ってしまっていた。その笑い声に二人は顔を見合わせ安堵の表情を浮かべる。

    「すみません、お邪魔なら高宮くんのお宅にでもお世話になりますから大丈夫ですよ」
    「あ、嫌とかそんなんじゃないんですよ。ちょっと緊張しちゃうってだけで」
    「おい、俺といる時はリラックスして口開けてボケーっとしてるのにそれはどういう……」
    「じゃあ、とりあえず今日だけ、私の家に来ますか? 明日以降は、その高宮さんのお宅に打診してみる、というのはいかがでしょう?」

     宮越の訴えはなかったかのように、三島は話を進めていく。啓志も三島の提案に同意し、今日はここで解散ということになった。

    ◆◆◆◆

    「お邪魔します」
    「はい。なにもない部屋ですが、ご容赦くださいね」

     タワーマンションの八階。その三号室の、三島の自宅に来ていた。タオルや布団はあるが着替えは用意しなければならないということで、近くの店で夜ご飯と着替え一式を買い揃えた。時刻は既に七時半を回っている。
     リビングに通された啓志は、目を疑った。必要なものは確かにあるが、テレビはないし、部屋を飾るような装飾もない。

    「驚きましたか? 私達は、そういう生活をしているんです。足枷になるようなモノは捨てるか、持たないようにしています」
    「足枷、ですか?」
    「一瞬の判断の迷いが、仲間や自分の命を危険に晒すことがあります。なので、情は持たないのが基本ですね。だから写真も撮りませんし、飾りもしません」

     さらりと凄いことを言ってのける。啓志は、なるほど、と呟いて目を白黒させている自分を納得させてみた。

    「可愛くない部屋ですよね。わかります」

     冷蔵庫から炭酸水を取り出し、飲みますか?と啓志に差し出す。啓志はそれを受け取り開栓してみる。心地いい炭酸の抜ける音が鳴り、泡が浮き上がってきた。

    「いや、部屋は飾る為だけの物ではないですし、いいんじゃないですか? あの、いただきますね」
    「そうですか? さすが、言葉選びがお上手なんですね」

     炭酸水を口に含む啓志。一口目で、しばらく何も飲んでなかったことを思い出した。泡が喉に当たって弾ける感覚を楽しもうと思った矢先、三島に言葉を褒められて思わずむせそうになる。焦る啓志に、三島は思わず笑ってしまった。

    「あ、失礼いたしました」
    「いえ、こちらこそ、不用意でした」

     なぜかお互いに謝りながら、買ってきた弁当とサラダを開ける。鮭のり弁当とシーザーサラダ。三島の希望で同じものを食べることになった。

    「誰かと一緒に食事するなんて、いつぶりかわかりません。嬉しいです」
    「事件が終わったらまたご一緒しましょう。次はもっと大人数で」
    「いいですね。きっと楽しいです」

     その後、食事は概ね無口で終わり、風呂まで済ませて寝る準備を始めた。自分はソファでいいと言う三島に、啓志は女性にそんなことをさせられないと退かない。結局、啓志がソファで、三島は自分のベッドでということで落ち着いた。

    「寝る前にこうやって人とお話しできるのも、楽しいです」
    「最近は深夜でも生放送の配信している人とかいますし、人の声が恋しかったらそういうの聴くのもいいですよ」

     寝る前の時間。少し離れた距離にいるとはいえ、自分以外の誰かが近くにいるという高揚感が三島を饒舌にさせていた。

    「うーん。そうではなくて、やっぱり会話できるのが嬉しいんです。今、私はここにいるって感じられるのが、この上なく幸せなんです……」
    「そういうものなんですねぇ」

     声が聞きたいだけじゃない。私の声も聞いて欲しい。そして願わくば。三島は言葉を続ける。

    「出逢えた方に、私のことを忘れないで欲しいな、ってわがままなことを考えてしまうんです」

     それは職業柄そう考えるのか、それとも何か別の理由があるのか。啓志が尋ねてみる。
     三島は、すんなりと、しかし意外な理由を口にした。

    「仕事上会う人には忘れられた方が都合の良い時もあるんですけど、私ね。小さい時に両親に捨てられたんです。だから、その……」
    「……すみません。立ち入ったことを聞きました」
    「いえ、良いんです。それも含めて私の人生ですから。知ってもらえて私は嬉しいです」

     答えに対しておどおどしてしまう啓志。しかし月明かりに照らされる三島の表情は、話題に反して充足感に満ちている。啓志と三島の微妙な距離感のある会話は、同じ距離のまま深夜三時まで続いた。

     翌朝五時。啓志が目を覚ました時には、三島はワイシャツの上に黒いエプロンを着て味噌汁を作っていた。出汁と味噌の香りにつられて、啓志は台所に向かう。

    「おはようございます。早くからすごいですね」
    「あ、起こしちゃいましたか? ごめんなさい」

     起床時間を早めてしまったことに恐縮する三島。啓志は首を横に振ってから答えた。

    「いえいえ、昨日は車でよく寝ましたから。全然大丈夫ですよ。私より三島さんの方が寝てないのでは?」
    「あぁ、私は全然大丈夫なんです。ショートスリーパーってやつみたいで、子供の頃から睡眠時間は短いんですよね」

     人の八%ほどの割合でしか存在しないショートスリーパー。自称する人は多いが努力でなれるものではないらしく、実際はしっかり寝ているか、無理してるだけらしいのだが。三島はそのどちらでもないようで『ちょっとした自慢です』と付け加えて笑って見せた。その笑顔を見て、啓志が呟く。

    「三島さんって、笑顔がすてきですよね」「は!? ちょっと、いきなり何を言ってるんですか!?」
    「え、なんかそう思っちゃったんで。すみません」
    「年上をからかわないでください。それに、若竹くんにはパートナーがいますよね?」
    「え? パートナーって高宮くんのことですか? 彼女は助手で……」
    「いえ、お話をうかがう限り、高宮さんはきっと、若竹くんのことを大切に想っています。若竹くんも、大切にしてあげてください」
    「は、はぁ……そうなんでしょうか?」

     味噌汁の次に卵焼きを作りながら、三島はしっかり反論してきた。赤面しているのは怒っているからか、それとも。

    「もしかして、照れてるんですか?」

     微笑む啓志に、三島はムッとした表情を見せて、褒められるのは慣れてないんです、と溢した。相変わらずお互いに敬語だが、一日でかなり打ち解けたことは間違いないようだ。
     二人は朝食を済ませると、薪条南署に向かった。先ほどまでの雰囲気とは違い緊張感に満ちた車内で、それぞれが今日進めるべき工程を確認し合った。

    ◆◆◆◆

    『高宮くん。おはようございます。返信が遅くなって申し訳ない。校長の不正会計の件、松田先生が絡んでいたとなると今回の失踪にも何か関係があるかもしれません。詳しく話を聞きたいですし、別の頼み事もあるので今日は薪条南署まで来てもらえないでしょうか?』

     薪条南署に着いて、ようやく返信したメールに対して、夕姫はすぐに反応した。

    『返信待ってました! 勿論、今から行きます』

     その返信の早さに、啓志は困惑していたが、三島は、ふふ、と笑っている。

    「ね。若竹くんは彼女にとって特別、なんですよ」
    「はぁ……。そう言われましても」
    「推理はできても、人の気持ちには鈍いのって、フィクションの世界の探偵だけだと思ってましたけど、そうでもないんですね」

     コーヒーを淹れてミルクを混ぜながら、三島はちょっとだけ嫌味を言ってみる。啓志は、

    「実は私も、家庭というか、そういうものがわからないんですよね。父はいますが、母親の記憶がなくって……」
    「あら、そうなんですね。私達、意外と似てるのかもしれないですね。あ、いただきます」
    「確かに、そうかもしれないです」

     昨日買っておいたフィナンシェを鞄から出して三島に差し出した啓志は、喜ばしい共通点ではないとはいえ、理解しあえる人がいることを歓んだ。三島には電話番号を伝えて、他愛もない会話であればいつでもどうぞ、と言っておいた。

    「おはよう。お二人随分仲良くなったな」

     今日もしっかりオールバックでキメている宮越が、冷やかすような言い方をしながら入ってきた。三島はフィナンシェを開封する手を止めて、立ち上がって挨拶する。

    「おはようございます。本日も宜しくお願い致します」
    「相変わらず挨拶だけは硬いなぁ。もっと気楽にいこうぜ」

     残っていた珈琲をサーバーから入れ、スティックタイプの砂糖を二つサッと混ぜてから啓志の隣に座った。

    「どうだった? 探偵。公安の部屋は大概あんなもんだよ。俺は行ったことないけどね」
    「皆さんの仕事に対する覚悟はすごく伝わってきました。できれば、私が事務所を開けるようになったら引き抜いて命を大事にして欲しいところですが、それはわがままなんでしょうね」

     俺は行ったことないけどね。には、ちょっとした嫉妬のようなものが見え隠れしている。啓志は、そんな宮越も含めて二人の仕事に敬意を払いつつも、命を大事にして欲しいという気持ちの葛藤があるようだった。

    「俺たちも、命は大事にしたいさ。でも覚悟できる者が、誰かがやらなきゃいけないことをやらないとな」
    「そういうことなんです。若竹くん。本当に苦しい時が来たらお誘いに乗るかもしれないけど、今は応援してて欲しいです」

     二人は、啓志の気持ちを有り難く受け取りつつも、今は職務を全うしたい。そういう思いを伝えた。啓志も、それはわかっていたようで、

    「えぇ、もし良かったらいつでも待ってます」

     そう言って珈琲を啜った。

    「それで、探偵は今日どうする?」

     宮越が尋ねた。宮越と三島は昨日の火事の件について、特にあの黒い小箱を調べるように働きかける為、今日も県を跨いで移動することになっていた。

    「そうですね。私は高宮くんと一緒に病院の校長を訪ねてみようと思っています。実は、不正会計があったことがわかりました。しかもその時の担当者が、行方のわからなくなっている松田先生だったということも確認済みです。ここがはっきりすると、もしかしたら一気に解決に近づくかもしれません」

     啓志の報告に三島は驚いている様子だったが、宮越は冷静にある可能性を指摘して策略を提示する。

    「そうなると、だ。佐藤が松田に襲われて返り討ちにしたっていう話も、随分怪しくなってくるな。ブラフでも何でも、ちょっと仕掛けてみるか……」
    「仕掛けるって、何をするんですか?」

     啓志は、結果的になんとかなっているものの、相手に情報を出しすぎてピンチを迎えた自称武勇伝をよく聞かされていたので、心配そうに宮越に尋ねる。

    「あ、あの。その不正会計の話って、もっと詳しく聞けないですか?」

     三島は、学校の事件に少なからず興味があるようだ。もっとも、佐藤と知り合いのようだったので無理もないかもしれないが。それを知らない二人にとっては些か不思議な話ではあったが、特に詮索されることもなかった。
     啓志は、夕姫がそのうちここに来ると伝えた上で、必要であればメールか電話で聞いたことを二人に伝えることを約束し二人を送り出した。
     夕姫が啓志の元に辿り着いたのは、それから二十分後のこと。秋も深まって来たというのに、汗を拭いながら疲れた様子で座り込んだ。

    「お疲れさまです。高宮くん」
    「え!? 二日も会えなかったのに、寂しくなかったですか? 先輩! もっと会えたことを喜んでくださいよ」
    「え、でも週末なんかは会わないですし」
    「そうじゃなくて、会えるはずの平日に会えないのが寂しいんですよ! って、何言わせてるんですか」

     急に始まった痴話喧嘩のような何か。それでもとにかく、二人とも元気そうで、そして嬉しそうだ。
     夕姫は自分の発言を思い返して恥ずかしくなったのか、鞄から素早くメモを取り出して啓志に報告を始めた。

    #創作大賞2024 #ミステリー小説部門

     
     
    コンビニの店員を17年ほどやっています。 小説もたまに書きます。 オタクとしての顔もあります。 野球、小説、美味しいものなど。 好きなものを書いていきます。 コンビニ店員になりたての方やコンビニを利用される方に役立つ情報も発信したいと思います。 よろしくお願いたします。

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