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Photo byatooshiyou

「傘、貸してあげる」|雨の日の優しい思い出|ちょっとだけ不思議な話

    おはようございます。月夜です。

    今日は雨。
    こんな雨の日にはよく思い出す、素敵な思い出があります。

    あれは、私が中学生のころ。
    朝は晴れていたのに、下校時には雨が降っていました。
    私は傘を学校に持ってきておらず、
    そこそこ遠い家まで濡れて帰るしかなかったのです。

    学校を出てしばらく経った時、
    目の前に女性が立っているのが見えました。
    女性は、私の母親と同じくらいの年齢だったと記憶しています。

    片手で傘をさし、
    もう一方の手には、
    当時私が大好きだった四葉のクローバーのイラストと
    チャームがついた傘を畳んだ状態で持っていました。

    田舎なもので、お店はありません。
    その場所はバス停でもなく、誰かの家の前でもない。
    学校からも少し離れているその場所に、
    女性はポツンと立っていました。

    それでも、何か事情があってその場で誰かを待っているのだろう。
    そう思った私は、
    「こんにちは」と挨拶をして女性の前を通り過ぎようとしました。

    「傘、ないの?」

    不意に女性に声をかけられました。
    びっくりしてドキドキしながらも、
    「今日は家に忘れてしまって」と答えました。

    女性は、

    「傘、貸してあげる」と、
    四葉のクローバーの傘を差し出してくれました。

    しかし、流石に見知らぬ人から傘を借りるわけにはいきません。
    しかもそれは、誰かのための傘であったはずです。
    私は、「大丈夫です」と何度か断りましたが、
    女性は「風邪をひくといけないから」と、
    半ば無理やり私に傘を持たせてくれました。

    「明日この場所に、傘を置いてくれればいいから。
    そうしたら、私が回収に来るよ」

    女性は言いました。

    今の私なら、女性のお名前や連絡先を訊いて、
    お礼をすることもできたでしょうけど、
    その時の私は本当にびっくりしっぱなしで、
    小さな声で「ありがとうございます」というのが精一杯でした。

    翌日の同じ時間。
    傘を返しにその場所に行きました。
    女性の言う通りに、その場に傘を置いて、
    私は帰りました。

    さらにその翌日、私が傘を置いた場所に見に行くと、
    そこにはいつも通りの道があるだけでした。
    クローバーの可愛い傘は、
    女性の元に無事に返せたのだと思いたいです。

    それからも学校の行き帰りに気にはしてみたのですが、
    女性に会ったのは、後にも先にもその一度きりです。

    なんとも不思議で温かい気持ちになれる思い出です。
    私にとっては一生忘れない、大切な宝物の記憶なのです。

     
     
    名前は『つきよ』と読みます。30代統合失調症女子。 ほとんど引きこもりですが、前向きに生きています。 趣味は読書。最近は専らKindleです。 いつもありがとうございます(*´`*) あなたが幸せでありますように♡

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