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〜ガラスの靎を履いた猫〜小さな猫の埩讐劇#創䜜倧賞

    あらすじ
    ある王囜のはずれで、猫のシンディず暮らしおいる花屋の嚘レヌラが、客の萜ずし物の舞螏䌚の招埅状を届けに城ぞ行き王子様ず出䌚う。王子様に気に入られガラスの靎をもらい、次の舞螏䌚に招埅される。
    舞螏䌚の日、レヌラに嫉劬する蚱嫁のバヌバラに階段に突き萜ずされレヌラは死んでしたう。
    それを芋おいた猫のシンディは埩讐を誓う。
    魔女に頌み人間の女性の姿にしおもらい、レヌラの倧切なガラスの靎を履いおバヌバラに埩讐する。魔女は埩讐の手䌝いの芋返りずしお、より残酷な殺し方を望む。魔女に貰った道具を䜿い埩讐を果たす。
    シンディの埩讐劇を気に入った魔女は願いをひず぀叶えおくれるず蚀うのでレヌラを生き返らせる事を望むが、莅沢な願いだず猫ずしおなら生き返らせおやるず蚀われる。
    その条件を呑みレヌラは猫ずしお生き返り、猫に戻ったシンディず、生涯レヌラを想い続けガラスの靎を倧切にする王子様の偎で仲良く暮らした。

    本文

    #創䜜倧賞2026

    ガラスの靎を履いた猫

    第䞀章 花屋の嚘ず招埅状

    王囜のはずれに、小さな花屋がありたした。

    春には色ずりどりの花が咲き乱れ、倏には銙り高いハヌブが颚に揺れ、秋には深玅の薔薇が店先を圩りたす。

    そこで暮らしおいるのが、花屋の嚘レヌラでした。早くに䞡芪を亡くし、䞀人で店を切り盛りしおいたした。

    レヌラは決しお裕犏ではなかったけれど、誰よりも優しい心を持っおいたした。
    金色に近いクリヌム色の髪の毛が、ずおも綺麗でした。

    そしお圌女には、い぀も䞀緒にいる倧切な家族がいたした。

    灰色の毛䞊みを持぀雌猫、シンディです。

    「おはよう、シンディ。」
    ず蚀うず、
    「おはよう、レヌラ。」
    ず蚀っおるみたいに「にゃぁ。」ず返したす。

    氎やりも店番も、買い物も䞘の䞊から倕陜を眺める時も、二人はい぀も䞀緒でした。

    ある日の午埌、䞀人の貎族が花を買いに蚪れたした。

    花を買い、急いでいたのか慌おお垰っお行きたした。
    垰った埌、店先に金色の封筒が萜ちおいたした。

    レヌラが拟い䞊げるず、そこには王家の王章が刻たれおいたした。

    封を芋ただけで、それが王城で開かれる舞螏䌚の招埅状だず分かりたした。

    「倧倉きっず無いず困るわよね。」
    シンディに向かっお蚀うず、
    「にゃぁ。」
    ず答えたす。

    レヌラは次の日に城ぞ届けるこずを決めたした。
    その倜、初めおお城ぞ行く二人は少しワクワクしおいたした。

    翌朝、花屋に『臚時䌑業』の匵り玙をし、シンディを連れお王城ぞ向かいたした。

    お昌頃、城に到着したした。

    巚倧な城門をくぐり、䞭庭ぞ入った時でした。

    銬のいななきが聞こえたした。

    若い青幎が暎れる癜銬をなだめようずしおいたした。
    けれども銬は興奮し、今にも青幎を振り萜ずしそうでした。

    レヌラは咄嗟に近くの花壇からラベンダヌを摘み取り、ゆっくりず銬に近づき、その銙りを嗅がせたした。

    するず䞍思議なこずに銬は萜ち着きを取り戻したした。

    「助かったよ」
    青幎が笑いたす。

    その笑顔を芋た瞬間、レヌラは青幎に芋惚れおしたいたした。

    「君の名前は」

    戞惑いながら答えたす。
    「レヌラです。」

    「僕はアルト。」

    それから二人は短い時間でしたが、倚くの話をしたした。

    花のこず。

    町のこず。

    そしお、シンディのこず。


    「王子」
    執事颚の幎配の男性がアルトに近づきながら蚀いたした。
    「舞螏䌚も近いのですから、お怪我に気を぀けお䞋さい。」

    アルトはレヌラの方を向き、苊笑いを浮かべたした。

    「王子」
    レヌラは驚きを隠せずにいたした。

    別れ際、アルトは蚀いたした。

    「次の舞螏䌚に来おほしい。」

    レヌラはさらに驚きたした。

    「私ですか」

    「君ずもっず話したい。」

    その蚀葉に顔が熱くなりたす。

    「ちょっず埅っおお。」

    少ししお、王子は小箱を持っおきたした。
    䞭には透明なガラスの靎が入っおいたした。

    「ぜひ、この靎を履いおきお欲しい。」

    レヌラは震える手でそれを受け取りたした。

    シンディはその様子を芋ながら、䜕ずも蚀えない衚情をしおいたした。

    第二章 嫉劬

    王子には蚱嫁がいたした。

    名前はバヌバラ。

    䟯爵家の嚘であり、矎しい容姿ず高い身分を持っおいたした。

    ですが、心は傲慢でした。

    王子ず仲良くするメむドや、城で働く女性たちはバヌバラのむゞメに耐えきれず蟞めおいく皋、嫉劬深い女でした。

    王子がレヌラに倢䞭になっおいるずいう噂を聞いた時、圌女の胞に燃え䞊がったのは嫉劬の炎でした。

    「花屋の嚘ですっお」

    圌女は錻で笑った。

    「そんな女が私に勝おるわけないじゃない」

    そんなバヌバラの嫉劬心に気づくこずもなく、アルトはレヌラのために銬車を手配し、舞螏䌚の日を埅ち䟘びおいたした。

    舞螏䌚の日。

    村の人たちが仕立おおくれたドレスを着たレヌラは、ずおも矎しい姿で舞螏䌚に珟れたした。

    ガラスの靎は、月の光を閉じ蟌めたように茝いおいたした。

    王子もたた圌女の姿に芋惚れたした。

    「螊っお頂けたすか」

    アルトが差し出した右手に、レヌラはそっず巊手を乗せたした。

    二人は䜕床も螊りたした。

    誰の目にもお䌌合いの二人でした。

    それがバヌバラには蚱せたせんでした。

    舞螏䌚の終盀。

    王子が皆ず話をしおいる間、䞊階で䌑んでいたレヌラが、舞螏䌚堎ぞ続く長い階段を降りようずした時でした。

    背埌から冷たい声が響く。

    「身の皋を知りなさい。」

    振り返る間もありたせんでした。

    䜓が宙に浮く。

    匷い衝撃。

    レヌラは長い階段を転がり萜ちたした。

    党身を匷く打぀。
    鈍い音が響く。

    ガラスの靎が転がり萜ちたす。

    駆け寄る人々。

    悲鳎。

    レヌラを抱き䞊げるアルト。

    しかし、レヌラは二床ず目を開きたせんでした。

    泣き叫ぶアルト。

    鳎き続けるシンディ。


    シンディだけが芋おいたした。

    すべおを。

    バヌバラが埮笑みながら立ち去る姿を。

    レヌラをアルトに任せ、シンディは必死でガラスの靎を持ち垰りたした。

    花屋でひずり過ごすシンディの、バヌバラに察する憎しみず怒りは、日に日に倧きくなっおいきたした。

    第䞉章 魔女

    黒い森の奥深く。

    誰も近づかない黒い通。

    そこに魔女は䜏んでいたした。

    シンディは通を蚪れたした。

    「面癜いわね。」

    魔女は猫を芋䞋ろしお笑う。

    「人間を呪いたい猫なんお初めおだわ。」

    シンディは必死に蚎えた。

    レヌラの無念を。

    自分の悲しみを。

    魔女はしばらく考えた埌、楜しそうに蚀った。

    「いいでしょう」

    黒い煙が立ち昇る。

    シンディの䜓が光に包たれた。

    やがおそこに立っおいたのは、矎しい銀髪の女性でした。

    「埩讐を手䌝っおあげる。」

    「ただし残酷な埩讐劇でなければ蚱さない。」

    しばらく考えたシンディは、魔女に぀の道具をお願いしたした。

    真玅のハむヒヌル。

    黒い宝石のネックレス。

    癜銀のドレス。

    決行は次の舞螏䌚。


    第四章 埩讐

    アルトはレヌラの死以来、誰ずも話さず食事もたずもにずらずに、空っぜの状態でした。

    舞螏䌚の日。

    シンディは貎族什嬢ずしお珟れたした。
    レヌラの倧切なガラスの靎を履いお。

    バヌバラはその矎しさに譊戒しながらも近づいおきたした。

    「あなた、誰」

    「バヌバラ様の足元にも及ばない家柄の嚘です。」

    シンディは埮笑む。

    そしお、真玅のハむヒヌルず黒い宝石のネックレス、癜銀のドレスを差し出したした。

    「バヌバラ様ずお近づきになりたくお‥‥、遞んでたいりたした。」

    「ずおもお䌌合いになるず思いたす。」

    「お気に召したしたら今倜の舞螏䌚で着お頂けるず光栄です。」

    バヌバラは喜んで受け取りたした。

    シンディに持ち䞊げられ有頂倩になったバヌバラは、早速それらを身に぀け䌚堎ぞ向かいたした。

    䌚堎䞭の招埅客が、
    「玠敵。」
    「綺麗。」
    などず蚀う声が聞こえるので、バヌバラは錻高々です。

    しかし、アルトはバヌバラに芋向きもしたせん。

    音楜が始たりたした。

    圌女の足が勝手に動き出したした。
    誰もがバヌバラの螊りに釘付けです。

    䞀曲目が終わりシンディに、
    「貎方から頂いたハむヒヌル、勝手に螊っおくれおる様にうたく螊れるわ。ありがずう。」

    「気に入っお頂けたなら光栄です。」
    シンディはニダッず笑いたした。

    二曲目、䞉曲目ずバヌバラは螊り続け、四曲目が始たる頃にはハむヒヌルの䞭の足の皮は砎れ、痛くお仕方ありたせん。

    「音楜を止めお」

    バヌバラが叫びたした。

    䌚堎は静たりかえり、皆バヌバラに泚目したす。
    その時、音楜も流れおいないのにバヌバラはたた、螊り始めたした。
    ハむヒヌルからは血が飛び散り、足は身䜓ずは違う方向に曲がり、涙を流しながら螊っおいたす。

    「お願い、誰か止めお。」
    そう蚀いながらシンディの足元に倒れ蟌みたした。

    「助けお。」

    シンディは怒りの衚情でバヌバラを睚み぀け、

    「レヌラは『助けお』すら蚀えなかったわ。」

    バヌバラの目の前にはガラスの靎が
    ありたす。
    やっずレヌラの事を思い出したした。
    「レヌラが悪いのよ。私から王子を奪おうずしたから」

    自分の眪を暎露しおしたいたした。

    䌚堎がざわめきたす。
    「やっぱり。」
    「そうだず思ったのよ。」
    皆、口々に蚀っおいたす。

    シンディはバヌバラを立ち䞊がらせたす。
    「ほら、みんな芋おるわ。螊っおらっしゃい。」
    肩をポンッず叩きたす。

    たた螊り始めたす。
    折れた足で、血だらけのハむヒヌルで。

    やがお、癜銀のドレスは少しず぀千切れお飛んでいきたした。
    バヌバラは裞同然になりたした。
    䌚堎の皆が芋おいたす。

    皆から逃げるため、必死で階段を登っお行きたした。
    䞊階に着いた所で息が苊しくなりたす。
    黒い宝石のネックレスがどんどん締たっおきおいたす。
    「苊しい‥。」

    口から泡を吹き、目から赀い涙を流しおいたす。

    そしお、階段を螏み倖し、転がり萜ちおいきたした。

    䌚堎たで萜ちたバヌバラは、アルトを芋぀けるず、
    「助けお䞋さい、王子様。」
    ず、匱々しく蚀いたした。

    アルトは冷たい目でバヌバラを睚み、䜎い声で、
    「レヌラを返せ。」
    「出来ないなら‥死ね」

    䌚堎の誰もバヌバラを助けようずしたせん。
    バヌバラは惚めにひずりで死んでいきたした。

    シンディの埩讐は終わりたした。

    第五章 願い

    シンディは、アルトにガラスの靎を返し、魔女の元ぞ向かいたした。

    魔女はずおも䞊機嫌でした。

    「最高の埩讐劇だったよ。
    最埌のバヌバラの絶望に満ちた顔、もう䞀床みたいくらいだよ。」

    「あれっ埩讐が終わったのに浮かない顔ね。」

    シンディは静かに話し始める。
    「埩讐が終わっおもレヌラは戻らないし、心が晎れるこずはなかった。
    もしバヌバラの事を倧切に想う人がいたら、今床は私の番ね。」

    心優しいシンディは怒りのたた埩讐した事を少し埌悔しおいるようでした。

    魔女は、
    「たぁ䜕でもいいわ。私は楜しめたから耒矎をあげる。䜕か望みはある」

    シンディの望みは、もちろんひず぀だけです。
    「レヌラを生き返らせお」

    「莅沢すぎる願いね。」

    「それでは面癜かった埩讐がかすんでしたうから、それは出来ないね。」

    「たぁ、人間ずしおは駄目だけど猫ずしおなら構わないよ。どうする」

    シンディは、すぐに答えたす。
    「レヌラに䌚えるなら、どんな姿でも構わない。お願い。生き返らせお。」

    最終章  再䌚

    シンディは花屋で目を芚たしたす。

    レヌラが亡くなっおからも、村の人たちが手入れしおくれおいたので、売り物の花はないけれど、花屋はい぀もキレむです。

    シンディは、誰かが眮いおくれた食事を食べた埌䞘に登り、遠くに芋える王城を眺めおいたした。

    「にゃあ。」
    人間にはそう聞こえるのだろうけど、シンディには猫の蚀葉でハッキリ聞こえたした。
    「シンディ」
    振り返るずそこには金色に近いクリヌム色の毛䞊みの猫がいたした。
    「レヌラお垰り。」
    抱きしめる代わりに二匹は䜓をすり寄せおいたす。

    月明かりに照らされる花屋の屋根の䞊で、二匹は䜕か䌁んでいたす。

    「ねぇ、レヌラ。」

    「なぁにシンディ。」

    「アルトに䌚いたくないきっず寂しがっおるず思うよ。」

    「でも猫になった私に気づくわけないし‥‥。」

    「レヌラは䌚いたくないの」

    「䌚いたいけど‥‥。」

    「じゃあ決たりね。明日お城に、アルトに䌚いに行こう。」

    次の日、二匹は王城に行くこずに決めたした。

    招埅状を届けるために初めお王城に向かう前日のように、二匹はワクワクしおいたした。

    次の日。
    お昌頃、城にに到着したした。

    巚倧な城門をくぐり、䞭庭に入った時でした。

    「シンディ」

    アルトの声です。

    「シンディじゃないか。どこぞ行っおたんだいずっずここにいればいいのに。」
    䞭庭でレヌラを想いながらラベンダヌの䞖話をしおいたアルトが近づいおきたす。

    そしお、シンディの埌ろに恥ずかしそうに隠れおいる猫を芋぀けたす。

    「レヌラ」
    「たさか、レヌラなのかい」
    レヌラはアルトに飛び぀き、アルトは、涙を流しながらレヌラを抱きしめたした。

    そしお、シンディに向かっお、
    「党郚、君のおかげなんだね。ありがずう。」
    ず、シンディも抱きしめたした。

    それから、シンディずレヌラは王城でアルトず幞せに暮らしたした。

    アルトの郚屋の窓蟺には、ガラスの靎が月明かりに照らされお茝いおいたした。

    終

     
     

    月猫

     
     
    こんばんは、月猫です。 フォロワヌ200人を越えたのでプロフィヌルを新しくしたす。 日垞生掻の䞭で思った事や空想した事を詩や創䜜物語にしお投皿しおいたす。 倢は曞籍化。 䜕より沢山の人に読んで欲しい、芋お欲しいず思っおいたす。 創䜜倧賞にも挑戊したす。

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