
小説✳︎「月明かりで太陽は輝く」第26話
結里子ーナースになるきっかけ
吉祥寺の駅。
私が住んでいたのは高校卒業まで。
だいぶ変わったなぁって思った。
いや、時々実家には帰ってはいたけど
駅前からすぐ移動してたし
井の頭公園も、ずいぶん行ってなかったなぁ。
え?焼き鳥屋さん。移動してる。
あれ?こんなお店あったっけ?
キョロキョロしながら公園までの道のり
案内どころか、面白がって歩き回ってしまった。
結構広い園内だけど小さい頃よく
家族や友達と、来ていた場所に着いた時
思い出した事があった。
「懐かしいなぁ。
子供の頃から弟と母とよく遊びに来ていたのよ。学生時代も、友達とブラブラしながら
公園内を歩いてたなぁ」
「へえ、そうなんだ。初デートがこことか?」
「え?なんで知ってるの?」
「当たっちゃった?適当に言ったのに」
色々な思い出が浮かんできた。
ふと思い出した事があった。
「私ね、ここで遊んでいて知らない男の子に
泥団子食べさせちゃった事あるの」
「え?」
「私が作った泥団子。食べる真似すると思ったら、本当に食べちゃって大騒ぎになって」
「もしかして病院に行った?」
「うん。母の看護師として働く姿を
初めて見てね。家では疲れた〜疲れた〜って
おばあちゃんに頼ってばかりなのにテキパキと働く母がすごくかっこよくて憧れになって。
その時がきっかけで将来、母と同じ看護師になろうって決めたの」
「それ、もしかして俺かも……」
「まさかぁー!」
「いや、俺も小さかったけど記憶が一致してるから」
「こんな事ってある⁈」
「俺もマジ、驚いてる」
「うそうそ!嘘!本当に?」
「だからなのかな?
俺さ、初めてリコを電車で見かけた時、なんだか懐かしい気がしたんだよね」
後日、私の母親が電話で謝罪しようと思って、カルテに書かれた電話番号に連絡したら
『現在使われておりません』だった。
どうやら慌てて書いたから書き間違えていたみたいだった。
その後住所を辿って尋ねてもみたけれど、そこには誰も住んでいなくて、とうとう連絡が出来なかったという話をした。
するとケイは
「それなら間違いなく俺。
あの日、実は父の転勤で引っ越しするんで
おばあちゃんに挨拶で、吉祥寺に来たんだよ。
3日後には、引っ越して
広島に行ってしまったんだ」と言う。
「じゃあ間違いなく
お団子食べちゃったのケイなんだね」
「そう、俺。心配させちゃったんだね。
ごめん。こうしてお腹も壊さず元気だから!」
「気になって、よく母とも話す時あったの。良かった」
「でも、ナースになったきっかけも
俺だったってことか?」
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