クローン 第3話
私は居酒屋の前で存在感を消していた。
透明になりたい。
煙は見えるからダメ。
会社の飲み会が終わり、みんながだらだらと入口に集まる。
帰っていいんだか、ダメなんだか、わからないこの時間。
無駄で大嫌いだ。
今日も昔の良かった時代や武勇伝やら、酔っぱらってご機嫌にリピート放送。
初回でつまらないのだから、2回、3回はご想像の通りだ。
私は、お酒を率先して作る。
特に強制されているわけではない。
同意なく注文されたボトルを急いで減らさなければならない。
一人バケツリレーは今日も成功した。
コンプライアンスを紙一重で越えたくだらない話も終わった。
「次いく人?」
うんざりするくらいデカイ声。
私はその声にかき消されながら、
「お疲れした。」
「お疲れした。」
と言い、その場を後にした。
3分ほど小走りした。
「吉田さん!」
私を呼ぶ声。
私はカラダが硬直した。