
癖の泥濘ー古書編ー
連日の湿度で、古書が心配。
このThe Yellow Bookは、Ⅴ巻までの挿絵がビアズリーで、Ⅵ巻からは別の絵師です。1895年初版なので状態が…

オスカー・ワイルド(特にドリアン・グレイ)を愛読していた身として、ビアズリーが解任されたタイミングで出版されたこの2巻には、感慨深いものがありますな。
と言うのも、
『イエロー・ブック(The Yellow Book)』の第5巻(4月15日発売予定)発売直前の、1895年4月5日にオスカー・ワイルドが男色容疑で逮捕され連行された際、ワイルドが抱えていた「黄色い表紙の本」が、この『イエロー・ブック』だったと世間に誤解され、同誌は不道徳の象徴として激しい社会的非難を浴びました。
ビアズリーは以前、ワイルドの戯曲『サロメ』の挿絵を手がけて有名になったため、世間からワイルドの同派とみなされていました。

保守的な寄稿作家たちが、出版元のジョン・レインに対し、ビアズリーを解雇するよう圧力をかけ、ビアズリーは即刻解雇されてしまいます。
レインの指示により、すでに完成していた第5巻からビアズリーの挿絵が急遽削られましたが、発売までわずか10日ほどしかなかったので、表紙の裏面や背表紙のデザインにはビアズリーの署名入りのスタイルがそのまま残ってしまうという中途半端な状態で出版されました。
これが、巻頭写真左の5巻(Ⅴ)です。
そして7月に発売された写真右の第6巻(Ⅵ)からは、表紙や挿絵は別の画家たちに差し替えられ、雑誌全体のトーンもこれまでの前衛的な雰囲気から、一気に無難で健全な方向へと路線変更していきました。
ビアズリーは、その理不尽な解雇の鬱憤を晴らすように、翌1896年に新たなる伝説的雑誌『The Savoy』を立ち上げ、再びその天才的な才能を世に知らしめることになります。

THE SAVOYの原本も、そのうち手に入れたいなぁ。
こうやって、偏愛のものたちを愛でて撫で回してみたり、手入れしたりするのも、また有意義な雨の日の過ごし方だったりしますね。
次回の癖の泥濘もお楽しみに!(またいつか)
最近、台風や地震などが多く心配です
皆様お気をつけ下さいませ。