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21_散歩道の神様

    散歩の途中、小さな神社の前を通り過ぎた。
    小さな鳥居と社があるだけの、何の変哲もない神社だ。

    それなのに、今日はなぜか少しだけ背筋が伸びるような気持ちになる。
    この町には、そんな場所がいくつかある。

    この町には、きっと神様がたくさんおられるのだろう。
    その神様のもとに旅立った犬や猫がお願いに来る事もあるらしい。

    残していくご主人のことが心配で、
    「見守っていてください」と頼みに来るのだという。

    最近、そんなことが本当にあるのかもしれないな、と思うようになった。


    「私はもうすぐ遠くへ行きます。
    だから後に残ったご主人が心配なんです。
    ご主人はこのあたりをよく散歩しているので、
    見かけたときは見守ってあげてください」

    小さな子が、真剣な眼差しでやって来て、そう言った。

    「そうか。この子もなんだな…。」
    神様は静かにうなずいた。

    すると、その子は少し安心したように笑った。
    「このあと、ご主人がここを通るんです」

    やがて、そのご主人がこちらへ歩いて来た。

    確かに以前は、いつも小さな犬を連れていたのを見かけたことがある。
    けれど今日は、一人きりの静かな散歩だった。

    神様は小さくつぶやいた。

    「ああいいよ。時々こういうお願いをされるんだ。
    ちゃんと見守っていてあげるよ」

    そう言うと、さっきの小さな子は嬉しそうに
    ご主人の背中を見つめていた。

    「お前も、幸せだったんだな」

    神様の言葉を聞くと、その子は尻尾を嬉しそうに振った。

    「はい。
    ご主人と過ごした日々は、とても幸せな思い出です」

    少しして、神様は言った。

    「安心しなさい。彼もいつか、お前のところへ行く事になる。」

    その子は少しだけ黙った。
    そして嬉しそうに、でも少し悲しそうに言った。

    「会えるのは嬉しいけど、
    できれば、ご主人にはいつまでも元気で笑っていてほしいなぁ」

    そう言うと、
    さっきまで元気に揺れていた尻尾が、ゆっくりと下がった。

    散歩をしている人が目の前を通り過ぎてゆく。

    その子は、何も言わずにその背中を見送っていた。


    これはただの空想。
    でも、この町にはそんな神様がいても不思議ではない気がしている。

     
     
    京都・右京区の隅っこから、写真と京都の日常を、静かな目線で書いています。 カメラは下手のちょっと上、というぐらい。 名前の「つねまさ」は琵琶の名手・平経正から。 変わらない風景と、変わっていく気持ちを、のんびり記録中。

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