
トイレットペーパーにマグネット式しおり
事務所のトイレのトイレットペーパーの先端に、小さなマグネットを付けている。本に使ったりする、マグネット式のしおりみたいなもの。
先日、税理士さんがトイレから出てきて、
「あれ何?」と聞いてきた。説明したら笑われた。
考えて、考えて、その結果付けて、そのままになっている。
うちのトイレは、トイレットペーパーが二連式になっている。
何年か前、その両方ともあと少しになる時期があった。
数センチだけ残っている。使うには不十分な長さ。
本当は片方ずつ使ってくれればいい。そうすれば、どちらかはちゃんと使える状態で残る。
ところが、その頃はなぜか左右が同じペースで減っていき、気が付くと両方ともあと少しになっていた。
使う前に気が付けばいいけど、用を足してから気づくと悲劇だ。
変な格好で予備のトイレットペーパーに手を伸ばさなくてはならない。
貼り紙をすれば早いかもしれない。ただ「使い切ったら交換してください」と書くだけでは『両方ともあと少し問題』は解決しないだろう。
となると「こちらから先に使ってください」も書かなくてはならないだろうか。
いやいや、貼り紙なんてしたくない。
なんとなく監視されている感じっていうか、信用されていない前提っていうか、そもそも単純に美しくないって言うか。
それに、お客さんも使うそのトイレにそんな貼り紙がしてあったら、そんな配慮もできない人が設計するの?とも思われてしまいそう。
そしてその『両方あと少し問題』は、ある人がいた数ヶ月だけ起きていた。しかもその人は、この仕事を長くしてきた人だった。
もちろん、うっかり気づかなかっただけかもしれない。悪気なんてなかったのかもしれない。あるいは無意識に、面倒なことを避けていただけなのかもしれない。
本当は、人の生活や動きを考える仕事をしているのだから、そういうことにも気づく人であってほしいと思う。
でも、気づく人であることを期待するだけではなく、気づかなくても自然にそうなる仕組みを考えるのも、私の役目なのかもしれない。
当時の私は「両方ともあと少し問題」対策を一生懸命考えた。
それがこの片方にだけ、このマグネット式しおりを付ける方法だ。
おそらく、替えるのが面倒なタイプの人は、マグネットを外してまで使おうとはしないだろう。思った通りこれで『両方ともあと少し問題』は起きなくなった。色々な柄があるので見た目にも可愛くできた。
ちょうどその頃、ウチの事務所では「多様な働き方」という言葉を前面に出されてしまっていた時期でもあった。その時期に応募が増えた。
そして、それまで聞いたことのない言葉を聞くようにもなった。
「こんな仕事するために資格を取ったわけじゃありません」
今振り返ると、私の未熟さも大きかったと思う。
「自由に働ける」という言葉を、お互い違う意味で受け取っていたのかもしれない。それまでも(その後も)そんなことが起きなかったからと言って、ルールを明文化しなかったのがいけなかったのかもしれない。
次は、人の生活に関わる仕事を「こんな仕事」と言われた時に効く、マグネット式しおり級の必殺技を考えてみよう。