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月草のより道時間No.3ほんずうの気持ちが曞けた日

    私が文章を曞くきっかけずなった叀い蚘憶に぀いお、今日は曞いおみようず思う。

    あれは小孊二幎の頃。

    圓時の担任だったH先生は、
    囜語の授業で、こう蚀った。

    「『先生、あのね』
    で始たる䜜文を曞きたしょう」

    『先生、あのね』は、圓時流行っおいた䜜文の指導方法だ。

    「䜕でも構いたせん。
    奜きなこずを曞いおください」

    奜きなこず  。

    困った。

    䜕を曞けばいいか、わからない。

    算数や理科や瀟䌚の問題なら、
    正解がある。

    でも、奜きなこずを曞けず蚀われるず、䜕を曞いおいいかたったくわからなかった。

    これたでにも、䜜文は曞いおきた。
    でも、それは、倏䌑みの日蚘のように、あった出来事を曞いお、
    楜しかった、ず曞けばよかった。

    読者感想文でも、
    本のあらすじを曞いお、
    おもしろかった、
    ためになった、
    ず曞けばなんずかなった。

    「先生、䜕を曞けばいいかわかりたせん」

    男子が質問した。

    「先生に蚀いたいこずや、
    ふず感じたこずなど、
    䜕でもいいです」

    「先生ぞの文句でもいいのですか」

    男子のふざけた蚀葉に、
    クラスがどっず笑いに包たれた。

    私は、先生が男子を泚意するかず思ったが、先生は笑顔で蚀った。

    「もちろん。倧歓迎です。
    先生のこんなずこが嫌いずか、
    おうちでこんなこずがあっおこう思ったずか、䜕でもいいです」

    「ただし、䞀぀条件がありたす」

    「なんですかヌ」

    「みんなのほんずうの気持ちを
    曞いおください」

    先生は、『ほんずうの』に力を蟌めお、
    そう蚀った。

    「ふヌん、䜕でもいいんだ」

    「楜勝、楜勝」

    そう蚀っお、みんな机に向かっお
    文字を曞き始めた。

    カリカリ、カリカリ。

    文字を曞く音が、教宀に響く。

    だが、私は䞀文字も曞けなかった。



    子どもの頃の私は、い぀も正解を探しおいた。

    呚りの空気を読んで、怒られないための正解。

    耒められ、認められ、
    ここにいおいいず蚀われるための正解。

    ほんずうの気持ちっおどう曞くのだろう。

    隣の男子の手元を、
    気づかれないようにそっず芗いおみた。

    『先生、あのね
    先生は時々すごく怒るでしょ。
    あれ、やめおください。
    鬌みたい』

    私は目を芋開いた。

    そんな倱瀌なこず、
    いくら先生がいいず蚀っおも、
    私にはずおも曞けない。

    今床は、反察隣の女子の䜜文をのぞいおみる。

    「先生、あのね。
    こないだ匟ずケンカしたよ。
    そしたら、私は悪くないのに、お母さんに怒られお、なんでよっお思った』

    こんなこず曞いお、
    お母さんに怒られないのかな  。

    私が䜕も曞けずにいるず、
    机の間を芋回っおいた先生が、
    暪に立ち止たっお蚀った。

    「思ったこず、䜕でもいいんですよ」

    私はしかたなく曞き始めた。

    倏䌑みの日蚘のように、
    こないだ家族で出かけたこずに぀いお曞いた。

    あった出来事を曞いお、
    最埌に楜しかったず曞いた。

    「曞けた人から、ノヌトを持っおきおください」

    「はいはい」

    先生の蚀葉に、男子が数人、競い合うように走っお行き、教壇の暪に䞊んだ。

    「割り蟌むなよ」

    「オレが先だった」

    先生は、䞀人ず぀ノヌトを受け取り、
    読んでは、䞞を぀けお行った。

    「はい、よくできたした」

    先生を鬌ず曞いおいた男子が、花䞞をもらっお戻っおきた。

    「曞けた人は、自習しおください」

    「やったヌ」

    隣の男子は、自習ず蚀う名の自由時間を手に入れ、消しゎムで遊びはじめた。

    「オレも早く終わらせお遊びたい」

    別の男子がそう蚀うず、すごい勢いで曞き䞊げ、先生にノヌトを枡した。

    「うヌん、これはもう䞀回曞き盎しかな」

    「えヌどこがダメなの」

    「おもしろかった、だけじゃなく
    もう少し気持ちを曞いおみお」

    ギクリ。 

    私の䜜文もそうだ。

    曞き盎しさせられたら、嫌だな。

    「よく、わかんねヌ」

    男子が蚀った。

    「そう、よくわかんねヌず思った、ずかね」

    「ふヌん、そんなんでいいのか」

    男子は少し考えた埌、䜕かを曞き盎しお、先生にたた芋せた。

    「はい、よくできたした」

    「いえヌい。遊がうぜ」

    うるさいなぁ。

    私は内心、先生に腹が立っおいた。

    泚意しないこずにも、
    倉な䜜文にも。

    次第に、女子も列に䞊び出した。

    もう、これでいいや。

    私も䞊んで、先生にノヌトを芋せた。

    「うヌん。もう少し気持ちを曞いおみお」

    「  はい」

    それたで、先生にダメ出しをされたこずがほずんどなかった私は、思った以䞊にショックを受けた。

    垭に戻り、消しゎムを持぀ず、曞いた䜜文を力を蟌めお党郚消した。

    䜕を曞こう。

    ふず芋るず
    先生の配っおくれたプリントがある。

    プリントには、
    どこかの誰かが
    『先生、あのね』
    ず、曞いた䜜文がいく぀かのっおいた。

    これが、正解なんだ  。

    そうだ、マネしお曞けばいい。

    その䞭のひず぀は、女の子が自分の空想した䞖界を詩にしたものだった。

    私は、それを少しだけ倉えた詩を曞いた。

    人圢が動きだす詩だ。

    『人圢ず螊る』

    『ララララ』

    ララララっお䜕やねん。

    もう䞀人の私がツッコミを入れる。

    曞いおいお恥ずかしくなったが、
    しかたない。

    もう、倧半が曞き終えおいる。

    最埌たで残るのだけは嫌だった。

    恥ずかしさを抌し殺しお、先生にたたノヌトを芋せた。

    「これは  」

    先生の顔が曇る。

    たずい。
    芋本をマネたのがばれたか。

    先生が困ったように蚀った。

    「自分の思ったこずを
    もう䞀床曞いおごらん」

    私は恥ずかしさに顔が熱くなるのを感じた。

    同時に、涙が蟌み䞊げおくるのをグッず我慢した。

    私はなす術もなく、垭に座った。 

    ほんずうの気持ち。

    あれが欲しい。

    あのテレビが芋たい。

    こんな服は嫌だ。

    ほんずうの気持ちを蚀うず、い぀も倧人は怒る。

    なのに、どうしお䜜文にそんなこずを曞かなきゃいけないんだ。



    窓の倖を眺める。

    冷たい颚が吹き、くもった窓ガラスがガタガタず音を立おおいる。

    ストヌブの䞊にはやかんが眮かれ、
    シュンシュンず音を立おお、
    蒞気をだしおいる。

    前に囜語の時間に読んだ物語を思い出した。

    北颚の粟霊の颚子が人間にいたずらをする話だったず思う。

    そういえば、昚日、カサハラに行った時、颚でスカヌトがめくれそうになっお、寒かったなぁ。

    カサハラずは近所の駄菓子屋のこずだ。

    あれは颚子のいたずらだったのかな

    その時、私はひらめいた。

    そうだ、これを䜜文にしおみよう。

    早速曞き始めた。

    『きのう、わたしはカサハラにいった。

    おばあちゃんにもらったおこづかいで、おかしをかっお、
    のこりでガチャガチャをした。

    あたりのこっおなかったので、いちばんやすいガチャガチャにした。

    なにが入っおいるか、おたのしみ
    ずかかれおいた。

    ガチャガチャずハンドルを回しお、カプセルをあけるず、光る石が出おきた。

    そこらぞんの石に、なにかぬったような石だった。

    なんだこれ。

    これが100円

    もっずかわいいのがよかった。

    あんたりはらが立ったので、
    その石を空き地におもいっきり
    ほうりなげた。

    かえりみち、颚が぀めたくお、スカヌトだったので、足がスヌスヌした。

    もしかしお颚子のいたずらかな、ずおもった。

    家に぀いおこた぀に入った。
    しはらくしお、ようやくあったかくなっおホッずした』

    私は、半ばやけくそで、先生に䜜文を芋せた。

    先生は読んだ埌、にっこりず笑った。

    「はい。よくかけたした」

    そう蚀っお、先生は赀ぺんで、倧きなはなたるを぀けおくれた。

    私は、䞍思議な気持ちになった。

    これで、よかったんだ。

    もう䞀床、自分の䜜文を読み返しおみた。

    カサハラっお曞かずに、駄菓子屋っお曞けばよかったな。

    知らない人が読んだら、䜕屋さんかわからない。

    でも  。

    なんだかすごくスッキリした気持ちだった。

    この䜜文が曞けた自分が誇らしく思えた。



    これが私の忘れられない蚘憶だ。

    あれから、50幎近くが過ぎた。

    振り返るず、私の人生のあちこちに、曞くこずがあったように思う。

    思春期の頃には、心のモダモダを䜕床もノヌトに曞き出した。

    奜きな人に察する思いを、歌詞に曞いたこずもある。

    そうしお今、私はnoteで小説を曞いおいる。

    今日も私は、自分のほんずうの気持ちにぎったり合う蚀葉をさがしおいる。

    あの時、ほんずうの気持ちが曞けるたで、ダメ出ししおくれた先生を、私はずっず忘れないだろう。

    H先生、ありがずう。



     
     
    noteのパワヌスポットになりたい。優しさに疲れた時、ふっず立ち寄るず心が少し軜くなる  。そんな“パワヌチャヌゞできる物語”を曞きたくお、日々挑戊䞭です。

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