葬送の夏 〜アザラシ幼稚園に思いを寄せる短歌〜
哀しみを 抱き嘆くは 愛ゆえに 幼き君の 散るを惜しみて
嘆きとて 変わらぬさだめ 哀しけり 乳飲み子送る 夏の夜空へ
この腕で 抱いてあやして 看取れたら 願えど今は その名刻まん
儚くも 幼子眠る 永遠の夢 せめて夢では 母に抱かれ
遠からず 旅立つと知り 苦を緩め 優しき時を 贈る君かな
その鼓動 聴くも叶わぬ 身なれども 君の心を 想い泣く夏
寂しくて 友を連れ逝く 夏なのか 意味を探して 悼み嘆かん
神に問う 罪なき仔らの 死の意味を 生まれきた仔を 摘むはなにゆえ
幼くて 母の顔すら 知らぬかも 胸は痛みて 涙止まぬ夜
その声を 母は捜して いるやもと 届け届けと 願う夏の夜
見上げれば 仔らの名前で 星光る 夏空に泣く 別れ惜しみて
逝くならば 愛しあやして 慈しみ 片時すらも 君を離さじ
温もりを 幸を癒やしを 届けたく 願えど君は 空の仔となり
哀しくて 空の仔らの名 呟きて 君の証を 胸に刻みて
早すぎて その名を未だ 見失う 顔も分からぬ 君は星へと
愛おしく 思えばこその 痛みゆえ 心砕ける 葬送の夏
この世とは 生まれ死にゆく ものなれど 子を喪うは 耐え難きなり
数えゆく その名が増える 現実に 堪えがたく泣く さだめ憎しと
君眠る 時を見守る つらくとも 涙の先の 愛し君ゆえ
今はもう 痛み苦しみ 消えゆきて 虹を渡りて 君が笑む夢
せめてもと その手に触れて 愛伝え 寄り添い眠る 看取り夢見て
幼子が よくぞ生きたと 抱きしめて 褒めてあやして 看取れたならば
叶わずも それでも君を 想う夜 穏やかに逝く 旅に幸あれ
空の仔よ 友が逝くから よろしくと 星の海にて 幸せで在れ
手を尽くし 君は愛した その愛で だからその手に 癒やし寄り添え
つらくとも 看取り重ねて 仔を癒やす 救う痛みを 超える優しさ
愛ゆえに 悼む心は 叫びゆく 子の名を留め 世に刻みたく
深き愛 知れば知るほど 敬愛を 君の献身 君の心に
悼む夜 それでも生きる その胸に 宿る思いが 仔らを救いて
君が居る この世に生まれ 出会う夏 祈りはひとつ 癒えて海へと
人は皆 心違えど 願う夏 仔らよ育てと 無事を祈りて
生命とは 心を宿す ものゆえに その眼を知れば 愛芽生え咲く
祈れども 叶わぬことも 多い世に 嘆き飲まれて 溺れゆく夏
恋しくて 君を想えど 君は亡く この世におらぬ 痛み叫びて
愛しくて 仔に迎えるも 喪うは 契り千切られ 散り散りの夜
同じ名を 持つ仔見つけて 重ね見る その仔を看取る 絶望の夏
愛し児が 育つ喜び かみしめる どうぞこのまま 健やかに在れ
嘆きとて 還らぬ時の 悲しさよ 君の心を 愛す夏の夜
親を得て 名を得て君は これからと 思う先の死 耐え難き夜
泣き濡れて 朝を迎えて 思うのは 君が居ぬ世の 虚しさと闇
夏空に 輝く仔らの 戯れを 愛でて癒され 空を想わん
静かなる 水面に光る 夏の空 空の君らも 共に在れかし
いつの日か 我も旅立つ 虹の橋 仔らに会えれば 名呼び抱きたく
忘れじと 思えどいつか 消えゆくか 絆よどうか 繋ぎ留めゆけ
愛し児よ いつしか君も 母に会う 星の海にて いつか必ず
時くれば 皆が揃いて 笑いあう そんな願いを 空にかけゆく
愛し児よ 今は眠れよ 安らかに 必ず君に 会いにゆくから
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セルフチュパ(まだ乳飲み子である赤ちゃんアザラシが母アザラシとはぐれて保護された場合、多くの子は、同じく保護された仲間の身体を母親の代わりに吸うのですが、この子は自分の身体を吸っていて、とても悲しい姿がなおいっそう胸を打ちました)が物悲しさと切なさを際立たせていたLyraちゃん、LunaちゃんにArcherちゃん、そしてSeleneちゃんことWesselくんが立て続けに亡くなりました。
罪なき無垢な魂、生まれてすぐ不運に見舞われ母親とはぐれてしまった乳飲み子たちが、衰弱し、病になり、或いは怪我をして保護された不憫な子たちが、何故、こんなにも早く、哀しい死を迎えるのか……。
この幼気な赤ちゃんたちの記憶に、ちゃんと母親の顔は残っているのか、生まれてきて、お空へ旅立つ間の苦しい時間の中に、闘病や療養、リハビリの時間のなかに、ちゃんと楽しさや喜び、幸せな時はあったのだろうかと……いつも思ってしまいます。
せめてもの救いは、保護施設のスタッフの皆様の愛と献身が寄り添っていたということです。
いつかは怪我や病を治し、癒やし、卒園の規定体重まで育て、ちゃんと故郷の海に帰す、その理念のもと、なるべく人間に慣れさせないように、触れ合いの時間も最低限にして、それでも最大限の愛と慈しみでもって、癒やし守り育んできてくださった施設の皆様が傍に居た……このことだけが慰めであり、救いです。
どうか、これ以上、亡くなる子が出ませんように。
とても難しいことだとは理解していても、やはり、愛しい子たちには生き延びてほしい。
幸せになってほしい。
願ってしまいます。
神様、どうか……と。
みんなが、友と過ごす時間を楽しみ、様々なことを学び、成長し、癒えて元気になって、逞しく育って、海に帰れますように。
そして、私たち人間の手で汚してしまった海を、私たち人間の手で、再び美しくしてゆけますように。
環境破壊、環境汚染、自然破壊による異常気象で絶滅してゆく生命と心があります。
ゴミ問題……捨てられたゴミで傷つき、生命を奪われる存在が居ます。
どうか、それぞれの人生において、できることを、ささやかでも良いので、地球や自然、動物や植物のためにできることを、行動につなげていただけたら幸いです。